【連載】野球部 秋季早慶戦直前特集『集大成』 第4回 伊藤樹

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 23日のプロ野球ドラフト会議にて、東北楽天ゴールデンイーグルスから2位指名を受けた伊藤樹(スポ4=宮城・仙台育英)。今季は本調子でないながらもチームのため懸命に腕を振ってきた。大学最後のマウンドに向けて、伊藤樹が今、思うこととは。

※この取材は10月24日にオンラインで行われたものです。

プロの舞台へ

――ドラフト会議を終えての今の率直な気持ちを教えてください
 目指していたプロの舞台に立てること、しかも上位で選んでいただけたことは本当にうれしいです。ただ、この4年間ずっと「ドラフト1位」を目指してやってきたので、多少悔しい気持ちもあります。それでも、一番はやはりうれしい気持ちですね。

――ドラフト会議後はどのように過ごされていましたか
 多くの方から連絡をいただいたので、それに返信したりしていました。特別なことはなく、いつもと変わらない感じで過ごしています。

――東北楽天ゴールデンイーグルスの印象をお聞かせください
 若手からベテランまで幅広い世代の選手が活躍していて、非常に良いチームだと感じています。何より、早大の先輩方が在籍しているという点で親近感があります。

――ご家族もとても喜ばれていたのが印象的でした。指名を受けての思いを教えてください
 兄や父も野球をしていたこともあって、家族全員で野球に打ち込んできました。ここまでの野球人生を支えてくれた家族全員の願いが叶った瞬間だったと思います。あれほど喜んでくれた姿を見て、本当にうれしかったです。

――プロで対戦してみたい選手はいますか
 打者では、先輩の山縣秀選手(令7商卒=現日本ハム)ですね。モイネロ投手からホームランを打つなど、打撃の成長がすごいので、ぜひ抑えたいです。投手では日本ハムの伊藤大海投手です。今季の投球を見ていて本当に素晴らしい投手だと感じました。どちらも日本ハムの選手ですが、お2人との対戦は楽しみです。

――今後、プロでどんなピッチングをしていきたいですか
 真っすぐの強さや変化球のキレなど、さまざまな引き出しをバランス良く使うのが自分のスタイルで、この4年間磨いてきた部分です。その引き出しの多さで勝負したいと思います。

――プロに向けて直球の球速は意識していこうと考えていますか
 もちろん速いに越したことはありませんが、プロでは全員が速い球を投げるわけではありません。速さだけにこだわるのではなく、抑えることを重視していきたいです。

優勝を逃したのは自分の責任

――今シーズンの自身の投球を振り返っていかがですか
 結果だけ見ると失点が多く、良いシーズンとは言えません。ただ、ボールの質自体は悪くなく、春に比べてかなり良くなった部分もあります。フォームを変えたこともあって、良し悪しが紙一重の部分、仕方ない部分もあると思いますが、それだけで済まされる結果ではありません。優勝を逃してしまったのは完全に自分の責任だと思っています。

――フォーム変更や新球種への手応えはいかがですか
 フォームを変えたことで真っすぐやスライダーは良くなったので、そこは1つ収穫だったと思います。良くなかった点は、1試合投げる上での体力の低下があったのかなと小宮山監督と話しています。またフォームを変えた分、コントロールの精度が雑になってしまったかなと思っています。

――今季、後輩の髙橋煌稀(スポ2=宮城・仙台育英)投手が先発で多く投げていますが、伊藤樹投手から見て印象はいかがですか
 すごく成長したと思います。真っすぐの質、コントロール、速さも上がっていて、ストライクを取れる変化球もあり、基礎がしっかりできている印象です。大学2年生としては素晴らしい出来だと思います。これから3、4年に上がっていく中で1試合、または土曜、月曜と中1日で投げないといけない場面が出てくると思うので、長いイニングを投げるスタミナは今後の課題かなと思います。ただ、1つ1つ努力できるタイプの選手なので、あまり心配はしていないですね。

――髙橋煌投手との高校時代の思い出はありますか
 自分が3年で彼が1年だったのであまり話す機会はなく、部内リーグ戦で同じチームになった際に軽く話した程度でした。ただ大学に入ってからは仲が良く、友達のような関係です。ピッチングに関しても自分から彼にできる限りアドバイスしています。

感謝を込めて

――早稲田での4年間を振り返っていかがですか
 1、2年の頃は優勝にも関われず、自分の実力にも不安がありました。3年でようやく成績も良くなり、代表にも選んでいただきましたが、まだまとまりきらない部分もありました。もっと突き抜けられた部分はあると思いますが、それはプロでの伸びしろだと前向きに捉えています。

――この4年間で成長を感じる点はありますか
 全体的にマイナスが少なくなったと思います。安定感が増して、総合的に良くなったのが一番かなと思いますし、その「総合力」を売りにできるようにもなりました。

――小宮山悟監督(平2教卒=千葉・芝浦工大柏)との4年間で印象に残っている言葉やエピソードはありますか
 「準備が大事」という言葉ですね。プレーだけでなく、私生活や体調管理、ケアの大切さを教えていただきました。準備へのこだわりを強く学びました。

――2年間にわたって背負った、エースナンバーの11への思いを聞かせてください
 正直、それまで11番をかっこいいと思ったことはありませんでしたが、早稲田に来て初めて「かっこいいな」と思うようになりました。3年から11番を背負って早稲田の11番であることに意味や価値が自分の中で高まりました。

――早慶戦に向けてのチームの雰囲気はいかがですか
 優勝はなくなりましたが、早慶戦で勝つことは優勝と同じくらい大事な試合です。4年生を中心に、良い雰囲気で取り組めていると思います。

――最後に、早慶戦への意気込みをお願いします
 残り2試合で大学野球も終わりだと思うと寂しい気持ちです。4年間応援してくださった方々への感謝を込めて、一球入魂で投げ抜きたいです。

ーーありがとうございました!

(取材、編集 植村皓大)

◆伊藤樹(いとう・たつき)
2003(平15)年8月24日生まれ。177センチ、84キロ。宮城・仙台育英高出身。スポーツ科学部4年。仙台育英高校時代からの後輩、髙橋煌稀投手からは「舐められまくっている」と笑顔で語ってくれた伊藤樹投手。仲良しの2人で慶大打線を圧倒する姿に期待です!

※写真は早スポ野球班のインスタグラムでもご覧いただけます。

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