【連載】フィギュア部門新体制特集 新入生インタビュー 第9回 宮本明依

特集中面

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 今年度、早大スケート部フィギュア部門には10人の新入生が入部した。そこで一人一人にインタビューを行い、競技歴やスケートへの想いだけでなく、大学生活や今後についても話を聞かせてもらった。今後10回にわたり連載する。第9回は、宮本明依(ス1=富山中部)。

※この取材は9月12日に行われたものです。

競技について

――スケートを始めた時期ときっかけを教えてください

 小学4年生のとき、友達と一緒にスケートに遊びに行ったのがきっかけです。氷を押すと滑らかに進んでいく感覚に虜になり、選手のように華麗にジャンプやスピンをしてみたいと思い、本格的にスケートを始めました。

――競技の魅力は何だと思いますか

 フィギュアスケートは、自分だけの音楽や振り付けを通じて、個性を表現できるところが魅力だと思います。演技を通して芸術的な美しさを全身で表現できるのも、この競技ならではの素晴らしさです。

――ご自身の強みと、逆に強化したいところを教えてください

 強みは、身長が高いことを生かして、ダイナミックで迫力ある演技ができるところです。一方で、スケーティングのスピードをさらに高め、加点につながるジャンプの完成度を上げていきたいと思っています。エッジの使い方を上達させ、スケーティングスキルを向上させたいです。

――どんな選手になりたいか、選手としての理想はありますか

 曲の世界観を細部まで表現できる選手になりたいです。ジャンプやスピンといった技術面はもちろん、スケーティングそのものでも観る人を魅了できるような選手を目指しています。

――早稲田大学のスケート部に入部した理由、経緯を教えてください

 小学生の頃から続けてきたスケートを、大学でもさらに磨きたいと思い、入部を決めました。中学・高校にはスケート部がなかったため、大学では仲間と共に切磋琢磨しながら活動できる環境に魅力を感じたことも大きな理由です。

――フィギュア部門主催のアイスショーWASEDA ON ICEにはグループナンバーもありますが、今までグループナンバーなどを滑った経験はありますか

 高校まで所属していたクラブの発表会でグループナンバーを滑った経験はあります。ただ、長い期間をかけて大人数で練習する機会はこれまでなかったので、今回のWASEDA ON ICEでの挑戦をとても楽しみにしています。

――早稲田の先輩や同期ともう交流しましたか。あるいはもともとお知り合いの方などいらっしゃいましたか

 もともと知り合いはいませんでしたが、部練や合宿を通じて先輩や同期と交流を深めることができました。困ったときには優しく助けてくださり、会話もとても楽しくて自然と笑顔になれます。早稲田のフィギュア部の仲間に恵まれていると日々感じています。

――早稲田大学フィギュア部門への印象は

 トップレベルの選手が多く集まる強豪チームという印象です。技術の高い演技を間近で見ることができ、自分ももっと努力しようという気持ちになります。部員のみなさんが真剣に練習に取り組み、お互いに切磋琢磨している姿から、刺激を受けることが多いです。

大学生活について

――趣味は何ですか

 ドラマ鑑賞が趣味です。観ていると、ドラマの主題歌の中に「スケートのプログラムで使ってみたい」と思う曲がたくさん見つかります。ほかにはテーマパークに行くことも好きで、関東に来てからはディズニーに行ける回数が増えたので、嬉しいです。

――大学生活には慣れましたか。大学に入って今までと変わったことはありますか

 徐々に大学生活に慣れてきました。大学での勉強は、自分の興味のあることを深掘りすることができるので、楽しいです。大学生になり、自分で決定をする場面が増えたことで、以前より決断力が身についたと思います。

――富山県出身とのことですが、関東に来られたのはいつ頃ですか。何か環境に変化はありましたか

 関東に来たのは3月の終わり頃です。大学進学を機に一人暮らしを始め、自由が増えた一方で、自分でやらなければならないことも多く、大変さを感じることもありますが、充実した毎日を送っています。スケート環境の面では、富山県のリンクは冬場のみの営業だったため、地元では半年以上練習できない時期がありました。関東では通年営業のリンクが多く、夏場も練習できるので、とても恵まれた環境だと感じています。

