第7回に登場するのは渋谷泰生(スポ4=静岡)。3年間の悔しさを糧に4年生で正遊撃手の座に君臨した。勝負強い打撃や自慢の快足で春にはチームの3連覇に大きく貢献する。最後の神宮での大舞台に向けて闘志を燃やす渋谷に今季の振り返りや野球部で過ごした4年間などさまざまなことを伺った。
※この取材は10月22日にオンラインで行われたものです。
球際のプレーが課題

――ここまでの東京六大学秋季リーグ戦(リーグ戦)のチームの戦いを振り返っていかがですか
秋は4連覇を目指す中で、いろいろなことに取り組んできたのですが、やはり結構難しい試合だったり、なかなか自分たちの思うような展開にならなかったりすることが多かったです。法大戦、明大戦と負けてしまって、目の前で明大の優勝を見ることになって、すごく悔しい気持ちはあります。
――日曜の明大戦、目の前で明大の優勝が決まるという悔しい展開でしたが、その瞬間の気持ちとしてはいかがでしたか
自分たちは明大戦の勝ち点を取らないことには優勝の可能性がなくなってしまうっていう状況だったので、1戦目負けた後、2戦目絶対取るという気持ちで試合に臨んだのですが、なかなか0-1で相手のピッチャーも良くて、打ち崩すことができなくて、そのままズルズルと最終回まで相手投手を捉えきることができませんでした。目の前で優勝を見ることになって、ほんとに悔しい気持ちというか、自分たちが目指してきた4連覇がついえてしまったんだなっていうのを目の前で、自分の目ですごく実感しました。
――チームとしては4連覇を逃したっていう形ですが、ご自身のプレーを振り返っていかがですか
個人としてもなかなかバッティングの方で結果を残すことができずにずっと1割、2割台ぐらいで、なかなかチームに貢献することができなかったので、そこは本当に自分個人としてもすごく悔しい気持ちでいっぱいです。
――序盤でヒットが出ずに苦しんだのかなと思うのですが、リーグ戦前半について振り返ってみていかがですか
前半の東大戦はヒットが出なくて、バンドだったりバスターだったり、自分に求められてる役割というところで、最初バント失敗して自分の中で流れに乗れなかったというか、自分が必要とされてるのはバントやバスターといったところなので、そこをしっかりやりきれなかったところが、ズルズルと今の結果まで続いてしまってるのかもしれないと思います。
――立大2回戦のヒットを契機に安打数も増えた。自分の中で感覚が戻ってきてるなという感じはありますか
感覚としてはずっとあまり良くなくて、なかなか難しいとこではあるのですが、いろいろな工夫だったり、いろいろなことを試しながら、毎日少しずつ感覚を取り戻せるようにやってるところです。なので、今度の最後の早慶戦に向けてもしっかり感覚をつかめるようにやっていきたいなと思っています。
――立大2回戦のヒットは渋谷選手としては珍しくガッツポーズが出ました 。ヒットが出てほっとした部分はありましたか
やっぱりずっとヒットが出ていないと気持ち的にも苦しいですし、チームに貢献できてないというか、チームに迷惑かけてるっていう気持ちもあったので、あそこで1本出たりすると、気持ちも楽になって、その後の試合の打席にもいい影響、いい流れを持ってこれたかなと思っています。
――今季は長打も多いと思うのですが、春との違いや意識されてることはありますか
特に何か意識してるわけじゃないんですけども、自分としてはしっかり振り抜くということができているかなと思っています。それが結果として左中間に長打になったり、強い当たりを打ててるのかなっていう風に思います。
――盗塁は秋は今のところ0。振り返っていかがですか
そもそも自分がヒットやフォアボールで塁に出る数が少なくなっていて、そこでリスクを冒して盗塁するっていう場面もなかなか少なくなってるというのが現状なので、もう少し塁に出る回数が増えたりしたら、そこは盗塁も狙っていきたいなと思っています。
――守備についてここまでプレーを振り返っていかがでしょうか
守備についてはこの秋はエラーをしないことを目標にあげてたのですが、なかなかそれも難しくて、結局エラーは何個かしてしまいました。エラーに関しては自分の実力不足なので仕方ないところがあるのですが、ギリギリのプレーをアウトにできなかったりしたところも何個かあって、相手に嫌な流れを持っていかれたところもあったので、そういう球際のプレーが、まだまだ自分には足りなかったのかなと思っています。
最後まで諦めないことの大切さを実感した4年間

――野球部で過ごした4年間を振り返ってみていかがですか
本当に充実した4年間だったと思っています。1年生、2年生の時は練習のサポートでチームを支えてきて、いろいろと下積み時代というか、なかなか苦しい思いもしたんですけれども、3年生、4年生になって、神宮も経験させてもらって、ほんとにいい思いをさせてもらったと思います。この4年間で、1年生、2年生、3年生の時は早稲田大学の野球部の立ち位置というのも、考えることもなかったんですけれども、4年生の春に全日本大学選手権で東海大学に負けた時に、色々な声を聞いたというか、いろいろな世間の人たちの意見も耳に入ってきました。そこから早稲田の野球部っていうのは、大学野球を代表する存在でなければいけないんだなっていうのは実感しましたし、みっともない姿というか、情けない姿はなかなか見せてはいけないっていうところもとても感じました。
