【連載】ラグビー部 対抗戦開幕特集『Challengers』 第2回 HO清水健伸×FL松沼寛治×FB矢崎由高

特集中面

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 第2回は3年委員を務めるHO清水健伸(スポ3=東京・国学院久我山)、FL松沼寛治(スポ3=東海大大阪仰星)、FB矢崎由高(スポ3=神奈川・桐蔭学園)の三名。高校日本代表を機に知り合った三名は早大の中核を担うスタープレーヤーに。『荒ぶる』に獲得に向けて大きな役割を担う3年委員の皆さんの私生活やチーム内で担う役割などを伺いました!

※この対談は9月19日に行われたものです。

ーーまずは他己紹介をお願いします

清水 松沼寛治さんです。栃木で生まれたけど、(東海大大阪)仰星中、高に行って早稲田に来た天才FLです。

松沼 矢崎由高です。誰もが知るラグビー界の宝です。私生活は意外と普通というか、普通の大学生という感じです。料理をしてるイメージがあります。

矢崎 清水健伸です。4分の1日本人です。半分が韓国で、4分の1が台湾です。お母さんはラグビー観戦に来る時は必ず椅子に座って日傘をさしています。

清水 夏だけやろ(笑)。

矢崎 プライベートは普通ではないです。部屋の前にサーフボードが置いてあったり、部屋にはちゃんとしたレコードとか、50個ぐらい帽子が壁に。

清水 50個もない(笑)。

矢崎 感性豊かな男の子です。

ーー三人の共通の思い出はありますか

松沼 ちゃんとこの3人で出会ったのは高校日本代表の時です。みんな早稲田に行くということで仲良くなりました。

清水 思い出は奥多摩か。

松沼 自然界隈をしに、奥多摩で釣りをしてその魚を焼いて食べました。

対抗戦・日体大戦にてラインブレイクするHO清水(撮影:安藤香穂)

ーーそれぞれのラグビーのプレーで尊敬できることを教えてください

清水 寛治はFLでキレがあって、もちろんスピードもあるんですが、なんと言っても嗅覚が鋭いです。空いているところを見つけてそこに走り込むのも上手いし、その空いているところをどのように攻略するかという判断能力が高い選手だな思います。よっぴー(矢崎)はスピードもあるし、キックもあるし、仕掛け方も上手いし、日本を背負ってるなという感じですね。

松沼 健伸はHOっていうFWとセットプレーの要のポジションで、様々なところでプレーしてた経験からオプションが多く、早稲田のセットプレーを支えてくれてるなという感じです。由高は速いのは前提なのですが、身体が強くて、ブレイクダウンが特に強くて、BKなのにそういったところまで強いのは純粋にすごいなと思います。

矢崎 健伸は後ろから見ていてディフェンスで信頼しています。健伸の前なら抜かれないし、そもそもタックルがすごく強いのでチームにいい影響を与えてくれています。また、HOなのにプレータイムが長く、動き続けているところがすごいです。寛治はFWなのにBKに負けないスピードとキレがあって、あとは左足のキックが上手です(笑)。

松沼 そこなんよな、一番は。まだ見せられてないですけど。

対抗戦・立大戦にディフェンスに仕掛けるFL松沼(撮影:安藤香穂)

ーーそれぞれの私生活で尊敬できるところを教えてください

清水 寛治はアカプリという乗り物に乗りこなしていて、その時の安心感は世界の誰よりもあるぐらい尊敬できます。よっぴーは料理のこと聞いたらなんでも知っていて。

矢崎 ちょっとやめよう、そんな料理キャラじゃないから(笑)。

清水 正直、奥さんにしたいぐらいです。

松沼 健伸は出掛けた時に後片付けや車の運転などを率先してやってくれます。そういうところですごく頼りがいがあります。由高は授業のことでしっかりしていて。

矢崎 めっちゃ真面目な人みたいやん(笑)。

一同 (笑)。

松沼 同じ授業取ってると、課題何日までだよとか、自分が休もうとしてた授業に行こうぜって言ってくれたりとかしてくれます。

矢崎 健伸は色んなことに興味があって、どこから得てきたのか分からない情報とかも知ってるので、そこがすごいなと思います。寛治は結構ポーカーフェイスというか、自分が考えていることを読まれないように相手に仕掛けて、成果を生むことが上手いです。たまにそれがバレて失敗することもあります。

