TEAM | 1Q | 2Q | 3Q | 4Q | TOTAL |
早大 BIG BEARS | 7 | 10 | 10 | 3 | 30 |
関大 KAISERS | 3 | 6 | 3 | 3 | 12 |
アメリカンフットボールの中で最古の歴史を誇る早関定期戦は、ことしで70回目を迎えた。早慶戦、立命大戦に勝利した早大にとってはチームの真価が問われる重要な試合。キックオフリターンでの大幅ゲインを機に幸先よく先制する。その後オフェンスが通用せず苦戦したが、2本のインターセプトを決めてからは息を吹き返して早大ペースに。30-12で勝利し、結果の上では春季の最終戦を快勝で飾った。
鮮烈な幕開けだった。前半最初のキックオフ。ボールをレシーブしたRB藤井光成(政経4=東京・早大学院)が次々とディフェンスをかわしていく。相手の反則と合わせ、ゴールまであと2ヤードというところまで迫った。会場に衝撃が走る中、先発のQB笹木雄太(法3=東京・早大学院)が落ち着いてWR鈴木隆貴(法3=東京・早大学院)にTDパス。開始1分と経たずに早大は先制に成功した。しかし、その後のオフェンスは不発。パスが通らず、ランでもヤードが稼げない。インターセプトを喫してピンチを招くなど、第2クオーターにかけて3本のFGで関大に逆転されてしまった。春季全勝へ暗雲が立ち込めたが、それを振り払ったのはディフェンスの力だった。まずDB村上順哉(商4=京都・東山)が見事なインターセプト。これを笹木に代わり投入されたQB坂梨陽木(政経2=東京・早大学院)が好ドライブで生かし、K/P佐藤敏基(社4=東京・早大学院)のFGにつなげて再逆転に成功する。すると今度は、焦る関大のパスを「狙っていた」というLBコグラン・ケビン副将(商4=東京・早大学院)が手中に収めた。それだけでなくLBコグランはオフェンス陣顔負けのステップを駆使し、自陣から一気に敵陣深くへ。最後はQB坂梨からWR西川大地(商3=東京・早大学院)へのパスが決まり、17-9と早大がリードを広げて前半を終えた。
ディフェンス陣の奮闘が光った
後半でもディフェンスが魅せる。最初の相手のシリーズでDL村橋洋祐主将(スポ4=大阪・豊中)が強烈なQBサック。一気に17ヤードを戻し、関大の士気を低下させる。一方で前半不調だったオフェンスも、「空いてなかったら走る」とスクランブルを決め、ゲインするQB坂梨を中心に堅調。ここにRB片岡遼也(法1=東京・早大学院)の強力なラッシュが加わりゴールに迫ると、WR西川遼(教4=埼玉・狭山ヶ丘)のキャッチで追加点を挙げる。続く早大のキックオフではK/P佐藤が絶妙な位置へのキック。不規則に弾んだボールを何とLB塚田紳太郎(商4=東京・早実)が確保し、K/P佐藤のFGにつなげてさらに3点を追加した。その後お互い1本ずつのFGを決め、スコアは30―12に。そして最後のプレー。DL村橋主将がこの日3本目となるサックを関大Q
Bに見舞う。最後までディフェンスの勢いが衰えなかった早大BIG BEARSは難敵・関大KAISERSを退け、今季最後のオープン戦を見事に締めくくった。
強力なラッシュを見せたRB片岡
「ディフェンスに感謝したい」(RB藤井)、「ディフェンスに助けられた」(濱部昇監督、昭62年教卒=東京・早大学院)との声が聞かれるように、流れを変えるインターセプトやサックの連続。その貢献度には目を見張るものがあった。そして、今春不調だったQB坂梨の復調こそ、ディフェンスが引き寄せたモメンタムを生かせた要因となったといえる。一方で思うようなプレーができず、課題を感じる選手も多くいたことだろう。春の収穫、課題は夏にフィードバックされることとなる。「日本一になる」(村橋主将)、「結果を出す」(濱部監督)と繰り返し語られてきた目標を果たすため――。充実の夏としたい。
(記事 鈴木泰介、写真 近藤廉一郎、中丸卓己)
得点経過 | |||||||
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TEAM | Q | PLAY | PLAYER(S) | PAT | PLAYER | G/NG | スコア |
