【連載】『OVER TOMAHAWKS』 第1回 QB笹木雄太×RB北條淳士×RB須貝和弘

米式蹴球

BIG BEARSに新戦力が加わった。高校選手権3連覇を果たしたQB笹木雄太(法1=東京・早大学院)、RB須貝和弘(創理1=東京・早大学院)の2人、持ち味のカットバックを武器に今シーズンすでに3TDを記録したRB北條淳士(社1=東京・佼成学園)など多くの1年生が試合に出場している。これからのワセダを背負っていくであろう3人にアメフトを始めた理由やこれからの目標を語ってもらった。

※この取材は10月27日に行われたものです。

「ユニホームに憧れた」(北條)

鋭いカットバックを武器とする北條

――アメフトを始めた経緯を教えてください

北條 2つありまして。1つは小学生の時に見たアイシールド21というアニメの主人公が小さい身体にも関わらず、抜群のスピードで抜いていくのが「やべえ、かっけえ!」と思いまして。中学ではやろうとは思わなかったのですが、入った中学はフラッグフットボール部が強く、僕の前の席の子が入ると言ってついて行きました。そしたら、顧問の先生に「明日も来い」と言われ続けて、そのうち入っちゃっていました。

須貝 僕は中学時代、ラグビー部に所属していました。そのまま高校ではラグビーをやろうと思っていましたが、早大学院は土のグラウンドで、あんまり気が進みませんでした。その後、クラスメイトがアメフト部の練習を見に行くと言って付いて行ったら、いい環境で、こっちでやったほうが楽しいと思い、始めたのがきっかけです。

笹木 僕は北條と同じで、小学5年生からフットボールに携わっていました。その関係でずっとアメフトをやろうと思ってました。そして中学時から富士通フロンティア―ズでフラッグフットボールをやっていました。

――大学でもアメフトをやると決めた理由は

北條 ユニホームに憧れたからですね。いつかあれを着たいと思って、必死に勉強しました(笑)。白いヘルメットにWの文字がカッコいいですね。

笹木 もともと勉強と部活を高いレベルで両立したいと考えていました。7年間を通して日本一になることを目標にして早大学院に入学したので、大学はBIG BEARSでやることは決めていました。

須貝 高校3年間で慣れ親しんだ環境で、知っている先輩を多い中でアメフトを大学4年間やれるのはさらに自分が著しく成長できると思いました。あとは濱部昇監督代行(昭62教卒=東京・早大学院)が監督代行にことしから就任したことですね。

――やはり濱部監督代行の存在は大きいですか

笹木 就任を聞いたときは正直、嬉しかったですね。高校3年間で日本一になれて、その指揮官だったすごく信頼している方が、大学でも見てくださるのは自分にとっても大きくプラスになります。オフェンスのプレーコールも濱部先生なので、その点に関してはやりやすいですね。

――高校フットボールと大学フットボールの違いは感じますか

須貝 スピードもですし、当たるときの衝撃が一回りも二回りも違いますね。

北條 デカいし、速いですね。

――どこのポジションで一番違いを感じますか

北條 僕らですと、DLとかとパスプロテクションで当たるときに圧倒されます。

笹木 僕はディープですね。コーナーバックやセイフティのボールへの寄りがめちゃくちゃ速いです。ちょっとでも浮かすとすぐにインターセプトされてしまうので、ここに投げると点で示さないと全然決まらなくなってしまいました。高校から大学に上がるときにそこをアジャストするのが非常に難しいです。僕の球は緩かったり、あまり飛ばないので、大学では通用しません。これからの課題ですね。

――早大学院出身の須貝選手と笹木選手にとって、早大学院の先輩が多いこのチームはやりやすさなどありますか

須貝 僕はひたすらやりやすいですね。先輩は2年ほどお世話になった方が直属にいるので、そういう雰囲気の中でできるのは非常にやりやすいです。ある意味そこで心の余裕が生まれてきているのかなと思います。

笹木 高校時代、ずっと勝ってきたことでよく「もっと活躍しろ」などと言われるプレッシャーはあります。先輩などとは話すときにそういうプレッシャーを結構よく掛けられますね。

「すごく充実している」(須貝)

