【連載】野球部 新体制始動特集『臥薪嘗胆』第4回 髙橋煌稀×安田虎汰郎

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 早大投手陣の一翼を担う髙橋煌稀(スポ2=宮城・仙台育英) と安田虎汰郎(スポ2=東京・日大三)。さらなる飛躍を期待される同期コンビに新体制での意気込みを伺った。

※この取材は12月14日に行われたものです。

理想は藤川球児さんのストレート(髙橋)

――はじめに、お互いの他己紹介をお願いします

安田 髙橋選手は仙台育英高校出身で、高校の頃から僕らの世代でも有名で自分もファンとして好きな選手です。最近は、UFOキャッチャーにハマっていて、部屋がフィギュアで埋め尽くされてます。

髙橋 安田選手は日大三高出身で、高校の時は侍ジャパンに選ばれてて、その時、(自分と)同部屋でした。大学入ってからはリーグ戦の大事な場面で登板し、きっちりと抑えていてすごいです。

――同部屋だったんですね。そのときの思い出はありますか

安田 よく話すんですが、(髙橋)煌稀はよく寝るんです。 何時に起こしてと言われるので自分が、その時間になったら、外にいても起こしに行ってます(笑)。

髙橋 友達と電話で話してるやす(安田)が訛っててその話し方が印象的でした。

――お互いの印象は

安田 おっとりしてるというか、マイペースです。例えば10時半集合にしたいときは10時20分に呼び出したほうがいいですね?

髙橋 そうですね。逆にやす(安田)はしっかりしていて責任感もあるので細かいことまで色々やってくれます(笑) 。

――2人の1番の思い出は

安田 毎週火曜日に所沢キャンパスに授業に行くんですけど、17時くらいには授業が終わって、夜ご飯まで2時間くらい暇になるんです。なので、2人でラーメン食べに行きますね。毎週、ラーメンを食べたい欲と闘ってます(笑)。 所沢のカッパハウスによく行きます。

――ここからはプレーの話です。今年1年を振り返っていかがですか

髙橋 秋から先発を経験できて、秋優勝という目標には届きませんでしたが、課題も成果も見つかり、収穫の多い1年になりました。

安田 1年の頃からリリーフでの登板が多く、チームの勝敗を分けるイニングが多かったんです。ただ今年は思いがけない失点が多く、チームに迷惑をかけてしまったシーズンでした。

―様々なことを経験した1年だと思いますが、自分が最も成長できた面はどこですか

髙橋 コントロールが去年に比べ成長したように感じます。四死球が去年に比べ減りました。

安田 ストレートの精度が上がったことですね。回転数など数字で見てもよくなってきているので、来年ステップアップするきっかけになるのかなと感じています。

――今年1番の思い出は

髙橋 法大戦(秋季リーグ戦)で、井上選手(井上和輝、法大1年)からホームランを打たれた場面ですね。失投気味でしたが、ホームランになるとは思ってなかったんです。なので、悔しさがありましたし、課題も見つかりました。

安田 自分も法大戦の第3戦ですね。土日と連日抑えられていたので月曜日に打たれてしまったことはチームに対しても申し訳なく悔しかったです。

今季のフォームは昔の投手みたいに(安田)

――ここからは髙橋選手に伺います。昨年のエース・伊藤樹選手(スポ4= 宮城・仙台育英)はどんな存在でしょうか

髙橋 もちろん、伊藤樹選手はいい見本なんですけど、自分は伊藤選手とピッチングスタイルが違うと思ってます。なので、伊藤選手の姿勢は見本にしつつ、自分自身のピッチングは変えずに行きたいですね。

――ピッチングスタイルで理想の選手はいますか

髙橋 そうですね、藤川球児さんのストレートを目標にしています。

――来年はエースとして1戦目での先発も視野に入ると思いますが、それについてはいかがですか?

