【連載】野球部 秋季リーグ戦開幕直前特集『早稲田の栄光』 第12回 小澤周平主将

特集中面

<<特集表紙に戻る

 リーグ戦3連覇を達成しながらも、日本一の座には届かなかった春が過ぎ、小澤周平主将(スポ4=群馬・健大高崎)は着実に新たなチームをつくり上げていた。学生野球ラストシーズンを前に、優勝にかける強い思いを伺った。

※この取材は9月9日にオンラインで行われたものです。

すごく充実したキャンプになって、成長を肌で感じられた

――キャンプ、オープン戦と調整が続いていますが、全体を振り返っていかがですか
 南魚沼キャンプで、今年はテーマを持って取り組もうという話をして、4年生中心にミーティングをしました。チームのテーマももちろん大事だと思うのですが、毎日個人としてのテーマもしっかり持とうと決めて、それを個人として突き詰めてやってきたので、すごく成長できました。秋、その成果を出せるかなと思っています。

――個人の目標重視ということですが、小澤選手の個人の目標は何ですか
 技術的なことはもちろん自分で分かっているので、その中で「自分に負けない」だったり、「全力疾走を絶対怠らない」とかを毎日自分に言い聞かせてやって、その結果、いい練習ができて集中できていたと思います。技術的なことではなくて、自分は精神的な部分を個人のテーマに置いてやっていました。

――夏には六大学オールスターなどもありました。印象に残っている試合などはありますか
 印象に残っている試合はちょっと分からないですが、キャンプは自分たちでつくり上げているという実感がすごくありました。今までは2年生、3年生として参加して、着いていくという感じだったのですが、今回は自分たちが主体となってキャンプを成功させるということができたと思います。すごく充実したキャンプになって、成長を肌で感じられたので、印象に残っています。

――チームとして強化するポイントとして、春には走塁面を掲げていました。秋にも何かありますか
 新チームが始まった時にどういうチームにしたいかと問われた時に、「勢いのあるチーム」と答えて、それをもう一度しっかりやろうということで、まず初日に「声」というのをチームのテーマとして掲げました。最終日の前日にもチームの前で「声」と言ったら、「いや、そこは大声だろ」というふうに言われて。勢いをつけるために「大声」に設定して、それがすごくキャンプの成功につながって、どういうチームにしたいかというのを体現できたと思うので、春の走塁ぐらい大事にしてやっています。

――チーム内で一番声が出ているなという選手はいますか
 山口(力樹、スポ4=早稲田佐賀)だったり清宮(福太郎、社4=東京・早実)は試合に出ることは少ないと思うのですが、すごくベンチを盛り上げてくれていて、いい雰囲気を作ってくれているなと思います。

――技術的な面で、チームの中でこの夏を通じて伸びているなという選手はいますか
 ピッチャーで言うと、本当に髙橋煌稀(スポ2=宮城・仙台育英)がすごく成長しています。いつもずっと伸び悩んでいたというか、持っている力を出しきれていなかった部分があると思うのですが、ここに来てずっと練習しているのも見てきていましたし、目に見えて成長していると感じています。

――一緒に練習している野手陣で、イチ押しの選手はいますか
 キャプテン、副キャプテンで一緒にやってきた吉田(瑞樹副将、スポ4=埼玉・浦和学院)、前田(健伸副将、商4=大阪桐蔭)、松江(一輝副将、人4=神奈川・桐光学園)には最後までちょっと助けになってもらいたいと思っているので、すごく期待しています。

元気に活気のある試合ができれば、必ず勝てる

――改めて春を振り返ると、怒涛(どとう)の5連勝からの優勝、そして全日本大学選手権(全日本)での敗退がありました。今年の前半シーズンを振り返っていかがですか
 良かったことももちろんたくさんありますが、やっぱり一番目立ったのが失策。失策が10個で、優勝したのが不思議なぐらいな年だったと思いますし、あの試合(全日本・東海大戦)は負けるべくして負けた試合でした。課題が明確に出た春のシーズンだったと思います。

