【連載】応援部 稲穂祭・早慶戦直前特集第1回 豊島悠×枝廣二葉 早慶主将代表対談 後編

特集中面

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 稲穂祭・早慶戦直前特集として歴史・伝統ある両部を率いる早稲田大学応援部・豊島悠代表委員主将兼連盟常任委員(教4=神奈川・桐蔭学園)と、慶應義塾体育会應援指導部・枝廣二葉代表(4年)のお二人に早スポ・ケイスポ合同でお話を伺った。早スポでの早慶主将代表対談は5年ぶりとなる。

前編はこちらから(慶應スポーツ新聞会)

※対談は10月8日に行ったものです

お互い主将と代表になり…

対談中の豊島(左)と枝廣(右)

ーー実際に主将/代表になったお互いの姿をみた時にどのように思いましたか

豊島 「もう4年か、枝廣ももう4年か、代表も代表か」と。お互いが早慶戦で指揮台にいて、彼がいるっていう。早慶戦の舞台でいつも一緒にいた彼が向かいの指揮台にいるっていうのは非常に感慨深い気持ちでしたね。

枝廣 役職名は違うけど、自分たちがまず指揮台に立つ、メイン台に立つ、エールの時に相対するというかそういう瞬間に俺はここまで登り詰めたんだというのは感じますね。

豊島 あれ難しいよな。早慶戦ってちょっと違うもんな。旗とかもあるからさ。

枝廣 入場とかあったりするからね。

ーーお互いの応援席についてどのように見ていますか

豊島 まず慶応は、試合前にスタンド内そして指揮台で声を張り上げてる、そこに女性が指揮台に立って学注したり、早稲田と違う部分が見えて、そういうのもあるんだなっていう応援のスタイルが。早稲田だけじゃないから面白い。六大学の色々特色があるから勉強になって面白いですね。

枝廣 今季は早稲田の応援席に2回行ったかな。総じて言うとめちゃめちゃ行ってるんだけど、早稲田の応援席好きで、1ファンとして早稲田の応援席好きで楽しんでますね。応援部という目線で見ても、いい意味で昔ながらの感じというか一球入魂という感じでリーダーの一突きとかに気合いを感じるし。それはチアも振ってるよね。吹奏楽とかもものすごく演奏がうまいし、3部門一つになって作ってるなっていう。あと200人いるし、迫力ある応援席だなと思ってます。

ーー逆に応援席に関してここだけは負けないというポイントはありますか

豊島 リーダーが引っ張ってる姿ですかね。

枝廣 俺らは応援システムとか選曲とかを頭使ってるというか。そこは六大学で一番大事にしているところかなって思います。メイン台に立つ人もそうだし、ブロックサブも各イニングで人員を代えてるし。その戦況に合わせた選曲も練習してるし、日頃から研究してるので、そこには自信がありますね。

4月の早慶レガッタにて写真に収まる2人(土橋俊介撮影)

ーー主将/代表として取り組まれたこと、取り組んでいることは何ですか

枝廣 部門を超えて、チアと吹奏楽団っていう部門を超えて全員が交流を深めるための機会みたいなのを結構作ってて、全部員でミーティングしたりとか、1年生歓迎会開くとか、夏合宿でもそういうイベントしたりしていて。部門超えて一つになるということは今年1個意識してるとこかな。

豊島 年間目標が「心」で。より選手に心を込めた応援をしたいと思ってて、それを行うにはまずは自分から姿で見せるようにはしてます。それを部員・新人に感じ取ってもらってから、各々も同じように意識を高めてもらうように言ってますね。それが少しでも選手に届いてればいいなと思ってます。

ーー夏合宿はどのようなものになりましたか

枝廣 実のある7泊8日になったなと思っていて。もう朝から晩まで部活漬けの日々を過ごすなんてそこ(夏合宿)しかないので。全員が部活のことだけを考えてやったし、それによって学年の中での横の繋がり、学年を超えた縦の繋がりもできて、部として一つ成長できたかなって思ってて。さっきスローガンの話あったから、自分もすると、「進」という字にしていて。いろんな意味が込められてるけど、まずは部として「進」化したいよねって思っているから。部として夏合宿を乗り越えて進化できたかなっていうのは心技体ともに思います。

豊島 合宿のリーダーの練習はそうですね。最後に地獄巡りというのがあるんですけど。それまでも結構力入れてやれて。最後はもう朝から夜暗くなるまでやって。これで勝てないはずがないというくらい結構詰め込んだ中で、下級生は着いてきてくれたんで。次は自分がそれに応えるような応援をできたらと思いますね。

枝廣 総合練習とかは。

豊島 総合練習言ってないね。総合練習はね、三位一体だからね。各パートの練習終わって、最終日に3パート一緒にやって令和7年度夏季合宿を完成させたり、野球秋季リーグ戦に繋げたりするというところで、全員で乗り越えられたというのは大きな経験だと思いますね。

今季ここまでを振り返って

この1年間の思いを語る2人

ーーこの1年間で印象的だった出来事はありますか

豊島 いくらでもあるな。全部思い出だけどね。

枝廣 ずるいなそれ(笑)。逃げたな。まあ早慶戦で勝つってめっちゃうれしくて。今年は早稲田に軍配が色々な競技において上がってるから、勝った試合はすごく覚えていて。クラシコ、ラクロス、アイスホッケーとか。勝って先に塾歌できるのはうれしいね。

