最終回を飾るのは早大アタックの中核を担うCTB野中健吾主将(スポ4=東海大大阪仰星)、CTB福島秀法(スポ4=福岡・修猷館)、SO服部亮太(スポ2=佐賀工)の3名。『荒ぶる』獲得のためには彼らの躍動が必要不可欠であることは間違いない。それぞれが持つラグビーに対するこだわりに加え、BKラインで密にコミュニケーションをとる3名だからこそわかるお互いに認めている強みなどざっくばらんに伺いました。
※この対談は9月20日に行われたものです。
ーー左隣の選手の他己紹介をお願いします
野中 服部亮太です。持ち前の明るさと可愛さを兼ね備えて、私生活では明るいですし、グラウンドでは情熱を溢れさせながらラグビーをしていると思います。非常に愛されている人間かなと思います。
服部 福島秀法です。体のことに気を使っていて、体重が増えすぎたらバイクを漕いでいたり、実はストイックなところがあります。しっかりグラウンドに立った時には、普段おちゃらけているところはあるんですけれど、ラグビーでは真剣になって、周りに言うところは言うというか、そういったオンオフがはっきりしている人です。
福島 彼は野中健吾です。3年目までは一緒に練習だるいなって言う感じだったんですけど、今年はキャプテンでしっかりチームを引っ張って、僕もそれに引っ張られて、頑張っているところもあるし、頑張っていないところもあるし(笑)。しっかり者でキャプテンって感じです。

対抗戦・日体大戦にてパスを受けるSO野中(撮影:安藤香穂)
ーー3人の共通の思い出があれば教えてください
福島 サユリワールドじゃない?(笑)
服部 動物園みたいなところで、像の王国みたいなところで、像が色々ショーをしてくれたり、餌をあげれたりする所です。
福島 あともう1人いたけ?前田麟太朗(スポ2=神奈川・桐蔭学園)ってやつがいたんですけど。
ーーお互いにプレー以外の私生活の様子で尊敬できるところを教えてください
野中 服部に関しては睡眠時間が人よりもかなり長いので、いつでも寝ているなって言うところは尊敬できます。
服部 福島秀法に関しては、さっき言ったみたいに、ご飯を食べすぎたらバイク漕ぐみたいに、ちゃんとしているなと思います。
福島 健吾は大人しそうに見えて、ご飯とかお酒飲んだりしても盛り上げてくれて、唐揚げとか食べてなかったら無理やり唐揚げを食べさせたり(笑)。すごい盛り上げ上手なので、そこが結構尊敬してます。楽しいみたいな。
ーー自分だけが知っている他の人の秘密は何かありますか
野中 流せないことばっかですね(笑)。秀法は実は自分のことをめっちゃかっこいいと思っていて。みんなからいじられるんですけど、「いや、そんなことない」って言っていて。でも自分がイケてると思っていることは知っています。
ーー福島選手は自覚はありますか
福島 まあ否定はしないですかね。
服部 全然ないな。秘密ごとがなくて。オープンすぎてみんななんでも知ってるって感じです。

対抗戦・日体大戦にてインゴールへ走るCTB福島(撮影:村上結太)
ーーそれぞれのグラウンド外でのラグビーとの関わり方について教えてください
福島 俺はグラウンド集中型だから、グラウンド外ではそこまで気を遣ってはいないかな。
服部 僕は結構映像見たりとかしていて。
福島 別にしとらんやろ(笑)。
服部 ご飯食べる時も映像とか見ていて。アタックディフェンスの動画を見て、もっとこうすればよかったっていうのを思いながら、それを次の練習に活かすのがルーティンになっていて。練習終わった後にしっかり振り返りをしています。
野中 僕は常にチームのことを考えながら生活していると思います。僕は結構スイーツ好きなんですけど、よし我慢しようと思ったり。我慢できる時もあれば我慢できない時もあるので、そこらへんを葛藤しながら生活しています。
ーーマイブームは何ですか
服部 なんかあるかな。
福島 何もないよね。
服部 みんなで世界陸上を見るぐらいかな。
ーーオフの日の過ごし方を教えてください
福島 まあサユリワールドかな(笑)。
一同 (笑)。
服部 どこかに行くことが多いよね。2日前ぐらいにもディズニーに行ったりして。基本的に健吾さんがどっか行ったり何かしようっていうタイプなので、オフの日はみんなでどっか行っていますね。
野中 決めるのに2時間以上かかるので。
福島 決まってからもなかなか動き出さなくて。シャワー入らなかったり。
野中 それはイライラします。
ーー座右の銘はありますか
福島 ないね。
野中 「なんとかなる」かな。
服部 たしかに「なんとかなる」はあるかも。
ーーそれぞれのプレーですごいところを教えてください
福島 服部はキックとキレのあるステップですかね。健吾はフィジカルだけじゃなくてキックもパスもめっちゃ上手いっていうところかな。
服部 秀法はフィジカルはもちろんなんですけど、当たった時のオフロードだったり、ボディーバランスがうまいと思います。健吾さんはパスとキックもそうなんですけど、戦術理解というか、どこにボールを持って行けばいいのかをしっかり分かっていて、僕もそこに声をかけてもらえるので、とてもすごいと思います。
野中 服部は可愛い感じからの鋭いパス。そのギャップがすごいですかね。そんな感じですかね。
福島 俺のは?待ってるのに(笑)。めちゃくちゃ気持ちいいところなのに(笑)。
野中 秀法は絶対できないよなってタイミングのオフロードパスだったり、すごい蹴り方なのに意外といいキックをするっていうギャップもあるのでその意外性がいいなと思います。
福島 気持ちいい(笑)。

