【連載】スケート部ホッケー部門 インカレ前対談 第1回 飯見拓未×岩村晴翔×松下仁×飯塚創哉

特集中面

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 初回は、飯見拓未(社4=東京・早実)、岩村晴翔(社3=東京・早実)、松下仁 (商2=東京・早実)、飯塚創哉(教2=東京・早実)に話を伺った。早実高出身の4人から、今季の現状や試合時の心境、日本学生氷上競技選手権への思いを聞くことができた。

※この対談は11月29日に行われたものです。

 

ーー他己紹介をお願いします

岩村→飯見  34番の飯見拓未さんです。今年はアナリストとして、試合前に相手チームの分析をしてくれています。キーパーだったということで、特に相手のキーパーの分析を細かくしてくれていて、とても役に立つアナリストです。

飯見→松下  背番号18番、DFの松下仁くん、2年生です。今年は順調に仕事してくれているはずです、あまり知らないですが。プレーの方は、2年生ですが、DFが少ないということで、しっかり引っ張っていく立場としてやってもらっています。実際に去年よりも安定しましたし、引っ張っていけるようにこれからも頑張ってもらいたいです。

松下→飯塚  教育学部2年生、背番号21番のFW、飯塚創哉くんです。彼は2年生ながらチームを作っていて、とても尊敬しています。プレー面でもFWとして引っ張ってくれていて、今後2年間、チームを引っ張っていく期待が持てる選手だと思います。

飯塚→岩村  19番の岩村晴翔くんです。主務として、特に何をやっているか分からないですが、チームがやりやすいようにしてくれているのかなと思います。プレーにおいては、とことん走り回って相手の目障りになるプレーをしてくれていると思います。個人的に一番助かっているのは、1年生とコミュニケーションをとってくれていることで、 1年生も話しやすい環境を作ってくれているのかなという印象です。

飯見 晴翔が?

飯塚 そうっすね。今思うと1年生は晴翔さんにビビッているところがあるので、締めるところは締めてくれているのかなと思います。

ーー皆さんは普段から仲が良いですか 

飯見 いや…。でも全員早実なので、自分が3年の時に同じ部活にいました。僕を中心にとても素晴らしいチームを作っていて、仲はめちゃくちゃ良いんじゃないかなと思います。 

ーーありがとうございます

飯見 恥ずかしいよ!(笑)

ーーここまで試合をこなしてきた中で、お互いの存在に助けられた場面はありましたか 

岩村  今年から新しくアナリストという役職ができたので、その点でチームをしっかり俯瞰してくれる人がいていいなと思います。

飯見 今年から、新しい形でチーム体制も見直しました。4年生が今3人しかいない中で、 頑張っています。 その中で、手が回らないところでは、飯塚選手に助けてもらっています。何よりアイスホッケーのことを一番分かっているし、アイスホッケーが好きなので敵のこともよく分かっています。そういうところで自分よりもアナリストっぽくやってもらっています。他にも、下級生のまとめ役も任しています。来年は3年生として、ここ2人(飯塚と松下)が引っ張ってくれると思うので、助かっています。

飯塚 今年は3年生も人数が少なく、上級生が6人しかいません。その中で(岩村選手は)自分ができる限りのことを尽くし、プレー面でも事務面でもすごくやってくれていると思います。主務は早慶戦の運営もしています。他の選手よりは晴翔さんのシゴデキな部分も見られるのかなと思います。結構裏では動いてますからね、晴翔さん。

ーー秋季リーグ(エイワ杯関東大学リーグ戦)に関して質問させていただきます。全体的に振り返っていかがでしたか

飯塚 苦しかったですね。毎週試合があって、最初はチームの雰囲気が良くなくて。夏合宿から帰ってきて、すぐ試合で3連敗、4連敗くらいして。2、3連敗目くらいから練習の雰囲気も良くなくて。拓未さんとかと話し合って「これやろう」と言ってもできないとか。まずそれ以前のモチベーションのところだったり、雰囲気だったりとかの問題が解決しない、というところで自分たちも頭を悩ませました。 自分たちが頭を悩ませてやった結果もダメで、コーチから厳しい言葉をいただいたりとか。そういうところで苦しかったかなという印象ですね。結構メンタルにきましたね。ホッケーが嫌いになりそうになりました。慶應戦前とか、スポーツ観るのがきつくて。負けたら終わりという試合だったので、その前の週は食事の量も減りました。

飯見 去年はセカンドリーグまでの実施でしたが、今年はファイナルリーグまであるということで、スケジュールが詰め詰めでした。毎週試合があったので、それが結構苦しかったです。持ちこたえられなくて、どんどん悪い方向にいったよね。