豊島 でもそうなんですよ。去年勝ちすぎててこれでも負けてる方なんですよ。去年はもう無双してて。早慶戦で負けるっていうのは一味違うね。去年の秋に2連敗したんですけど野球は。結局優勝したんですけど、早慶戦で負けたというのは違う別の悔しさだね。

枝廣 体育会の選手も言ってるよね。リーグ戦とはまた違うって。

ーーここまでのリーグ戦をここまで振り返っていかがですか

豊島 僕たちは接戦で落としているのがね。実力的にはあるんですけど。本当にあと一個のところを応援の力で引き出せてないと思うので、早慶戦はもう絶対に負けられないという気持ちですね。

枝廣 俺らもリーグ戦優勝、日本一を掲げてやってきてるので。最初の2カードは惜しくも落としてしまったんですけど、東大で勝って、立教、早稲田が残ってるんで、ここで2回勝ったらまだ(優勝の)可能性あると思うので。頑張ります。 

ーー夏を経て何か応援・応援席に変化はありますか

豊島 春と一緒ということは、現状維持ということは退化って言われてて。ただただ同じようにやるんじゃなくて、負けたら「ここを変えてこう」とかそういうのを応援企画責任者と話し合って、より良い応援を作るためにはどうするべきかっていうのは考えてますね。

枝廣 そうですね、夏合宿で心技体って掲げたんで、それをこう心技体における3要素の成長が応援席で結構見られてて。学年関係なく応援は作ろうって話はしているので、1人1人の技術とか、負けてる時の気持ちとか、勝ってる時の気持ち、あとは1試合やり抜く体力っていうところで成長してるなっていう。だけど、まだまだ成長過程ではあると思うので、ここから進化していきます。

東京六大学春季野球リーグ戦早慶戦での豊島主将と枝廣代表(土橋俊介撮影)

ーー早慶戦での応援席の注目ポイントを教えてください

枝廣 それこそ今150人部員がいて、1人1人がお客さんの前に立ったりとか、いろんな応援をすると思うんですけど。よく言ってることなんだけど、150通りの応援がある。そこを楽しんで欲しいっていうのと、一つになって『若き血』作るとか、チャンパやるとかもあるので、慶應らしい一体感ある応援席には注目して欲しいですね。

豊島 早慶戦はいろんな人が来てくれるってところで、逆に変なことをしないで、いつもの早稲田の応援をするっていうのは意識してます。それこそ新人もこの夏合宿でだいぶ成長して暴れ回ってたんで。新人がいいと2年もやべえみたいな。負けてたまるなみたいな。下からこう上げてっていうのも大事ですしね。それが結構応援席いい雰囲気になってたり、そこがいつも以上に人数も多くて、お客さんに見てもらいたいとこ、面白いポイントですかね。3年生も我を捨てて全力を出す時が僕は好きです。

枝廣 以上リーダー部員の話でした(笑)

昨年の第71回早慶戦前夜祭稲穂祭での豊島主将(土橋俊介撮影)

ーー稲穂祭の意気込みを教えてください

豊島 稲穂祭は野球部も来てくださるので、普段なかなか応援とか直接見れないと思いますけど、そこで自分の思いを全面的に野球部に伝えて野球部の士気を上げて、打倒慶應でいければと思います。

枝廣 乗り込む側としても、もう打倒早稲田を早稲田の地で叫べるのも最初で最後なんで。気合い込めていきます。

ーー次の代に期待することは何かありますか、どのような団体であって欲しいですか

豊島 自分たち(下級生たち)の思い描く応援部が作れれば、それはもううれしいですね。それが大事だと思います。自分はもう来年は関係ないんで。自分たちの代で「こうする」というのをしっかり持って、それを実際に作れる応援部であって欲しいです。それを見るのも楽しみだね

枝廣 やばい1個勉強になったわ今。

豊島 そうでしょ(笑)

枝廣 どこかでこのまま受け継いで欲しいみたいな気持ちもあったけど、確かに自分たちの好きなように、もうそこはねキッパリ引退したら受け渡して。なんか迷った時には去年こうしてたよねみたいな感じで思い出して欲しいなっていう。思い出してもらうためには自分たちの代を記憶に残せるような代にして散りたいなって思います。

豊島 爪痕を残す。

枝廣 濁したくないけどな。

豊島 彼らもわかってると思うんですけど、伝統は守りつつ、自分たちの求める応援を作る

枝廣 そうだね、伝統は大事にして欲しいね。

ーー早慶戦への意気込みをお願いします

豊島 もう本当に負けられないっす。勝ちます!

枝廣 もう早稲田を倒すためだけに4年間生きてきたので、本気で全てをかけて戦います。

ーーありがとうございました!

(取材・編集 早稲田スポーツ新聞会 土橋俊介、慶應スポーツ新聞会 岩切太志、工藤佑太、小野寺叶翔、中原亜季帆)

 

◆豊島悠(とよしま・ゆう)

神奈川県・桐蔭学園高出身。教育学部4年。早稲田大学応援部代表委員主将。令和7年度執行委員唯一のリーダー部員としてここまで駆け抜けてきた豊島主将。指揮台での姿は同期やOBからも高く評価されている、折り紙付きの存在。最後の最後まで『強人』ぶりを見せつけます!

 

◆枝廣二葉(えだひろ・ふたば)

東京都・桐朋高出身。文学部4年。慶應義塾大学体育会應援指導部代表。3年時には野球応援を取り仕切る「野球サブ」という役職で活躍。最高学年になると、同期の推薦により満を持して代表に就任。代表として「進」というスローガンを掲げる應援指導部をけん引している。