対抗戦・立大戦にてランで仕掛けるSO服部(撮影:安藤香穂)
ーー他の二人には負けないところはありますか
服部 僕はキックと足の速さは負けないかなと思います。
福島 俺はオフロードかな。
野中 僕はキャプテンシーですかね。
服部福島 ほう。深いな。
野中 まあキャプテンだからな。
服部 ダサい(笑)。
ーー昨年のチーム佐藤と比べて、チーム野中の違いはありますか
服部 昨年と比べて一体感があるというか、試合に出ているメンバーも出ていないメンバーも1つになって試合をしているなっていうのは感じていて。それは自分がベンチの時もグラウンドにいる時も感じるので、今年の強みかなとは思います。
野中 今年に関しては昨年に比べても純粋にラグビーに対して真面目だなと思いますし、昨年よりもみんなが目の前のことに一生懸命頑張っているなといつ印象があって、そういうところは昨年と違うのかなと思います。
福島 健吾自身、健吾が引っ張るというよりかはみんなで頑張ろうというキャラなんで、コミュニケーションも円滑だし、みんなが思っていることを言っている感じですかね。
ーー春は野中選手はキャプテンになった最初のシーズンでしたが、どんな心持ちでしたか
野中 最後は絶対に日本一取ってやろうっていう気持ちで臨んでいますし、全員で成し遂げたいなという気持ちで今も過ごしています。
ーー春は試合にあまり出場できない期間も長かったですが外からチームを見ててどうでしたか
野中 春シーズンなんでチームとして取り組んでいるフォーカスポイントの成果がしっかり出ているなという印象と、外から見ていろいろと足りないなと思う部分もあって、その都度リーダーに対して適切な声掛けをしていました。その中でチームの向上に努められたのかなと思います。
ーー福島選手は春シーズンはずっと試合に出場されていましたが、手応えとしてはいかがでしたか?
福島 結構あまりよくないシーズンで。帝京や明治で自分が目立たなければならないのに、強い相手に対して自分が目立つことができなかったので、そこは不甲斐なかったです。
ーー服部選手は2年生になって司令塔としてどんな成長があったと自分で思いますか
服部 昨年は先輩たちに頼っている部分がかなりあって。でも今年からは自分がチームのアタックとかを引っ張らないとチームが勝てないということが分かって、それは春も感じましたし、夏もしっかり感じたところです。普段の練習からもアタックに関してはリーダーシップを持つというか、自分が率先して引っ張っていると思うので、そこは秋に向けてもしっかり継続して、最後の大学選手権の決勝まで続けたいなと思います。
ーー2人から見て野中はどんな主将ですか?
野中 プラス面だけですよね?(笑)。
福島 昨年の健次くんみたいな感じとは少し違って。みんなを巻き込むというか、みんなで一緒に頑張っていこうというリーダーで。オンオフもしっかり分けられていますし、みんなからも親しいし尊敬もされているキャプテンだと思います。
服部 オンオフがしっかりしていますし、誰にでもいいことはよくて、悪いことは悪いと言えるキャプテンで。それをいうことによってチームが1つになっていると感じているので、素晴らしいキャプテンだと思います。
野中 気持ちいいですね(笑)。
負けないという情熱は誰にも負けない(野中)