早大 | 1 | PASS | #12笹木→#85鈴木隆 | K | #16佐藤敏 | G | 7-0 |
関大 | 1 | FG | #32藤田 | G | 7-3 | ||
関大 | 2 | FG | #32藤田 | G | 7-6 | ||
関大 | 2 | FG | #32藤田 | G | 7-9 | ||
早大 | 2 | FG | #16佐藤敏 | G | 10-9 | ||
早大 | 2 | PASS | #7坂梨→#4西川大 | K | #16佐藤敏 | G | 17-9 |
早大 | 3 | PASS | #7坂梨→#17西川遼 | K | #16佐藤敏 | G | 24-9 |
早大 | 3 | FG | #16佐藤敏 | G | 27-9 | ||
関大 | 2 | FG | #32藤田 | G | 27-12 | ||
早大 | 3 | FG | #16佐藤敏 | G | 30-12 |
コメント
濱部昇監督(昭62教卒=東京・早大学院)
――春季オープン戦を全勝で終える結果となりました
内容的には練習の成果を出せていない部分が多いので、まだまだだと思っています。
――この試合のゲームプランは
きっちり止めて、きっちり出すということで、春のスカウティングを元に準備をしてきたので、そういう意味ではもっとやらなければいけなかったです。ご覧の通りオフェンスは最初からスリーアンドアウトの連続でやりたいことを全くできていませんでしたし、ディフェンスに助けられたという感じですね。
――その中で、守備陣のインターセプトでモメンタムを引き寄せることができたのは良かったのではないでしょうか
そうですね。インターセプトからスコアにつなげられるドライブができたのは良かったです。
――QB坂梨選手(陽木、政経2=東京・早大学院)の復調が見られた試合だったと思いますが
きょうは正直なところ良かったですね。気持ちも入っていて集中もしていたので、プレーも良かったです。
――この試合の反省点として挙げるのはどういった点でしょうか
このようなゲームの展開になるだろうとは予想していました。というのも、今週の練習や雰囲気があまり良くなかったし、僕らはそんなに力で圧倒して試合に勝てる力はついていないので、そういうことに関しては選手にもっとひたむきに練習、試合に臨んでほしいと思っています。学生スポーツというのはメンタルスポーツなので、集中してやれば力以上のことができる反面、気が緩んでしまうと力も十分に出せないし、そういう意味ではこの試合は力を十分に出せなかったと思います。またこれを糧にして気を引き締めて秋のシーズンに臨んでほしいなと思います。
――夏の期間に改善すべき点は
あまり難しいことを新たに取り組むというよりは、シンプルなことをどれだけ突き詰めてやれるかだと思うのでその点にフォーカスしてやっていきたいです。
――最後に秋季リーグ戦に向けて意気込みをお願いします
今季は結果を出すということで取り組んでいるので、リーグ戦も勝ち抜きたいし、学生チャンピオンになるということに向けて取り組んでいきたいです。その目標に向けて選手と共に頑張ります。
DL村橋洋祐主将(スポ4=大阪・豊中)
――試合全体を通していかがでしたか
前半ダメダメだったので課題が多い試合でした。前半たまたまキックオフリターンで一本持っていきましたけど、オフェンスは全然出ていないし、ディフェンスは本当に止められていなかったので、相手のミスに助けられて試合の流れが良くなった感じなので、自分たちとしては悔いの残る試合でした。
――この試合に向けてのチームの雰囲気は
僕たちはしっかり気を引き締めてやっていこうと話していたんですけど、前日にも監督から気が緩いと指摘を受けて、雰囲気としてはあまり良くなかった印象です。
――その中で、ディフェンス陣のインターセプトでモメンタムを持ってくることができたのは良かったのではないでしょうか
そうですね。オフェンスが本当に出ていない中で、ディフェンスで試合の流れを持っていけるようになって、そうしたらオフェンスも出てくるようになったので、チームとして流れを持ってくることができたのは良かったと思います。
――後半の入りは良かった印象ですが
