悲願の『日本一』への挑戦がついに始まる――。9月3日から関東大学秋季リーグ戦(リーグ戦)が開幕。昨季、関東王者となった早大BIG BEARSの戦いがいよいよ始まる。今季は、惜しくも敗れた甲子園ボウルへのリベンジ、そして創部史上初となる『日本一』へ向けてのシーズンとなる。強豪校からのマークが厳しくなる中、どこまで関東王者のプライドを見せることができるのか。その戦いぶりから目が離せない。
いざ東京ドームへ。昨年の甲子園ボウルの直後、「またここに戻ってくるために結果を出すためには自分が成長しなければならないです」と語った濱部昇監督(昭62教卒=東京・早大学院)。監督就任当時はなかなか考えがチームに行き届かず苦しんだ。しかし2、3年と時を経るにつれ、徐々に監督のフィロソフィーがチームに浸透。4年目のシーズンとなる今季に懸ける思いは強い。厳しい戦いが続くTOP8を勝ち抜き『日本一』へ。静かに闘志を燃やす指揮官の手腕にも注目だ。
就任4年目のシーズンを迎える濱部監督
昨季の強力ディフェンスを引き継げるか。昨季の主力が大勢卒業し、この春再構築が急務とされたディフェンス陣。しかし、新人のDL箕輪京介(社1=東京・早大学院)やDL斉川尚之(スポ2=東京・独協)、LB関本岳(社2=東京・早大学院)など、下級生の台頭が明るい材料としてある。激しい戦いが予想される秋季リーグ戦に、若手とベテランの融合は不可欠だ。絶対的エースLB加藤樹副将(商4=東京・早大学院)、DB洲戸健吾(スポ4=東京・東農大一)、LB田口凌(社3=東京・早大学院)らは経験豊富。この三人を中心としたアグレシッブな守り、そしてビッグプレーを起こせば勝利にぐっと近づくであろう。個人の能力はもちろん、11人全員で守るのが早大のディフェンス。昨季、他校を苦しめ続けた2DLディフェンスが、ことしも大きな壁として相手チームに立ちはだかろうとしている。
ワセダの絶対的守護神、 加藤樹副将
関東屈指のオフェンスへ。各スキルポジションにタレントをそろえるBIG BEARS。オープン戦や国際大会で好リターンを連発したWRブレナン翼(国教1=米国・ユニバーシティラボラトリースクール)を中心に、近年精度が上がっているリターンチームが1つの武器になる。好位置からスタートする攻撃の基盤となるラインメンは、OL松原寛志主将(法4=東京・早大学院)を中心に他校の脅威となるであろう。自慢のOL陣が走路を作り、そこをRB北條淳士(社4=東京・佼成学園)、RB須貝和弘(創理4=東京・早大学院)、RB片岡遼也(法2=東京・早大学院)が構成するRBユニットに走らせれば早大のペース。RB三銃士が相手を切り裂き、得点へとつなげることができれば試合の主導権を握ることができるだろう。また最終学年にかけるQB笹木雄太(法4=東京・早大学院)とWR鈴木隆貴(法4=東京・早大学院)のホットラインも秀逸。ここぞの場面でのパス攻撃も見ものである。控え選手も充実しており、デプスが向上。チーム内の競争は激しさを増している。
今季主将を務める松原寛志主将
まずは関東を制さなければ、甲子園の道はない。初戦の立大戦はもちろんのこと、終盤に控える慶大戦、法大戦、日大戦と『日本一』に向け1試合も落とすことは許されない。ことしのスローガンは『超越』。部の歴史を超える。強い意志を持った関東のエンジ戦士達が、ことしこそは東京ドームで躍動する――。
(記事 大槻竜平 写真 大槻竜平、辻本紗支子)