主将としてラストシーズンを駆け抜けてきた小澤周平(スポ4=群馬・健大高崎)。自身の打撃の調子が上がらない中でも、チームの勝利のために奮闘してきた。最終カードを前に、今の心境を伺った。
※この取材は10月24日にオンラインで行われたものです。
本当に試行錯誤しながら

――今季ここまでを振り返っていかがですか 
 うまくいかないことが多いシーズンだったのかなと思いますね。春も思い通りにいかないことが多かったんですが、なんとか立て直してできてはいたんですけど。秋に関してはやっぱり他のどのチームも力をつけてきているので、そこで力負けをしてしまったという印象はあります。
――開幕前にはチームとして声に力を入れているというお話がありました 
 4年生中心にいい声が出ていると思っていて。もう1個何か欲しいなとなった時に、みんなでシートノック前に集合して、そこからもう1回エンジンかけてやっていこうみたいな話をしました。結果負けてしまったんですが、それまでより声でみんなの力は発揮できていたかなとは思います。
――序盤から順番に振り返っていきます。東大戦では安打が出ませんでしたが、調子はいかがでしたか 
 やっぱり結果を見て分かる通り、全然ダメだったんですが、その中でどうやってチームに貢献するかだったり、どうやったら勝てるかということだけを考えてやっていました。そういった面では、チームをまとめることに集中して、守備でもしっかり守ることを意識して試合はできていたのかなと思います。
――立大戦、法大戦からは複数安打も出始めました。変わったことはありましたか 
 本当に試行錯誤しながらずっとやっていました。まだ本調子ではないんですが。素振りでバットを振りまくって、なかなかしっくりくるところがなくて、全然理想とは遠いんですが、その中でも近いところを見つけて振るようにはしていました。
――序盤から波に乗り切れない展開でしたが、チーム状況はいかがでしたか 
 ああいう負け方をしていたらチーム自体が沈んでいってしまうというのが普通のチームだと思うんですが、このチームが本当にすごいのは、そこからもう1回頑張ろうというふうにみんなから声かけが出ていて。それがこのチームの良さだったのかなとは思います。
野球の神様は絶対見ている
――優勝がかかる明大戦前のチームはどういった雰囲気でしたか 
 負けたら終わりで、4連勝したらまだ希望が残るという試合だったんですが、明治は優勝がかかっていて、もう後がない早稲田は強いぞというふうに声かけをしていて。緊張することは何もないし、明治の方がおそらく優勝がかかっていて緊張しているから、自分たちはチャレンジャーの気持ちでしっかりいこうと話していたので、雰囲気自体はすごくいい感じで試合には臨めたと思います。
――明大戦は2連敗という結果でした。その時の率直な思いはいかがでしたか 
 あの時ああしておけば良かったというプレーもあったとは思うんですが、やっぱり明治が強かったなというのは一番思いました。力負けと言ったら怒られるんですけど(笑)。何か原因があったんですが、本当に明治が強かったという印象はあります。
――小宮山悟監督(平2教卒=千葉・芝浦工大柏)の言葉にもあったように、プレーしていて明大の勢いは感じましたか 
 春の早稲田は結構勢いに乗っていたと思うんですが、早稲田と対戦しているわけではないので分からないですけど、それよりも勢いはあったんじゃないかなというふうに感じていましたね。
――明大と早大の差はどこにあったと感じていますか 
 技術的なことはいろいろあると思うんですが、監督に「私生活の差だよ」というふうに言われて。明治は朝早く起きて、しっかりと全員で掃除をして、勝つためだけに集中して、徳を積んで私生活を送っているというふうに言われて。それが直接つながるかは分からないんですが、野球の神様は絶対見ていて、それが早稲田に微笑むか明治に微笑むかの差だというふうには言われました。
――今季は打率がなかなか上がらないシーズンでした。自身のプレー面全体を振り返っていかがですか 
 まだまだできたなという感じはあるんですが、その中でも1試合複数安打も何試合か打っていますし、頑張ってなんとかしようというふうにはしていたので。早慶戦は残っているんですが、最後もう1回自分の調子を戻して、集大成なので気持ちで持っていきたいと思っています。
――全体を通して印象に残っているシーンはありますか 
