【連載】『第61回早慶戦特集』 第12回 展望

米式蹴球

 ワセダのどのスポーツにも組まれている早慶戦。アメフトの早慶戦は毎年シーズン初頭に組まれ、そのシーズンの行く末を占う上でも重要な試合だ。今年で第61回目となる早慶アメリカンフットボール対校戦が4月29日(月・祝)、駒沢陸上競技場で行われる。新生早大BIG BEARSが永遠のライバルである慶大を相手にどんな戦いを見せてくれるのだろうか。

 今年度のワセダオフェンスのきょねんからの大きな違いはスターターの顔ぶれがガラリと変わることにある。特にOLでは、経験豊富な4年生が多く抜け、今年度は主将のOL小笠原知也(スポ4=東京・戸山)やOL上石一輝(創理2=東京・早大学院)らがオフェンス陣の屋台骨を支える。同じく実績ある4年生が複数卒業したRBは、復活を期すRB吉原猛(社3=東京・日大三)に注目だ。スピードタイプのRB井上広大(教3=東京・早大学院)と共にランオフェンスの中軸としての期待が高まる。一方のパスオフェンスは昨年から試合に出ていた選手が多く残る。QB内村竜也(法3=東京・早実)とQB木村隆(教3=東京・早大学院)はスターター争いで火花を散らし、WR金澤秀明(教3=東京・早大学院)も著しい成長を見せている。そして今シーズンから新しく就任した濱部監督代行(昭62教卒=東京・早大学院)のプレーコールにも注目が集まる。早大学院出身者にとっては慣れ親しんだ指揮官の下で、攻撃陣の爆発に期待したい。

意地がぶつかり合う早慶戦

 一方のディフェンス陣は経験豊富な選手が多く残っている。特にプレー理解力の高いLB峯佑輔(教3=東京・早大学院)と1年生にして昨年スターターを担い、多くの選手がキープレーヤーと語るLBコグラン・ケビン(商2=東京・早大学院)を擁するLBはワセダの大きな強みだ。DLでは、DL村橋洋祐(スポ2=大阪・豊中)とDL庭田和幸(創理2=東京・早大学院)の2年生コンビが慶大ランオフェンスに立ち塞がる。DBで注目は、1年次からチームの中心を担い、ラストイヤーのDB末吉裕一(商4=東京・早大学院)。そして今年度から就任した中江新コーチがシステムの変更を示唆している。きょねんからの課題であるパスディフェンス改善の切り札とも成りうる。

 相手の慶大もことしから新指揮官を迎える。本場アメリカで実績を積んだデイビッド・スタントが新HCに就任。ワセダの選手たちも要注意プレーヤーに挙げた、QB高木やDB三津谷とどのようなユニットを作り上げてきたのかは未知数で注意が必要だ。

 例年と異なり、早慶戦前にオープン戦が組まれておらず、この試合が今シーズン初の対外試合となる。ワセダとしても濱部監督代行の船出を良い結果で祝い、春シーズンへ向けて弾みをつけたい。新指揮官同士の戦いということで特に大きな注目を集めるこの試合、大きなインパクトを残してスタートダッシュを決める。

(記事 井上義之、写真 田中竣) 

★早慶戦の注目選手

RB井上広大(教3=東京・早大学院)

1992年(平4)6月17日生まれ。168センチ、71キロ。

小柄ながらも高い俊敏性を備えたRB。きょねんの早慶戦では得点につながるビックリターンの活躍。ことしは試合を決めるようなTDを狙いに行く!

LBコグラン・ケビン(商2=東京・早大学院)

1993年(平5)生まれ。182センチ、85キロ。U―19世界選手権代表。

昨季、1年生ながらスターターを獲得した高い運動能力を誇るLB。多くの選手が早慶戦の注目選手に挙げる。相手の攻撃を封じ込めるようなタックルが飛び出すか

LB峯佑輔(教2=東京・早大学院)

1992(平4)年2月9日生まれ。173センチ、85キロ。東京・早大学院出身。LB。

1年時からスターターを務める期待の若手LB。U-19日本代表候補にも選出されている峯の活躍に期待だ。

DL篠沢慶(人3=埼玉・川越東)

1991(平3)年5月21日生まれ。181センチ、111キロ。埼玉・川越東出身。DL。

ラグビー出身の大型DL。朝倉監督から「篠沢が活躍すると一気に試合が動く」と期待を集める。試合を動かすプレーに注目だ。