ーー二人には負けないところと思っているところを教えてください

矢崎 運の良さというか、引きの強さは負けてないかなと思います。

松沼 真面目にいくと、今年はケガしてる時からジャッカルの練習をしてきたので、ジャッカルは負けないように見せていきたいなと思います。

清水 スローイングって言っても、そりゃそうだなという感じなんですが、負けてたまるかってところです。

矢崎 僕も最近スローイングは追い上げてます。

清水 追い上げて来てはいるけど、天と地の差はあります。

一同 (笑)。

矢崎 僕も真面目にいくと、相手をかわして前に出るということに関しては二人より頑張りたいなと思っています。

対抗戦・立大戦にてタックラーを引きずりながらゲインするFB矢崎(撮影:安藤香穂)

ーー清水選手はこれまでに比べてAチームでのプレータイムが伸びましたが、どんな成長がありましたか

清水 Aチームになると、FWの中心として全体を俯瞰しないといけないなと思いました。この感覚は春に試合に出続けたからこそ得られたもので、この春夏で俯瞰して見るということに関しては成長したかなと思います。

ーー松沼選手は春シーズンの終盤で長いケガからの復帰復帰を果たしましたが、その思いはいかがですか

松沼 去年は健次(佐藤、令7スポ卒=現埼玉WK)さんの代が決勝まで行って、チームとして強かった時に自分が出れてないことがとても悔しかったです。1年ぐらいかけて復帰できてとても嬉しかったのですが、まだまだプレーも本調子ではないのでここから上げていきたいなと思っています。

ーー矢崎選手は長いリハビリの中で、チームを外から見ている時間が長かったと思いますが何か気づいたことなどありますか

矢崎 ここまで長期で離脱した経験がなかったので、チームのことと言うよりは自分のことを見返すきっかけになったかなと思っています。自分がどんなモチベーションでラグビーをしているのか、テンションが下がらずに前向きにできるかなど、自分のマインドをコントロールするというか、精神的な部分で自分を見つめ直す良い機会になったかなと思います。

ーーそれぞれが思う委員としての責任はなんですか

清水 3年としては高いスタンダードを示し続けるというのは求められていることだと思います。自分自身としてはチームを俯瞰してみて、チームにとってどういうアクションや声掛けが必要なのか練習や試合の中で感じ取って実際に行動として示していくということが求められているのではないかと考えています。

松沼 僕も3年委員に選ばれた理由としては健吾さんから高いスタンダードを示して欲しいと言われたことなので、プレーで引っ張っていきたいと思っています。3年生として1、2年生の声を聞いたりとか、それを委員会などでチームに還元したり、自分から1年生などに伝えるなどはやっていかなければならないことなのだと思っています。

矢崎 委員に選ばれたのは、二人が言っているように高いスタンダードを示し続けることを求められていると思います。僕は自分自身が一番成長してチームに刺激を与え続けられるようにしたいです。僕は寛治に比べてコミュニケーションが上手な方ではないので、言葉よりも姿で周りに影響を与えていきたいと思っています。

柱になれるようにチームにいい影響を与えていきたい(清水)

ーー夏合宿はどんな思いで臨みましたか

清水 チームにコミットすることを夏合宿の焦点にしていました。サインの動きなどチームの中での遂行力を磨きあげる夏合宿にしようと思っていました。

松沼 春の東大戦で復帰したのですが、上のカテゴリーで本格的にラグビーをするのは夏合宿からだったので、高い強度の中で自分のプレーをやりきること、ケガせずに秋に向けてパフォーマンスを上げていくことを意識していました。

矢崎 ターゲットのゲームが夏合宿中だったので、コンディションをピッチレベルまであげることを目標にしていました。

ーー夏合宿で印象に残っている瞬間を教えてください

松沼 AチームとBチームで試合形式のコンタクトレベルの高い15対15の練習があるのですが、僕は1年生の時はAチームで練習をさせてもらってて、やはりBチームとの差を感じていました。しかし、今年はBチームの選手たちからAチームの選手たちを食ってやろうという熱意が表れていて、AチームとBチームがいい強度でやり合える雰囲気があったことが印象的でした。

矢崎 僕は復帰して練習をしている時に、良い形でトライをした時です。秀法(福島、スポ4=福岡・修猷館)とか健吾(野中、スポ4=東海大大阪仰星)さんにおかえりって言ってもらえたことが嬉しかったというか、ここからもう一度頑張らないとなと思えた瞬間でした。

