第3回は、短距離ブロックをリードする4年生の髙須楓翔(スポ4=千葉・成田)、平田和(スポ4=鹿児島・松陽)、由井響(スポ4=山梨・都留)が登場。寮生活で苦楽を共にし切磋琢磨(せっさたくま)してきた3人は、前半シーズンの苦難や故障を乗り越え、確かな手応えとともに調子を上げてきた。憧れのエンジをまとう最後の対校戦、個人種目での頂点やリレーでの学生記録更新を見据える彼らに、これまでの歩みと日本学生対校選手権(日本インカレ)へ向けた熱い思いを伺った。
※この取材は8月20日に行われたものです。
人生でも大学4年間でも一番濃いシーズンに

関東インカレ100メートルに出場した由井
――他己紹介をお願いします
由井 髙須楓翔です。彼は主に200メートル、短距離種目を専門にしていて、地区が一緒だったこともあり、高校時代から速いなと思っていました。強豪校が多い千葉県で戦ってきて、高校の時から意識している選手です。陸上以外にも趣味があり、最近はギターを弾いています。本当に多趣味な元気で明るい人です。
髙須 平田は400メートルハードルの選手で、初めて会ったのは入寮した時でした。彼は僕のことを国体(国民体育大会)の時に知ってくれていたのですが、僕は入寮した時に初めて知って、体が細いやつが来たなというのが第一印象でした。鹿児島県出身で、少しなまりがあったのも印象的でした。陸上に対する取り組み方という面では、1人で考えて黙々とやるような、見た目通りの人です。
平田 由井響くんです。彼は100メートルの選手です。寮で4年間共に生活しているのですが、しっかり者で、自分を含め色々な人に頼られる存在です。一般(入試)で入ってきて、そこから4年間ですごく力をつけて刺激をもらっていますし、心強い同期であると思っています。コーヒーが好きなのですが、コーヒーの飲み過ぎであまり睡眠が取れていなかったそうです。最近はコーヒーを少し控えてきちんと睡眠を取ることを意識しているらしく、徐々に調子が上がってきている状態です。
――入学当初と現在でお互いの印象など、変わったことがあれば教えてください
平田 僕たちは3月ごろ、高校を卒業して2週間後くらいに入寮したのですが、由井は4月に入ってから少し遅れての入寮でした。初対面で敬語を使ってきて、これは先輩だと勘違いしているのか、とてつもなく緊張しているのかどちらかだなと思っていました(笑)。最初はすごくおとなしくて礼儀正しいという印象だったのですが、真面目というのは変わらないものの、意外と毒舌で思ったことをズバッと言うような印象になりました。髙須はおふざけキャラです。ただ、9割おふざけで1割は仲間思いの良いやつという印象です。
由井 平田が言った通り、遅れて入寮し、練習に来たのが1人だけ遅かったので、誰が同期で誰が先輩か分かりませんでした。とりあえず知らない人には、先輩だったら怖いので全員に敬語を使っていました。髙須も平田も初対面の時は先輩のようなイメージで、存在を大きく感じていました。最初は少し怖い印象で離れた存在でしたが、4年間一緒に過ごしてきて、ほぼ毎日寮で朝も夜も一緒にご飯を食べてきて、今は楽しく生活ができるような存在になりました。性格は全然違いますが、2人とも仲間思いで明るい人です。
髙須 先ほど平田の他己紹介でも言いましたが、体が細い子が来たなというのが第一印象でした。最近は4年間頑張ってきてがっちりしてきたので、見た目の印象はすごく変わったなと思います。中身については、由井はもともと頭が良いと知っていて接していたのですが、平田も最初は頭が良いのかと思って話していたら意外とそのようなことはなくて(笑)。僕と関口(裕太主将、スポ4=東京学館新潟)がおふざけキャラですが、平田も僕と関口と同じキャラではないかという印象が次第に出てきました。逆に由井は最初の頭がいいというイメージのまま変わりません。
――今シーズンのトラック前半戦を振り返っていかがですか
平田 大学3年時にあまりレースを走れていない状態で、まずは関東インカレ(関東学生対校選手権)や対校戦に出場するために序盤からしっかりタイムを重ねていかなければいけませんでした。そのため、試合数や練習を積みながらレースに出るという前半シーズンになりました。出だしは自己ベストを更新するなど良い流れでしたが、そこからの伸びが欠けてしまったと思っています。前半シーズンの目標である関東インカレ優勝や49秒台中盤というところまで伸びきらなかったのが、自分の目標とかけ離れた部分でした。それでも練習は地道に積み重ねることができ、日本インカレでかたちにしようと関東インカレ後は意気込んでいたのですが、その後に1カ月ほど足を痛めて走れない期間がありました。前半シーズンの終わり方はあまり良いものではありませんでしたが、そこから徐々に復調して練習も積めてきているので、日本インカレに向けてもう一段階上げていきたいです。