松下 秋リーグって、毎週試合があって雰囲気が悪くなりがちじゃないですか。その中で今年は、去年よりは持ちこたえたのかなと自分は思います。拓未さんがいたからこそなんですが。離脱者が多かった中で戦ったという経験は、インカレに向けて収穫があったんじゃないかなと思います。

岩村 秋は辛いところもありましたが、最終目標はインカレなのでインカレに向けた準備と考えたら、最後の方はチームとしてやりたいことも少しずつできるようになっていって、良い準備はできたかなと思います。

秋季リーグを振り返る飯塚

ーー秋季リーグの中で一番印象に残っている試合はありますか 

飯塚 ベタだけど慶應戦。本当にプレッシャーがやばかった。試合前に仲が良い1年生がボケてくれたんですけど、何も聞こえないくらい。

飯見 最後だと思っていたので、作戦やセットも選手で決めちゃっていいよ、と全部委ねられていました。その中で結果を残さなければという試合だったので相当懸けるものがありました。勝てて良かったの一言です。一安心でしかなかったです。

飯塚 最後1点差でしたね。 その前の試合で6人攻撃で追いつかれるというのもあって…。

飯見 4年生や創哉とセットを考える時に新しく挑戦したことがあって、それがいきなりぶっつけ本番だったので、本当に上手くいくかどうかハラハラでした。結果的には上手くいったのかなと思います。自分たちで考えたからこそ嬉しかったし、自分たちで作ってきたチームで最後を踏ん張れたというのがすごい印象に残りました。

松下 最後の法政戦です。慶應戦も確かにハラハラの展開ではありました。 慶應戦は勝って残りましたが、法政戦では逆に負けて残れなかったので。明日(11月30日)も勝っていたら、試合があったはずなので、試合会場が近いというのもあって、やっぱり一番悔しいです。法政戦に関しては、チーム内で話し合っていたことが、結構出来ていた試合だった思います。そういうのを含めて何で勝てなかったんだろうと、悔しい気持ちが強くて、法政戦が一番心に残っています。

岩村 自分も仁と同じで法政戦です。やっぱり悔しかったというのがあります。夏に法政大に勝って、その次に負けて1勝1敗になって。法政戦まで、 4年生や創哉を中心に動画ミーティングをして準備を重ねて、やりたいこともできたという試合でした。しかし最後勝ち切れなかったところが、どうしても悔しいです。

ーー秋季リーグを経て、改めて今のチームの武器は何であると考えていますか

松下 「考えるホッケー」かなと思います。今年は特にチームとしてミーティングにも時間を割いていて。チームの中核を、創哉とか4年生が担ってくれています。試合前や試合前日のミーティングで、試合中に冷静になって選択するべきプレーをあらかじめ教えてくれているからこそ、試合であまり考えられない時や焦ってる時でも、やりやすいのかなと思います。まだ1年生は毎週の試合に慣れていない部分も多いと思うので、そういう意味で「考えるホッケー」というのは氷上で出やすいチームであり、それが武器なんじゃないかなと僕は思います。

飯見 考えるべきだ、というのがみんなの中に着々と意識付けられて、チームの武器になっていると思います。

飯塚 比較的悪いところを隠せるチームだと思います。4年生と自分の話し合いでも1つ軸にあるのは、できないことはやらない、ということです。悪いところが隠れる、出ない、というのは意外と自分たちの武器になっていると思います。 一回背伸びしようとした時期があって、それがファーストステージの最初の週の失速の原因でした。武器というか特徴ですね。

岩村 考えられたチームだと思います。シーズンの一番最初に4年生を中心に考えてくれた、チームのスローガンである「Commit」というのが、挑戦、責任、犠牲とあって。その犠牲のところで、4年生や創哉がチームの頭になって考えてチーム作ってくれています。他の人よりも何倍も時間をかけてチームのことを考えてくれているので、自分たちもついていかないといけないです。3年生なので引っ張っていかないといけない立場ではあるんですが。4年生や2年生の創哉が、しっかりチームに貢献してくれているところで、チームスローガンの「Commit」を体現できていることが良いと思います。

飯見 今は身体作りの期間で、辛いメニューをまたもう1回やり直そうということでやっています。文句は言いつつも、全員しっかりやります。何回も「ブレインとして考えて」と言っていますが、それを素直に実行してくれている方もすごいなと思っています。1人も欠かさず全員がやってくれているので、すごい良いなと思います。

チームの強みを語る松下

ーーインカレに向けて準備をする中で、今のチームの状態はいかがですか

飯塚 緊張感が漂い始めています。練習一回一回が怖いというか、大事にしないと終わってしまうな、と。

飯見 去年のこの時期はまだ全然ふわふわしてて、自分は少しチームを離れていたんですけど、帰ってきてもまだ最後って感じがしないし、みんなどこかなんとなく練習している感じがありました。今年はそれを反省して、緊張感を持ってやらなきゃなって思ってやっていたら、思いの外みんな緊張し始めて。

