【連載】『OVER TOMAHAWKS』第3回 RB井上広大×OL中村洸介×LB峯佑輔

米式蹴球

ワセダのエースRBのポジションを確立したRB井上広大(教3=東京・早大学院)、圧倒的なパワーで常に相手をねじ伏せるOL中村洸介(スポ3=東京・日大三)、ポジションの主任としてユニットをまとめ上げるLB峯佑輔(教3=東京・早大学院)と上級生になった3人は、今やチームに欠かせない存在となっている。法大戦勝利のカギを握る3人に今シーズンの振り返りと法大戦への気持ちを話してもらった。

※この取材は11月1日に行われたものです。

「立大戦は落ち着いてプレーできなかった」(中村)

OLの要として攻撃を支える中村

――今シーズンの自身のプレーは

 LB岩井さん(康祐、商4=東京・早大学院)やLBケビン(コグラン、商2=東京・早大学院)が1本目として出ていて、僕自身としてはふがいない成績かなと思っています。ディフェンス全体として前半戦は準備してきたことがしっかり出せましたが、立大戦でタックリングという新たな課題が見つかったので法大戦へ向けてそこを詰めるしかないです。

中村 負傷から明け、1年ぶりにプレーして調子があまり上がらずにフルでできていないこともありましたが、立大戦でブロックはしっかり出来た部分もあったのでなかなかだと思います。そんなに緊張もしなかったですね。

井上広 ことしから1本目で出させてもらっているのですが、走れる試合と走れない試合があります。調子が良い時は走れて、悪い時は走れないというムラがあるので反省するべきだと。RBというポジションはコンスタントにランを出すのが大切なので改善していきたいですね。

――RBとLBは選手の層が厚いですが

 LBはことしから同時に出るのが2人ということもあり、ケガ人も少ないので層が厚くなっていますね。

井上広 自分が何かしているわけではないのですが、勝手に上手くなっているという感じです(笑)。元々、能力の高い選手が入ってきてくれたこともあるんですが、皆伸び伸びやっていますね。LBは峯君がしっかりやっているので(笑)。

――OLの1年生は全員フットボール経験者でしたが

中村 それぞれ、C、T、Gとポジションもバラバラで能力も高く、早大学院出身の2人は理解度も高いです。それに追いつこうとOL島崎(貴弘、スポ1=神奈川・横浜立野)やOL佐々木(洋宣、教1=東京・足立学園)が頑張っていているので競争があって良いと思います。

――早大学院出身の2人は久しぶりに濱部昇監督代行(昭62教卒=東京・早大学院)の指揮でしたが

 高校でも指導は受けていましたが、高校と大学とでは相手の強さが全然違うので、今まで言われていたフィジカルの強化など大切な部分は変わっていないと思います。

井上広 僕も同じだと思います。

――ワセダオフェンスの強みとは

井上広 左Tの強さではないでしょうか。

中村 (笑)。結構細かいところを詰めてやってきているので、プレーの質が上がったと思います。あとは井上君がね(笑)。

 ビックプレーメーカーなので。

――話にありましたが、井上広選手はビックプレーが多い印象です

井上広 さっきも言った通り、ビックプレーが出るときは出ますが、時にロスしてしまうこともあるので、そこのムラを無くすように練習しています。

――峯選手から見てディフェンスの強みは

 スタメンには2年生が多く伸び伸びやれています。そういう中で先輩が下級生のやりやすい雰囲気を作ってくれているのが強みだと思います。

――練習中特に気をつけて取り組んでいることは

 ことしは岩井さんとケビンが試合に出ているということもあり、サイドラインや試合に出ない選手をまとめたりなどをしています。

中村 ケガのケアは誰よりもやっているつもりです。その中でウエイトをしてトレーニングするようしています。

井上広 グラウンドに立ち続けることが大事だと思っているので。そういうコンディションを仕上げるようにしています。

――改めて立大戦を振り返って

 ディフェンスのアジャストが後半からになってしまったのが一番の原因だと思います。アジャストが間に合わなかったにしても、前半に4本取られるようなことは防がなくてはいけなかったと思っています。