髙橋 まだ1戦目を任されるかは分かりませんが、任されたら失点0で抑えられるように今冬も努力をしていきたいです。

――来年の正捕手は、高校時代からのチームメイトである尾形樹人(スポ2= 宮城・仙台育英)選手が有力候補ですが、尾形選手とのバッテリーはいかがですか

髙橋 (尾形)樹人は他の正捕手に比べ、投げやすさもありますし、意思疎通もよく取っているので安心感がありますね。

――尾形選手と2人で優勝したいという気持ちはありますか

髙橋 2人で優勝したい気持ちはもちろんありますが、1番の目標に自分の代での優勝があるので、そこに向けて頑張っていきたいです。

――3年夏の甲子園で慶應高に敗れるなど、打倒慶應への思いは強いのでは

髙橋 やはり、高校で戦った相手が慶應大学で野球をしてもいるので、戦う時には負けたくないですね。

――続いて、安田選手にお伺いします。東京六大学秋季フレッシュトーナメントでは先発もされていましたが、ご自身は先発、中継ぎどちら志望ですか

安田 もちろん、投手をやる上で先発は絶対にやりたいです。ただ、彼(高橋煌稀)もいますし、誇南さん(宮城誇南、スポ3=埼玉・浦和学院)もいますし、先発が盤石な状態だと思っています。チームのことを考えた時に、任されたところで100%抑えるパフォーマンスがベストだと思っているので、もちろん先発をやりたい気持ちはありますけど、リリーフはリリーフでしっかりとプライドを持って投げなければいけないなというのは、この2年間を通して、去年田和さん(田和廉、教4=東京・早実)という大魔神のような存在がいたので、見習っていかなければと思っています。

――今季はかなり投球フォームを改造されたと思いますが、手応えはいかがでしたか

安田 この冬の期間でまた、フォームを試しています。投げ方は常に移り変わっていくもので、結局リーグ戦の時にどう落ち着いたかということになると思うので、ここから年が明けて、リーグ戦まで3ヶ月ほどしかないですが、その中で自分の歯車にしっかりと合うフォームが、投げ込んでいればそのきっかけが見つかると思うので、今は新しいものを模索している最中です。

――今季の投球フォームはメジャーリーガーのディラン・シース投手(現ブルージェイズ)を参考にされていたとのことでしたが、今回も参考にされている選手はいらっしゃいますか

安田 今回はとにかくテンポを意識しています。8秒に1球投げるという感じです。ピッチクロックも来年から導入されると思うので、少し昔の投手のように。昔のプロ野球の投手の方は今よりテンポが早いと思うので、そこを意識しながら投げています。

――テンポは以前から意識されていたポイントですか

安田 前から意識はしていましたが、リリーフとなるとどうしても時間を使わなければならない場面が多いと思うので、アップアップしないように、自分のテンポで投げるということで、ピッチクロックは邪魔な要因にはなってくると想い、そこに早く今から慣れるために練習をしています。

――球種は現在何種類持っていらっしゃいますか

安田 一応リーグ戦で投げているのは真っすぐ、チェンジアップ、カーブだけですが、この冬はまたいろいろな球種を練習しています。春には何球種か増えると思うので、楽しみにしていただけたらなと思います。

――一番自信のある球は、やはりチェンジアップになるかと思いますが、その極意を教えてください

安田 緩い球というのは、バット食らったら果てしなく飛んでいくんですよね。勢いがない球をストライクに放らなければならないので、勇気を持って遅い球をゾーンに通すというのは150キロのストレートをど真ん中に投げることよりも勇気のいることだと思います。

――野球愛あふれる安田選手ですが、今年一の野球ニュースはなにかありますか

安田 自分はMLBが特に好きなので、移籍の動向をすごく見ています。それこそ、昨年投げ方を参考にしたディラン・シース投手がブルージェイズと8年契約をしたのは、ちょっと驚きでしたね(笑)。

――メディアはワールドシリーズ、ドジャース一色だったかと思いますが、ここがすごかったというポイントはありますか

安田 ミゲル・ロハス選手が土壇場で本塁打を放った試合は、ちょうどリーグ戦のベンチ裏でみんなで話していたので、二死の場面から本塁打を打てるメジャーリーガーはやはりすごいなと思いました。

