ディフェンス機能せず…慶大に惨敗

米式蹴球
TEAM 1Q 2Q 3Q 4Q TOTAL
早大 BIG BEARS 14
慶大 UNICORNS 14 17 10 48

 寒空の下、得点するたびに熱を帯びる慶大側スタンドとは対照的に、早大側スタンドはため息に包まれていた。前節で関東大学秋季リーグ戦(リーグ戦)制覇を決めた早大BIG BEARS。締めくくりの最終節は早慶戦、互いのプライドを懸けて戦う伝統の一戦だ。しかし、第1クオーター(Q)早々から相手にTDを許すなどペースをつかめず。何度もエンドゾーンを割られ、オフェンスでもパスが思うように通らない。終始慶大に試合の主導権を握られ、計6TDを決められる惨敗を喫した。

 既に優勝を決めていたため、この日は主力選手たちを温存して臨んだ。しかし、4年生にとってはこれが引退試合となる慶大。必死に、貪欲に、勝利への執念を前面に出して立ち向かってくる。第1Q、序盤からその意識の差が如実に表れてしまった。相手エースRB李卓(慶大)に空いた左サイドを突かれ、60ヤードを超える独走を許し先制TDを献上。QB笹木雄太(法3=東京・早大学院)からWR岡田義博(教4=東京・早実)にTDパスが通り一矢報いたものの、李の突破力を生かしたオフェンスに早大ディフェンス陣が対応し切れず、差を見る見る広げられる。それでも第2Q終了間際、早大が意地でドライブを重ね、敵陣9ヤードまで進攻。この地点からの第1シリーズ、1ヤード付近にラストパスを出す。これで追い上げ後半に向けて勢いがつく、誰もがそう思った。しかし、このパスにDB松崎泰光(慶大)が反応。インターセプトを喫すと、そこから96ヤードを走り切られ、まさかのパスインターセプトリターンTD。完全に試合の流れを慶大に渡すかたちで前半が終了する。

一矢報いるTDを挙げたWR岡田

 早大のリターンから始まった第3Q。しかしあっという間にこの攻撃はパントに追い込まれると、空いたスペースを突破されさらに追加点を許す。またこの日はパスインターセプトされる場面が目立ち、攻撃時間が圧倒的に少なかった。早大はオフェンスの活性化を図るべく、QB坂梨陽木(政経2=東京・早大学院)を投入。「自分が何とかしなきゃいけない」(坂梨)。迎えた第4Q、その思いを胸にパスでドライブを重ね、最後はRB須貝和弘(創理3=東京・早大学院)のランでこの日ようやく2個目のTD。しかし大きく広げられた差は埋まらず。終了間際にQB坂梨が放ったロングパスもむなしく地面に落ち、試合終了を告げるホイッスルが鳴り響く。リーグ戦最終節、何とも後味の悪い試合となってしまった。

RB須貝のTDランが決まるも慶大の勢いを止めることはできなかった

 見せ場をほとんどつくれなかったこの試合。「王者だという気持ちで臨んだら全く駄目」(DB村上順哉、商4=京都・東山)と、心のどこかには隙があったのかもしれない。『挑戦者』として強豪相手にも臆せず臨み続け、ようやくつかんだ関東のタイトル。今後王者としてのおごりが出てしまえば、これまで積み上げてきた苦労が水泡に帰するだろう。しかし、きょうの敗北でBIG BEARSは再び目を覚ましたはずだ。まずは次週に控える東日本代表校決定戦に勝利し、最高のかたちで甲子園球場へと乗り込みたい。

(記事 中丸卓己、写真 寒竹咲月、桝田大暉、近藤廉一郎)