中村 今シーズンはリターンから始めて、先に先制点を奪っていくパターンが多かったんですけど、逆のパターンで取られてしまったので焦ってしまいました。そうやって焦った時に落ち着いてプレーできなかったと思います。

井上広 いつもと違う展開で、全員がバタバタしてしまったのが点差をつけられた原因だと思います。あとは攻め始めて流れを掴みかけたときにインターセプトだったので。立大には力負けしたと考えています。

「責任感が出た」(井上広)

自らの成績を振り返る3人

――3年生の雰囲気は

井上広 色んな人がいますね。変な奴とか。

中村 「個が強い」と先輩からも言われていて、そこを生かせれば良い代だと思います。

 僕もそう思います。

井上広 ずるい(笑)。

 ディフェンスは経験者が少ないので、その中でコミュニケーションを上手く取れていると思います。

――お互いの最初の印象は

中村 早大学院は頭の良い奴らが集まった学校かなと思っていたんですが、話してみると意外と…

井上広 やめろ(笑)。

 最初の印象とかは覚えてないな…

井上広 峯は「関西弁の嫌な奴」でした。

 それを聞いて僕はショックです…

井上広 最初アメフト部ではボールを投げる練習があるんですが、その時に「俺投げられるぜ」みたいな感じを出していて。でも、今は俺のことを大好きだなと思います(笑)。

 今聞いて思い出したんですが、広大は今より高校1年生の時の方が真面目でした。

井上広 嘘でしょ(笑)。

中村 早大学院は勉強ばっかりしているのかなという印象でしたが違いましたね。

――上級生になって変わったことや変えたことはありますか

井上広 特に変わったことや変えたこともなくて。ただ、キッキングやポジションのリーダーをやらせてもらっているのですが、ミーティングの回数は増えました。試合後にも集まったりして。そういう意味で少し責任感が出たと思います。

 1年生の悩み事などを気に掛けるようにはしています。

中村 彼らみたいに主任とかはしていないのですが、とにかく自分で映像とかはかなり見るようにしています。

――1年生はどうですか

 1年生のLBはすごく仲が良くて。来年以降も頑張って練習してほしいと思います。

中村 ことしの1年生は能力が高く、来年から中心になるような選手も多いと思うので頑張ってほしいですね。

井上広 1年生は上手いし、僕から言うことは特にないと思っています。何も遠慮することなく練習出来て試合に出ているのでいいと思います。

――他大の選手で気にする選手はいますか

 法大と当たるので、法大のオフェンスの選手は気にしますね。特定の選手とかはいないです。

中村 高校から一緒にやっていた明大のLB柳龍太郎(3年)ですね。色々助けられたりしていたので。

井上広 あまり他大の選手がわからないんですよね…(笑)。自分のできることはこのグラウンドでやることだから…。ただ、関学大のRB鷺野聡(3年)君のビデオは見ました。

「最高の準備をするしかない」(峯)

法大戦でもTDが期待される井上広

――立大に敗戦した後のチームの雰囲気は

中村 最初は落ち込んだ選手とかもいたんですけど、逆にいまは切り替えて25点差以上取って勝ってやろうという気持ちでやっていて、練習も気持ちを切り替えてやれているいい雰囲気だと思います。

 ディフェンスも試合の次の日は反省して、ここでスパッと切り替えてやるということで選手もコーチも切り替えてやっています。

井上広 試合が土曜日だったので、日曜日に全体で集まれる機会があって。1週間あるからしっかり切り替えて法大に25点差以上つけて勝とうという意思統一ができたので、ちゃんとみんな切り替えられていると思います。

――法大の印象を教えてください

中村 本当にフットボールを楽しんでやっている印象があって、攻守共にビッグプレーがあったら全員で喜ぶチームですごく楽しそうにやっています。それだけではなくて、個の能力もすごく高くてディフェンスだったらすごく集まりが早くて、オフェンスもしっかり最後までやるすごくいいチームという印象があります。