髙須 今年の前半シーズンだけでなく、昨年の前半シーズンからうまくいっていないというのが正直なところです。ケガもあり走れていない状態が昨年から続いていました。8月の菅平合宿ではしっかり走ろうということで、400メートルブロックと一緒に練習して、調子は徐々に上がってきています。日本インカレに向けて、大学2年生の調子が良かった頃に少しずつ戻りつつあるという印象です。前半シーズンはあまりうまくいかなかったですが、今は徐々に上がってきています。
由井 人生でも大学4年間でも一番濃いシーズンになったと思います。冬季練習の時からシンガポールや香港、ロサンゼルスなどたくさんの合宿に行き、冬季は順調に練習を積めていました。シーズンに入るのが楽しみだったのですが、シーズンに入ってからは思ったよりタイムが出なかったという印象でした。4月は苦しんだわけではないですがタイムが出ず、先行きが不安になりました。5月に入ると急に調子が上がってきて、100メートルと200メートルで自己新記録を出すことができ、関東インカレにも良い波がきている状態でした。しかし、関東インカレの準決勝で敗退してしまい、調子が良かっただけに悔しい思いもしましたし、決勝に行って得点を取りたかったので非常に悔しかったです。6月に入ってからは教育実習に行き、高校の先生方からお話を聞く中で考え方や行動の仕方を教えてもらい、そこから陸上競技につながることもありました。7月にかけては菅平合宿に行って、心身ともに前進できたと思います。その後の早慶戦(早慶対抗陸上競技会)などでタイムが出ず不安もありました。ですが、その後に復調の兆しが出てきて最近は思うように走れているので、後半シーズンにつなげるという意味では良い前半シーズンになったと思います。
「エンジを着る意味をよく考えなさい」

東京六大学対校200メートルに出場した髙須
――エンジのユニホームを着て戦う試合も残りわずかとなりましたが、4年間を振り返っていかがですか
由井 高校の時からエンジを目指して陸上競技や他の面でも頑張ってきたので、エンジのユニホームを着るという志は自分の中でも高かったと思います。大学1、2年の時は関東インカレや日本インカレに対校戦の代表として出場できず、(エンジを)着ることができませんでした。エンジの重さを1、2年時にすごく体感しましたし、だからこそ3年生で対校戦でエンジを着た時に、エンジの重さや深さを感じながら走ることができたと思っています。最近練習にOBの方々が参加してくださり、「もうエンジを着られないのが寂しい」とおっしゃっていたのが印象的でした。(個人としては)あと1回しか着られない寂しさと、あと1回だからこそ頑張りたいという思いで、全身全霊で日本インカレに臨みたいと思っています。
髙須 僕は1年時の六大学(東京六大学対校)の4×100メートルリレーで初めてエンジを着させてもらいました。その時は入ったばかりで、「エンジを着る意味をよく考えなさい」と先輩や主将に言われていましたが、当時はまだイメージできておらず、どういう意味だろうと思いながら試合に臨んでいました。1年生から学年が上がるごとにエンジのユニホームを着て走る意味や、着るからには負けられないという思いを理解できるようになって、大学4年生になり残り少ないところで、「もうあと2回くらいしか着られないのか」という寂しさもあります。最近は先輩がおっしゃっていた言葉の意味が分かってきて、それを少しでも後輩に残せたらいいなと思っています。このようにしてエンジが受け継がれていくんだなと大学4年生になって感じました。
平田 自分が今までエンジを着て対校戦で活躍しチームを引っ張っていくということがあまりできていなかった分、今までお世話になった先輩方がエンジを着て活躍している姿を見て、憧れを持ちつつ自分は何をやっているんだろうという思いもありました。4年目になって残された試合も少なくなり、自分の番だなと思うと同時に、結果で恩返しできるチャンスが日本選手権リレーも含めると残り2回しかないので、そこで全てを出し切ろうという気持ちです。競走部への感謝や応援してくださる方々への感謝の気持ちをしっかりかたちにしたいという思いが強くあります。最後の舞台に向けてしっかり出し切って笑顔で終われたらいいなと思います。
――4年間で一番思い出に残っているレースはありますか
由井 昨年の日本インカレの4×100メートルリレー決勝です。個人のレースではなく4×100メートルリレーの方が印象に残っていて、絶対に勝てるという自信を4人で持って挑んでいました。その中で0.01秒差で負けて2位になってしまい、僕以外の3人の表情やレース後の沈黙の時間がすごく長かったのが印象的でした。自分がもっと速く走れていればという思いや、バトン(パス)をもっとうまくできていればという悔しい気持ちばかりが残っていて、今年の関東インカレでは、そのリレーがあったからこそ気持ちを奮い立たせることができました。そのような意味でも一番印象に残っているレースです。
