爽やかな秋晴れのなか、全日本学生競技大会(インカレ)が入間市武道館で開催された。4年生にとっては最後の全国大会となる今大会。早大は男女乱取個人戦で優勝、男子団体戦優勝、男子演武種目でも2組が入賞するなど昨年に引き続き好成績を収めた。
男子乱取個人戦では、小池雄登(先理3=東京・巣鴨)が躍動。決勝までの各ラウンドを順調に勝ち進む。迎えた決勝。非常に見応えのある試合が展開された。相手の今本淳(早大スポーツ合気道クラブ)と一進一退の攻防となり、勝負の行方は延長戦にまでもつれ込むことに。「日々の稽古の結果、体力の差が勝利につながった」と語る小池は延長戦に入ると勢いに乗り、突き技を決める。そのまま逃げ切り見事に優勝を果たした。「頑張って練習してきたことが発揮できたのでいい結果になった」(小池)と喜んだ。女子乱取個人戦には夛田実代女子主将(教3=埼玉・川越女)がただ一人出場。夛田は、「ちょっとケガをしていた」と言うように左足にテーピングを巻きつけていたなかの試合となった。それでも1回戦では一本を取るなど7-0で制し、相手を圧倒する。続く2回戦も快勝。決勝戦でも一本を決め、6-3で優勝した。「運がよかっただけ」と控えめに話した夛田であったが、ケガによる調整不足もあったなかで優勝したその実力は折り紙つきだ。
乱取個人決勝を戦う小池(写真左)
男子団体戦は決勝戦で当たった帝京大にも5-0と圧倒的な力を見せ優勝を飾った。乱取個人戦で接戦の末惜しくも判定負けでベスト4に終わっていた熊澤亮主将(創理4=東京・城北)は「(男子団体優勝を)途切れさせてはいけない」と奮起。5番手で出場し、4-1で勝利。早大の完全優勝に花を添えた。この結果に思わず「ホッとしている」ともらした熊澤。この一年間主将という重圧に耐え、有終の美を飾った。演武では各組が美しい座り技や立ち技、自由技を披露。男子対徒手部門では熊澤・桂康洋(基理3=米国・ウォルタージョンソンハイスクール)組が優勝。男子対武器部門では久木山翔吾(商3=東京・成蹊)、重松宏希(先理2=東京・早大学院)組が3位入賞を果たし、演武でも早大の力を他大学に見せつけた。
一年間部をけん引してきた熊澤
全選手が好成績を収め、層の厚さを示した。4年生が引退し、今後は新たな体制となる。主将としてチームをけん引した熊澤は下級生に対して、「さらに良い団体にできるように頑張っていってほしい」と語った。今回乱取個人戦で優勝した小池、夛田はともに3年生。個人としてもチームとしても伸びしろがあるはずだ。次の試合は来月行われる関東学生競技秋季大会。先輩の期待を背負って邁進していく早大の活躍からますます目が離せない。
(記事 岡部稜、写真 石黒歌奈恵・岡部稜)
※掲載が遅くなり、申し訳ありません
結果
▽男子乱取団体戦
優勝
▽男子乱取個人戦
小池 優勝
▽女子乱取個人戦
夛田 優勝
▽演武・男子対徒手技法
熊澤・桂組 優勝
▽演武・男子対武器技法
久木山・重松組 3位
コメント
熊澤亮主将(創理4=東京・城北)
――今大会を振り返っていかがでしたか
自分としては集大成だったので一年間の締めくくりとして、出し切ろうという気持ちで臨んでいました。団体でも各個人がうまい具合に仕上げてきてくれて、それぞれの仕事をしてきてくれたので満足のいく大会だったとは思います。
――男子団体の優勝は率直にどう思いますか
ほっとしています。
――そこは目指していた部分ですか
そうですね。(団体優勝を)途切れてはいけないというのもありましたし、部として評価されるのは団体だと思っていたので重きはおいていました。
――乱取個人についてはいかがでしたか
もちろん優勝は目指していたのですけれど、惜しいかたちで準決勝で負けて、三位決定戦でも判定までいって結局負けてしまって。意地は見せていたとは思いますけど、一歩及ばずといった感じです。反対のブロックに後輩の小池がいたので一番上の決勝であたれればと思っていたのですけど叶わずというかたちでした。でもやりきれたとは思っています。
――演武についてはいかがでしたか
きついことを言うようですが、演武については勝つことは当然だと。勝敗よりもいかにして勝つかを考えていたので、そう考えると内容的には完璧とは言えないです。でも早慶戦からやってきた桂との演武で最後までまとめられたかなという感じはするので、四年間やってきて良いものができたという思いです。
――主将としての一年間を振り返っていかがですか
つらかったですね(笑)。つらかったです、はい。同期がいなかったので、いかにして部をまとめていくかを考えながら、いかにして自分自身も部全体も強くしていくかを考えていたので。どういった部をつくりあげるかを考えるなかで、気をつかうところはつかって、自力を高めていかなくてはいけない(点が大変だった)ので。きょうを結果として見てみると、後輩が技とって投げたのを見たので、充実した一年間だったと思います。少なからず自分がそこに関われたことを誇りに思いますし、うれしさもあります。
――最後に後輩に向けてメッセージはありますか
自分で言うのもなんですが、一年間やってきてとても良い団体にできたと思っているので、さらに良い団体にできるように頑張ってほしいです。さらに業界のトップを走り続けてくれるような団体であることを望んでいるので、さらに発展してくれればと思います。
夛田実代女子主将(教3=埼玉・川越女)
――個人乱取戦で優勝された気持ちをお聞かせください
運が良かったなという感じです。ちょっと怪我とかもしていて、稽古の時間も足りなかったなかでの優勝なので、運が良かっただけなのかなと思います。
――3戦すべてで一本を取っていましたが、プレーで意識していたことは何ですか
前回の関東大会で、相手に少し負担をかけてしまうような技のかけ方をしてしまったので、その反省から相手に怪我をさせない技をかけたいというのを考えていました。あと、ワセダとしては相手に礼儀を尽くして試合をするというのがあるので、最後もあいさつをきちんとするとか、勝っても負けても礼を大切にしていこうという気持ちで試合をしました。技の部分ではないかもですが、そういった面を結構意識していました。
――来月の試合に向けてはいかがですか
来月の大会では、引き続き私とペアを組んでいる人がケガなので演武には出られないですが、乱取は出る予定です。今回見つけたたくさんの課題を克服できるように、また試合構成なども考えて頑張りたいと思います。
小池雄登(先理3=東京・巣鴨)
――今大会を振り返って
頑張って練習してきたことが発揮できたのでいい結果だったのではないかと思います。
――決勝戦は延長戦までもつれ込む展開となりましたが、振り返っていかがでしょうか
延長戦に入ってからの体力の差で勝てたのではないかと思います。フィジカルの面を取っても、いろいろな技術の面を取っても、対戦相手の方に劣っていたと思うので、どこで勝てたかと言えば体力です。どこで体力がついたというと、熊澤主将が練習メニューを大きく変更して良い稽古ができました。日々の稽古の結果、体力の差につながったのではないかと思います。
――団体戦でも優勝しました
自分の役割をきちんと果たしました。
――来月の秋季関東大会に向けて意気込みを
稽古はたくさんしてきているので、今までの稽古をそのまま発揮できる場になればいいかなと思います。