昨季は全試合出場や初本塁打などを記録し、4年生としてチームの中軸を担った田村康介(商4=東京・早大学院)。2年時から積み上げてきた経験値を武器にラストシーズンへ挑みたいところだが、この夏は順調ではなかったようだ。そんな現在の田村の心境を伺った。
※この取材は9月10日にオンラインで行われたものです。
2軍落ちを経験、打撃を見直してきた

――逆転優勝となった春季リーグ戦を振り返っていかがですか
去年が順当に行きすぎたような優勝だったからこそ、前回の優勝の仕方というのは非常に新鮮だったし、負けられないところからの底力が見れたのがすごい良かったなと思います。
――悔しい結果となった全日本大学選手権を振り返っていかがですか
なかなか起きないようなプレーが立て続けに起きたり、運も味方しなかったところがあると思うのですが、本当に良くない部分がいっぱい出てしまった大会だったので、逆に秋に繋がるいい試合だったと言えるようにこの秋は頑張りたいです。
――個人として春を通しての課題はありましたか
安打数ですね。出塁は四球とかで取れたりはしてたのですが、やはり安打でチャンスを大きく広げるみたいなシチュエーションが少なかったので、そこが課題かなと思います。
――春全体を通して打撃に変化などはありましたか
タイミングの取り方をゆったりにして、間を取れるようにフォームを変えていきました。
――昨季記録した2本の本塁打は前で強くインパクトしていましたが、狙いや練習の成果の現れだったのでしょうか
元々真ん中からインコースは得意な方だったので、そこに来た甘い球は絶対振り抜こうと思っていて、その結果がホームランになっただけであって。そのような意識で取り組んでいました。
――この夏はどのように過ごされてきましたか
そのままなあなあな時間が結構続いていて、一時期2軍に落とされたりしたりして、その時に打撃フォームを色々見つめ直しながらやってきて、打撃が徐々に上がってきたなという感じです。
――そのような期間の中で掲げた目標はありますか
レギュラーとして勝利に導くというのはもちろん心の中にはありましたけど、2軍を経験して、なんでも良いからチームにできることをしよう。代打でも守備固めでもなんでもいいのでという2年生の時に考えていたような謙虚な考えを思い出すようにしていました。
Aチームの時間は当たり前ではない
――キャンプの間に取り組んだことは何ですか
特別取り組んだことというよりは、新しい打撃フォームを洗練させていこうということを考えてやっていました。
――この夏の間に体の変化などは何かありましたか
あまりないですが、疲れない体にはなってきたかなと思います。夏のキャンプで結構練習してたので、疲れにくい体にはなってきたかなと思います。
――夏のキャンプはいかがでしたか
とにかく練習時間が長かったですね。9時からで、帰るのが5時とかだったので。魚沼は涼しかったとはいえ、その中で質の高い練習をやっていこうという風にチームで決めてやっていたので、気を抜くことが出来ない練習でした。
――2軍での時間は比較的下級生と関わることが増えたと思いますが、田村選手にとってどのような時間でしたか
下級生はAチーム、Bチーム関わらず向上心持って取り組んでいて、質問とかもとても多いです。何より自主練の時間とかも有効活用していたり、そういう向上心を見て自分自身も刺激をもらったし、Aチームにいれる時間は当たり前じゃないということを思いました。
――オープン戦をこなしていく中での感想を教えてください
守備は徐々に安定してきたかなとは思うのですが、バッティングはやはり難しくて。やりたいことができないという時がすごく多くて、時には2年の髙橋海翔(スポ2=山梨学院)にバッティングを聞いたりすることもありますが、バッティングは難しいなと思う時期が続いていますね。
――そのような中でご自身の調子というのはいかがでしょうか
普通ですね。リーグ戦に入ってみないとわからないという感じです。
自分には意外性がある

――リーグ戦に向けてサードを取り巻く競争などの環境をどのように感じていますか