『日本一』へ向け、下を向いている時間はない

得点経過
TEAM PLAY PLAYER(S) PAT PLAYER G/NG スコア
慶大 RUN #29 李 #96島崎 0-7
慶大 RUN #29 李 #96島崎 0-14
早大 PASS #12笹木→#1岡田 #16佐藤敏 7-14
慶大 RUN #6 田中 #96島崎 7-21
慶大 FG #96 島崎 7-24
慶大 INT #22 松崎 #96島崎 7-31
慶大 RUN #29 李 #96島崎 7-38
慶大 PASS #4 江守→#85 林 #96島崎 7-45
早大 RUN #10須貝 #16佐藤敏 14-45
慶大 FG #96 島崎 14-48
星取表(11月22日現在)
日大 法大 慶大 早大 中大 明大 日体大 専大
日大 32○30 45○0 9●21 75○14 44○6 49○20 66○7
法大 30●32 45○35 24●27 38○6 42○14 38○9 55○13
慶大 0●45 35●45 48○14 39○20 34○10 37○25 58○19
早大 21○9 27○24 14●48 30○0 24○6 54○24 55○0
中大 14●75 6●38 20●39 0●30 13●14 33○13 63○5
明大 6●44 14●42 10●34 6●24 14○13 20○3 14○7
日体大 20●49 9●38 25●37 24●54 13●33 3●20 34○3
専大 7●66 13●55 19●58 0●55 5○63 7●14 3●34
コメント

DB鈴木拓馬副将(社4=大阪・豊中)

――きょうの試合の率直な感想をお聞かせください

東日本代表校決定戦は決まっているとはいえ、負けてしまったことは悔しいです。

――先制点を取られてからどのような立て直しを図ろうという戦略でしたか

先制点は取られてしまいましたが、我々がやることは変わらずしっかりと止めて、オフェンスで点を取るということで焦らないようにという意識でした。

――攻める時間が相手より少なくなってしまいました

まさにその通りです。ディフェンスする時間が長くつらい時間が多かったです。ノンドライブで時間を使われてしまったという印象です。

――その要因は

タックルが決まらなかったというところだと思います。

――今回の良い点、悪い点それぞれ教えてください

正直良い点はあまりなかったと思います。ですが、主力をある程度けがを防ぐために下ろしたことで下級生の出るチャンスであったり、ああいう大きなフィールドで試合することができたところだと思います。悪い点はいっぱいありますが、やはりタックルです。あとはコミュニケーションミスですね。こういうミスをしていては次以降勝てないのでしっかりと改善していきたいです。

――リーグ戦を終えて

不完全燃焼ですね。関東を代表していくので全勝したかったと言うのが本音ですし、なんとも言えない気持ちです。

――最後に次戦に向けての抱負をお願いします

うちのチームはアスリートが少なくて、全員が一致団結していかないと勝てるチームではないので、下級生を含めて自分の取り組みを見直させて、私を含めてやるべきことをやって挑みたいと思います。

WR岡田義博(教4=東京・早実)

――きょうの試合を振り返って

本当に恥ずかしい試合をしたなというのが素直な印象です。オフェンスは、全ての指示を通してほとんどドライブできていなかったり、1対1で負けていたりしていつも通りのことができていなかったのかなと思います。前半は点差が開くまでは負けているシチュエーションでどれだけオフェンスしていけるかということを話していたのですが、どんどん点差が開いていってしまいました。後半では、ここから点差をひっくり返そうとしていたのですが、最初のオフェンスのスリーダウンアウトで足を引っ張ってしまったという感じです。

――タッチダウンについて

僕についていたのがLBで、ミスマッチが起きていたのでそこをQB笹木(雄太、法3=東京・早大学院)が落ち着いて見てくれてリードボールに落としてくれたので良かったです。

――どのような意気込みで臨まれましたか

早大と慶大は立場が違ったのですが、それでも絶対に慶大には負けないとみんなで意気込んで臨んでいました。結果がこれで口だけになってしまいました。これで負けたことを次に生かしていきたいと思います。

――次戦への意気込み

これまでディフェンスに助けられていて、オフェンスは助けることができなかったので次の試合ではオフェンスが試合をけん引できるようにしていきたいです。

DB村上順哉(商4=京都・東山)

