新生BIG BEARSは慶大に快勝発進

米式蹴球
TEAM 1Q 2Q 3Q 4Q TOTAL
早大 BIG BEARS 14 14 38
慶大 UNICORNS

 早大BIG BEARSの日本一への戦いが始まった。今シーズンの初戦である第61回早慶アメリカンフットボール対校戦が行われた。試合はワセダが第1クオーター(1Q)からRB井上広大(教3=東京・早大学院)が2TDを挙げ、試合を優位に進める。守っても慶大の得点を4QのTD一つに抑える盤石の内容。結局38-7で宿敵慶大に完勝し、幸先の良いスタートを切った。

2TDを決める活躍を見せた井上広

 まさに「完勝」と呼ぶのが相応しいだろう。昨年のスターターが7人抜けたオフェンス陣は微塵にも不安を感じさせなかった。まずはRB井上広とRB吉原猛(社3=東京・日大三)のランで慶大ディフェンスを切り裂いて進んで行き、大事なサードダウンなどではQB木村隆(教3=東京・早大学院)のパスでしっかりファーストダウンを獲得しドライブを継続していく。この流れでワセダはTDを量産する。まずは最初のシリーズ、ゴール前27ヤードからRB井上広は左へ展開。そのままエンドゾーンまで駆け抜け先制TDを挙げる。再び攻撃権を得ると今度は中央へ15ヤードのTDラン。「本当は右のランプレーだったんですけど、バックサイドが空いていたので左に行きました」(RB井上広)と語る技ありのTDだった。ワセダはその後も攻撃の手を緩めない。2QにはQB木村からWR脇屋慶(政経4=東京・早大学院)への5ヤードTDパスが決まり追加点。後半に入ってからも、守備陣のインターセプトで得たチャンスをしっかりとTDにつなげるなどして38点をライバル慶大から奪った。

 一方の守備陣、こちらも攻撃的なディフェンスが途切れることはなかった。DB寺中健悟(教2=東京・早大学院)は前半だけでインターセプトを2つ記録。「相手チームのビデオを見て狙っていたプレーだったので、イメージ通りでした」と振り返る2つ目のインターセプトはチームスタッフの総力を結集したものともいえるものだった。後半にはDL鈴木啓士(社3=東京・早実)が相手のファンブルをきっちりリカバー。計3ターンオーバーを奪い、試合のモメンタムを相手に渡さないどころかこちらに引き寄せた。しかし、試合終盤には思わぬ落とし穴も。密集地点から抜け出したRBはワセダのDBとちょうどすれ違いになり85ヤード独走TDを献上する。試合後、このTDを悔やむ選手も多く、しっかりとした分析と改善をして次の試合に臨みたい。

MVPを獲得した木村

 圧勝とも言える今回の早慶戦。首脳陣や選手の目先はすでに次のゲームへと移っている。次に対戦するのは関西の雄、立命大。体重120キロを超える大型ラインマンや昨シーズン好成績を挙げた快速RBがワセダを待ち構える。「どういう試合ができるかというのが僕らの方向性を占う」と濱部昇監督代行(昭62教卒=東京・早大学院)も重要視するようにこの試合で本当の今季のチーム力が試されるであろう。今日の早慶戦で得た勢いを手に、BIG BEARSは立命大の本拠地、京都へと乗り込む。

(記事 井上義之、写真 巖千咲、山口智子) 

選手入場の様子

特集

第61回早慶戦特集(04/10~4/28)

得点経過
TEAM PLAY PLAYER(S) PAT PLAYER G/NG スコア
早大 RUN #28井上広 #16佐藤 7-0
早大 RUN #28井上広 #16佐藤 14-0
早大 RUN #27向山 #16佐藤 21-0
早大 PASS #5木村→#7脇屋 #16佐藤 28-0
早大 PASS #5木村→#88諸口 #16佐藤 35-0
早大 FG #16佐藤敏 38-0
慶大 RUN #1高木 #96島崎 35-7

