流派を異にする早慶が1年に一度相見える伝統の戦い。多くの卒業生が見守る中、慶大柔道場で厳かに行われた。第23回の今大会からは、演武競技と審査制乱取稽古に加え審査制かかり稽古を導入。さらなる技の発展を目指し新たな試みが取り入れられた。試合は、各競技の勝ち数の合計で勝利校を決定する。早大は序盤、演武競技で2勝3敗1引き分けとし、かかり稽古でも2連敗。演武に重点を置く慶大に後れをとった。しかし、乱取競技では競技合気道の発祥である富木流の力をいかんなく発揮。講評でもたたえられた鶴岡理子(文構4=東京・中村)らの活躍で5勝1敗と圧倒する。両校白熱した戦いを見せるが、総合結果は7勝6敗1引き分けで早大の勝利。4年連続で優勝杯を手にした。
大会は、合気道の「心・技・体」を見る演武競技から始まった。下級生演武、立技、坐技、武器技(短刀)を終え、5戦目の武器技(杖)に挑むのは鶴岡・石田咲子(法4=東京・大妻)組。キレのある動きで上級生の貫禄を見せ、131-128の接戦を物にした。演武最終種目の自由技には春日勇人主将(政経4=東京・開成)・小寺裕太(文構3=埼玉・県立浦和)組が登場。息の合った演技を披露し138点と高得点を出すも、「序盤にミスをしてしまった」(春日主将)と悔しげに語るように相手には及ばず。演武競技を2勝3敗1引き分けで終えた。続いて行われたかかり稽古。早慶でそれぞれ受けと取りに分かれて技を掛け合い、稽古としてお互いの技を引き立てることを目的とする。早大からは石田と春日が出場。惜しくも勝ち星はつかなかったが「相手を問わない演武」のあり方として競技の新たな一歩を踏み出した。
演武競技の武器技で白星をあげた鶴岡(左)・石田組
得意の乱取競技で巻き返しを見せたい早大。試合は1分30秒の前後半で短刀を用いるやり慣れた形式とは異なり、徒手のみの3分間で競われた。技の効果によるポイントに加え、姿勢や体捌き、間合い、積極性を審査員が総合的に評価する。初戦は唯一の女子として鶴岡が登場。立て続けに有効、一本と見事な技を掛ける。巧みな体さばきと気迫のこもったプレーを見せると、119-77と大差をつけての勝利でチームを勢いづけた。次鋒を担うは柴崎孝仁(商4=広島・修道)。体格の差をものともせずに二度の一本を決め、早大は順当に勝ちを重ねていく。大将戦は春日主将が満を持して臨んだ。互いに攻めの姿勢を見せるがなかなか技が決まらない。そして試合終了間際、ついに春日主将が有効を奪う。これが功を奏し、結果は106.5-105。この勝利により早大は総合で7勝6敗1引き分け。総力戦で勝ちをつかみ取った。
体格の差を感じさせなかった次鋒の柴崎
学生が切磋琢磨し最高峰のものを創造するための研究の場として開催された今大会。早大にとっては乱取だけでなく演武で互角に戦えたことが収穫だ。「いままで負けている分野でチャレンジ精神を発揮して真面目に練習してきたことが大きかった」と勝因を語る春日主将。流派の違いにより双方苦戦する場面もあったが、日頃の努力が実った結果となった。きょうの試合を糧にさらなる成長を遂げ、2週間後に控える全国学生大会でも最高の演技に期待したい。
(記事、写真 吉原もとこ)
結果
早大 優勝 7勝6敗1引き分け
▽演武競技
●下級生演武 石橋彬斗(商2=東京・早実)・熊澤亮(創理1=東京・城北)組
△立技 久枝昂弘(政経4=東京・桐朋)・石橋組
●坐技 鎌田真気(教3=埼玉・聖望学園)・古尾谷葵(スポ3=神奈川・湘南)組
○武器技(徒手) 柴崎・安藤圭彦(教3=神奈川・茅ヶ崎北陵)組
○武器技(杖) 鶴岡・石田組
●自由技 春日・小寺組
▽審査制かかり稽古
●女子 石田
●男子 春日
▽審査制乱取稽古
○女子 鶴岡
●先鋒 安藤
○次鋒 柴崎
○中堅 久枝
○副将 金裕年(教4=茨城・水戸三)
○大将 春日
コメント
春日勇人主将(政経4=東京・開成)
――きょうの大会を振り返っていかがですか
とりあえず勝ててほっとしました。演武はいままでずっと慶應に6-0とかで負けていたのですが、きょう自分は負けてしまったのですけれどもみんなが頑張ってくれて、ことしは6分の2.5とれたことが良かったと思います。
――ご自身の演武はいかがでしたか
序盤でミスをしてしまって。練習はかなりしたつもりだったのですがそれでも6割出せなかったなという感じなので、全国(全国学生大会)までになんとかしたいと思っています。
――新たな試みであるかかり稽古にも出場されました
難しいですね。正直評価基準もまだはっきりとは分からないのですが、10点差くらいついて負けていたので難しいなと思いました。
――乱取はいかがでしたか
勝つことができたのでとりあえずはよかったです。もう少し技が掛かればよかったなとは思います。間合いと当て身の攻撃のさばきは上手くできたと思っているので、もう少し技に入ることが課題です。
――気迫があったとの講評もありましたが勝因はなんだとお考えですか
気迫も一つあるのですが、今回の勝因は真面目にやったことかなと思います。特に演武ですね。乱取とかかり稽古だけだと少し負けているところもあったのですが、いままで負けている分野で新しくチャレンジ精神を発揮して、みんなが練習を最後までしっかり真面目にやったことが大きかったです。
――来月に控える全日本学生大会への意気込みをお願いします
自分は今度こそ主将に恥じないような演武をやりつつ、乱取もしっかり技をとりたいです。部員もみんな頑張ってこれよりもっと調子をあげてくれると思うので、いまより一段階も二段階も追い込んでよいものを出していきたいです。