全日本大学総合選手権・個人の部 10月28日〜31日 埼玉・所沢市民体育館
全国の猛者が集う全日本大学総合選手権・個人の部(全日学)が4日間にかけて行われた。男子シングルスでは徳田幹太(スポ2=山口・野田学園)が初優勝。男子シングルスで早大勢が優勝するのは14年ぶりで、見事快挙を達成した。女子からは杉田陽南主将(スポ4=大阪・香ヶ丘リベルテ)が自身最高となるベスト8入りを果たした。
大会前半に行われたダブルスには、男子部から3組、女子部から2組が出場した。昨年王者の濵田一輝副将(スポ3=愛知・愛工大名電)・徳田組は連覇を目指して臨んだが、5回戦で横谷晟・三木隼組(愛工大)にフルゲームの末に敗北。悔しいベスト8に終わった。女子部はリーグ戦で全試合に出場した杉田・司千莉(スポ1=大阪・香ヶ丘リベルテ)組に期待がかかったが、実力を発揮しきれず2回戦敗退となった。
まさかの2回戦敗退となった杉田・司組
続くシングルスでは出場した全員が2回戦を突破し、3回戦に進出。関東学生秋季リーグ戦(秋季リーグ戦)ではシングルス全勝の活躍を見せた濵田尚人(社1=高知小津)は3回戦で伊藤礼博選手(日大)と対戦した。どのゲームも僅差で食らいつくが、ゲームを奪うことはできず。初めての全日学でランキング(ベスト16)入りとはならなかった。ランキング入りのかかった4回戦には男子から荒井和也主将(スポ4=福岡・希望ヶ丘)、濵田一副将、徳田の3人、女子からは杉田主将と司の2人が進出。司は女子ダブルス優勝ペアの一人、鶴岡美菜(神戸松蔭女学大)と対戦し、2ゲームでデュースまで粘ったもののストレート負けを喫した。しかしその他の4人は余裕をもって勝利し、最終日に行われる5回戦進出を果たした。昨年は4回戦で全員が敗退したシングルスだったが、今年は大きく躍進を見せた。
男女それぞれ16人だけが出場できる最終日。これまでとはどこか違う緊張感の漂う中、試合が始まった。また5回戦からは5ゲームマッチでなく、7ゲームマッチとなる。濵田一副将は昨年の同大会で敗れた小林広夢(日大)に4-1で見事リベンジを果たし、準々決勝進出を決めた。徳田と杉田主将も熱戦を制し、それに続いた。荒井主将は横谷晟(愛工大)に対して持ち味の攻撃力を発揮できずストレート負け。ベスト16で大会を終えた。準々決勝では杉田主将は木塚陽菜(神戸松蔭女学大)と対戦。「フォア対フォアで勝負する」と話した通り、強烈なドライブラリーの応酬となるが、相手が勝り、2ー4で敗北した。これから活動の拠点を海外に移すという杉田主将。「日本で試合をするのは最後なので楽しみたい」と臨んだ全日学だったが、自身最高のベスト8で有終の美を飾った。
バックハンドを放つ杉田主将 ベスト8で有終の美を飾った
濵田一副将は昨年6位の強敵相手につけ入る隙を与えない盤石なプレーで準決勝進出を決めた。徳田は前のフルゲームの試合の疲れもあったか、いきなり3ゲームを落とし後がない状態に。しかし「そこから吹っ切れた」と3ゲームを連取。第7ゲームはデュースまでもつれたものの、勝ち切った。準決勝では濵田一副将は昨年王者の岡野俊介(朝日大)と対戦。愛工大名電高時代の同期対決となった。2ゲームを連取され迎えた第3ゲーム。濵田副将のサービスからの攻撃や、相手のサービスミスからこのゲームを奪い返す。しかし相手のコースを絞った正確なドライブや緩急をつけた攻撃に苦しみ、2-4で敗れた。この試合を勝てば徳田との決勝の可能性もあっただけに、試合後はしばらくベンチでうつむき、悔しさが隠し切れなかった。
ガッツポーズをする濵田一副将