★過去10年の対戦成績

過去の戦績
第51回 早 大 ○36-7● 慶 大
第52回 早 大 ○41-20● 慶 大
第53回 早 大 ●21-23○ 慶 大
第54回 早 大 ○24-20● 慶 大
第55回 早 大 ○24-14● 慶 大
第56回 早 大 ○24-17● 慶 大
第57回 早 大 ○47-3● 慶 大
第58回 早 大 ●24-28○ 慶 大
第59回 早 大 ○27-12● 慶 大
第60回 早 大 ●21-24○ 慶 大
コメント

濱部昇監督代行(昭62教卒=東京・早大学院)

――きょうの試合を振り返って

勝てて良かったです。このチームの最初の試合で良いスタートが切れました。スタートを切ったばかりなので、気を緩めずに逆に引き締めてこの先のシーズンに臨めたらと思います。

――オフェンス、ディフェンス共に新しいシステムでしたが感触は

消化不良を起こす部分があるんじゃないかと正直ありましたが、よく選手は理解し、こなせてプレーできたのではないかと思います。

――点差が離れましたが

僕らは必死で、慶大は春は春と位置付けて臨んだかもしれないですが、僕らが準備したことを出して、出過ぎている部分もあります。慶大は少しづつチームを作り上げてる段階ですが、悔しい思いをしたのでさらに良いチームになるような気がします。

――立命大戦へ向けて

立命大はフィジカルもあり、春先から完成度の高いチームなのでどういう試合ができるかというのが僕らの方向性を占う結果になると思うので時間はないですが、しっかり準備して良い結果にしたいです。

OL小笠原知也主将(スポ4=東京・戸山)

――今日の試合の感想をお願いします

まずは勝つことができてホッとしています。それに加えて、オフェンス、ディフェンス、キックチーム、ベンチワークも含めて自分達がやってきた練習通りにできたということがとても嬉しいです

――早慶戦に向けてどういった練習をしてきましたか

今年掲げている「考動」、自分たち一人一人で考えて動くということをベースに、相手の慶大をリスペクトして、一つ一つの動きを迅速に行い、その上でプレーでもスピードを意識したものを目標にしています。そういった意味でも、スピードでは相手を上回れたのではないかと思います。

――試合前にチームにどのような言葉をかけて試合に臨みましたか

相手をリスペクトしているからこそ、自分たちのやってきたことを全て出そうと。そのためには、ちょっとした勇気と気持ちが大切で、それをグラウンドで体現しようと言いました。

――今日のチームとしての出来はいかがだったでしょうか

最初のシリーズからオフェンスは点を取ることができて、ディフェンスは相手を抑えることができ、キッキングでは良いポジションが得ることができてという試合自体の作り方は理想的なものができました。ただ一つ一つのオフェンスのプレーだったりなどはまだざつな部分があったりしたのを反省しています。

――OL陣としてはいかがだったでしょうか

最初から思い切ってスタートし、ぶつかるということを目標にしていました。それはすごくよくできていたのは一つ素晴らしいことでした。しかし、コミュニケーションを取って、相手を取りきるということが実は出来てなかったです。相手の動きに助けられたり、相手のミスによって点が取れていた部分も大きいかなと思います。

――慶大のディフェンスの印象を教えてください

すごく体作りがしっかりしていて、当たりが強いなという印象を持ちました。しかし反対に言えば、当たるまでのスピードまではこちらに分があるなとも感じました。そのため、試合を通してスピードやテンポを意識して相手を上回ろうと心掛けていました。

――この先の春シーズンに向けて一言お願いします

春シーズンは一応練習試合となっていますが、濱部監督代行もおっしゃってる通り、全勝を目標にしてやっています。一つ一つの試合で成長することが大切なので、この試合で成長したことも忘れずに次の立命大戦に向けて勝ちに行くために頑張っていきたいです

WR脇屋慶(政経4=東京・早大学院)