 立教戦(2回戦)で黒﨑将太(文4=東京・国学院久我山)が代打でヒットを打って点が入ったところです。キャッチャーには瑞樹(吉田瑞樹副将、スポ4=埼玉・浦和学院)が正捕手にいて、去年も印出さん(印出太一、令7スポ卒=現三菱重工East)がいて、なかなかベンチにも入れない状況で、それでも腐らず頑張ってやってきて。オープン戦で代打でライト前タイムリーを打った試合があったんですが、その時に別の選手が代打準備と言われていたところを、自分が「ここは将太の方がいいんじゃないか」というふうに監督に言って、結果を出してくれて。それがあって、代打として信用されて打ったヒットっていうのは、自分のことのようにうれしかったです。
勝って終わりたい

――早慶戦に向けてのお話に移ります。今シーズンは優勝が懸かっていませんが、早慶戦を前に今の心境はいかがですか 
 早慶戦はやっぱり早稲田として慶応には負けてはいけないというふうにずっと言われていますし、思っています。なので絶対に勝つつもりでいます。ベンチの横のホワイトボードに「終わり良ければ全てよし」と監督が書いたんですが、本当にそういうことだと思うので、最後は笑って終われるように絶対に勝ちたいと思っています。
――主将として臨む最後のカードになります。主将として1年間を振り返っていかがでしたか 
 頑張ったんじゃないですかね。本当にきついことが多くて、めちゃくちゃ嫌で。ずっと気持ちよく寝られないというか、練習中も周りを見ないといけないので、周りを見てできていないところばかりが目に入ってしまって、平常心で練習に臨めていないというか。ずっとイライラしていたり、そういう日が続いた中で、最後まで1年間自分ができたというのはすごく成長したと思います。その中でも、このチームだからこそできたんじゃないかなとは思うんですが、自分自身もすごく成長したなと思います。
――各選手の引退コラムでは、小澤選手の人望の厚さが伺える文章が多くありました 
 自分も結構、意外と書いてくれるんだなって。「本当に思ってんのか」と思うんですが(笑)。きつい言葉とかをいっぱいかけてきて、嫌われるわけではないですが、嫌なやつだと思われていたと思うので、そういう言葉をもらうと本当にやってきてよかったなと感じます。
――昨日のドラフト会議はどういった心境で見ていましたか 
 3人プロ志望届を出していたので、順位は関係なくみんな行ってくれればいいなと思っていました。それはかなわなかったんですが、やっぱり2人が呼ばれた時はうれしかったですし、尾瀬(雄大、スポ4=東京・帝京)はまだ2年後に目指していると思うので。あいつ(尾瀬)も今日の練習で空元気を出してやっていて、本当はめちゃくちゃ辛いだろうし、すごく目の下が赤くなっていたので、一緒に頑張って2年後にテレビの前で呼ばれるところを見たいなと思っています。
――小澤選手自身のプロへの思いはいかがですか 
 目指してやらないとレギュラーを取れないので。ただ、結構安定志向なので(笑)、もしめちゃくちゃ活躍してプロに行くとなって、そこから5年も10年も活躍できるかと言われたら、自信はないので。目指してはやりますが、相当頑張らないと指名はないと思うんですが、もしもそうなった時には少し考えると思います。
――早慶戦は同期とプレーできる最後の試合になります。心境はいかがですか 
 最後になるというのもそうなんですが、勝って終わりたいというのがやっぱりあって。対校戦なので優勝が決まっていても試合があるということで、勝って終われるのは珍しいことだと思うので。高校野球も優勝するしか勝って終われたりはしないですし。最後2勝するために、あと1週間頑張って練習したいなと思っています。
――最後に、早慶戦への意気込みをよろしくお願いします 
 最後勝って終われるように。終わり良ければ全て良しということで、勝利を目指して4年生、そして3年生以下にも力を貸してもらって頑張りたいと思います。
ーーありがとうございました!
(取材、編集 西村侑也)
◆小澤周平(おざわ・しゅうへい)
2003(平15)年7月26日生まれ。172センチ、74キロ。群馬・健大高崎高出身。スポーツ科学部4年。この日の前日は、チームメイトとドラフト会議を見ていたそう。小澤選手の予想では、巨人からドラフト2位指名を受けた田和廉選手(教4=東京・早実)は、伊藤樹選手(スポ4=宮城・仙台育英)よりも上位で指名があるかもしれないと思っていたそうです!
※写真は早スポ野球班のX、インスタグラムでもご覧いただけます。
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