香西さんが主将になったことは、新体制になって活動してみたら何も不思議なことはなくて(安田)

――お二方への質問へ戻ります。目標にしている選手と憧れている点を教えてください

髙橋 ずっと憧れにしているのは藤川球児さんです。中学生の頃に審判裏から見た真っすぐの動画をYouTubeで見て、この真っすぐを投げたいなと、そのころからずっと憧れにしている選手です。

安田 自分はやはり吉永健太郎さん(平27スポ卒)です。高校、大学の先輩でもありますし、自分がチェンジアップ、シンカーを投げるようになったきっかけの人でもあります。まさに、自分の投手としての人生を切り開いてくれた方なので、背中を追うというよりも、吉永さんに追いつき追い越せ、というつもりで日々練習を頑張っています。

――安田選手はチェンジアップを得る前はどのようなスタイルの選手でしたか

安田 ただ真っすぐとカーブを投げるタフネス右腕でした(笑)。自分を昔から見てくださっている記者の方に聞くと、「ほんと安田くん真っすぐとカーブだけだったよね」と。昭和の大エースのイメージの全試合完投するような投手だったので、チェンジアップに自信を持って放り始めたのは高校3年生の夏でした。それまでも全く、夏もノーマークでチェンジアップを投げていました。

――お二人はやはり将来はプロ野球志望になりますでしょうか

髙橋 はい、やはりプロ野球を目指して大学4年間、今頑張っています。

安田 自分もそうです。野球をやっている以上は目指さないと損だと思っているので、絶対にプロに行く、というつもりでやっています。

――思い入れのある球団はありますか

安田 自分は地元が千葉で、小さい頃から生え抜きのロッテファンで。千葉ロッテマリーンズにはすごい憧れがあります。

髙橋 自分は楽天です。小学生の頃にスクールに入っていたので、そういった面では思い入れがあるかなと思います。

――新体制についてお伺いします。今のチームの雰囲気を教えてください

安田 一番みなさんも驚かれていると思うのが、香西さん(香西一希、スポ3=福岡・九州国際大付)が投手で主将になられたということは、驚きはしましたが、いざ新体制になって活動してみたら何も不思議なことはなくて。一番チームで誠実な方で、みんながついていこうと思える人なので、いい雰囲気で練習できているなと感じています。

髙橋 今は天皇杯奪還に向けてみんな必死でやっている中で、主将の香西さんがとても選手を、チームをまとめてくださっているので、とてもいい雰囲気で締まった練習ができているかなと思います。

――先ほどお話にもでてきた伊藤樹選手や田和選手、投手陣を引っ張っていたお二人が抜けるという形になるとは思いますが、今度は自分たちが上級生になるといったところで考えていること、心がけていることはありますか

髙橋 その二人が抜ける中で、投手陣全体の練習の雰囲気も変わってくるので、リーグ戦で投げる姿だけではなく日頃の練習の態度の面でも、投手陣に何か影響を与えられるような行動を心がけて、これから2年間やっていきたいなと思っています。

安田 自分は樹さんはもちろんですが、リリーフで田和さんと一緒にずっとブルペンで待機していたことが多くて。振り返ると自分が一年生の春は田和さんがケガでいらっしゃらなかったシーズンも経験しているので、その時のことを考えると、田和さんがいる時に比べて自分の登板機会がもっと多く、投げる機会も厳しく、ということがあったと思います。あの時の心の状態を思い出しながら投げられたら、という思いますし、今度は自分が投げて抑えなければならないので、全部の試合を他人事ではなく、試合に最初からのめり込んで、挑んでいきたいと思っています。

――このオフの期間に取り組んでいること、重点を置いて取り組んでいるポイントを教えてください

髙橋 今期少し瘦せてしまったので、もう一度体重を増やして、真っすぐにもっと強さを出したいなと思っています。加えて、もう1つ落ち球が欲しいと思っているので、そこを磨けるように取り組んでいるところです。