――きょうの試合を振り返っていかがですか

もう最悪ですね。ディフェンスは日大戦や法大戦とは違うメンバーで臨んだのですが、出た人がしっかり仕事ができなくて、ぼろぼろに負けてしまった試合だったと思います。

――きょうはどのような気持ちで試合に臨んだのですか

優勝は決まっていたんですけど、早慶戦で慶大の引退試合で、慶大が勝って引退はさせたくないという思いで臨んだんですけど、全く駄目でした。

――ナイスインターセプトでしたが、ご自身としてはどうですか

もう少し自分が前に入れてきれいに取りたかったんですけど、相手に先に触られてしまって、自分の課題でもあるのですが、相手が取り切れなかったところ、落ちてきたところが良くてたまたま取れたというかんじです。取れたということはよかったのですが、狙い通りのインターセプトではなかったです。

――きょうでリーグ戦も終了しましたが、全体を振り返っていかがですか

日本一を目標にやってきて、第6節で優勝を決めることができました。でも、僕たちが入学してから味わったことのない関東リーグ優勝におごりといいますか、今週一週間の練習も良くなかったですし、自分たちが王者だという気持ちで試合に臨んだら全く駄目だなと思いました。僕たちはスポーツ推薦もあまりないですし、相手の方が能力は上なので、そういうことを自覚して地道に泥くさくやらないと全く勝てないなと最終戦で感じました。

――東日本代表校決定戦に向けて意気込みをお願いします

負けてしまえば引退で、絶対に負けられない戦いなので、とにかく勝つ。そして内容もしっかり伴ったゲームにしたいです。もう一週間しかないので慶大戦の負けを無駄にしないで、相手を圧倒できるよう、一週間準備したいと思います。

LB栗田崇大(教3=神奈川・鎌倉)

――きょうの試合を振り返っていただけますか

反省点の多い試合で、ディフェンスが試合を崩してしまって、観客のみなさんにも申し訳ない試合をしたという思いでいっぱいです。前々から相手のRBがカットも上手くて素早いって分かっていたんですけど、タックルが、足が止まってしまって、ギャザーもできない状況で、いいように走られてしまったというのが課題です。

――きょうは主力を温存した試合でした。サブメンバーで組み立てる試合の難しさはありましたか

ケビンさん(LBコグラン副将、商4=東京・早大学院)がいなくて、フィールドでリーダーシップをとる人がいないというのがありました。それでディフェンスとして混乱してしまったのが、また自分の不甲斐なさのせいもあったので反省しています。

――相手のオフェンスにかきみだされた中で、試合中の修正は難しかったですか

途中途中ベンチに帰っての修正は施したんですが、ディフェンス全体でのコミュニケーションがいきわたらなかったりで、修正しきれなかった部分が、ボロが出てしまったというのがあります。

――ビハインドでのハーフタイムにはどんな話し合いを

とにかくボールを持ってこようと。あとはブリッツを対応して攻めようという話になったんですけど、それでもパスを通されてしまったり、かわされてしまったりでうまく機能しないところがありました。

――ご自身のプレーについては

自分の不甲斐なさを思い知った試合でした。ケビンさん、寺中さん(健悟、教4=東京・早大学院)、庭田さん(和幸、創理4=東京・早大学院)が作り上げてきてくれたディフェンスに泥を塗ってしまったというのが申し訳ないです。ここからどれだけディフェンスをサポートしていけるかというのを課題としてやっていきたいです。自分自身としてはタックルミスもありましたし、レスポが全うできなかったところもありました。

――これがリーグ最終戦で、次に東日本代表校決定戦、甲子園ボウルとなりますが、どのような準備をしていきますか

本当にこの試合を通して、僕たちは実力がないということがわかったので、一戦必勝を掲げて、東日本代表校決定戦ではしっかりディフェンスから相手をシャットアウトしてまとめていって、甲子園ボウルでは相手が立命大に決まったということもあって、立命大には西村七斗というすごいRBの選手がいるので、しっかり集中して、地に足ついたタックリングをして止めていきたいと思います。