岩村 拓未さんがドアに書いてるじゃないですか。

飯見 インカレまであと○日、とか今シーズンの練習あと○回とかをホワイトボードに書いて会議室のドアに掛けています。一個一個大事にして欲しいなと思ったら、思いの外緊張感が漂いすぎちゃって。まあ大事にしてくれているからいいと思うし、拓未さんらしい。あと、今シーズンの最初から「インカレやるぞ」っていうのをずっと言い続けて。ずっとインカレインカレって言ってて。今までそれはなかったじゃないですか。

飯塚 自分もさっき明治戦の夢見てきました。

一同 (笑)

飯塚 4-6で折り返したところを思い返してました。

飯見 ずっと考えてたからね。それがすごい今になって大事になってきています。

岩村 拓未さんが緊張感を持たせてくれてます。

松下 やっぱり今ってあと練習何回っていう時期じゃないですか。野安(共田野安、国教4=カナダ・George Eliot Secondary School)さんとかも昨日言ってましたし。この時期になると4年生とホッケーできるのも数少なくなってきますし、時間が残されていないなと思います。後がなくて、それに向けてできる限りの準備を進めていかないとなので、結果に残すために、緊張感を持ってできる限りの準備をしたいと思っています。

 ーーインカレではどのようにチームに貢献したいですか

飯塚 やることはやったので、あとはスコア、という気持ちです。自分がチームに還元できることはもうやってきて、このまま引き続きやるだけなので、インカレでは本当にゴールを決めて、アシストでもいいんですけど、得点というところでチームに貢献したいと思っています。

松下 自分は守備がストロングポイントだと思っているので、減らせる失点を減らすという、チームのマイナスを減らすという部分で貢献したいです。来年からは上級生として、もっとチームをリードしていく立場になるので、そういったことを見据えてインカレでプレーできたら良いかなと思います

飯見 自分にできることは限られていますが、プレーヤーが試合だけに集中できるような環境を作ってあげたいなと思っています。試合以外のあらゆることは全部サポートしてあげたいと思っているので、試合付近では集中してもらえるような声掛けとかもしていきたいです。1年間ずっと寄り添ってきて外から俯瞰できるのは自分しかいないと思っているので、そこは全員が全力を出せるようにサポートします。

岩村 インカレは集大成の場だと思うので、これまでの準備を発揮したいというのと、一つ一つを大切にして、絶対後悔したくないというのがあります。コーチや先輩の話を聞いていると、ここであと一歩踏み出せたら勝てたというような些細な後悔を聞く上、自分もそういう経験があるので、一つ一つのプレーを大切にして、「あの時こうすればよかった」ということがないように、強い気持ちで挑みたいと思います。

今季は主務としてもチームに貢献している岩村

 ーー自分以外で注目の選手はいますか

松下 ベタなんですけど、清水朝陽(社4=北海道・武修館)さん。朝陽さんの今年一年にかける思いっていうのは、今年は一味違うというか、一試合一試合の気合いの入り具合が違って、それはトレーニングの部分を見ていてもすごく感じる部分です。今年は体調を崩すこともありながらチームを引っ張ってくれているので、そんな彼のスコアだったりがめつさ、泥臭さ、絶対に諦めないプレーに注目してほしいです。

岩村 朝陽さんと同じくらいの粘り強さで一緒チームを引っ張ってきてくれた野安さん。野安さんは去年はおちゃらけたキャラで、練習中に叫んだりしていたのですが、それではチームが締まらないということで、今年からチームのためにも人が変わりました。チームのことを第一に考えてやっている人なので、氷上でも粘り強いディフェンスで、相手と自分が一緒に倒れてもしっかり付いて行ったりと、粘り強い姿勢がチームを引っ張っていっていると感じるので、その粘り強さには注目です。

飯見 背番号3番の鈴森大洋(基理1=東京・國學院久我山)くんです。入ってきた時、最初はどうなんだろうって正直なところ思いました。高校はメインがバスケで、ブランクがあるなという感じで見ていて、試合で通用するまで時間がかかるかなと率直に思っていました。でも秋に入り外から見てて特に安心感が増しましたし、一番成長速度が早いです。衝撃だったのは、バッティング。スラップショットを連発で打つのを見て、可能性を感じましたね。まだ練習でもあまりバッティングを見ていないんですけど、それ出来るんだ、みたいな。もしかしたらインカレで一番大事な時に点を決めてくれるかもしれないという大穴です。結構シュート打つよね。