 相手のオフェンスは本当に簡単なミスが全くなくて、本当に隙のないチームなのでそのチームに対して自分たちは完封する目標を持ってやっています。

井上広 結局25点差つけなければいけないのでどこかでTDを取らなければいけないと思うんですけど、濱部先生(監督代行)はオフェンスが止まる気がしないと最近よく言っていて。そういうのを信じてやれば法大を倒せると思うのでそんなにプレッシャーは感じていないです。

――法大攻略のカギは

井上広 キッキングですね。キッキングゲームで流れを持ってこられれば、試合を優位に進めることができると思います。

 実際問題、25点差という点差があるので、ディフェンスとしては相手が持っているボールを自分たちが奪い取って、オフェンスに点を取ってもらうことですね。

中村 法大はすごくDL、LBが関東で一番強いと言われているくらい強いので、それに対してOLが足をかき続けて良いブロックできるかということです。

――ワセダのキーマンは

 ディフェンスはLB西田さん(啓佑、文構4=東京・早大学院)や、さっきも言った通り2年生がすごく元気なのでそういった選手達かなと思います。

中村 オフェンスだとQB木村さん(隆、教3=東京・早大学院)です。前回結構パスが珍しく不調だったので、僕らが一生懸命相手ディフェンスを止めるのでその中でいかに木村さんが決められるかだと思います。

井上広 ポジションは違いますが、DB安部修平(国教1=東京・早大学院)ですね。すごく足が速くていい選手なので注目してほしいです。

――最後に法大戦へ向けて意気込みをお願いします

井上広 25点差つけなければいけないということもあるんですけど、それをプレッシャーに感じずに僕は冷静に試合を運んで行って、最終的に25点差つけられるような、バタバタしてしまった前回の試合とは違う試合運びができればいいなと思います。

 次に進むためにはいまは最高の準備をするしかないので、11月10日に法大にしっかり点差をつけて勝てるように準備していきます。

中村 前回の試合はコミュニケーションが全然取れていなくて試合展開的にも焦ってしまったところが結構あったので、この2週間で修正してきたのでそういう細かいところからしっかりやって法大を圧倒したいです。

――ありがとうございました!

(取材・編集 田中竣、加藤千暁)

集合写真

★BIG BEARSを応援しよう!

早大生は早稲田側の窓口で学生証を提示すると先着50人は入場無料!

みんなで横浜スタジアムに駆けつけてBIG BEARSに声援を送ろう!

日時:11月10日(日) 13:45キックオフ

会場:横浜スタジアム(JR根岸線関内駅より徒歩1分)

料金:大人¥1,200 高校生¥500 中学生以下は無料

◆井上広大(いのうえ・こうだい)(※写真右)

1992(平4)年6月17日生まれ。168センチ、66キロ。東京・早大学院出身。教育学部3年。休みの日には、朝から韓流ドラマを見た後に母親とランチへ行くことが多いそう。試合中に見せる顔とは違う、意外な一面が垣間見えました。

◆中村洸介(なかむら・こうすけ)(※写真中央)

1992(平4)年7月21日生まれ。185センチ、115キロ。東京・日大三高出身。スポーツ科学部3年。私生活が謎に包まれているという中村選手。唯一明かしてくれたのは、OL鳥居攻介(スポ4=神奈川・川和)選手の部屋でゲームをしていたらDL河田洋一(創理4=東京・早大学院)選手に怒られてしまったというエピソードでした。

◆峯佑輔(みね・ゆうすけ)(※写真左)

1993(平5)年2月9日生まれ。172センチ、84キロ。東京・早大学院出身。教育学部3年。先日、アマチュア野球に詳しいOL廣瀬隆太郎(スポ3=奈良・智弁学園)選手とドラフト会議についての話で盛り上がったという峯選手。元野球部の血が騒いだのでしょうか。