――改めて最後に意気込みを

とにかく自分はがむしゃらにやってチームを盛り上げて。チームをこの負けで一から作り直す気持ちで、周りを盛り上げていきます。自分が4年生のつもりで、残りの短い間ですが取り組んでいきたいと思います。

WR鈴木隆貴(法3=東京・早大学院)

――きょうの試合を振り返っていかがでしたか

単純に悔しいです。

――優勝を決めて、きょうの試合にどのように臨みましたか

リーグ戦優勝は決まってますけど、チームとしては慶大戦も、東日本代表校決定戦だったり、甲子園ボウルに出るためにもっとチームとしてレベルアップするために、歩みを止めないという位置付けでやっていたので、そういった意味でとても残念な結果だと思います。

――きょうの試合はパスがあまり決まらなかったように見えましたがいかがでしたか

僕自身もボールの際の部分で何回も負けて、そういった意味で自分の実力のなさだったなと思っているので本当に悔しいです。

――パスが決まらなかった原因はなんでしょう

普段の練習の甘さだと思います。東日本代表校決定戦まで時間がないので、一週間でそこを取り組み直したいなと思います。

――終盤は、ノーハドルの攻撃がうまくいったように見えましたが、いかがでしたか

やるしかなかったので1プレー1プレー集中してやれて、結果として出てはいたのですが、まだまだです。

――これから東日本代表校決定戦、甲子園ボウルと続きますがどのような準備をしていきたいですか

きょうの試合は最低だったので、これを糧にして取り組み直すしかないと思うので、一からやって、まず次週勝って甲子園ボウルを決めて、甲子園で勝てるようにやっていきたいと思います。

――最後に、今後に向けてご自身としての意気込みをお願いします

きょうは不甲斐ないプレーをしてしまって、悔しい結果だったので、来てくれるファンのためにも、チームのためにも、もっと自分のプレーで引っ張っていきたいと思います。

DB洲戸健吾(スポ3=東京・農大一)

――きょうを終えての感想は

下級生中心でしたが、本当に恥ずかしい試合をしてしまったと思います。

――前半を振り返っていかがですか

フィールドの中でコミュニケーションを取れと言われていたのですが、うまく取れずにズルズル出されてしまって相手のいいRBを止められなかったです。

――それを踏まえての後半はいかがでしたか

中でしゃべるのと、プレー傾向としてセカンドダウンの時にドローとかやってきていたのでしっかりと自分たちの守りをしようと話していました。

――ご自身のプレーをふりかえって

的確なカバーを出せなかったときが結構ありました。理解の部分でまだまだ不足しているなと感じることがありました。

――スタメン起用もされましたが、リーグ戦を総括していかがですか

レギュラーのケガでスタメンになったのですが、自分はずっとディープセンターをやっていて、この試合は甲子園に向けて下級生が成長するという部分で本当に大事なしあいでした。それでも最後はあのように終わってしまって。もう前を向いてやっていくしかないので、3年がしっかり締めて前を向いてやっていきたいと思います。

―次戦に向けての意気込みをお願いします

本当に死ぬ気で練習して圧倒したいと思います。

QB坂梨陽木(政経1=東京・早大学院)

――今日の試合を振り返っていかかですか

チーム全体としては集中し切れなかった試合だったなというように感じました。

――サイドラインからチームを見る時間帯もありましたが、外からはどう見えていましたか

オフェンスは結構攻め切れない場面が多くて、どうにかしようっていう意識はあったと思うんですけどそれが結局最後まで出来てなかったなと。

――1本、TDに導いたシリーズがありましたが本人としてはどうですか

あれはもう自分が何とかしなきゃいけないという気持ちで入って、あとはOLの方とかレシーバーの方、RBの方々が全員で守ったりしてくれたので取れたというふうに思っています。

――最後に今後に向けての意気込みをお願いします

一戦必勝で次の試合も全力で勝ちにいきたいです。