自らの持ち味を語る笹木(左)と北條

――BIG BEARSとして半年間過ごした感想は

北條 つらいです。僕は高校3年生の春に早大学院戦でけがをしてそれ以降はほとんど動いていなかったので、大学の練習はテンポが早くて質も高いのでつらかったですね。

須貝 練習内容は高校とほとんど変わらないですね。でも練習外のところの生活がちょっと変わった部分が大きいです。僕は理系なので高校の時も「ちょっと忙しいな」と思っていたんですけど、大学に入って勉強も忙しくなって毎日課題をこなして授業が終わったらここに来て練習をして、っていうローテーションが高校の時と比べると確実に厳しいものはあるなと感じています。ただ、勉強するときは勉強、遊ぶときは遊ぶ、寝るときは寝る、というように自分の中でコンパクトにまとまっているので、そういう意味ではすごく充実しているのかなと思います。

笹木 拘束時間は長いよね。

須貝 そうだね。

笹木 (早大)学院の練習はBIGよりも1時間早く始まっていたので、その分寝るのが遅くなるかなという感じですね。

北條 BIGは楽しいですね。いろんな高校から選手が集まっているんですけど知り合いが多くて、雄太(笹木)のことも中学時代から知っていて仲が良かったので、同じチームになってみてその人が本当はどんな人だったのか分かることもあるので。

――1年生の雰囲気はどうですか

北條 みんな仲いいよね?(笑)

笹木 いいよね(笑)。

北條 うん、いいね(笑)。

笹木 最初は学院生同士で固まっちゃうところがあって、外部生が学院生と絡みにくいっていう話がミーティングで出ていたんですけど、その点を改善しようということになりましたね。

須貝 確かにいろんな人と遊ぶようになったよね。

笹木 そうだね。なるべく一緒に帰ったり遊ぶようにしていますね。雰囲気的にはいい感じ?(笑)

須貝、北條 最高っす。(笑)

――新人早慶戦は惜しくも敗れましたが、振り返っていかがですか

北條 僕はケガから復帰明けの試合で1年ぶりぐらいにボールを持って走ったんですけど、見え方というか世界が違いました。全然走れなくて同じところをちょっと痛めちゃったんですけど、後半になって学院の経験者が追い上げてくれたので最後はいい感じになったかなと思います。未経験の人も含めていろんな人と触れ合えたんで良い経験になったと思います。

須貝 単純に楽しかったですね。アメフトを初めてやる人たちが何人もいるので、新人早慶戦があることで交流の機会もありましたし、未経験の人たちがアメフトをやって「楽しい」と言っていたので、それが何よりも良かったことなんじゃないかと思います。

笹木 コメントうまいよね。

北條 俺たちとは違うな。(笑)

笹木 僕はやっぱり勝ちたかったですね。僕はSFをやっていたんですけど、相手のRBがうまくて何度も抜かれたので悔しかったですね。

――笹木選手は普段はSFをやらないですよね

笹木 そうですね。新鮮なポジションを経験できてすごく楽しかったんですけど、全く使いものにならなかったです。練習の時に何度かSFとかCBをやったことがあって、その時先輩にもうまいといってもらえたのでちょっとウキウキして張り切っていたんですけど、やっぱり試合になると使えなかったですね。

――ワセダの中で注目している選手はいますか

北條 RBの井上広大さん(教3=東京・早大学院)はスピードがけた違いにすごいですね。あと吉原さん(猛、社3=東京・日大三)は僕にないパワーを持っていて。先輩方はみんなライバルだと思っています。

須貝 ランユニットでいうと広大さん(井上)は、きのうの試合(立大戦)でもそうだったんですけど一発でチームの雰囲気を変えることができる力を持っているなと思います。吉原さんもコンスタントにミドルゲインをできる選手なので、RBとしてのユニットは本当にバランスが良いなと思います。あとOL陣の先輩方もサイズがあってアサインメントの理解力もあって、ユニットとしてまとまっているなという印象があります。

笹木 僕は北條ですね。

北條 おー(笑)。

笹木 中学生のときから戦ってきて、とにかく最強なんですよ。目の前から消えるんですよ。

北条 (笑)。

笹木 それを中学校の時から体験していたので同じチームになれてすごくうれしいんです。怪物ですね。北条に持たせたら必ずTDしてくれるので。

北條 とんでもない(笑)。あと僕はFBのRB小童谷(昌宏、国教1=東京・早大学院)とモリシ(RB森下真、基理1=東京・西)とRB井本さん(浩平、商3=東京・早大学院)も頼りがいがあります。

