4年生最後の試合で大逆転勝利

米式蹴球
TEAM 1Q 2Q 3Q 4Q TOTAL
Aブロック選抜 17 31
Bブロック選抜 10 10 27

 関東大学1部リーグのAブロックとBブロックからそれぞれ選抜された4年生が対戦するカレッジボウル。早大からはOL小笠原知也主将(スポ4=東京・戸山)、DL河田洋一(創理4=東京・早大学院)、OL鳥居攻介(スポ4=神奈川・川和)、DL早川翔吾(基理4=大阪・明星学園)らを始めとする7名がAブロック選抜として出場し、MGR伊藤夢子(スポ4=八王子東)がチームスタッフとして参加した。試合は終始Bブロック選抜がリードする中、試合終了間際にAブロック選抜が逆転に成功し、31-27で勝利。4年生にとっては有終の美となった。

チームメイトと喜び合う森(中央)

 先に試合のモメンタムを掴んだのは、Bブロック選抜だった。Bブロック選抜の攻撃の中心は明大RB小形亮介と慶大QB大和田昌太郎。LB西田啓祐(文構4=東京・早大学院)が果敢にブリッツを仕掛け、相手に襲い掛かる。しかし小形に上手く交わされるなど、全体的にAブロック選抜の守備陣が相手のランオフェンスに翻弄される時間帯が続いた。LB岩井康祐副将(商4=東京・早大学院)が相手のパントを指に当てるも、こぼれたボールを相手が抑え、再び攻撃権がBブロック選抜に渡るという不運な一面も。結局、第2クオーター(Q)中盤までにAブロック選抜は0-17とリードされ、チームには嫌なムードが漂う。それでも、前半終了間際にTDパスを決め、7-17で前半を折り返す。

 後半、Aブロック選抜は法大RB笹尾郁弥の活躍で7点を返すも、その後10点を献上してしまう苦しい試合運び。しかし、ここからAブロック選抜の猛反撃が始まる。試合が進むにつれ安定感を増してきた立大QB山本貴大を中心にパス攻撃を展開。法大TE渡邊拓也へのTDパスが決まると、DB/K/P森翔平(文構4=愛知・豊橋東)がしっかりとTFPのキックを決め点差を縮める。さらにFGを決め3点差とすると、残り時間1分17秒で相手のファンブルをリカバーし、相手陣内の好位置で攻撃権を奪取。エンドゾーン目前まで持ち込むと、ここでパスを受けたレシーバーがあらかじめ近くに走らせておいた小笠原にトスし、エンドゾーンに飛び込むというトリックプレーを披露。惜しくも成功とはいかなかったものの、直後のプレーでTDパスが通り、ついに逆転する。その後のBブロック選抜の最後の攻撃もなんとか無失点に抑え、31-27でAブロック選抜が勝利した。

惜しくもエンドゾーンに届かず悔しさをにじませる小笠原

 「率直にアメフトって面白いなと思えた、練習を含めた5日間だった」(小笠原)。勝利を目指すといういわば縛られていた状況は終わり、純粋にアメフト本来の楽しさを堪能できた時間だったという。試合会場は応援席から選手を鼓舞する仲間の声、最後の試合を見届ける家族の声援が常時飛び交う温かい空間となっていた。この試合が人生最後のアメフトの試合という選手もいただろう。そんな選手たちや観客のアメフトに対する情熱、ひたむきさにふさわしい白熱した好ゲームだった。

(記事 井上義之、写真 巖千咲、加藤千暁)

Aブロック選抜の選手達

コメント

OL小笠原知也主将(スポ4=東京・戸山)

――他大の選手とプレーしてみていかがでしたか

率直にアメフトって面白いなと思えた、練習を含めた5日間でした。みんな本気でどんなチームでも勝ちたいという思いがあって、それに向けてアメフトを真剣にやるという気持ちが一緒だったので目標に向かって一つになれたというのがすごく気持ちよかったです。練習の時から楽しく真剣にやれていたかなと思います。

――副将を務められましたが

一回目の練習をして思ったのは、主将をこのチームで務めた田中君(喜貴、法大)がすごくリーダーシップを持っていたので、自分のチームの時は自分が引っ張っていましたけど、副将という立場もあって細かいところをサポートする方に回ろうと思ったのでそういうところに気を配っていました。

――OLの連携はとれましたか

結構出身の大学がバラバラだったんですけど、みんなインテリジェンス、フットボールIQが高い選手たちばかりでした。僕たちのブロックは練習の時からポジションごとにやる練習も多くやっていたので、練習したからこそきょうはすごくコンビネーション良くできたかなと思います。