安田 自分はとにかく、今年の投球を振り返ってみても打たれた時は全部コントロールミスで打たれたので、コントロールを磨くためにはとにかく数を投げるしかないということで、とにかく投げ込みを、ほぼ毎日しています。実際、その中で監督さん(小宮山悟監督、平2教卒=千葉・芝浦工大柏)から投げ方であったり新しい球種の指導もいただいているので、そこを自分で考えて工夫しながら毎日ひたすらブルペンで投げ込むことをしています。

最優秀防御率を取りたい(髙橋)

――来季について、まずチームとしての目標についてお聞かせください。

安田 どん底からの天皇杯奪還、です。今年のスローガンです。

――どん底というのは

安田 新チーム始動の最初のオープン戦、ハワイ大学戦は、ノーヒットノーランの8-0で敗れるというまさにどん底だというところから、天皇杯を奪還するという風に監督さんがおっしゃっていて、グラウンドのホワイトボードにもそれが書かれているので、チームスローガンになっていると思います。

――あの試合はチームにとって大きな影響がありましたか

髙橋 いやあ、だいぶ。

安田 だいぶだよね。まさかノーヒットノーランに。金森さん(金森栄治助監督、昭54教卒=大阪・PL学園)自身も自分が教えている打線でノーヒットノーランをくらったのは初めてのことで最大の屈辱だとおっしゃっていました。まさか、と思ったよね、みんな。少し情けない試合だったので、どうなっちゃうのかなと思ったよね。

髙橋 恥ずかしかったです。

――ハワイ大は金属バットの使用でしたが、普段の木製とは違うといった点で、投げてみていかがでしたか

髙橋 木製では出ないハイバウンドみたいな、高いゴロで抜けていく打球があったので、そういったところで違いを感じたのですが、ただ単に打力が違かったなと感じています。

安田 たしかにそうですね。金属はどうしても当たったら飛ぶ、という印象をみなさん持たれていると思うのですが、芯の幅が広いので、操作性もやはり高いものです。なので、決まったと思ったチェンジアップをカットされてしまうというのが、金属だとその確立が高くなるので、技術の高さと金属の違いをそこで感じました。

――今シーズンの個人での目標を教えてください

髙橋 チームとしてはやはり天皇杯奪還なのですが、個人としても優勝したいという気持ちが強くあります。しいて言うなら最優秀防御率を取りたいです。それを取れたら、チームも優勝に近づくと思うので、個人としての目標は最優秀防御率を目指して頑張っています。

安田 チームに欠かせない存在になる、というところです。土壇場を救うと言いますか、チームに値千金の一勝をもたらすような投球をリリーフとしてはしなければならないと思っています。ここで抑えなきゃ、ここで抑えればというところで100%抑えなければならないのがリリーフとしての仕事なので、そういったところで防波堤というか、火消し、という表現があると思いますが、そういう投球を体現できたらなと思っています。

――最後に、来季への意気込みをお願いします

髙橋 来季は天皇杯奪還というチームとしての目標がありますが、とにかく目の前の試合を勝ちきれるように、任されたイニングは必ず0で抑えて、勝利に近づけるように頑張っていけたらと思います。

安田 いつも言うことは一緒ですが、任されたところで100%最大限のパフォーマンスができるような準備をしっかりとして、望みたいと思います。

ーーありがとうございました!

(取材・編集 富澤奈央、中川晏結美)

◆安田虎汰郎(やすだ・こたろう)※写真左
2005(平17)年5月27日生まれ。176センチ、77キロ。東京・日大三高出身。スポーツ科学部2年千葉県鴨川市の漁師町に生まれた安田選手。オフには投手陣で千葉へ釣りに行ったそうです!

◆髙橋煌稀(たかはし・こうき)
2005(平17)年6月28日生まれ。184センチ、88キロ。宮城・仙台育英高出身。スポーツ科学部2年。早大の新たなエースとして期待が懸かる髙橋煌選手。新正捕手の尾形選手とは高校時代からのバッテリーで、高2夏には甲子園胴上げ投手になりました。3年時の甲子園では慶應高に敗れましたが、大学でのリベンジに期待です!