一方の徳田は濵田尚を下した伊藤と対戦。またもやフルゲームのデュースまでもつれこんだが、見事勝利。決勝戦に駒を進めた。応援席でチームメートや家族、OG・OBに声をかけられ、送り出された徳田は岡野との決勝の舞台に臨んだ。第1ゲームは完全に勢いに乗っていた徳田。7連続ポイントもあり、大差でゲームを先取した。その後はミスが目立ち、3連続でゲームを落とすが、すかさず取り返し、フルゲームに。第7ゲームでは何度も相手にチャンピオンシップポイントを握られるが、そのたびに粘って追いつく。最後は相手の3球目がオーバーし、15-13で勝利した。小学生以来の全国制覇となった徳田。最終日は4試合全てがフルゲーム。うち3試合は第7ゲームがデュースと、激闘を潜り抜けて手にした栄冠に「やり切った」と笑顔を見せた。接戦を勝ち切れた要因は、練習を重ねたことで得た自信だったと振り返った。
フォアハンドを放つ徳田
9月の男子秋季リーグ戦優勝に続いて快挙続きの早大卓球部。今回ランキング入りを果たした4人には11月末に行われる全日本学生選抜選手権(全日学選抜)の出場資格が与えられる。うち、荒井主将と徳田は出場を予定しており、さらなる活躍に期待がかかる。
(記事 梶谷里桜 写真 梶谷里桜、関端健斗、丸山勝央)
優勝トロフィーを手にする徳田
3位に輝いた濵田一副将 ラストイヤーに期待がかかる
結果
▽女子ダブルス
1回戦
○鈴木・吉住3ー1古川・大内(広島大)
2回戦
●杉田・司2ー3御座岡・木山(東洋大)
●鈴木・吉住0ー3永野・坂崎(愛工大)
▽女子シングルス
2回戦
○深谷3ー0橘髙(同大)
○司3ー0徳村(同大)
○杉田3ー2尾関(朝日大)
○宮脇3ー0大森(神戸松蔭女学大)
○福岡3ー1森(千里金蘭大)
3回戦
○杉田3ー2吉井(同大)
○司3ー1坂崎(愛工大)
●深谷0ー3浅田(朝日大)
●宮脇0ー3上澤(筑波大)
●福岡2ー3本井(同大)
ベスト16決定戦
○杉田4ー0山本(立命大)
●司0ー4鶴岡(神戸松蔭女学大)
ベスト8決定戦
○杉田4ー2中田(筑波大)
準々決勝
●杉田2ー4木塚(神戸松蔭女学大)
▽男子ダブルス
1回戦
○舟山・濵田尚3ー1工藤・齋藤(北陸大)
○荒井・磯村3ー0島田・三好(山口大)
2回戦
○濵田一・徳田3ー0安井・松井(立命大)
○舟山・濵田尚3ー1赤尾・髙橋(中大)
●荒井・磯村0ー3鈴木・萩原(愛工大)
3回戦
○濵田一・徳田3ー0中島・二井原(専大)
●舟山・濵田尚1ー3岡野・梅村(朝日大)
ベスト8決定戦
○濵田一・徳田3ー0中田・佐野(中大)
準々決勝
●濵田一・徳田2ー3横谷・三木(愛工大)
▽男子シングルス
2回戦
○荒井3ー0剣持(明大)
○濵田一3ー0平岡(札幌大)
○濵田尚3ー0中野(國學院大)
○徳田3ー0前川(駒大)
3回戦
○荒井3ー2西田(大阪経法大)
○濵田一3ー0葛西(関西学院大)
○徳田3ー0二井原(専大)
●濵田尚0ー3伊藤(日大)
ベスト16決定戦
○荒井4ー1田原(筑波大)
○濵田一4ー0加藤(法大)
○徳田4ー1加山(日大)
ベスト8決定戦
○濵田一4ー1小林(日大)
○徳田4ー3鈴木(愛工大)
●荒井0ー4横谷(愛工大)
準々決勝
○濵田一4ー1谷垣(愛工大)
○徳田4ー3三浦(筑波大)
準決勝
○徳田4ー3伊藤(日大)
●濵田一2ー4岡野(朝日大)
決勝
○徳田4ー3岡野(朝日大)
コメント
徳田幹太(スポ2=山口・野田学園)
ーー優勝を決めた今の気持ちは
率直にうれしいというか、全部4-3の試合だったので戦い抜いてやり切ったという感想です。
ーー今回の全日学はどんな気持ちで臨みましたか
去年ダブルスは優勝したんですけど、シングルスは負けてしまって、去年の試合終わった後から来年絶対優勝しようという気持ちで一年間やってきて、それが達成できて本当によかったです。
ーー昨日のダブルスを振り返って
ダブルスは連覇がかかっているというところで、少しそこでプレッシャーがかかっていて、そのプレッシャーを力に変えられなかった、大事な時に一本とれなかったのでそこは反省して、濵田さん(一輝副将、スポ3=愛知・愛工大名電)と一緒にまた来年優勝したいと思います。
ーーダブルスからシングルスにはどのようにして気持ちを切り替えましたか
