関東大学秋季リーグ戦(リーグ戦)閉幕から2週間。リーグ戦で出場機会が少なかった選手を中心とした試合、東京学芸大とのJV戦が行われた。フレッシュな面々で挑んだ一戦は終終始早大BIG BEARSがリード。前後半ともに順調にTDを積み重ね、50点差の大差をつけて、東京学芸大に勝利した。
リーグ戦の鬱憤を晴らすかのような試合だった。今季はけがの影響もあり、満足いく結果を残すことができなかったQB笹木雄太(法2=東京・早大学院)。この日は序盤から自らの持ち味を存分に出したオフェンスを展開する。ポケット内で冷静にWRを探し、正確にヒット。ミドルパスを中心とし敵陣を突き進むと、最後はTE初田恵一朗(国教3=東京・早大学院)へのTDパスが成功し、先制点を挙げる。RB陣も負けてはいない。2QにはRB木村達也(国教1=東京・早大学院)が自陣ゴール前の密集を抜け出す。100ヤード近くをを走り切り、一気にエンドゾーンへ。その後も笹木のパス、木村やRB加藤理明(人1=京都・洛南)のランを効果的に使い分け、前半だけで5TDを奪った。
圧巻の木村のロングTDラン
後半、躍動したのは1年生WR陣だった。QBは春シーズン、スターターQBだったQB政本悠紀(創理3=東京都市大付)に交代。徐々にエンジンがかかり始めた政本のパスに1年生がキャッチで応えた。WR中村航(法1=東京・早大学院)、WR山﨑飛龍(基理1=埼玉・早大本庄)、WR大村祐(文構1=東京・暁星)といった面々が決して簡単ではないキャッチを代わる代わる決めていく。後半での3TDすべてパスでのTDとなった。ディフェンスも1TDこそ奪われたものの、相手を終始敵陣に押し込める上場の出来。「ある程度形になっているディフェンスができた」(LB田口凌、社1=東京・早大学院)と手応えはつかんだようだ。試合は56-6で早大が勝利。1年生を中心とした若い選手たちには大きな経験となったに違いない。
粘り強く守るディフェンス陣
1年生の可能性の大きさを感じさせた試合だった。さくねんまでと異なり、シーズンの前半戦に下級生の試合経験を積むことが難しい新リーグ戦方式においては、JV戦は大きな意味を持つだろう。秋は終わり冬へ。この試合を以て、早大BIGBEARSはしばしの解散期間に入る。来シーズンへ向け、どんな成長をみせてくれるのだろうか。すべては『日本一』のために――。
(記事 井上義之、写真 井上義之、大槻竜平)
コメント
TE初田恵一朗(国教3=福岡)
――試合を振り返ってみていかがですか
僕も含めてあまり試合に出場することができなかった選手が活躍する機会でした。いままで試合に出れなかった選手が試合に出て、初めて見えたミスなども出てきたと思います。来季も今季と同じく、厳しい戦いになと思いますし、きょう出場したメンバーの力は絶対必要になると思うので、そういったミスをなくしていければと思います。
――ご自身が感じられたミスというのは具体的にどういったものなのでしょうか
僕自身こんなに長い出場時間を頂けたのはきょうが今シーズン初めてで、細かいミスもありました。1試合通して体力が続かなくて、最後まで走れていない部分もありました。
――ハドル中で全体を引っ張ているように見えましたが
お前がやれとかは言われていませんでしたが、LBというポジションがリーダーシップをとっていかなければならないので、最初から自分がリーダーシップをとり、チームをまとめていこうと思っていました
――先制TDレシーブを振り返ってみていかがですか
あれは相手をうまく流して、僕が逆を突いてパスをもらうというプレーに相手がうまくはまってくれたかたちだったので、僕のプレーが良かったというよりもプレーコールが良かったという感じでした(笑)。その後はボールを落とさないように必死に走りました。
――初TDの感触はいかがでしたか
なんか「捕れちゃった」という感じでした(笑)。かっこいいパフォーマンスでもしようかと思っていましたが、それどころではありませんでした。無我夢中でしたね。
――その後も要所でパスレシーブを決めましたが、ご自身のきょうの結果についてはいかがですか
飛んできたイージーボールを落とさなかったというのはありますが、パスコースに出るのが遅くて、相手にぴったり着かれてしまったり、最後の最後で走り方がまずくてボールに追いつけなかったこともあったので、もっと僕の中でのTEの理想である「こいつに投げれば必ずキャッチしてくれる」TEになれるようなプレーを、来季は見せることができればと思います。
――ブロックに関してはいかがですか
うまく当たることができれば、押せるのですが、相手にまともに当たれずに受けに回ることもあったので、そこは反省材料です。
――留学されていたとのことでしたが、海外でアメフトに関わる経験などはありましたか
留学先がアメリカの大学で、そこがNCAA(全米大学体育協会)の1部リーグに所属する大学で、TEの選手が全米トップの大学から転校してきた選手で圧倒的でした。その選手のプレーがパスも捕れて、相手にタックルされても簡単には倒れないTEとしては理想的なものでした。本場のプレーはこっちのものとは全然違ったので、触発された部分はありました。
――TEはTE北村卓也選手(先理4=東京・早大学院)が抜け、空きになりますが、来季の意気込みを教えて下さい
上位校との戦いでは、フィジカルというものが課題になってくると思います。先日の社会人の試合を見たときに、社会人の選手は僕らよりも一回りも二回りも大きかったです。日本一を目指す上で、最終的にはそういった選手たちと勝負しなくてはならなくなるので、この冬はとにかく自分を追い込んで、来シーズン戦っていけるような体をまず作っていきたいと思います。あとはアメフトの研究もしなくてはと切に感じています。