髙須 僕は2年時の日本選手権です。そもそも日本選手権のエントリーに繰り上げでギリギリ入った身で、一番下のランキングからのスタートでした。予選を走るだけでも良い経験になったと思える状態でしたが、予選、準決勝と進み、プラスの2番目で拾われて決勝を走ることができました。予選を0.01秒差で競り勝ったおかげで決勝に駒を進めることができて、胸トレ(大胸筋のトレーニング)をしていた差で勝ったのかなと感じました(笑)。シニアの高いレベルの試合でも勝ち切れるようになった自分の成長も感じられて、一番記憶に残っています。
平田 自分は関東インカレのマイル(4×400メートルリレー)です。それまで対校戦でリレーを走る経験がほとんどなくて、アンカーとして走ることになった時は期待に応えたいという思いと、今まで後輩や同期の森田(陽樹、創理4=埼玉・早大本庄)たちにマイルを背負わせてきた部分がありました。やってやるんだという気持ちでレースに挑みました。ですが、他大学の選手との戦いの土俵にも立てず抜かされてしまい、1走から3走までの仲間が必死につないでくれたバトンを1番でゴールまで持っていけなかったのがとても悔しかったです。レースが終わっても誰も自分のことを責めなかったのが逆に悔しくて、屈辱的なレースになりました。このレースが、それ以降の原動力になっているので、一番思い出に残っています。
――4年間で思い出に残っているエピソードはありますか
平田 1つを挙げるのは難しいですが、寮でみんなで集まって同じ学年のテーブルでご飯を食べたりお風呂に入ったりした時の、何気ない話です。話した内容は思い出せないくらいですが、会話で盛り上がっている日常の積み重ねが、自分たちにとって大事な思い出だと思います。大きな事件やエピソードというよりは、食堂やお風呂で起こるささいな日常が思い出です。
大学で日本一になる姿を見せたい

関東インカレ400メートルハードルに出場した平田
――日本インカレに向けて現在のコンディションや注目してほしいポイントを教えてください
平田 ケガをしてから練習を積んできて、日本インカレに向けて調子がどんどん上がってきています。さらに何段階も(調子を)上げて、日本インカレに向かっていければ、目標としている優勝にも手が届く自信があります。注目してほしいポイントについては、早稲田で400メートルハードルをやってきて、トータルでまとめ切る、中盤以降の失速を抑える力を磨いてきたので、ゴールの瞬間までしっかり走り切るところを見てほしいです。最後に抜くことも1位を保ち続けることもできると思うので、レースを最後まで見てほしいです。
髙須 見どころは全部だと思いますが、特に僕の200メートルは一番の見どころだと思います。前半シーズンはうまくいかなかった部分もありますが、合宿で講師の方から200メートルの走り方を教わって、その通りに練習を積んできています。前半は少し抑えて後半を9秒台で走るというレースに変えていて、今までの先行して逃げ切るかたちではなく、僕が最後に追い抜くという今までにないレースが見られると思います。
由井 菅平合宿を終えて直近の1、2週間は本当に調子良く走れてきているので、日本インカレが楽しみです。100メートルでは早稲田の3人で決勝の舞台を走りたいと思っていて、エンジのユニホームが3枚並ぶところを楽しみに見てほしいです。またリレーも走る機会があれば優勝を目指しているので、学生記録の更新も含めて表彰台の一番上に乗りたいです。
――最後に日本インカレに向けて意気込みをお願いします
平田 自分たちに残された最後の対校戦になるので、大学で日本一になる姿を見せたいです。優勝を目標に4年間やってきたので、優勝してお世話になった方々に結果で感謝の気持ちを伝えることが目標です。
髙須 大学4年間のインカレにおいて、個人で点を取ったことがないので、個人種目で一番高い点数を取りたいです。4×100メートルリレーや4×400メートルリレーでも出場するチャンスがあれば、存在感を示して学生記録を塗り替えるという大きな目標に向かって頑張っていきたいと思います。
由井 高校の時から日本一を目指してやってきて、大学4年間の最後の対校戦になるので、高校時代から掲げてきた目標をかなえたいです。100メートルでは決勝に進出すること、早稲田に1点以上持って帰ることを目標にして走りたいと思います。リレーも走る機会があれば優勝を目指し、学生記録を更新して表彰台の一番上に立ちたいです。
――ありがとうございました!
(取材 石本遥希、編集 長澤奏羽)
◆髙須楓翔(たかす・ふうと)
2004(平16)年9月5日生まれ。千葉・成田高出身。スポーツ科学部4年。
◆平田和(ひらた・あい)
2004(平16)年10月23日生まれ。鹿児島・松陽高出身。スポーツ科学部4年。
◆由井響(ゆい・ひびき)
2004(平16)年11月01日生まれ。山梨・都留高出身。スポーツ科学部4年。