いろいろリフレッシュしようと思って、ダブルス終わった後に一回体育館の外に出てとか、いろいろ切り替えてその次のランク決定戦の相手にいい試合が出来て、その流れのまま今日に来れたんで、一回外にでてリフレッシュできたのはよかったなと思います。
ーー今日の試合は全部フルゲームだったと思うんですけど、その中で勝ち切れた要因というのはどのようなものであったか
本当に最後は気持ちの勝負だと思っていて、全員強い相手ですし、格上だと思っているので、この夏はリーグ戦とか全日本にむけて強化してきたので、練習を増やしたり質を高めたり自分を強化してきて、そのやりこんできたという自信があったので最後は気持ちで勝ちました。
ーー筑波大の三浦選手との試合は0-3からの逆転勝利、その試合を振り返って
鈴木選手(愛工大)との試合が終わった後に、そのままの流れで頭が真っ白な状態で試合に入ってしまったというか、切り替えがうまく出来ていなかったので、0-3になってしまって、そこからふっきれたというか、両ハンドそこから振り切れて、諦めずに声を出し続けられたから逆転できたのかなと思います。
ーー決勝戦を振り返って
岡野選手(朝日大)も去年の全日学選抜でもあたっていて、やりにくい相手ではないという感じではあったんですけど、格上、前回大会優勝していますし、この舞台経験している相手だったので本当に自分はチャレンジャーの気持ちでいろいろな戦術にチャレンジしてもうミスっても仕方ないと割り切って試合できて最後も勝ち切れてよかったです。
ーー応援はどんな力になったか
リーグ戦から引き続き熱い応援をしてもらって、早稲田だからこその応援というか、幹太頑張れとか、名前呼んでくれたり、そういう応援があったからこそ、自分も最後まであきらめずにやり切れたと言うか、本当にこのチームで成長できているなと本当に感じます。
ーー全日学選抜にむけて
今大会優勝したことで、また周りから注目される選手になると思うので、そこでも本当に自分の優勝はまぐれではなかったと全日学選抜でも証明できるように、一戦一戦、今日みたいに諦めずに戦っていきたいです。
杉田陽南主将(スポ4=大阪・香ヶ丘リベルテ)
ーー最後のインカレとなりましたが、どんな気持ちで臨みましたか
組み合わせ自体は結構良くて、でもいつも組み合わせがいいのに力を出しきれない試合が続いていたので、実力を出すことができるようにということと、日本で試合するのは本当に最後なので、楽しもうという気持ちが強かったです。
ーーベスト8という結果をご自身ではどのように受け止めていますか
ベスト4まではチャンスがあるという組み合わせだったので、最後勝ち切りたかったな、というのと、ベンチに入ってくれた鈴木(珠乃、社1=東京・武蔵野)にメダルかけたかったです。
ーーベンチの鈴木選手はどんな存在でしたか
私自身結構細かいので、どうしてもイライラしてしまう時が試合中でもあるんですけど、鈴木はすごく気が利くタイプで、自分が嫌なところを絶対指摘しないので、そういうところではすごく安心感があったと思います。
ーーシングルスの初めの2戦はフルゲームと厳しい戦いになりました。振り返っていかがですか
もちろん強い想定ではいたんですけど、やっぱり強いなというところから始まって、正直追い込まれていた状況ではあったんですけど、フランスリーグでの経験があった分ちょっと余裕があったかなと思いました。
ーー4回戦では昨年ベスト4の山本愛織選手(立命館大)をストレートで下しました。振り返っていかがですか
今まで負けたことがなかった相手なのですが、去年ベスト4に入ってる選手で油断はできなかったので、そういうところで最後の最後まで気を抜かないというところを意識していました。
ーー準々決勝を振り返って
戦術は事前に考えてあって、フォア対フォアで勝負すると決めていたんですが、実力不足が最後に出たかなと思います。
ーーこれからに向けて意気込みをお願いします
フランスリーグの方ではまだ試合が続くので、リーグの方では相手が本当に強いので、勝ち星を一つでも多く獲りたいと思います。