岡西(佑弥、スポ3=智弁和歌山)、松江(一輝、人4=神奈川・桐光学園)、髙橋海翔、あとは金子(大智、文構2=長野・松本深志)というのもAチームに上がってたんですけど、本当に皆打撃も守備も良くて、気が抜けない状態が続いていたし、誰が1枚目をやってもおかしくないという状況が続いています。
――そのような競争の中で田村選手のアピールポイントを教えてください
自分は意外性がみんなよりあると思っていて。急に長打を打ったりだとか、ライト前に打ったりだとかというような意外性が自分にはあるかなと思います。あとは経験が皆よりは少しあるから、場慣れはしていると思います。
――意外性とあったように、リーグ戦でも良い場面で打っている印象があります。チャンスの場面での緊張などはないのでしょうか
特にないですね。より集中はしますが、自分の中ではチャンスで巡ってきたら紺碧(こんぺき)鳴らすぞというような気持ちで入っています。
――今現在の打撃フォームで心掛けていることは何ですか
前はどちらかというとラインより下からバットをすくうようなバッティングをしていたのですが、この夏から上から叩くスイングを意識してやってはいるのですが、いい時はすごくいいんですけど、良くない時は全然良くなくて。そこの安定性はまだ足りないかなと思います。
――打球で心掛けていることは何ですか
センターに低く打とうと頑張っているのですが、それが難しいなと感じています。
――ポイントやタイミングの取り方に変化はありますか
タイミングの取り方はあまり意識せずに自然体というという感じでやっています。
強い気持ちを持って挑む
――秋季リーグ戦での理想の数字を教えてください
まず、守備では0失策と、打撃では前回の7打点を超えられるように。打率は特に意識せず、本当にいい場面で打てるように頑張っていきます。
――田村選手のプレーでの注目ポイントはありますか
思い切りのよさですね。自分は今の早大のレギュラーに比べたら野球が上手いと思っていなく、その中でいかに自分のメンタルを全面に出して強い気持ちを持って挑むかというところで自分は勝負かけているので、そこの気持ち的なところを見ていただけたらと思います。
――プレー以外での注目ポイントは何かありますか
それで言うと、ベンチのわちゃわちゃ感ですね。リーグ戦では清宮(福太郎、社4=東京・早実)と山口(力樹、スポ4=早稲田佐賀)と一緒にベンチを盛り上げようとやっているのですが、余裕があれば見ていただけたらと思います。
――下級生での注目選手はいますか
それで言うと、髙橋煌稀(スポ2=宮城・仙台育英)ですね。完成度が上がってきたので、リーグ戦でどんなピッチングをするのか楽しみです。
――4年生での注目選手を教えてください
黒﨑将太(文4=東京・国学院久我山)ですね。いい場面で代打が回ってくると思うのですが、5割で打ってくれると思うので。初ヒットを目の前で見たいですね。
――他の大学ではどうですか
小川琳太郎(慶大4年)ですね。えぐい球を投げるので。全早慶戦で話したのですが、結構面白い人でした。
――対戦を待ち望む投手はいますか
全員立ちたくないな(笑)。毛利海大(明大4年)かな。最上級のまっすぐを打ちたいですね。
――チームの注目ポイントを教えてください
チーム全体での注目ポイントは簡単に終わらない打撃だと思います。本当にシンプルながらも難しいことですが、ボール球を振らずに甘い球を振る。それで、その甘い球をしっかりセンター方向に弾き飛ばすみたいな、シンプルかつ究極に難しいことを体現できているので、チームとしてそこを見ていただけたらなと思います。
――ラストシーズンの意気込みを教えてください
本当にいよいよラストシーズンかって思うのも正直あるのですが、本当にこの夢見た六大学のこの舞台であと1回できるという貴重な機会なので、後悔なく楽しんでやりきりたいと思います。
ーーありがとうございました!
(取材、編集 土橋俊介)
◆田村康介(たむら・こうすけ)
2003(平15)年12月17日生まれ。178センチ、80キロ。東京・早大学院出身。商学部4年。全早稲田戦では加藤雅樹選手(令2社卒=現東京ガス)のバックスクリーンへの本塁打が印象的だったそうですが、OBの選手たちに積極的に話しかけることはできなかったそうです。