ーー天理大、明大に連敗を喫した中で帝京大には勝利しました、どんな成長がありましたか
野中 最後の帝京大戦はチーム全体で同じ方向を向けたのがあの結果につながったのだと思います。僕自身、春の復帰戦ということで、チームを1つの方向に向かせることにフォーカスして臨んだ試合だったので、それが結果になってよかったと思います。
ーー春夏シーズン通して自分が一番よかったと思う試合を教えてください
福島 僕は春の京産大戦ですかね。健吾と服部といった普段一緒にやっているメンバーがいなくて、自分が頑張らないとなと思っていました。パフォーマンスとしてもよかったですし、チームとしても勝てたのでよかったと思える試合かなと思います。
服部 僕は夏の天理大戦です。1試合前の帝京大戦でかなりの点数差で負けた後に、大敗した後の次の試合と言うことで難しくはなるんですけど、前半スコアできなかった中で、後半ではしっかり修正してスコアできました。個人的にもパスやキック、ランを全て出せた試合だったので、今年はこの試合が一番よかったと思います。
野中 僕はあんまり試合には出れていないんですけど、挙げるとするなら春の帝京大戦かなと思います。チームが1つになって勝利できたので、そこが一番かなと思います。
ーー今年の夏合宿はどんなことを意識して臨みましたか
服部 僕はゲームメイクを意識して菅平に臨みました。しっかり10番としてゲームを作ることを意識して、ゲームだけではなく、練習から取り組みました。
野中 合宿のテーマで「チームマン」というものが出ていたので、合宿を通してチームに捧げられる人を1人でも増やすというところはキャプテンとして促していた合宿だったのかなと思います。
福島 自分はちょっと体重が増えてしまって体のキレがなかったので、バイクとかを漕いで体のキレを出すというか体重を落とすというかそういう作業でしたね。
服部 ひたすら(笑)。
ーー実際にどんな成長ができましたか
服部 夏合宿という暑い環境の中で、80分早稲田のアタックができるように、場面ごとのブレー選択っていうのは昨年に比べてかなりよくなったのかなと思います。
野中 僕はチームに対しての声掛けというのはよくなったのかなと思います。一緒に違う人と過ごす中でレベルが上がったと思いますし、よりチームをまとめるという部分では自分としても成長できたと思います。
福島 自分もディフェンスの部分での声掛けが成長できたと思っています。状況見て自分が仲間を呼んだり、止めたりするという中で、その時のコールが上手くいくようになって、そこが成長できたかなと思います。
ーー夏合宿のエピソードは何かありますか
野中 しょうもないことが3週間続いているという感じで、多分今言っても全然面白くなくて。
福島 面白いかったのは叶夢(安岡、社2=大阪桐蔭)のやつ?
野中 今思えば全く面白くない(笑)。
福島 グラウンド以外での思い出はないね。
服部 上井草では寮が分かれているですけど、夏合宿では普段寮が違う人たちも1つの寮にまとめられるので、普段グラウンドでしか話さない人たちとも日常生活で話すことができたので、かなり仲が深まったのかなと思います。
ーー菅平で印象に残っている試合や瞬間はありますか
服部 天理大戦でのファーストトライはファーストフェーズからサードフェーズまでしっかり決められたことを遂行してスコアできたので、印象に残っているシーンかなと思います。
野中 僕は天理大戦の前半でずっとスクラムで押している場面で、今までにないぐらいのFWのたくましさっていうところが見えた瞬間かなと思います。
福島 自分は逆に帝京のファーストキックオフです。早稲田は蹴られた側なんですけれど、誰かは忘れたんですけど、すごい勢いでタックルされて、モメンタムがすごかったんで、試合の入りから意識しないといけないなというのが印象に残っています。
ーー春の帝京大と夏の帝京大との違いはどんなところにありましたか
服部 夏は後半からの出場だったので、最初は外からずっと見ていたんですけど、FWの強さの違いだったり、BKのアタックのテンポも全部帝京の方が早かったり強かったりしました。気合いが入っていなかったというのはあれなんですけど、早稲田が少し気を抜いていた部分があったのかなと思います。
野中 細部のスキルは上がっているなと思いますし、チームのまとまりは春よりも上がっているなと思いました。
福島 早稲田もしっかり準備してはいたんですけど、帝京の方があの試合に向けてしっかり準備していたのかなと思います。
ーー合宿を通してチームとして成長できた部分を教えてください
服部 チームがより1つにまとまったというか、上井草に帰ってきて練習してからそこは強く実感しました。
福島 BKとFWのコミュニケーションの細かいところがより円滑になったというか、スムーズになったと思います。
野中 同じです。
チームに頼られる存在として成長していきたい(福島)