――スタメン出場は4年生から。早稲田を背負って戦うことに対するプレッシャーはありましたか
3年の秋に初めてベンチに入らせてもらって、野球部全員を代表してベンチに入るっていうプレッシャーというか、責任感は感じましたけれども、スタメンになってレギュラーとして神宮に出るっていうのは、もっと責任を感じました。みんなベンチ入りだったり、レギュラーを目指して1年生から4年生まで全員努力を重ねてる中で、代表として出させてもらっているので、情けないことはできないですし、そういういろんな部員の思いも背負って戦わなければいけないというのは、すごく頭に入れてやっていました。
――3年秋のベンチ入りまで心折れずに頑張ってこれたことの要因は
やはり神宮で野球をしたいっていう思いをずっと持っていたからだと思うんですけど、毎回リーグ戦になると応援部の方がすごく応援してくださったり、観客の方が盛り上がったりする姿っていうのを、スタンドから応援する立場ではあるんですけども見ていて、毎試合見るごとにやはり自分はグラウンドに立ちたいなっていう思いを毎回抱いていました。そこでモチベーションを保つことができたかなっていうのは思っています。
――この4年間を通じて、ご自身で1番成長したなと思う部分はどんなところですか
自分としては守備がずっと課題で、いろいろな人に送球を教えてもらったり、守備を教えてもらったりしながら、今はショートを守ることができてるんですけども、そういう技術のところは4年間頑張ってきました。この4年間で自分の中で得たものとしては自分の中で決めたことを諦めずにやれば、結果がついてくるんだなっていうのはすごく実感しました。それは守備の話になるんですけども、ずっと送球が良くなくて、いろんな試行錯誤をして、それでもダメでっていうことの繰り返しだったんですけども、諦めずに努力を続けたことで、今の自分の立場を得ることができたので、最後まで諦めずに取り組むことが大事だなというのは学びました。
――4年間で1番印象に残っていることや思い出に残っていることを教えてください
思い出は4年生の春のリーグ戦で優勝したことが1番思い出に残っています。2連覇して、前の先輩たちが春秋と連覇して迎えた春のシーズンで、優勝して3連覇することを目標にやっていました。去年のチームと違って、打力がなくなったというところで、守備と走塁に重きを置いてみんなで練習してきたんですけども、自分たちで作り上げたチームで春に優勝することができて、とても嬉しかったのが思い出に残っています。
早慶戦ではチームの完成形を見せたい
――ここから早慶戦に向けて伺います。早慶戦に向けて現在はどんなことに取り組まれていますか
明大に負けてもう優勝はなくなってしまったんですけども、最後の早慶戦に自分たちの完成形を持っていくというところを目標にしてやっています。チームが始まった当初から自分たちで決めていた決まり事というのをしっかり徹底して、最後の早慶戦を完成した形で迎えて、3年生以下に自分たちの最後の姿をいい形で見せれたらいいなと思っています。
――最後の早慶戦ということになりましたが、どのような活躍を見せたいですか
早慶戦では自分が今まで頑張ってきた守備の面でエラーせずに、球際に強いプレーで守備から流れを作っていきたいという風に考えています。
――早稲田のユ二ホームを着て神宮でプレーすることも最後。活躍を見せたい人はいらっしゃいますか
自分は家族に見せたいなと思います。15、16年間ぐらいにわたって、自分の野球生活をサポートしてくれていたので、最後の早慶戦で活躍している姿を見せたいです。
――ご自身の早慶戦での注目してほしいポイントを教えてください。
やはり自分は守備の完成形というのを早慶戦で持っていきたいと思っているので、守備を見てもらいたいです。
――早稲田の中で早慶戦のキーマンになると思う選手っていうのはどなただと思いますか
自分は田村(康介、商4=東京・早大学院)を挙げたいかなと思います。大舞台で力を発揮する選手だと思うので期待しています。
――最後に早慶戦に向けて意気込みをお願いします
自分たちは優勝を逃して、4連覇は達成できなかったですけれども、早慶戦でチームとしての完成形を持っていって、早稲田の野球というものをお見せしますので、どうぞ応援の方よろしくお願いいたします。
ーーありがとうございました!
(取材 西本和宏、編集 牧咲良)
◆渋谷泰生(しぶや・たいせい)
2003(平15)年12月2日生まれ。172センチ、70キロ。静岡・静岡高出身。スポーツ科学部4年。優勝は逃してしまったものの、早慶戦ではチームの完成形を見せたいと語った渋谷選手。特に守備の完成形を見せたいと語ってくれました。最後の早慶戦では渋谷選手の守備に注目です!
※写真は早スポ野球班のX、インスタグラムでもご覧いただけます。
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