自分よりも大きな相手にぶつかる勇気、相手ＯＬをかわすテクニック。最も男らしいのがＤＬというポジションだ。今季、ワセダ守備の最前線で勇猛果敢に相手にぶつかる、ＤＬ河田洋一（創理４＝東京・早大学院）とＤＬ篠澤慶（人４＝埼玉・川越東）にＤＬの魅力や最後の早慶戦への想いを聞いた。
ＤＬというポジションについて語る
男らしいポジション
――アメフトを始めた理由は
篠澤 僕は元々ラグビーをやっていたんですけど、高校で一区切りついて。大学で何をしようかなと思っていた時に同期に誘われて入部しました。
河田 中学までは硬式テニスをやっていたんですけど、受験勉強があって本気で打ち込めなかったというのもありまして、高校からは何か日本一を狙えるスポーツをやりたいと思っていました。早大学院ではアメフト部が日本一を目指しているというのもあって、あと身体が細かったのでマッチョになりたかったなという（笑）体重は倍ぐらいになりました。
――ＤＬとはどのようなポジションですか
篠澤 一言で言えば一番つらいポジションです（笑）必然的に自分より大きな選手とぶつかることになりますし、やはり走らなければいけないのでつらいポジションだと思っています。だからこそやりがいがあるポジションです。
河田 僕も一言で言うと、男らしいポジションだと思います。自分一人で止めることができるというのが大きいと思います。一番目立ってキャリア―を仕留めるという所です。
――自分より大きな体の選手にぶつかることに恐怖心は
篠澤 あんまりそういうのは考えないようにしていますね。たぶんやってきたことをやれば大丈夫なので。だからこそ日々の練習が大事になってきます。
河田 僕は機動力で勝負している人間なので怖いということはないです。
――ＤＬをやっていて嬉しいことは
篠澤 さっき河田も言っていましたが、一人でロスタックルできたときは達成感のようなものがあります。
河田 同じです（笑）
――ＤＬというポジションの特性上、あまりボールに触ることはありませんが
篠澤 ラグビーは１５人全員がボールに触れるスポーツで。その中でも僕はボールを積極的にもらいにいく方でした。アメフト始めて一番ギャップを感じたのはボールを触れないことです。ただ競技の特質上、アメフトは役割のスポーツだなと思ったので割り切ってやっています。
河田 高校からずっとラインだったので、ボールに対しての憧れというのはないです。アメフトは格闘技的要素が強いスポーツなので。ボールに憧れて入部したわけではないです。当たれれば満足というか（笑）
――他のポジション経験は
篠澤 ないです。ＢＩＧ ＢＥＡＲＳでは１年生は最初、オフェンス、ディフェンス両方やるんですけど、僕は入部が遅めだったのでＤＬだけをやっています。
河田 高校の時にＬＢを少しかじっていました。でもレシーバーはやってみたいですね（笑）ボールに触りたいというより目立てるかなというとこですね（笑）
篠澤 僕はＲＢやってみたいです。ボール持って走りたいです（笑）
――高校時代と比べて体重の変化などは
篠澤 高校１年生の時は７５キロぐらいで、ラグビー部の時に１０５キロまで上げて。大学入ってから、一時１１０キロくらいまで上げたんですけど、いろいろあって１０５キロになって入部時とあまり変わってないです。
――ＤＬとはどのような練習をしていますか
篠澤 ＤＬはスタートが一番大切だと思っているので、初速を上げる練習をしています。先ほども言いましたが、ＯＬという自分より大きな選手とぶつかるので、低く鋭く差し込むような練習をしています。
――お互いのすごい所は
河田 こう見えて意外に機敏で。見た目通りフィジカルはチームトップクラスなので、ＯＬに押し負けることはめったにしないです。
篠澤 軒並み能力が高いというところですかね。でも一番はスピードです。中のＤＴもＤＥも出来るので。なかなかそういう選手はいませんね。パスラッシュのテクニックは僕には真似できません。
――練習中はどのように取り組んでいますか
篠澤 主任ということもあるので、元気がないときは引っ張っていかないといけないと思い練習しています。
