23日のドラフト会議で読売ジャイアンツから2位指名を受けた田和廉(教4=東京・早実)。支配的なボールの威力が魅力の快速右腕から、伝統の一戦を前に、今季の投球、早慶戦への思いなどについて伺った。
※この取材は10月24日にオンラインで行われたものです。
ドラフト2位は想定外

――改めてドラフト2位という結果について
自分が予想していた順位よりも早く呼ばれたのでびっくりしたっていうのが感想で、本当に何が起こったかわかんない状態で呼ばれたので、嬉しかったんですけど、パニックが先に来ましたね。
――どの程度の順位で呼ばれると考えていたか
1番早くても3位かなと思っていたので、3位から5位くらいの間に選ばれれば嬉しいなっていう風に思ってたので、2位という結果は本当に予想してなかったですね。
――ドラフト会議に臨む前の心境は
ドラフトが近づくにつれて、リーグ戦の結果もついてきたので、だんだん自信はついていったんですけど、前日になると、行けなかったらどうしようとかいう不安もありました。結果的に、今は安心してるんですけど、ドラフト前は不安でいっぱいでしたね。
――ドラフトの直後の記者会見では、色紙に「一念通天」という言葉を書いた
自分がずっと好きな言葉ではあったんですけど、誰かからいただいたという言葉ではなく、調べたというか、目にして、良い言葉だなっていう風に思ったので書かせていただきました。この4年間を振り返ろうとした時に、ここまで何を考えて野球をやってきたのか考えると、野球を始めた瞬間から、プロ野球選手になりたい、そういう思いでやってきたことに改めて気づきました。1つのことを願い続ければいつかは叶うっていう言葉なので、ずっとプロ野球を目指し続けたというところに関して、「一念通天」と書かせていただきました。
――ドラフト後には、「先発で使う」と阿部監督が発言されていた。改めて目標を
まだ自分の中では、プロ野球で先発ができるほどの実力も実績もないと思っています。もちろん、早慶戦が終わるまでは、早稲田として勝つためにこの1年リリーフをしてきたので、リリーフとして頑張りたいって思っているのが第一です。早慶戦が終われば、自分自身で先発に向けた準備をしていかないといけないと思っているので、冬場の新人合同自主トレまでに球数を投げて、体力面を強化していかなければならないと思いました。目標としては中継ぎとしては、1軍で1年を通してブルペンを守りたいと思ってはいましたが、先発となると、もちろん自分には経験が全く足りないと思うので、そこをどこで培うかによると思います。1軍のマウンドで経験を積めれば1番良いことだと思うんですけど、もちろんそこにはプレッシャーや、いろんな重圧がかかると思うんで、2軍でどれだけ調整できるかわからないですけど、先発という役割に対しては自分自身結構不安な部分もあるので、目標がまだ設定できてないですね。1年目に初登板できれば十分かなと思います。本当に入ってみないとわからないと思うので、最善の準備をして、初めのアピールチャンスをしっかりつかめればなっていう風に思います。
――プロの世界に入ってまず目指したいものは
まずはファンの人から愛される選手でありたいっていうのはずっと思っていました。応援されなくなった時点でもうプロ野球選手として終わりだと思いますし、本当に応援してくださっているファンの方々がいて、自分が野球をできる環境にいるので、そういうところに感謝しつつ、ほんとに愛される存在でありたいなっていう風に思います。
――つけたい背番号は
19番っていう数字は自分の中でも思い入れのある数字なので、19番をつけたいとは思っていますが、そう上手くもいかないとは思っています。自分がつけてきた番号を振り返ると、素数の番号が多いんですよね。フレッシュで投げていた時の17番、1年でリーグ戦初めてベンチさせていただいた時も47番でしたし、今年のリーグ戦も19番。中学、高校と色々番号つけさせていただいたんですけど、自分の人生が変わる瞬間に付けたのは素数が多かったと思うので、出来れば素数を付けたいですね。
早実に行くと決めた自分を褒めたい

――田和選手にとってこの4年間は
本当に多くの人に支えられた4年間でした。下級生のときには気付かなかったサポートの量というか、応援の熱量もそうですし、いろんなことに気付かされた4年間だったと思います。トミー・ジョン手術後のリハビリ期間を支えてくれたいろんな方々もそうですし、投げられない期間に応援してくれた東京の人だけではなく、地元京都の人からの声援であったり、多くの人に支えられて自分が野球できていることに気付かされた4年間でした。
――京都の話題が出たが、田和選手は京都から早実に進学。大きな決断ですが、当時を振り返って
当時は大学で野球をすることよりも、早実で野球がしたいという思いが1番強かったです。大学で野球を続けるかどうかも自分は分からなかったので、早実で結果を出したい、甲子園に出たいっていう思いが強かったです。結果的に、早稲田で7年間野球をすることができて、野球以外のところでも色々なつながりができた、ご縁が本当にあったなっていう風に思っています。京都でずっと野球をして、そのまま大学に行くこともできたとは思いますが、東京という地に行く、行きたいと言った当時の自分を本当に褒めてやりたいなって思うぐらい、良い決断だったと思います。
――早実の同期に伝えたいことは