――勝利の感想を聞かせてください

春シーズンの初戦であり目標としていた試合だったので勝ててよかったなと思います。

――勝因は何だと思いますか

オフェンス、ディフェンス、キックそれぞれが自分たちの役割を理解して遂行できたことです。それがユニットとして結果に出ました。

――オフェンスリーダーとして注意した点は

オフェンスはQB、WR、TE、FBとそれぞれいますけど、全員がそれぞれの役割を認識し、1つ1つのプレーに集中することです。その1つ1つのプレ―の積み重ねでオフェンスができると思うので。

――春シーズンに向けて意気込みをお願いします

幸先の良いスタートを切れましたが、これはまだスタートでしかないです。これから強い相手との戦いが続きますが、頑張って秋に向けてレベルアップができたらいいなと考えています。

DL河田洋一(創理4=東京・早大学院)

――きょうの試合を振り返って

全体的に僕らが大事にしているスタートで勝つということ

――点差が離れましたが

僕らは必死で、慶大は春は春と位置付けて臨んだかもしれないですが、僕らが準備したことを出して、出過ぎている部分もあります。慶大は少しづつチームを作り上げてる段階ですが、悔しい思いをしたのでさらに良いチームになるような気がします。

――立命大戦へ向けて

立命大はフィジカルもあり、春先から完成度の高いチームなのでどういう試合ができるかというのが僕らの方向性を占う結果になると思うので時間はないですが、しっかり準備して良い結果にしたいです。

RB井上広大(教3=東京・早大学院)

――今日第1クオーターのうちに2回TDを決めたが振り返って

1回目のプレーでこの試合はじめてボールを触ったのですが、リラックスして周り見て縦に走ろうと思いました。

――慶大の選手の外をまいたようなTDだったが

本当は右のランプレーだったんですけど、バックサイドが空いてたので左に行きました。最後は膨らみ過ぎてしまって、慶大のセーフティの選手を抜いて決められれば良かったかなと思うので、反省点は多いです。

――今季初戦を勝利で飾ったが

いい滑り出しができたかなと思います。きょうのために1ヶ月近く準備してきたので勝てて良かったです。

――早慶戦という独特の雰囲気でしたが

人も多いし、この会場でやることもあまりないのですが特にこれと言った思い入れはないですね(笑)。相手がたまたま慶大というだけで、勝つことに変わりはありません。

TE北村卓也(先理3=東京・早大学院)

――きょうの試合を振り返って

前半は自分たちのフットボールができて、オフェンスはいいドライブができて点が取れたので前半は良かったと思います。後半は少し反則があったのでこれからの春シーズンで潰していきたいなと思います。

――どのような気持ちで早慶戦に臨みましたか

僕は早大学院時代からやっていたのでずっと因縁の相手なので、チーム方針として相手をリスペクトしながら圧倒しようということで、最初からオーバーパワーできたのかなと思います。

――パスターゲットとなることも増えたと思いますが

キャッチは前から自身があったので、いまはそこを生かせるプレーが多いので、きょう何回かドロップして落としてしまったところがあったので全部取りたいなと思います。

――見つかった課題は

個人としては、もう少しランプレーのブロック押せたかなと。甘いというか、ブロックをもう少しハードにいきたかったなと思います。

――課題克服のために具体的にやっていきたいことは

数を多く当たって、ステップをしっかりと踏み込んで相手にヒットしたいなと思います。

――次の立命大戦に向けて一言

格上相手なんですが、自分たちのやることができればいい試合に持っていけると思うので、きょうの結果に満足せずに反省点を潰して臨みたいなと思います。

QB木村隆(教3=東京・早大学院)

――シーズン初戦、ご自身の調子は

試合前は結構緊張していたのですが、序盤からオフェンス陣がテンポ良かったので、だんだん緊張がほぐれていったので良かったと思います。

――早慶戦に懸ける思いは

昨年は自分のせいで負けてしまって4年生を泣かせてきたので、ことしは早慶戦にかける思いというのは強かったです。

――慶大のディフェンスの印象は

慶大も新体制となって、関学大との試合の映像しかスカウティングの材料が無かったのですが、特にスカウティングと変わったことはやってこなかったので、そういう面では自分たちのオフェンスは作戦通し実行出来たかなというのはあります。