――スポーツ科学部ですが、何を勉強しているのですか

 1年生の間は、スポーツと他の分野との関わりについて幅広く学んでいます。特にスポーツ科学部では英語スピーキングに力を入れており、高校までの学びとは異なる視点で英語を身につけられるのが特徴です。2年生からはコース選択があり、私はスポーツとビジネスの関わりやスポーツ医学の分野に進み、さらに深く学んでいきたいと考えています。競技を続ける中で体のケアやトレーニングの重要性を強く感じているため、大学で学んだ知識を自分自身の競技に活かしていきたいです。

――面白かった授業などはありますか

 「スポーツ方法実習」のバスケットボールの授業が特に印象的でした。試合形式で進められる実践的な授業だったのでとても楽しく、仲間との絆も深まりました。また、「スポーツ英語」の授業も面白かったです。英語の論文を基に授業が進められる形式で、自分の興味に沿ったテーマを扱えることが多く、英語力はもちろん、スポーツ外傷に関する知識も深めることができました。

――学業とスケートの両立は大変ですか

 春の頃は新しい環境に慣れていなかったため、両立に不安を感じることもありましたが、大学生活に徐々に慣れる中で、学業とスケートの時間配分を工夫できるようになってきました。ただ、1年生は授業数も多いため、理想とするほど十分に練習できていないのが現状です。これからはより氷上での時間を増やし、学業との両立をさらに高めていきたいと思っています。

――スケート以外で、大学4年間でやってみたいことはありますか

 海外留学に挑戦してみたいです。高校生の頃、オーストラリアに短期間ホームステイをした経験があり、その時に自分の価値観が大きく広がり、とても楽しかったことを覚えています。大学生になり、春休みや夏休みが長くなったので、その期間を活用して海外に行きたいと思っています。英語の勉強に力を入れるとともに、留学先では現地のスケート文化やトレーニング方法にも触れ、自分の競技にも役立てたいです。世界中の人々とコミュニケーションをとりながら、スケート面でも人間的にも成長できればと思います。

今後について

――今シーズンの目標を教えてください

 今シーズンは、東日本インカレで入賞し、全日本インカレに出場することを目標としています。そのために、ジャンプの種類を増やし、レベル4のスピンを習得して基礎点を伸ばしたいです。また、自分の課題であるスケーティングのスピードを向上させるために、地道に技術を磨いていきたいと思っています。前シーズンは受験のためにスケートをお休みしていたので、その遅れを取り戻すべく、質の高い練習を積み重ねていきたいです。

――今シーズンのプログラムを教えてください。また、どんなところに注目してほしいですか

 今シーズンのプログラムは『タイタニック』です。タイタニック号の華やかな出航から、やがて訪れる沈没の悲劇までを表現しています。沈没という絶望の中でも「希望を持ち、悔いのないように今を生きる」という主人公の思いを、演技を通じて伝えたいです。特に終盤のコレオシークエンスでは、主人公が抱える切なさと同時に芯の強さを表現していますので、注目していただけたら嬉しいです。

――大学4年間の目標、ビジョンを教えてください

 大学4年間の大きな目標は、全日本インカレで表彰台に立つことです。そのために、全種類の2回転ジャンプを習得したいです。また、在学中に5級を取得したいと考えています。大学生活の4年間は、好きな時に好きなだけスケートに打ち込める貴重な時間だと思うので、一つ一つの練習や大会を大切にし、悔いの残らないようスケートを心から楽しみたいです。スケートを通じて培う挑戦心や努力する姿勢を将来にも繋げていきたいと思っています。

――ありがとうございました!

(取材・編集 荘司紗奈)

◆宮本明依(みやもと・あい)

 富山県立富山中部出身。スポーツ科学部1年。所持級はシングル4級。