※この記事は10月14日に行った取材をもとに執筆いたしました。
4月のネパール遠征を終え、その後も全国各地の山々に挑み続けてきた早大山岳部。今回決行した夏山合宿は例年同様、剱岳での登山となった。剱岳は飛騨山脈北部の立山連峰に位置し、標高は約3000メートルを誇る。さまざまな岩登りのルートを持つ日本でも有数の名山だ。
この夏山合宿で特に懸念されていたのが天候。8月下旬ということで台風も頻繁に日本に近づき、天候や風が不安定で読めない時期であった。事実、合宿中にも雨が降り苦労したという。「雨が降ったとき用のプランが準備されていなかった」と、小川惇一郎(スポ3=東京・小石川中等教育)は雨によって停滞してしまったことを今後の反省点として挙げた。
険しい岩肌にも果敢に挑む
また今回は岩登りを合宿のメインとし、全員で山を登る日もあれば2パーティーに分かれての岩登りなども経験した。例年同様剱岳を訪れたが、登った経験のないルートに挑戦するなど新たな試みも多く行ったという。例年同様のことを行っていると合宿がマンネリ化してしまうことも指摘されていた。自分たちのさらなる成長のため、次々に経験の引き出しを増やすことも登山には重要となってくるのだ。「いろいろな経験ができたのは上級生にとっては良かった」(神田雅也、商4=神奈川・逗子開成)と手応えもつかんだ。1年生の教育はもちろんのこと、自分自身の経験にもなるこの合宿は大きなものだったであろう。特に2年生は教育に加え、リードと呼ばれるロープ工作を行う経験も今回初めて積むことができた。「みんな良く頑張って我慢して、最後までやってくれた」と合宿全体を振り返った犬塚智之主将(文構4=愛知・西尾)。それぞれが自分の役割に徹し、遠征の円滑な運営に貢献した。
ロープを使い進んでいく。後方には雄大な景色も見える
今回山岳部員から多く聞かれたのは、やはり剱岳特有のコースの多さによる経験値の底上げを喜ぶ声であった。岩登りの技術を養うためにも、剱岳という山はコースがバリエーションに富んでおり最適だったといえる。主務として今回の合宿に貢献した黒河輝信(教4=神奈川・大船)は、現在の部の状態を「過去10年で最強」と評した。部員それぞれがチーム内で役割を自覚し、責任を持って行動するといういまの姿勢は、今後の合宿などにも生かされるはずだ。最終目標である2、3月の春山合宿に向け、山岳部は過酷といわれる冬の山にも挑戦する。鍛錬の冬を無事に越えるため、ここからも一層の努力を続けていく。
(記事 中丸卓己、写真 山岳部提供、寒竹咲月)
山岳部部室での集合写真
コメント
――これからの登山に向け抱負をお願いします
犬塚智之主将(文構4=愛知・西尾)
僕ら4年生は最後の半年間ということで、集大成の春山で成果を挙げて無事卒業できればと思います。あとはここに他にもう一人1年生が入ってくれればいいなと思います。
神田雅也(商4=神奈川・逗子開成)
積雪期になるのでまずは1年生の教育をしっかりやって、2、3年生も個人山行などでしっかり実力をつけて、2、3月の最終目標とする山を落とせたらいいと思います。
黒河輝信(教4=神奈川・大船)
トレイルランニングで優勝します。
小川惇一郎(スポ3=東京・小石川中等教育)
これから厳しいシーズンなので、上級生とも下級生ともしっかりコミュニケーションを取って、安全第一に頑張っていきたいです。
田中颯(人3=兵庫・加古川東)
冬山というのは景色が良くて普通の大学生では絶対に体験できないようなものなので、良かったら新入生も入ってきてください。
鈴木健斗(教2=東京・早稲田)
これから厳しい季節に入ってくると思うので、チームの一員としてどんなかたちでも役に立てるように全力でやっていきたいと思います。
福田倫史(スポ2=栃木・宇都宮)
山岳部は冬が本番というか攻める時期なので、しっかり攻めて強い山岳部になっていけたらなと思います。
井上直斗(文構1=東京・八王子学園八王子)
これから冬になって山も一層過酷になってくるので、気持ちで負けないように強い精神力を持って頑張っていきたいと思います。