専大に勝利するも課題残る

米式蹴球
TEAM 1Q 2Q 3Q 4Q TOTAL
早大 BIG BEARS 14 14 35
専大 GREEN MACHINES 21 21

 本拠地である東伏見グラウンドに専大を迎えて行われたこの一戦。第1クォーター(1Q)、2TDを奪い、さらに相手に得点を許さない上々の滑り出しを見せるも、2Qで形勢が逆転。一時は相手にリードを許す厳しい展開になるが後半はなんとか持ち直し得点を重ね、35-21で勝利を収めた。

TDを決めた浜崎

 専大といえば、昨季の秋季リーグで喫したまさかの敗戦がまだ記憶に新しい。因縁の相手とのリベンジマッチとなったこの試合、早大は試合開始直後からエンジン全開だった。早大は先週の立命大戦の課題として多くの選手から挙げられた、立ち上がりの悪さを感じさせない絶好のスタートを切る。最初の攻撃シリーズ、QB政本悠紀(基理2=東京都市大付)のロングパスがWR諸口貴則(政経2=東京・早大学院)に立て続けにヒットし順調に相手陣内に進入すると、RB浜崎祥之(人2=東京・本郷)の右サイドへのランプレーが成功しTD。先制点を決めると、この試合、速さとパワーを兼ね備えたランが光ったRB和泉智彦(スポ4=鹿児島・甲南)が追加点となるTDを決め相手を突き放す。守備陣も攻撃陣の奮闘に応え、相手にシリーズ更新を許さない攻めのディフェンスで相手を無失点に抑えて終始優勢を保った早大は14-0で1Qを終えた。

 このまま圧倒的な展開が続くと思われた――。しかし、2Q以降流れは一気に専大へと傾く。QB政本の放ったパスがインターセプトされ2Q最初の攻撃権を失うと、ここから歯車が狂い出した。このインターセプトにより奪われた攻撃権でTDを決められて初失点を喫し、その後の2回の攻撃シリーズでは、ともにファンブルによって相手に攻撃権を献上してしまう。チャンスを確実にモノにした相手にそれぞれTDを決められ14-21。ついに逆転を許し、悪い流れから抜け出すことができない。なんとか追いつきたい早大はRB浜崎のランを中心に地道にファーストダウンを更新し、最後はQB政本のパスがRB向山優士(先理2=東京・早大学院)にヒットしTD。前半終了直前に意地を見せ、スコアを振り出しに戻して21-21で前半を折り返した。

試合後にはすぐにミーティングが開かれた

 「自分達のペースでやるべきことをやろう。誰が出てもやるべきことをやろう」(DB末吉裕一(商4=東京・早大学院)。ハームタイムにこう気持ちを入れ直して迎えた勝負の後半戦、早大は苦しみながらも徐々に試合の流れを引き寄せる。QB政本のパスをキャッチしたWR木村光貴(文2=東京・早大学院)のTDで28-21とし再びリードを奪うと、続く攻撃シリーズではWR仁後征大(創理4=東京・早大学院)が約70ヤードのパントリターンで敵陣深くまで攻め込み、RB向山のランでTD。35-21とする。一方、守備では相手の瞬足リターナーを捉えきれずあわやTDとなるキックオフリターンを許すなど幾度となく危ない場面を作られるものの、ギリギリのところで粘り得点を許さない。その後試合は互いに敵陣まで攻め込むも得点が奪えない膠着(こうちゃく)状態となり、得点が動かないまま35―21でゲームセット。昨季のリベンジは果たしたものの、辛勝といえる内容の勝利だった。

試合直後には選手・スタッフ全員によるハドルが組まれた。「僕らが今シーズン目指しているフットボールとはほど遠い」と濱部昇監督代行(昭62教卒=東京・早大学院)。こう語る濱部監督代行を囲む選手たちの表情が、きょうの試合を物語っていた。2Qで相手に奪われた3つのTDの原因は全て自身のミスによるもの。1Qの内容へのかすかな慢心による気の緩みが自らの首を締める結果となった。「自分が日本一になる一翼を担っているんだということを自覚して取り組んで欲しい」(濱部監督代行)。BIG BEARSが掲げる日本一という高い目標を実現させるには、選手一人ひとりの意識改革が急務だろう。まだシーズンは始まったばかり。今回露わになった精神面の弱さという課題をどう克服できるかが今後のカギだ。

(記事 巖千咲、写真 田中竣) 

得点経過
TEAM PLAY PLAYER(S) PAT PLAYER G/NG スコア
早大 RUSH #32浜崎 #17森 7-0
早大 RUSH #34和泉 #16佐藤 14-0
専大 RUSH #20 #16 14-7
専大 RUSH #15 #16 14-14
専大 RUSH #18 #16 14-21
早大 PASS #12政本→#27向山 #17森 21-21
早大 PASS #12政本→#89木村 #16佐藤 28-21
早大 RUSH #27向山 #17森 35-21
コメント

濱部昇監督代行(昭62教卒=東京・早大学院)