河田 彼が主任なので、補佐的な感じでやっています。
――新入生に一言
篠澤 ＢＩＧ ＢＥＡＲＳは僕のような未経験者でも活躍するチャンスが与えられるので、迷っている人がいれば引け目を感じることなく入ってきて欲しいと思います。
河田 僕のような身長もあまりなく、体の小さかった選手でも、努力でラインでも体を当たれるポジションができるようになります。
相手攻撃の前に立ちはだかる篠澤
他のチームでは見られないスピード
――昨シーズンの自身を振り返ってみて
篠澤 リーグ戦の２戦目で腰を痛めてしまって、そこから先は自分で向上しているとは感じられませんでした。春から夏までの貯金でやってしまったと思っているので反省点です。それでもやれたのは培ってきたものは本物で、自信を持っていいと思います。
河田 昨年はスピードに特化してきたというイメージが強いので、今年は特に上半身のフィジカルで相手をコントロールしていきたいと思います。
――他大のＯＬに当たり負けたと印象のあるチームはありますか
篠澤 特にはないですね。
河田 僕もなかったです。
――ＤＬ庭田和幸（創理２＝東京・早大学院）やＤＬ村橋洋祐（スポ２＝大阪・豊中）ら若手選手の台頭は
篠澤 非常に頼もしいと思います。あと珍しいなと思います。体の大きい子を入部させるのは難しいので、そう考えるとあの二人が入部してくれて活躍してくれるのは頼もしいです。
河田 庭田は同じポジションということもあって、自分のスタメンも脅かされる存在です。うちのチームは身長が小さい選手が多いですけど、あの二人は大きくて周りの刺激になります。プレースタイルは違いますが、刺激を受けています。
――この春はどのようなことに重点を置いて練習されていますか
篠澤 繰り返しになりますが、低く速く当たるというのはきょねんで確立しつつあるので、パスラッシュのテクニックなどを重点的に練習しています。
――ワセダのＤＬの強みとは
河田 他のチームでは見られないスピードだと思います。スタートを筆頭に横の動きであったりする所です。
篠澤 河田と同じで初速と当たりの関しては関東でも上位だと思います。
――河田選手は今季キック主任ですが目標などは
河田 漠然になってしまいますが、日本一に貢献できるユニットになりたいと思っています。やはりオフェンス、ディフェンスがメインになってしまう所があるので、そこに食い込んでいきたいと思います。
激しいパスラッシュを見せる河田
勝ち越して終わりたい
――昨年の早慶戦は途中まで点差をつけられてしまいましたが
河田 最初に僕が反則を２回してしまって、流れが悪くなってしまったので、ことしは最上級生として絶対にそのようなことはなく周りを引っ張っていきたいです。
――ワセダのキープレーヤー
篠澤 じゃあ自分で（笑）
河田 篠澤ですかね（笑）あとはＬＢコグラン・ケビン（商２＝東京・早大学院）ですね。
篠澤 やっぱりケビンですかね。
――慶大のオフェンスの印象は
篠澤 強いというよりは上手いという印象です。
河田 基本に忠実にやってくるという印象です。ワセダと同じように頭を使ってくるので嫌な相手です。
――最後に意気込みをお願いします
河田 勝ってワセダの７年目を締めくくりたいと思っています。
篠澤 １年生の時は早慶戦にいなかったんですけど、２年生の時は勝って、３年生で負けているので、ラストイヤーということで勝ち越して終わりたいです。
――ありがとうございました！
（取材、編集 田中竣）
◆篠澤慶（しのざわ・けい）
１９９１年（平３）５月２１日生まれ。１８１センチ、１０５キロ。埼玉・川越東高出身。人間科学部４年。ＤＬ。一番の趣味はスーパー銭湯に行くことで、二番目は酸素カプセルに入ることと語ってくれた篠澤選手。二つの趣味でリフレッシュし、早慶戦では暴れまわる
◆河田洋一（かわた・よういち）
１９９１年（平３）６月１日生まれ。１７２センチ、９８キロ。東京・早大学院出身。創造理工学部４年。ＤＬ。「時間があるなら何をしたいですか」との質問に「とにかく全てを忘れて遠くへ行きたい」と語った河田選手。まずは早慶戦で慶大のオフェンスを食い止める