後半は点差がついていたので自分たちとしてはやりやすかったんですけど、前半が一番課題ですね。
――自身のプレーに関しては
たまたま相手が長く持ってくれてQBサックを決めることができたのでまだまだだと思います。
――この試合で様々な課題が見えてきたと思いますが
層の薄さもそうですし、一人一人がチームの一員として取り組めているのかとかというのが露呈した試合で、まだまだ一人一人の意識が足りていないと分かりました。
――夏に取り組むべき課題は
フィジカルからもう一度見直して、一人一人の意識ももちろん上げていき、春の課題を全部つぶせるようにやっていきたいと思います。
――最後に秋季リーグ戦に向けて意気込みをお願いします
秋は日本一になると決めたので、本当にやるだけなので、それに向けてしっかりと努力していこうと思います。
LBコグラン・ケビン副将(商4=東京・早大学院)
――きょうの試合にはどういったテーマで臨まれましたか
関大に勝つというのはもちろんで、日本一になるために春全勝という目標を掲げていたので、日本一を目指す通過点として臨みました。
――その春全勝という結果で終えられましたがいまのお気持ちは
全勝したというのは本当にうれしいのですが、まだまだ課題はあって日本一を見据える上では足りないので、そこは改善したいと思います。
――序盤は接戦でなかなか自分たちのペースに持っていけませんでした
そうですね。完全にオフェンスもディフェンスも相手のペースで、パスを決められたりランも出されて全然駄目だったんですけど、粘れたというのは良かったですね。TDは許さずにFGで抑えられたので、そこまで出されるのは駄目なんですが粘れたのは良かったです。
――後半はインターセプトを決めていらっしゃいましたがあれは狙っていましたか
ボールを持って行けたらいいと思っていたので、春は全然インターセプトが無くて、ちょっと狙っていたというのはありますね。
――あのプレーで流れが一気に変わったように思います
そうですね。その後オフェンスでTDに持って行けたので、あれで流れを変えられたというのは自分でもうれしかったです。
――これから夏に入りますがどういった点を強化していきたいですか
これからウエイト期間に入るのでまずは全体的なフィジカル強化をしていきたいです。後は、秋の日大戦、法大戦に向けて作戦など立てていけたらと思います。
RB藤井光成(政経4=東京・早大学院)
――試合を終えて率直な思いを聞かせてください
全然煮え切っていないと言いますか、不完全燃焼でした。結果としては大差が開きましたが、特にオフェンスが内容として大したことがなくて、ディフェンスに助けられたという思いです。オフェンスは全体的に決定力が欠けていて、ランユニットは縦の圧力が足りなかったですし、パスユニットは流れを作れませんでした。全然かみ合っていなかったということがオフェンスの印象です。
――この試合に向けてなにかテーマなどありましたか
この試合に向けてということは特にないのですが、ランユニットは変則的なディフェンスをしてくる相手に対し、足を動かして相手にブロックしていこうということはありました。
――その点についての出来はどう感じでいますか
やはり相手が早かったということもありますが、それに対して自分たちが受けてしまった感じはありますね。
――試合ではいきなりキックオフリターンで89ヤードの好走がありました。振り返っていかがでしょうか
最後まで持っていきたかったです。あそこで追いつかれるのでは駄目なので、今度は最後まで持っていきます。
――自陣から敵陣深くまで持っていけたことに手応えはありますか
そうですね。春シーズンはロングゲインが少なかったので、あのような形で試合の口火を切れたことはよかったと思います。
――1分足らずでTDした後は停滞気味になりましたが、どう感じでいますか
やはり日々の取り組みからもう一度見直して、ドライブ力を付けていかなければと思います。春はロングドライブはできていたのですが、最終的に結果が全てなので、これから改善していきます。
――とはいえ2クオーター(Q)の途中から再び流れをつかみました。きっかけなどありましたか
