【日本拳法】「早慶戦」前哨戦を制す/全日本へ堂々のV

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 11月16日、国士舘大学センチュリーホールで東日本拳法総合団体選手権が実施された。本大会は男子団体、女子団体、男子新人戦が同時並行で行われ、女子団体には2チームがエントリー。早大は計四チームで頂点を目指す。OBを交えたチームや社会人チームも数多く参戦したハイレベルな本大会で結果を残すことができるのか。迫る全日本に向けて弾みをつけたい早大としては、何としてでも結果が欲しいところだ。

男子団体戦

(写真 竹田朋矢)

 男子は「稲門拳法倶楽部」として出場した。三つのチームが各ブロックに割り当てられており、同じブロックとなったチームで総当たりの試合を行う。初戦の相手は「三田拳法会」。そう、慶応義塾大日本拳法部だ。次週に早慶戦も控える中で始まった、思いがけない「前哨戦」となった。 先鋒の寺内(文3)が幸先よく緒戦を制すとそこからOBの小川、重松(人科4 神奈川・横浜国際)と三本を先取。そこには、今回の早稲田は違うと感じさせてくれるような雰囲気があった。副将戦は勝ちきることはできなかったが、主将の藤原(法4 東京・城北)はしっかりと大将戦を制し、4-1で三田拳法会を圧倒した。 第二戦も同一のカードに。メンバーを変えながらも、スピード感のある戦いで流れを離さず、3-1で予選リーグを突破した。 続く決勝トーナメント。相手は神奈川県を中心に活動する日本拳法団体・黒綾館。いきなり社会人チームと対戦した初戦。相手の「巧さ」を感じる試合だった。早大も攻勢を仕掛けるが、相手の間合いはなかなか崩せない。攻めあぐねているうちに時間は刻々と経過し、逃げ切られるという試合が多かった。大将戦でOBの橋本が一本を何とか奪い、全敗とはならなかったものの、決勝リーグでの白星とはならなかった。

 

 一年生中心のチームで挑んだ新人戦は、シードで二回戦からのスタート。初戦でホームの国士館大と対戦した。国士館大は先鋒から一貫して仕掛けの早い積極的な攻撃で早大を圧倒した。それでも大将の長岡選手は最後に意地を見せ引き分けに持ち込んだ。結果は0-4での敗戦となった。相手チームが経験者中心だったとはいえ、少し寂しい結果となった。相手の国士館大のチームは破竹の勢いで勝ち抜き、新人戦での優勝を遂げた。

 

早大女子Bチームは初戦でホームの国士館大を破り勢いに乗ると、次なる相手は中央大学。前回の東日本でも対戦した因縁の相手だ。番狂わせを見せたいところだったが、実績ある相手チームはさすがの一言。危なげない戦いで早大Bチームを圧倒。何とか食らいつき一矢報いたいところだったが、強豪チームの貫禄を見せつけられる結果となった。あとAチームに託す。

 

女子Bチーム 

女子Aチームはシードをもってのスタート。初戦は東洋大学だ。シードゆえの難しさがあった中で、全勝という結果で通過したのはさすがと言えよう。 次は強敵・青山学院大学。この試合では大将として出場することの多い井上が先鋒を務める変則オーダーで臨む。狙い通りか先鋒の井上(政経4 神奈川・山手学院)は初戦を危なげなく先取した。ところが二番手の中村(政経4 埼玉・早大本庄)は相手の寝技などを交えた変幻自在の攻勢をしのぎ切れず、試合は1-1のイーブンに。優勝に向けて負けられない天王山となった大将戦は鎌田(スポ4 東京・日本女子)が出場。普段と違う なだけに だが、相手の攻勢を防ぎ切り、引き分けとなる。勝敗は1-1-1となるため代表戦が行われる。大将としての責を果たした鎌田は代表戦に向かう井上にバトンを託した。そして勝てば決勝進出が決まる代表戦。井上は初戦と同じ相手にも序盤から積極的な姿勢を見せるが、一人の手は上がっても有効打にはならない。そういった時間が続く中、高速の突きが相手の胴に叩き込まれる。これが井上のここ一番での勝負強さだ。 そして迎えた決勝の相手は女子Bチームを破った中央大学だ。先鋒は中村。リーチを生かして相手をけん制しながら相手を踏み込ませない。会場を支配する張り詰めた緊張感は、試合終了の合図とともに。互角以上の戦いを演じた早大。鎌田は1-1のまま延長戦へ。しかしここでも勝負は決まらず0-0のまま最終戦へ。そして負ければ終わりの大一番で大将井上。ここまで危なげない戦いでチームをけん引した井上もさすがにこれまで通りとはいかない。お互いが攻めあぐねる中、試合時間が過ぎる。少し間を置いて始まる延長戦。ここで井上のギアがかかったようだった。一度火のついた井上はもう止められない。

 

決勝戦の井上選手

薄氷の上でつかみ取った栄冠。なかなか結果の出なかった2025年だが、ここで胸を張れる結果を出すことができた。

 男女ともに一定の成果を上げた本大会。全日本選手権も迫る中、早大は確実に進化を続けている。近年、中大や明大が全国の舞台で躍動する中、早大はそこに割って入れるのか。臙脂の復権へ、その時は近いのかもしれない。

掲載が遅れてしまい申し訳ございません。

(記事・写真 竹田朋矢) )