――この先BIG BEARSはどのようなチームになってほしいですか

やっぱりスポーツのチームだから最終的には勝つチームになるということは変わらないですけど、特にカレッジボウルを通じて思ったのは、チームごとにすごく色があるということです。ことしは法大が(秋季リーグ戦で)1位だったので法大が自然と仕切っていたんですけど、法大の色も間違っていなければ正しくもないと感じたし、ワセダもすごく自信に思っていいこともたくさんありますし、でも逆に見習わなければならないこともたくさんあったので、こうやって大きく体制を変えたので、そういう自分たちらしさを目指していってほしいです。そのらしさが何年も模索していくことで徐々にできていくかなと思います。技術的な部分とか作戦とかは正直、日本のトップチームと比べても全然ひけを取らないしワセダのやり方は正しいと思うので、あとは自分たちの色とアメフトなので体を強くすること。フィジカルの強いチームになってくれれば、ワセダのフットボールは日本一になれるんじゃないかなと思います。

LB岩井康祐副将(商4=東京・早大学院)

――他のチームと選手と一緒にプレーしていかがでしたか

練習では結構動けていたので、今までやってきたことは間違ってはいなかったことを実感しました。あと、こちらのチームの主将(田中喜貴、法大)はリーダーシップがある人間で彼みたいな選手は学生アメフトチームに非常に大切なのかなと感じました。

――試合前の目標などはありましたか

楽しくやりつつ、締める部分はしっかり締めて勝つというのが私たちのチームで決めた目標でした。そんなに実力など関係なく回しで出場して、その上で勝つことができたので良かったです。

――普段と気持ちの違いはありましたか

あんまり気を抜きすぎるとケガをしてしまうので、プレーには集中します。しかしプレーの関わり方だったりなどは良い意味でおおらかにフットボールをやっていました。

DL河田洋一(創理4=東京・早大学院)

――きょうの試合は

こういった試合は高校時代にスティックボウルで経験させていただきましたが、色んなチームが集まってできたのでやっぱり楽しいです。

――他大の選手とのコミュニケーションは

知り合いがいたので、上手く取れながらできたとおもいます。DLユニットも楽しい人たちばかりでした。

――印象に残った選手は

法大の舘野大和選手、藤原竜一選手と池尾将大選手(共に立大)は同じリーグで戦ってきたので手本にしていました。一緒に練習して、最後の最後にいい刺激をもらった感じです。

――きょうの試合でやってみたかったポジションは

TEでボールを捕ってみたかったですね(笑)

OL鳥居攻介(スポ4=神奈川・川和)

――きょうの試合の雰囲気は

雰囲気も良く、皆で楽しくできました。

――他大OLとのコンビネーションは

簡単な会話で割りとできていましたね。

久しぶりのアメフトでしたが感想は

ちょっと痩せてしまって、感覚が違う部分があったんですが(笑)、4日間練習してなんとか臨むことができました。

――アメフト部で過ごした4年間は

同期と仲間と日々過ごせたことが楽しかったです。

――未経験から始めたアメフトでしたが

チームには未経験者が多く、しっかり育ててくれるシステムがあるので、4年間やればスターターにもなれて、1人の選手としてしっかりやれると思います

LB西田啓祐(文構4=東京・早大学院)

――きょうはどういった気持ちでプレーしましたか

とにかく楽しんでプレーしようと。その上で勝とうとみんなでしっかりと練習からやってきたので、そういった気持ちで臨みました。

――勝つというフットボールと楽しむというフットボールはご自身の気持ちの上でどういった違いがありましたか

楽しむというと一般的にはヘラヘラやるというイメージがあるかもしれませんが、楽しんでやるということは一人一人が全力で取り組み、その中に楽しみがあると思います。その結果が全力でプレーする勝てる試合に繋がってくると思います。

――見事勝利につなげることができましたね

良かったですね。下馬評ではBブロック選抜のほうが強豪校が多く、Aブロック選抜大丈夫かという声を少しは覆せたのではないかと思います。学生生活最後の最後で勝てたということは本当に良かったです。

――今後はアメフトに関わっていくのでしょうか

まだ悩んでいますね。条件があえば今後もアメフトを続けていきたいと思っています。

――BIG BEARSの4年間で得たものを教えてください

たくさんありますが、一番僕がアメフトを続けてきた中で得たものとすれば、実直さです。ただひたすらにやるという実直ではなく、自分には何が足りないのか、何を目指すべきのかを考え、目標へ向けての行動や考えを取る実直さ。人に対しても、ただひたすらまっすぐにぶつかって、信頼を勝ちうる。そしてその実直さが一人一人に分散していって、チームとしてまとまっていく。そういった実直さをBIG BEARSで得ることができたと思います。

DL早川翔吾(基理4=大阪・明星学園)