――直前の特集取材の際に、「一番警戒しているのはDB三津谷選手」と伺いましたが、対策はしてこられましたか

反応が早い選手なので、こちらがタイミングを逃したら追いつかれるということは分かっていたので、とにかくタイミングをレシーバーと一緒に合わせてきました。

――オフェンス陣へのきょうの評価は

オフェンスってやっぱり11人全員が自分のプレーをしないといけないと思うので、そういう面では良い点数はあげられるかなと思います。

――ご自身直接得点につながるパスプレーもありました

レシーバーが取ってくれたおかげだと思っています。

――ベストプレーヤーにも選ばれました

自分が賞を取ったことよりも、チームが勝てたことが本当に嬉しいです。ディフェンスだったら誰か一人がビッグプレーをすれば止められますが、さっきも言ったように、11人全員が自分のやるべきことをやらないと得点に結びつかないものなので、そういう面ではオフェンス全員に感謝したいなと思います。

――今季の抱負をお願いします

個人的な目標は、自分がメンバーに定着して、なおかつチームを勝利に導くことです。チームとしての目標は、今週の日曜に立命大戦がありますが、一度も勝ったことが無いので、これからまずはその試合に焦点を置いて、歴史を変えたいと思います。

LB峯佑輔(教3=東京・早大学院)

――きょうの試合を振り返って

きょうはLBに4年生がすごく多くて、僕としては4年生にお世話になっていて4年生のラストシーズンの最初の早慶戦ということで絶対に勝ちたかったので、結果が出てよかったです。

――早慶戦ということで特別な思いがあったと思いますが、どのようなことを意識して試合に入りましたか

僕は高校の時から何度もケイオーと試合をしていてよく知っている選手もいるので、そういうオフェンス陣に勝てるようにという強い気持ちで臨みました。

――入場の時に旗手を務められましたが

すごく緊張していてうまくいったかはわからないんですけど、いい経験になったと思います。(笑)

――シーズン初戦を勝利で飾りました

きょねん色々なことがあって、僕たちにとってはきょうの試合を迎えられたことが本当に感謝すべきことだったので、ワセダのOBだったり応援してくださる方々に感謝の気持ちを伝えられればと思ってやっていました。

――前半から相手を圧倒する展開でしたが

うちはオフェンスもディフェンスも立ち上がりが悪いということがずっと課題だったので、そういう意味ではきょうの試合に限って言えばよかったと思います。でも、たとえばディフェンスだったらメンバーが変わって若いメンバーが出たときに一発TDをとられてしまっり課題はたくさんあるので、これから立命大や関大と戦う上で選手の層をもっと厚くしていかないといけないと思いました。

――立命大戦にむけて意気込みをお願いします

きょうは勝つことができましたが、このままでは立命大には負けてしまうと選手一人ひとりがわかっていると思うので、準備する期間は短いですが、頭を切り替えて勝てるようにやっていきます。

DB寺中健悟(教2=東京・早大学院)

――試合を終えての感想をお願いします

基本的にやりたかったことはできたのでよかったのですが、最後に一本持っていかれたのは悔しいですね。

――試合前のプレー構想はどのようなものでしたか

基本的にはベースでやるべきことをやって相手を止めるというシンプルなものでした。特別何かしようというのはありませんでした。

――守備全体を振り返ってみていかがですか

やはり最後のTDを許してしまったのが悔しいです。正直完封を目指していたので、あまり納得はいっていないです。

――2度のインターセプトについてはいかがでしょうか

一つ目は相手QBのボールが浮いたところをもらったという感じだったのですが、タイミングよくいけました。二つ目は相手チームのビデオを見て狙っていたプレーだったので、イメージ通りでした。

――今後に向けて一言お願いします

今後は立命大や関大など関西の強豪と試合をする機会があるので、そういった相手にも対応できるように自分の体を作っていきたいですし、同時に技術面も成長していけたらと思います。