QB笹木雄太(法2=東京・早大学院)
――試合を振り返ってみて
年内最後の試合でJV戦というかたちで、今まで1年生は試合に出れてなかったり2本目以下の選手も出れていなかったので、そういう意味できょうの試合は大事だと思っていました。基本的には自分たちのやりたいことはできたのでよかったと思っています。
――きょうはミドルパスやロールアウトからのパスが決まっていましたが、何か意識したことは
JV戦ではありますけど僕が1番試合経験が多くて、出ていた選手は1年生などが多かったので、緊張せずに1年生がのびのびとプレーできるようなハドルワークしていこうと思っていました。
――1年生のプレーを見ていかがでしたか
とても頼もしくも感じましたし、自分たちの代に直結する大事なメンバーなので、今日の試合を見てたぶんまだまだだと思いますけど、しっかり成長させて全学年で来年に向けて日本一を狙いたいと思っています。
――ケガの影響はありましたか
完全に治っているというわけではありませんが、ATの方だったり各先生に支えられてとても良くなってきているので、来季には影響無いと思います。
――公式戦ではインターセプトが目立ちましたが、きょうはありませんでした。
きょうはまとめ役というのを自分が担っていると実感していて、その中で自分がミスしてしまうとオフェンスがあまり出なくなってきたり、まとまりが無くなってくるというのはわかっていたので、慎重にという思いと、細かく見ていくとインターセプトされる場面だったり、視野を広くもてていない場面もあったので、そこは来年に向けて修正していきたいです。
p>――最後にらいねんの目標をお願いします
自分の中で、ことしは成長の年ということを目標にしていて、来年は変革の年ということを自分の中で決めていて、というのもチームの中心の選手になりたいという思いと、リーダーシップやコミュニケーション力不足が目立っていて、そこを直すためにも自分が変わり、チームを変えるという目標をもって来年に臨んでいきたいと思っています。
DL佐野泰弘(スポ2=愛知・千種)
――試合の結果についていかがですか
オフェンスが良い結果だったのに対して、ディフェンスは後半からロングドライブを許すようになってしまったのが不甲斐なかったです。
――この試合に向けどういった目標を持って臨みましたか
もちろん完封することです。DLユニットとしては、3QBサックということを目標としていました。サック数の目標は達成できたのですが、良いプレーもあれば、悪いプレーはとことん悪かったので、個人的には後味が悪い印象です。
――それは後半許したTDのことでしょうか
それもですし、ロングドライブを許した場面でも僕が穴になった部分があったので、もっとフィジカルを意識したプレーができるように頑張りたいと思います。
――関東大学秋季リーグ戦ではあまり出番がありませんでしたが、きょうの試合に対する意気込みは
もちろんシーズン中も少ししか試合に出場することができなくて、(きょうの試合で)ビッグプレーを決めて、自分のDLユニットとしての存在意義を示そうという意気込みはありました。
――そういう意味ではきょうのご自身のプレーを振り返ってみていかがですか
僕が穴となって相手にゲインされてしまっていた印象があるので、フラストレーションが溜まる試合でした。もっとOLとの1対1の勝負にこだわって、絶対に勝てるようにならないとチームでは使ってもらえないなと思います。
p>――来季へ向けて意気込みをお願いします
らいねんも庭田さん(DL庭田和幸、創理3=東京・早大学院)や小宮山さん(DL小宮山泰隆、教3=東京・早大学院)、志文さん(DLロー志文、社3=東京・早大学院)はパスラッシュが上手く、ゴリゴリのパワー系のDLがあまりいない印象があります。自分は高校アメフト未経験で入部して、OLとの駆け引きもまだまだなので、そこを学びつつも、パワーで押していけるように、このオフシーズンに頑張って一回りも体も気持ちも大きな選手になりたいと思います。
LB田口凌(社1=東京・早大学院)
――試合を振り返ってみて
最初から下級生中心でやっていこうという話で、全体的な試合の流れとしては、オフェンスがいいように点を取ってくれてディフェンスも課題は見つかりましたが、ある程度形になっているディフェンスができたので収穫はありました。でも正直格下相手に対してやられていた部分が多かったので、課題が多く見つかったこと。そして1年生が試合に多く出場できたので良かったと思います。
――前半を0点で折り返しましたが
結果的には0点という形で抑えられましたが、全然オプションを止められていなかったので内容は良くなかったと思います。そしてそれを試合中に修正しようと言ってたんですけど、全然できていなかったので試合中のアジャスト面が課題かなと思います。
――ハドル中で全体を引っ張ているように見えましたが
お前がやれとかは言われていませんでしたが、LBというポジションがリーダーシップをとっていかなければならないので、最初から自分がリーダーシップをとり、チームをまとめていこうと思っていました。
――それが今日の目標だったということですね
はい、そうです。
――大学で1年間プレーをしてみて感じたことは
高校に比べて、戦術面の内容のレベルがとても高いのと、ミーティングも時間をかけて行っていて、そういった中で細かい部分に気を付けてフットボールうをしているなと感じています。高校の時よりも時間もかけてるし内容も濃いので、とても勉強になっています。
――最後に来シーズンに向けての目標をお願いします
今はまだスタメンで出れていないので、目標はスタメンを取って試合に出ることが1つの目標です。その次が、試合に出たらビックプレーを狙ってプレーしていきたいなと思っています。