――きょうの試合を振り返って

先週の立命大戦同様、選手のメンタル面での弱さがでた試合でした。1Qで、オフェンスが出てディフェンスが止まってといい流れで入ったにも関わらず、ちょっとした自分たちのミスからどんどんリズムが崩れて一度逆転も許し、そのやられ方もボールをファンブルするとか、悪いフィールドポジションというのもあるがディフェンスが一発で持っていかれるとか。後半に向けて前半の反省を修正して臨もうと言っていたにも関わらず、後半も点をとったあとにどんどんミスから崩れていくというほぼ同じ内容でした。本来であればプレーをやりこんでいくごとにいいプレーができなければいけないし、当然相手に対して、微細なところではありますが自分たちで修正をしていかなければいけないところが、逆に悪い意味で相手に合わせてしまって自分たちが目指しているフットボールを見失ってしまっているというのが非常に残念なのと、ちょっとした試合中でのメンタル面での集中力の波というのがこのチームのまだまだ弱いところかなと思いました。細かいところを挙げればきりがないですが、フットボール自体がまだまだ雑で、僕らが今シーズン目指しているフットボールとはほど遠いので、普段の練習からもっと細かいところを意識させて、理想とするフットボールに近づけるようにやっていくしかないのかなという感じですね。

――下級生中心のメンバー構成の意図は

シーズン当初からベストメンバーで臨むか少しメンバー落として臨むかというのは練習試合を組んだ段階で選手には話していたので、選手自身はもちろんシーズンに入る段階からこの試合がこういう位置づけだということをわかって臨んでいます。なぜそういうメンバー構成を組んでいるかというと、常に上級生主体のメンバーを組んでしまうと下級生に経験を積ませるチャンスがなくなるし、日々の練習に対してもモチベーションが上がらなくなってくる部分があるからです。長いシーズンを戦い抜いていくにはケガ人が出た場合に戦力を落とすわけにはいかないので、僕はデプスと読んでいるのですが、選手の厚みをつけていかに底上げしていくかというのもチーム作りのひとつの大きな目標のひとつだと考えています。選手もこれをよく理解して取り組んでくれていると思います。きょうはメンバーを落としたからこういう結果だった、というわけではなく、このメンバーでもまだまだやれると思いますし、その中でももっともっと質の高いフットボールをできていなければいけなかったと思います。

――試合直後のハドルでは選手にどんな言葉をかけましたか

精神的な波がすごく出た試合だったということを伝えました。フットボールはすごくダイナミックなスポーツですが場面場面ではすごく繊細で緻密なスポーツなので、もっと意識しないと、ぼくらの目指しているフットボールはできないよと。精神的にももっとタフにならなければいけないし、普段の練習からやりこんでいく必要があると。全ては日々の練習なので、練習に対しての意識付けをもっと変えていこうと話しました。

――いまチームにどういう変化を求めていますか

このチームは日本一を目指しているので、もっと一人ひとりが、自分が日本一になる一翼を担っているんだということを自覚して取り組んで欲しいなと思います。どうしても上級生と下級生との間に温度差があったりとか、一軍、二軍、三軍の中で温度差があったりとかそういうことはよくありがちなのですが、フットボールは総合力のスポーツなので、なんとなく言われてやるのではなく、学生は希少な時間を犠牲にしてやっているわけなので、やるからにはもっと真剣にひたむきにやってほしいなと。これは常々言っているところですね。そう言う意味では、まだまだなんとなくやっている選手が多いんじゃないかなと思います。強いチームは一人一人がチームの構成員であるという意識を強く持っていると思いますし、選手はチームが勝つために自分が何ができるのか大人になって考えていかないといけないのではないかと思います。自覚がまだ甘いのかなというのが現状です。

DB末吉裕一(商4=東京・早大学院)

――今日の試合の感想をお願いします

今日の試合は全員にチャンスができるものでしたが、試合前から雰囲気が良くなくてそれが試合に出てしまったという感じです。4年生としてそういう雰囲気を変えなければいけないですし、変えられない4年生がいるというのが現状です。4年生だけではなく、全体として変えていかねばいけないと思います。

――試合を通して守備の印象は

前半でオフェンスが得点をとれましたが、そこで気が緩んでしまって自分達のプレーができず、同じようなプレーを出されてしまいました。後半からは締めなおしてやろうとしましたが、オフェンスが得点をとったら守備が点をとられてしまうというもので、そこが弱いところかなと思います。

――ハーフタイムにはどのような事を確認しましたか

後半は自分達のペースでやるべきことをやろうと。誰が出てもやるべきことをやろうと言いました。でも意識できず同じような結果になってしまいました。

――試合後にはどのような言葉を

コーチ達からも「自分達のやりたいことはなんだ」、「目標はなんだ」と言われて「目標を高く掲げているのにこんな取り組みでいいのか」と。自分達の覚悟が甘いと思いました。それが今日の結果だと思います。

――次の拓大戦へ向けて一言

次も皆がアピールする場所だと思うので、自分達のやるべきことを整理して取り組んで欲しいと思います。

RB浜崎祥之(人2=東京・本郷)

――今日の試合の感想をお願いします

1年生の最初の新人早慶戦を体調不良で出場することができなくて、今日が本当に初めての試合でした。

――1Qに初TDを決めました

外が結構空いていたので、「これはいけるかな」と思いました。嬉しかったというよりもホッとしたという感じでした。

――1試合をフルで出場してみていかがでしたか

体力が全然足りないと思いました。今日はTBをいつもの3人回しではなく、普段出ていない2人で回すことになったのですが、体力的にもきつい場面もありました。

――試合前は緊張しましたか

滅茶苦茶緊張しました。昨日からしていました。ファンブルだけはしないようにと思っていました。

――先週の立命戦から今日までのチームの雰囲気はいかがでしたか

変わったと思います。立命戦の前日に気が抜けているところがあって、監督に指摘されました。特に4年生の雰囲気が変わったこともあって、今週はかなり締まった練習になっていたと思います。

――次週以降への意気込みをお願いします

密集地で低く当たれるようにということを意識して、これからも頑張ります。