流派の異なる早慶両校が切磋琢磨(せっさたくま)すべく、年に一度開催される早慶定期競技会。演武競技と審査制乱取稽古の2種目、計12戦が行われ、勝ち星が多い方が優勝校となる。第24回大会となるこの日は応援部も駆けつけ、両校の威信をかけて開幕した。4年連続で優勝杯を手にしている早大だが、演武競技では自由技の1勝のみにとどまる厳しい展開に。乱取競技で巻き返しを図るも、あと一歩及ばず。4勝6敗2引き分けで敗れ、連覇はかなわなかった。
まず行われた演武競技では、しなやかな動きを見せる慶大に対し、早大は迫力のある力強い演武を披露。両校の特徴が十分に発揮された。そんな中、2戦目の立技で登場したのは小寺裕太(文構4=埼玉・県立浦和)・小池雄登(先理1=東京・巣鴨)組。キレのある動きで120点を獲得するも、引き分けに終わった。最後の自由技には安藤圭彦主将(教4=神奈川・茅ヶ崎北陵)・白石尚之(法1=東京・巣鴨)組が出場。取りを務める安藤が後輩を引っ張り、受けである1年生の白石も巧みに技を引き立てる。互いの良さを引き出し、息の合った演武で白星を勝ち取った。しかし、演武競技6戦を終え1勝4敗1引き分け。慶大に大きく後れをとった。
演武競技で白星を挙げた安藤主将・白石組
続く審査制乱取稽古には上級生を中心に挑んだ。この対戦は、短刀を用いる普段のやり方とは異なり3分間の徒手で行われる。姿勢や積極性などの4つの審査基準に技の効果が加点されていく方式だ。初戦の鎌田真気女子主将(教4=神奈川・聖望学園)は、先に有効を許してしまうが、すかさず有効を奪い返すと残り31秒では見事な技有り。98-85で白星を挙げた。中堅で登場した小寺は、絶妙な間合いを取り講評でもたたえられる。だが結果は演武に続きまたもや引き分けとなった。最後に迎えるは、主将対決となった大将戦。互いに積極的な動きを見せる好試合となるが、安藤が気迫溢れる合気道で勝利を収めた。しかし終わってみれば乱取稽古で3勝2敗1引き分けと、例年通りの力を見せることはできなかった。
先に有効を許すも白星を挙げた鎌田
連覇が途切れ、悔しい表情を浮かべた選手たち。「技を出せなかったのがきょうの一番の反省点」と鎌田が語るように、早大の持ち味を出し切れなかったことが悔やまれる大会となった。11月下旬に行われる全日本学生大会(インカレ)では、今大会の課題を克服しさらに成長した姿が見られるに違いない。「優勝しかない」とインカレへの意気込みを語った主将の安藤。再度気を引き締め、目標へ向かってチーム一丸となって突き進む。
(記事 吉原もとこ、写真 大槻竜平)
結果
●早大 4勝6敗2引き分け
▽演武競技
●下級生演武 小林ひかる(文構2=北海道・留萌)
△立技 小寺・小池組
●坐技 鎌田・松本桃香(教2=埼玉・早大本庄)組
●武器技(短刀) 武塚直也(商4=神奈川・座間)・谷本彬徳(文構3=大阪・高槻)組
●武器技(杖) 熊澤亮(創理2=東京・城北)・岡本拓夢(商3=神奈川・聖光学院)組
○自由技 安藤・白石組
▽審査制乱取稽古
○女子 鎌田
○先鋒 谷本
●次鋒 岡本
△中堅 小寺
●副将 武塚
○大将 安藤
※一部選手の結果は掲載しておりません
コメント
安藤圭彦主将(教4=神奈川・茅ヶ崎北陵)
――きょうの大会全体を振り返って
結果が出ませんでしたね。特に乱取面でコーチからも言われたのですが、自分たちが練習してきたことをチャレンジできなかったという部分が残念というか課題ですね。
――自身のプレーを振り返ってみて
自分自身のプレーを振り返ってみても、他の乱取と違うということを意識し過ぎてしまいました。乱取では、自分たちらしさが出なかったということが最大の敗因になったと思います。
――講評では誉められていましたが
勝ちたいという気持ちが伝わったのだと思います。
――一方演武競技では前回大会と同じく白石選手(尚之、法1=東京・巣鴨)とペアを組みましたが、白石選手の活躍はいかがでしたか
彼にはだいぶ遅くまで練習に付き合ってもらいました。彼(白石)は練習での受身のし過ぎで、ケガをおしての出場だったのですが、よく頑張ってくれたと思います。とても感謝しています。
――白石選手の他にも2名1年生が出場していましたが
ことしは1年生が多く入部してくれて、やる気もあるので、このまま練習に励めばとてもいい選手になると思います。1年生だからということで遠慮することなく、積極的にアピールしてほしいですね。
――来月行われるインカレに向けて
6月、そして早慶戦でも優勝を逃したので、優勝しかないです。全国は個人も演武も団体も全部優勝して、完全優勝を狙いたいと思います。
鎌田真気女子主将(教4=埼玉・聖望学園)
――試合を終えたいまの率直なお気持ちは
率直に悔しい気持ちが大きいです。あと演武では後輩がよく頑張ってくれたなと思います。
――演武を振り返って
受けが後輩(松本桃香、教2=埼玉・早大本庄)だったのですが、後輩が水曜日ごろから体調を崩してしまって思うように練習ができていない中で、きょうは意地でも来ると言ってやってくれたので、その点で本当に後輩には感謝しています。
――乱取はいかがでしたか
乱取は流派が違う分やりづらさもあって、最初に技を取られてしまったのですが、そこから技を取り返せたので、そこは練習の成果が発揮できたかなと思っています。
――部全体として今大会を振り返って
人数も少なくて厳しい状況だったのですが、それでも一人一人課題を見つけてやってくれたかなと感じています。
――きょうの大会を踏まえて今後どのようなことを意識して練習していきたいですか
やはり技を出せなかったというのがきょうの一番の反省点だと思うので、技を磨いていきたいです。
――では次の大会への意気込みをお願いします
来週から国際大会がスイスであって、11月の後半に全国大会(全日本学生大会)があるので、きょうの反省点を生かしてチーム一丸となって頑張っていきたいと思います。