飯塚 ポジショニングのセンスが良いですよね

飯見 注目して見てほしいなと思います。

飯塚 杉本(杉本 大洋、スポ1=埼玉栄)でいきたいけど、14番田中(田中 佑志、スポ1=北海道栄)にします。杉本は多分やってくれるんです。ハードワークしてくれるし、今年のチームの悪いところを隠す、良いところを見せるようにする、という時に一番良いところが見えているのが杉本。だからあいつはやってくれるでしょ。あえて注目は田中選手で、彼が一皮剥ければもう勝てます。

飯見 調子いいもんね、最後の方。

飯塚 彼も杉本みたいに悪いところを隠して良いところを見せるような今のやり方だし、彼のメンタリティが僕は好きです。何くそ精神も持っているし、反骨精神もあるから、それがいい方向に向けば、ああいう大舞台で「あいつがラッキーボーイだったな」というようになれる選手だと思うので。彼のハッスルプレーに注目してほしいです。

ーー飯見さんは最後のインカレとなりますが、特別な気持ちはありますか

飯見 1年生の時に初めてインカレを経験して、正直自分の中で「ホッケー辞めたいな」と思ったんです。全然4年生とも仲良くなかったですし、全然思い入れもなく、今の1年生とは大違いで何となくの気持ちで全く緊張感もなくやっていました。それでも4年生が必死にやっているのに感動して、全然それまで思い入れもなかったのですが、それでも涙が出そうになるくらい感動したし、4年生ってかっこいいなと思い、それを経て頑張ってみようと思いました。あの時のかっこよさがあるので、今の下級生にもそれだけのかっこいい姿を見せたいです。後輩だけではなくて、4年間ずっと一緒にやってきた同期のためにも、やれることは全てやりたいし、今まで悔し涙しか流していないので、最後は笑って終われるように頑張ります。それだけ特別な思いが強いです。何年ぶり?とんでもない年数ぶりなので。去年絶好のチャンスを逃しましたし。

飯塚 とんでもない年数ぶりを更新できる年代ではなかったかな。逆に今年は、その年代かなって思ってます。

ーーインカレでの目標をずばりお願いします

飯見 優勝しかないです。それは全員最初から言っていたし、そのためにやってきたので。

飯塚 まず明治戦じゃないですか。勝てれば結構勢いに乗るというか、疲れは一回吹っ飛ぶと思うので。だいぶ流れに乗っていけると思うので。

飯見 信じているし、正直現実味がなかった選手もいたと思いますが、意外と現実に戻せられたので。ここはもう最後優勝まで向かって一直線で、あとちょっと。行くしかないです。

インカレへの思いを語る飯見

ーー最後に、インカレ優勝に向けて意気込みをお願いします

飯塚 まず絶対優勝、明治を倒すということは絶対に実現させますし、そのために自分ができることは後の期間とインカレの氷上でやっていくだけだと思うので。やることは明確です。

松下 勝つというのは大前提として、自分が勝つために何ができるか考えたら、自分は守備だと思っているので、自分が出ているシフトは無失点で抑えることを目標に頑張りたいです。

飯見 自分は最後なので、本当にやれることは少ないですけど、18年間アイスホッケーというスポーツをやってきて、「この時のためだったんじゃないかな」と思えるくらいの気持ちはあります。それだけの仲間に恵まれたなという幸せや全ての思いをインカレという舞台でぶつけられたらなと思います。それをこれまでお世話になったコーチや親、そして何よりこの1年間ついてきてくれた後輩たちや同期に最後恩返しできればなと思います。

岩村 拓未さんからもあったように、インカレという舞台は、4年生にとっては、人によっては十数年続けてきたアイスホッケー人生の最後の舞台になる可能性があります。だからこそ、そこで優勝という一番いい形で終わりたいという思いが強いです。そのためにも、覚悟を持って体を張ったプレーをしたいと思っています。

ーーありがとうございました!

(取材 栗原礼佳  編集 森若葉、栗原礼佳)

◆飯見拓未(いいみ・たくみ) ※写真右から2人目

 2004年(平16)1月21日生まれ。165センチ。東京・早実高出身。社会科学部4年。総合主将・アナリスト。分析し、選手をサポートする姿に注目です!

岩村晴翔(いわむら・はると) ※写真右

  2004年(平16)6月6日生まれ。165センチ。東京・早実高出身。社会科学部3年。主務FW。小柄ながら相手を翻弄する姿に注目です!

松下仁 (まつした・じん) ※写真左から2人目

 2006年(平18)1月18日生まれ。178センチ。東京・早実高出身。商学部2年。副務DF。リンクを駆け回りプレーする姿に注目です!

飯塚創哉 (いいづか・そうや) ※写真左

 2005年(平17)9月29日生まれ。169センチ。東京・早実高出身。教育学部2年。FW。チームを引っ張りゴールを次々と決める姿に注目です!