「ワセダの誇りとプライドを持って」(笹木)

持ち前のパワーで力強い走りを見せる須貝

――いま取り組んでいる、個人的な課題はありますか

北條 僕はパスプロテクションですね。RBってボールを持って走るだけじゃなくてQBを守るためにブロックしなきゃいけないんですけど、吉原さんと須貝がうまいのでそこを課題としてつぶしていけたらなと思います。

須貝 技術的にはランもパスプロもそうなんですけど、シーズン中ですけど体作りにもっと取り組みたいという意識があって、食生活や体重、体脂肪、全てにおいて質を高めないと大学では生き残れないと思っているので、もっと体作りに重点を置きたいと思います。

笹木 大きく二つあって、フィジカルアップとQBとスキルですね。フィジカルに関しては、僕は体重もなくてウエイトも上がらないんですけどそれでは通用しないと思っています。ボールを飛ばすためには筋力が必要なのでしっかりと4年間かけてフィジカルアップをしていきたいと思っています。QBのスキルに関しては、高校のときは経験が一番必要だと思っていたんですけど、実際に大学のアメフトはまた別物で相手のスピードも全然違いますし、自分の持ち味の中で唯一使えるのは判断力だと思ってるんですけど、それに伴うボールの投げがまだ足りていないのでスキルをもっと高めていきたいと思います。

――では、「自分はここだけは負けない」という強みはありますか

北條 僕はカットバックです。中学から先生に教えてもらっていたので、そこが自分の武器だと思います。

須貝 僕はどちらかというとフィジカル派のRBだと思うので「1ヤードでも前に」というのを常に意識しています。フィジカルと強い思いが僕の取り柄ですね。

笹木 僕は最近不調なので何とも言えないんですけど、ポケット内でのフットワークですね。ちょこまか動きながら正確にボールを投げるのが得意だと思っています。

――では最後に法大戦への意気込みをお願いします

北條 出られる機会があるならどんな形であれ1ヤードでも前に進めるように、先輩たちのために走りたいと思います。

須貝 出られるかはわからないんですけど、少しでもチームに貢献できるように努めたいと思います。

笹木 2人と一緒で出られるかはわからないんですけど、出たからには学年は関係ないので、フィールドに立つ人間としてワセダのプライドと誇りを持ってしっかりと戦いたいと思います。

――ありがとうございました!

(取材・編集 井上義之、巖千咲)

集合写真

★BIG BEARSを応援しよう!

早大生は早稲田側の窓口で学生証を提示すると先着50人は入場無料!

みんなで横浜スタジアムに駆けつけてBIG BEARSに声援を送ろう!

日時:11月10日(日) 13:45キックオフ

会場:横浜スタジアム(JR根岸線関内駅より徒歩1分)

料金:大人¥1,200 高校生¥500 中学生以下は無料

◆笹木雄太(ささき・ゆうた)(※写真左)

1994(平6)年7月24日生まれ。172センチ、70キロ。東京・早大学院出身。法学部1年。現在の背番号は6番だが、いつかは12番を着けたいとのこと。理由は先輩から「12番のほうが似合うよ」と言われたからだそうです。左腕から繰り出されるパスと華麗なクオーターバッキングに注目です!

◆北條淳士(ほうじょう・あつし)(※写真中央)

1994(平6)年5月10日生まれ。163センチ、71キロ。東京・佼成学園高出身。社会科学部1年。高校時代の背番号は6番で、大学では同じく高校時代に6番だった笹木選手とジャンケンで背番号を決めたそうです。将来的には6番を笹木選手から譲ってもらいたいだとか。法大戦でも鋭いカットバックからロングゲインを見せてくれるでしょう!

◆須貝和弘(すがい・かずひろ)(※写真右)

1994(平6)年5月14日生まれ。172センチ、70キロ。東京・早大学院出身。創造理工学部1年。須貝選手には特に背番号のこだわりはないそうです。「今の33番はいい番号」と語り、気に入っているのかもしれません。33番と言えば須貝選手と言われるぐらいまでの活躍を期待しています!