ディフェンスだと思います。ディフェンスがボールを持ってきてくれたので、そこは本当に感謝したいです。
――春シーズンを終えましたが、感想を聞かせてください
まず結果として全勝であったことはよかったのです。それでも本番は秋なので、これからトレーニング期間に入り、夏にしっかり強くなって秋に向かいたいと思います。
――勝負の秋に向け、夏に一番力を入れたいことを教えてください
オフェンスとしてはプレーの精度を上げることはもちろんですが、そのためにフィジカルにも注力して、一対一で絶対に負けない体づくりをしたいです。また、周りの人間と信頼関係を作れるように日々の取り組みをしっかりしていきたいです。
K/P佐藤敏基(社4=東京・早大学院)
――試合全体としては
序盤オフェンスで出なくて、その時に僕も序盤は調子が良くなかったので、チームが良くないときにいいキックをして、流れを持ってこられるようなプレーができなかったのは反省ですね。後半、流れが良くなってからは自分も良くなってきたので次からは試合の序盤からいいキックができるように調整したいです。
――自身のキックの状態は
今シーズンは春先からケガをしていて、あまり100%の状態で蹴れているわけではないんですけど、決めなければならない場面があるので、そのときにベストの状態に持ってこられるかがカギになってくると思うのでしっかり自分の身体と相談をしてやっていきたいと思います。
――春シーズンを振り返ってみて
チームとしては全勝できて良かったと思うんですけど、個人的にはまだまだ課題が残るところがあったのですが、その点を夏でしっかり改善して、秋にはいい結果を出せるようにやっていきたいと思います。
――夏に特に取り組もうと思っていることは
特別なトレーニングを始めようと思っていますし、ウエイトも妥協せずにやっていきたいです。
――秋シーズンでは重要な場面で佐藤敏選手のキックの場面が出てくると思いますが
秋シーズンはラストシーズンなので日本一になることは絶対なのですが、その中で入部当初から目標に掲げているFGの距離の日本記録の更新すること、昨季はFGの成功数がタイの記録だったので、しっかりと更新したいです。そうすると自ずとチームの結果につながると思います。僕は僕のすべきことをやれば、チームの目標にも貢献できると思うので頑張りたいと思います。
QB坂梨陽木(政経2=東京・早大学院)
――試合の結果をどのように受け止めていますか
最初オフェンスのテンポが悪かったので、自分はテンポを変えることと、シリーズを大事にすることを意識しました。
――テンポを変えることはうまくいきましたか
最初のシリーズはスリーアンドアウトになってしまったのですが、その次のシリーズからロングドライブをすることができたのでそこはよかったのかなと思います。
――味方のインターセプトで流れに乗っていけた感じはありましたか
TDにはいけなかったのでそこは攻めきらないといけない点かなと思いました。
――自分でランされる場面もありましたが相手のディフェンスは見えていましたか
今季は視野が狭くなっていて一点しか見えていなかったのですが、きょうの試合はOLの方もいつも以上に頑張ってくれて、自分でも空いてなかったら走るということを意識できました。
――今までの試合と比べてこの試合はいかがでしたか
きょうの試合はスローイングを意識していました。前の試合はスローミスが多かったのですがきょうは少し浮いている球もあったと思うのですが決めることができてよかったと思います。
――春季を振り返っていかがでしたか
自分のプレーが全くできない状態で、すごく悔しいシーズンでした。スローイングに関しても判断に関してもまだまだですし、ランに関しても全然完璧とはいえなかったのでかなり悔しいシーズンだったと思います。
――その中できょうは何かつかめる試合になりましたか
当たり前ですがパスが決まればドライブはできるし、決まらなければ終わってしまう。その部分での判断と正確さが大事だなということを改めて感じることができました。
――夏への課題を教えてください
体が細いのでフィジカルアップと、パスの正確さより高めていきたいと思います。スローイングの技術に関しても、一から見直して秋季に向けて頑張っていきたいと思います。