早実の時は不甲斐ない自分のせいで試合をつぶすことが多かったので、ほんとに申し訳無かったです。3年夏の終わり方は、もう本当に自分のせいで負けた試合でした。僕のせいで悔しい思いを高校3年間、大学4年間でしてきたと思うので、色々な思いはあったと思うんですけど、プロ野球選手になったっていう形で、早実含め色々な人に実力というか、自分の成長を見せることができていたのであれば1つ良かったな、と思います。特に清宮福太郎(社4=東京・早実)と石郷岡大成(社4=東京・早実)は早実の頃からキャプテン、副キャプテンという関係で、色々チームを背負ってくれましたし、プライベートでも仲良くしてくれました。自分が、昨日も選ばれた時に清宮なんかは本当にめちゃくちゃ喜んでくれてたので、そういう思いを背負ってプロに行くんだっていうことをずっと忘れないようにしていきたいと思います。
――ここからは今季について伺います。今季を振り返って
投手陣としては不甲斐ないシーズンでした。ここ一番の点を取られちゃいけない場面で取られることであったり、大量点を野手がくれている展開で追いつかれたりすることが目立ったのかなと思っています。野手のみんなには迷惑をかけたと思いますし、ピッチャー陣がもっと頑張れば優勝の可能性もあったと思うので、悔しいっていうのがまず1つあります。チームとして春は勝ててはいましたけど、もっともっとできた部分があったと振り返って思う部分もありますが、言っていても仕方ないので、最後、早慶戦、みんなで笑って終われれば自分は良いかなと思います。
――田和選手個人としては
春の悔しい思いをぶつけることができたのが、立教戦でした。春のリベンジを早い段階で出来たことが自信にもなりました。明治戦は悔しい部分はあったんですけど、早慶戦では絶対に点を取られない投球をしたいな、と思っています。
――ベストピッチを上げるとすれば
ベストボールを上げるとすれば、明大1回戦で小島大河(4年)から見逃し三振を奪ったボールかと思います。試合単位で良かったのは、やはり立教大戦ですね。
――球種ごとに手ごたえは
シンカーに関しては、速いボールも遅いボールも、コントロール自体も良いですし、決め球のシチュエーションでもしっかり投げ切ることができているなっていう風に思っています。ただ、ツーシームは投げているんですけど、BIG6さんとかが「田和のツーシーム」みたいな感じで取り上げていただいてるボールは、自分的にはフォーシームを投げていて、それがナチュラルシュートしてツーシームに見えているボールだったりするので面白いですね。ストレートは球速も球場表示ではあまり出ていないですけど、裏のガンでは出ていましたし、自信を持って放れています。ツーシームもコースに決められることが増えてきたなっていう風に思いますし、特にツーシームが良いとは自分では思ってないんですけど、どのボールも空振りを奪うことができています。
――ストレートのゾーンに変化はあるか
吉田(瑞樹副将、スポ4=埼玉・浦和学院)が低め低めに構えてくれてはいるんですけど、自分の中ではそこに通すっていうよりも、左右のラインを間違えることなく強いボールを投げるっていうことを意識していたので、高めにまっすぐが行った時にファウルだったり空振りが取れてるっていうのは、ほんとにこの夏やってきたことが生きてきたかなっていう風に思います。
早慶戦では清宮のホームランに期待
――早慶戦に向けて、慶大の印象は
春もそうですし、全早慶とかでも対戦している中で、勢いがあるチームだなっていう風に思っています。勢いに乗った時には、チームとして爆発力のある打線があると思うので、投手陣は、打線を起こさない、波に乗らせないっていうことが1番重要だと思います。まずは先頭バッターを切るっていうのが大事になってくるかなっていう風に思います。
――早慶戦にて期待したい選手
リーグ戦が始まる前に期待したい選手として挙げた清宮福太郎(社4=東京・早実)でお願いします。多分黒﨑将太(文構4=東京・国学院久我山)と清宮を挙げたと思うんですけど、黒﨑はしっかり打ってくれたので、清宮は最後1打席あるかないかだと思いますけど、高校時代から、大学生活でも頑張ってる姿を見てきたんで、初ヒット、なんなら初ホームランぐらいはお願いしたいなっていう風に思ってます。
――プロ入りする田和選手にとって、これが最後の早慶戦になる。意気込みを
自分が初めてベンチ入りしたのが1年秋の早慶戦だったのですが、周りを見て楽しめなかったので、今回最後っていうこともあるんですけど、応援であったり、周りの環境をしっかり見て、学生野球で神宮を埋めて野球ができるって環境は他にないと思うので、そういう状況を楽しんで放りたいなっていう風に思っています。もちろん結果は求めていくんですけど、本当に早稲田の後ろを任されるピッチャーとして、最後良い形で終わって2連勝してチーム全員で笑って終われればもういいかなっていう風に思います。
ーーありがとうございました!
(取材、編集 林田怜空)
◆田和廉(たわ・れん)
2003(平15)年5月2日生まれ。183センチ、88キロ。東京・早実高出身。教育学部4年。今季も投球回数以上の奪三振数を記録している田和選手。全球種が決め球になり得る、圧倒的なボールの強度に注目です!
※写真は早スポ野球班のX、インスタグラムでもご覧いただけます。
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