――きょうの試合は

楽しかったです。

――他の選手の印象は

最初は寡黙な人間が多いかと思っていたのですが、話してみると楽しかったですね。

――注目していた選手は

法大の田中ですね。プレーももちろんですが、主将としてまとめる力はすごいと思いました。

――試合でやりたかったポジションはありますか

少しRBをやりたかったですけど、言えなかったです(笑)

――高校時代サッカー部でしたがKをしたい気持ちは

最初はやりたいと思いましたが、アメフトのKはやはり重要なので、そういうプレッシャーは無理かなと(笑)

――練習などで蹴ったことは

ちょいちょい蹴っています(笑)

――未経験からのアメフトでしたが

大学から始めても通用しますし、未経験だからこその勢いでいけることもあるので是非未経験の人もやって欲しいと思います。

DB/K/P森翔平(文構4=愛知・豊橋東)

――久々にプレーしてみて、いかがでしたか

気負いがないのですごく楽しかったです。

――違うチームの選手とプレーすることに新鮮さはありましたか

そうですね。チームによって守る範囲とかいろいろな部分が違ってくるので難しい部分もありましたけど、上手い選手も多かったので学べた部分もたくさんあって楽しかったですね。

――コンディションはいかがでしたか

ちょっとずつ走ってはいたんですけどダッシュはしていなかったので、練習ですごい筋肉痛が来て大変でしたね(笑)。

――練習はどのぐらいされましたか

きのうまでの4日間フルで練習しました。結構疲労が溜まってた中でだったんですけど、きょうは無理して頑張ってやりました(笑)。

――試合内容を振り返っていかがですか

前半はかなり押し込まれてやばいなと思ったんですけど、後半はオフェンスのリズムが出てきて点を取ってくれましたし、僕自身もTFPを1本蹴れたので、そう言う意味でもお客さんにいいプレーを見せられたかなと思います。

――納会ではキッキング賞を受賞されましたが

4年間キッカーをやってきて先輩にも後輩にもいいプレーヤーがいましたし、そういった中で人に評価されるということはすごくありがたいことですし、自分がやってきたことを誇りに思いたいです。なにより峯(佑輔、教3=東京・早大学院)と木村隆(教3=東京・早大学院)がうまかったなと思いましたね。このカレッジボウルを通してスナッパーとホルダーが合わない面もあったので、あいつらにやっぱり一番感謝したいですね。

――4年間で一番印象に残っている試合は何ですか

おととしの法大戦ですね。4Qまでこっちが勝っていて1本差で追いつけそうだった時に、僕のマンツーのミスで相手選手にポストを取られてしまって、自分のミスで1個上の先輩を引退させてしまったという思いがあるので、その試合が一番印象に残っています。

――その経験がラストシーズンにつながったということですか

そうですね。僕が1年の時に甲子園(ボウル)に連れて行ってもらえたので、何とかして下級生を連れて行きたいと思って一生懸命やってきたんですけど、ダメでしたね。

――新BIG BEARSはどのようなチームになってほしいですか

ことし1年の僕らのチーム作りが、僕としては自分が足りなかったな、という部分があるんです。淡々としたチームになってしまったんですよね。もっとポジションだったり、ディフェンス、オフェンスで密接に一人ひとりとコミュニケーションをとって、たとえばウエイト数値とか体重をこまめに設定したりしていた伝統を僕らが受け継がなかったということが負けた原因だと思うので、そういった面は新しい4年生に期待しています。ウェットなチームを作っていってほしいなと思います。

――卒業後はアメフトを続けられますか

どこかでやろうかな、とは思っていますけどまだ考え中です。

――続けるとしたら、ワセダでの経験が生かされますね

そうですね。こういったカレッジの試合でも、DBの菊池コーチ(信夫、防衛大学校卒)が教えてくれたことがすごく生きていたので、そういったところを生かして、もしできるならプレーしていきたいなと思います。

MGR伊藤夢子(スポ4=東京・八王子東)

――きょうの試合の感想は

純粋に楽しかったです。秋季リーグ戦は2戦負けて終わってしまったので勝って終わりたいと思っていたので良かったです。

――グラウンドレベルとスタンドではアメフトの見え方は違いますか

グラウンドは選手がいて邪魔ではあるんですが(笑)でも近くで見ると迫力があって、選手がプレーについて話しているのを見るとすごいと思います。

――もし、アメフトをプレーするとしたらどのポジションをやりたいですか

OLです。強くて優しいからですね。この前、新聞でもOLのことを「頭が良く、冷静で、熱い」と褒めていたので、やっぱりすごいと思います。

――では、ワセダのOLで理想の選手は

同期のOL菅原大蔵(人4=長野吉田)です。入部当初は見た目もOLらしくないし、未経験でしたが、最終的にはレギュラーになったので。体格的に恵まれているわけではないにも関わらず、先頭で引っ張っていて努力家だと思いました。