ーーアピールしていきたい自分の強みは何ですか
野中 今年はラストシーズンなので、これまで以上に負けないという強い気持ちを持って、そこの情熱については誰にも負けないように頑張っていきたいと思います。
服部 先週の日体大戦というチームにとっての初戦に出れなかった中で、次の試合が自分にとっての初戦になるのでいつもと違う感じになると思うんですけど、しっかり落ち着いて自分のやるべきことをやれればなと思います。
福島 自分は声で引っ張るタイプではないので、しっかりプレーの部分で前に出て、アタックでもディフェンスでもチームを前進させる役割を担っていきたいなと思います。
ーー昨年の対抗戦も出場されていましたが、今年と昨年の対抗戦への気持ちで違うところはありますか
服部 僕は昨年1年生ということで、早明戦や早慶戦にあまり実感がなかったというか、自分がその舞台に実際に立っているということを考えられなくて。そのせいであまり思うようなプレーができませんでした。今年はしっかり自信もついてきたので、後はやるだけかなと思います。
福島 昨年は健次(佐藤、令7スポ卒=現埼玉WK)君とかツネ(安恒直人、令7スポ卒=現相模原DB)とか頼る存在というか引っ張ってくれる存在がいたんですけど。ツネは違うか(笑)。
服部 なにツネは違うかって(笑)。
福島 今年は自分たちが引っ張るしかないので、より一層引き締まる思いというか、そういった気持ちで臨みたいと思います。
野中 僕はキャプテンとして臨むシーズンなので全然気持ちは違います。何といってもラストシーズンなので、1試合1試合がラストとなるので、目の前の1試合を大切に戦っていきたいと思います。
僕が相手の10番に勝てないとチームが勝てないという気持ちで(服部)

ーー今年はどんな成長をしたいですか
服部 今年は試合に勝たせられる選手になるっていうことを目標にしています。僕が相手の10番に勝てないとチームが勝てないという気持ちでラグビーしているので、そこをしっかり意識しながら対抗戦や選手権を戦っていきたいと思います。
福島 自分は強い相手とか苦しい状況の中で、前に出るというか、チームから頼られるように成長していきたいです。
野中 毎試合毎試合成長することが全てだと思いますし、僕自身が一番体を張ってチームをリードしていきたいと思います。
ーー最後に意気込みとファンへのメッセージをお願いします。
福島 毎試合波がないように、全力で体を張ってプレーしていきます。ファンの皆様へは、毎試合応援ありがとうございます。ファンの皆様の応援が実際にグラウンドでも聞こえて力になっているので、これからも応援よろしくお願いします。
服部 今年の意気込みはこの2人だったり、4年生とラグビーができる最後の年ということで、1試合1試合楽しんでしっかり『荒ぶる』をとります。ファンの皆様へは、今年こそしっかり『荒ぶる』を取るので、これからも応援よろしくお願いします。
野中 部員160人弱いる中で、このメンバーで勝ちたいので、日本一という結果にこだわって、ファンの皆様と一緒に『One Shot』を体現して、最後は日本一をつかみます。
ーーありがとうございました!
(取材・編集 村上結太、清水浬央、大林祐太、髙木颯人)

◆野中健吾(のなか けんご)
180㌢、92㌔。東海大大阪仰星高出身。スポーツ科学部4年。チームをまとめ、尊敬を受ける早大のキャプテン。BKの攻撃力を底上げする役割を担いながら、プレースキッカーも務めるスキルフルなCTB。誰にも負けない情熱を胸に、赤黒を『荒ぶる』へ導きます!
◆福島秀法(ふくしま しゅうほう)
183㌢、95㌔。福岡・修猷館高出身。スポーツ科学部4年。CTBにコンバートし、持ち前の体躯と力強さで見事にフィットして見せた昨季。チームの切り込み隊長としてディフェンスラインをこじ開け、早大アタックに勢いをもたらしてくれるダイナミックなプレーは必見です!
◆服部亮太(はっとり りょうた)
178㌢、80㌔。佐賀工出身。スポーツ科学部2年。ルーキーイヤーから圧倒的な活躍を見せつけ、高弾道のスクリューキックはまさに代名詞。鋭いステップも大きな武器で、キック、パス、ラン、すべてを高水準にこなす早大の若きゲームメーカーです!