――やはり、小澤選手から見て変えなければいけないところは守備面でしたか
 守備面ですね。基本的なことからもう一回やろうというふうに言っていて、まずそもそもキャッチボールがあまりできていなくて、もう一から、いろはのいからやれと言われていたので、基本からやるようにしていましたね。

――今の守備面の手応えはいかがでしょうか
 春よりはもう格段に良くなっています。キャッチボールの質をとにかく上げようと言ってきたので、送球も安定してきていますし、南魚沼で土のグラウンドで守備練習をして、本当にみんな頑張っていたので、こっちに帰ってきてバウンドが合っているなという風には感じます。

――今のチーム全体を見て、状態はどのように捉えていますか
 状態自体はそんなに良くないと思っていて。それを察知してというか、この前ミーティングを開いて、「もっと集中して活気出してやっていこう」と言ったところなので。ここから東大戦に向けてもっと上がってこないとダメだと思います。

――今季、優勝するにあたってカギとなるポイントはどこでしょうか
 やっぱり勢い、声。技術的なことはもう起こってみないと分からないことなので、絶対にできることをしっかりやって、この代のチームらしく元気に活気のある試合ができれば、必ず勝てると思います。

なんだかんだ小澤がキャプテンで良かったとみんなに言われたい

――学生野球の最後のシーズンということになりますが、特別な思いはありますか
 1年生で入ってきて、ずっと雑用だったりで野球もできなくて、そういった苦しい期間を経験して。やっと2年生で急に試合に出されたのですが、そこで初めて大学の素晴らしさというか、こんなにも熱があるところなんだというふうに思って。それも先輩にただ着いていくだけだったのですが、今年は自分たちが試合を作り上げるというか、球場を盛り上げる最後の年なので。この秋、集大成を見せられたらいいなと思います。

――以前、緊張する性格と伺いましたが、やはり緊張はされていますか
 いや、試合自体はそんなに緊張しないですが、選手宣誓がちょっと(笑)。

――2年生から試合に出続けていますが、思い出のシーズンはありますか
 思い出のシーズンも今年の春じゃないですかね。自分がキャプテンになって、すごく不安なところもあったのですが、自分を殺して人に指摘したり、最初の方は辛かったですが、(優勝は)報われた瞬間だったと思います。人生で一番嬉しかった瞬間だったので、それをもう一回できるように頑張ります。

――春から主将を務めていますが、今思う理想の主将像はありますか
 昨年のキャプテン(印出太一、令7スポ卒=現三菱重工East)のようにはうまくチームをまとめられないと思うので、4年生みんなで頑張ろうと最初から言っていて。新チームが始まった時に、監督からチーム全員に、「秋の早慶戦が終わった時の自分を想像してレポートを書け」というふうに言われて。それに自分は「なんだかんだ小澤がキャプテンで良かったとみんなに言われたい」という風に書いたので、それを最後まで目指して頑張ります。

――小澤選手個人として、数字での目標はありますか
 個人としては特にないですが、今、多分通算打率が3割を少し超えているぐらい(3割2厘)なので。その3割を切らないように頑張りたいなと。3割以上打つことを目標にやっていきます。

――今季、キーマンになる選手を挙げるならば誰ですか
 やっぱりピッチャーだったらもう髙橋(煌稀)ですかね。すごく成長しているので期待しています。野手は4年生が多いので、4年生全員ですが、その中で1人春から頑張っている寺尾で。自分の後ろを打つ選手だと思うので、いっぱい自分を(ホームに)かえしてもらいたいですね。

――最後に今季への意気込みをお願いします
 春は3連覇がかかっていたと思うのですが、自分はそうは思っていないというふうにずっと言っていて。この自分の代でしっかり優勝すると言っていました。ただ次は本当に連覇がかかっているので、連覇目指して、優勝目指して頑張っていきたいと思います。

ーーありがとうございました!

(取材、編集 西村侑也)

◆小澤周平(おざわ・しゅうへい)
2003(平15)年7月26日生まれ。172センチ、74キロ。群馬・健大高崎高出身。スポーツ科学部4年。主将としてチームのことを考え、優勝だけを見据える姿が印象的な小澤選手。有終の美を飾るべく、日本一まで駆け上がります!