清水 帝京戦です。セットプレーが要となる試合で、スクラムやタックルで良い形を作られてしまう場面はあったのですが、その中でもスクラムでは自分たちがやってきたことを出すことができ、ペナルティーを奪うことができた時に可能性あるな、と思うことができました。自分たちをもっと信じていいんだ、というマインドセットに繋がった試合だったかなと思います。

今の4年生が大好きなので、しっかり勝ってみんなで喜びたい(松沼)

ーー対抗戦での帝京に勝つために必要なことは何だと思いますか

清水 僕は帝京に勝つためにというよりも、全ての試合に対して全力で準備して、全力でプレーして、全力で勝ちにいくことを意識したいです。この積み重ねがやってきたことを100%出せる状態に持っていってくれると思うので、それが対抗戦、そして選手権で帝京に勝つために必要なのかなと思います。

松沼 セットプレーの精度を上げることもそうですが、監督が言っていたように対抗戦のどのチームもそこまで大きな力の差はないと思っています。その中で、早稲田が大事にしているこぼれ球の反応やボールを持っていない時の働きなど細かい、地味なところの差が勝敗に繋がると思うので、どのチームよりもこだわって取り組んでいければいいのかなと思います。

矢崎 帝京はずっと勝っているチームで勝ち方を知っているというか、試合巧者だと思っています。そこに対して僕たちはどれだけ準備ができるかということにかかっていると思います。相手は何をされたら嫌なのかということではなく、どんなマインドセットで戦うのかというところをもっと研ぎ澄ませていければと思います。

ーー夏合宿の思い出を教えてください

矢崎 夜は涼しくてひとりで散歩していたのですが、それがすごく気持ちよかったです。菅平ならではの澄んだ空気が心地よかったです。

松沼 僕は部屋での話なのですが、11時の消灯の時に安岡(叶夢、社2=大阪桐蔭) がおもしろ三文字を言って消灯するという恒例行事があり、それが楽しかったです。

清水 僕もその安岡の三文字が送られてくるのを見てから寝るというのが楽しみでした。

ーーチームにとってどんな存在、プレーヤーになっていきたいですか

清水 去年の大黒柱だった健次さんのポジションなので、僕自身も柱になれるようにチームに良い影響を与えて、中心で支えられるような選手になりたいです。

松沼 まずは赤黒を着て戦うことです。二人は既にチームの核になっているのですが、僕は部内での競争に勝って赤黒を着ることが一番の目標です。試合に出られれば、強みであるアタックでチームに貢献したいです。

矢崎 僕はコンディションを維持しながら、出る試合全てで高いパフォーマンスを出し続けるという一貫性にこだわっていきたいです。去年は様々なな活動で波があったんですが、今年は常に高いパフォーマンスを維持していきたいです。

先輩が大泣きしている姿は二度と見たくない(矢崎)

ーー『荒ぶる』への決意をお願いします

清水 勝ちます、という一言でお願いします。

松沼 今の4年生が大好きなので、負けたら後味悪いし、しっかり勝ってみんなで喜ぶために自分が出来ることを100%やり続けたいと思っています。

矢崎 去年決勝で負けて、4年生が大泣きしているの見て、二度と見たくないという思いです。今年は4年生を優勝させて卒業してもらえるようにチームに尽くしたいと思っています。

ーーありがとうございました!

(取材・編集 村上結太、安藤香穂、大林祐太)

◆清水健伸(しみず けんしん)

178㌢、96㌔。東京・国学院久我山高出身。スポーツ科学部3年。前主将・佐藤健次のポジションを担う本格派HO。早大セットプレーの中核として春、夏ともに長いプレータイムでチームに貢献し続けました!最近は『呪術廻戦』にハマっているようで、色紙に『無量空処』と書くかずっと悩まれていました!

◆松沼寛治(まつぬま かんじ)

177㌢、93㌔。東海大大阪仰星高出身。スポーツ科学部3年。今年の春に長いケガ離脱から復活し、復帰戦の東大戦ではファーストタッチでトライを奪う活躍ぶりを見せた松沼選手。復帰から数カ月でAチームの控えにまでたどり着いた松沼選手の更なる活躍に期待が高まります!挑戦したいことはSNSにVlogを投稿してみること。

◆矢崎由高(やざき よしたか)

180㌢、86㌔。神奈川・桐蔭学園高出身。スポーツ科学部3年。昨年は日本代表に選ばれ、イングランド戦に出場した将来を期待されるスーパースター。大学ラグビー界では頭一つ抜けるような実力の持ち主で、1年時から早大の主力としてトライを量産してきました。最近は英語の学習に取り組んでいるようで、着実に力をつけているそうです。

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