アイランドピーク登頂成功!山岳部は世界へ

山岳

※この記事は4月29日に行った取材をもとに執筆いたしました。

 創部以来、多くの山々に挑み続けてきた早大山岳部。2020年に創部100周年を迎えるため、その100周年事業の第一歩として、1か月間のネパール遠征を決行した。日本から5000キロ以上も離れたネパール・ヒマラヤ山脈。険しい山々の中で、今回山岳部が登山することを決めたのがアイランドピークだ。ヒマラヤ山脈の中でも入門の山とされるが、それでも標高6189メートルという日本では想像もできないような高地である。では部員たちは果たしてどのように歩を進めていったのだろうか。その1か月間の道中に迫る。

 3月16日深夜、羽田空港国際線ターミナルを出発した一行。今回参加した部員たち全7名にとって、海外登山は全員初めての経験だったという。「要領がよくわからなかった」(犬塚智之主将、文構4=愛知・西尾)と、初めての海外に戸惑う部員たち。現地に到着後パッキングを済ませ、いよいよヒマラヤ登山が始まった。その後は何もない土地がひたすら続くのかと思いきや、道中にはロッジが立ち並んでいたそうだ。「日本より道中は快適でした」(神田雅也、商4=神奈川・逗子開成)。それでも、未体験の標高に体調を崩す部員も少なくなかった。そういった部員は別行動を取り、低地で休み高所順応を繰り返す。だが決して部員を置いていくことはせず、全員で山頂を目指した。そして、5000メートル付近のベースキャンプに到着。ここに山頂アタックの拠点をつくり、アイランドピーク登頂へのカウントダウンが始まった。

アイランドピーク・最後の難関

クレバスをロープに沿って登る

 4月3日、夜明け前。3時50分に山岳部はアタックを開始した。6時過ぎに6000メートル付近のクレバスに到着。ここから先はアイスクライミングの技術も必要となり、気を引き締めて登り始めた。見たこともないような氷壁。体感70~80度はあるような絶壁に、部員たちの心中には興奮、そして小さな恐怖すらこみ上げる。しかし、その標高からか部員たちの息はすぐに上がってしまう。ロープを全て自分たちで張って登ろうとしたが、残り時間が迫る。結局、全セクションの5分の3程度を自分たちでコース作成して登り、後は残置されていたロープで登った。そして正午を過ぎたころ、いよいよ待望の瞬間が訪れる。遠征に参加した現役部員7人とOB1人の全員で、ついに6189メートルを誇るアイランドピークの頂上に立った。集合写真を撮る7人。全員が笑顔で写るその写真は、遠征の大成功、そして充実ぶりを物語るにふさわしいものとなった。

アイランドピーク山頂にて笑顔を見せる山岳部

 日本では経験できない標高の山の登頂に成功したことは、もちろん大きな成果だといえるだろう。しかし「標高だけでは決められない難しさがある」(犬塚主将)と語るように、条件によっては日本の山々の方が険しい場合も往々にしてあるという。雨も降らず、序盤は適温のまま過ごせたという今回の遠征は、なかなかの好条件であったといえるのだ。2~3月に控える春山合宿では、標高は今回よりも低いものの、北アルプスなどの険しい山々に挑戦する予定。そこでの成功が最大の目標である。100周年、さらにはその先も見据え、早大山岳部はこれからも目の前にそびえる山々に挑み続ける。

(記事 中丸卓己、写真 山岳部提供、中丸卓己)

部室での集合写真

コメント

――これからどういった1年を過ごしていきたいですか

犬塚智之主将(文構4=愛知・西尾)

安全に全員で山々を登り切って全員で力をつけていきたいのと、これを後輩に伝えて後輩たちが伸びていけるように1年間やっていきたいです。個人的には海外の山も狙っていますので、また頂上を踏んで帰って来られるように頑張ります。

神田雅也(商4=神奈川・逗子開成)

僕が現役の間に海外に行けるのは最後だと思いますが、100周年の前にもう一度海外へ、という思いはあります。というのは今回6000メートル級の山に慣れることができて、その要領とかもだいぶ分かりました。これを後輩たちにつなげてもらうためにも、自分が後1年でできるのは後輩の指導だと思うし、僕自身も3年やってきましたがこれだけでは終われないので、卒業時に晴れやかに卒業できるように頑張っていきたいです。

鈴木雄大(法3=東京・早実)

僕も機会があればもう一回ヒマラヤに行きたいと思っているので、そのために日本でまだ行っていない山やルートがたくさんあるのでそれを経験して、地道に力をつけていきたいと思っています。

田中颯(人3=兵庫・加古川東)

2年生は1年生の教育で、4年生は全体を見て、1年生はついていくということで、3年生は結構自由な立場にあるのかなと思います。のびのびと、部としても良い方向に行けるように頑張っていきたいです。

鈴木健斗(教2=東京・早稲田)

僕はもう一回機会があればまたヒマラヤに行きたいと思っていて、次は7000~8000メートル級の山を狙っていきたいです。そのためには、もう一度国内の合宿で地道に積み上げていくことが必要だと思うので、ことしはシンプルに実力をつける1年にしたいと思っています。その先に次のヒマラヤがあると思うので、そこに向けて頑張りたいです。

福田倫史(スポ2=栃木・宇都宮)

今回アイランドピークに登頂できたのも、1年間で山の総合力と基礎力を積み上げてきたからこそだと思います。ことし1年は元に戻って、また国内の山でさらに総合力を高めて次の合宿に生かせればと思います。

井上直斗(文構1=東京・八王子学園八王子)

やはり高校と大学では、山岳部のやっていることは全然レベルが違います。高校で山岳部でしたがもう初心者のような感じなので、まずは基本的なことから一個一個やって、先輩方についていきたいです。