最終回となる今回は、男子部から濵田一輝主将(スポ4=愛知・愛工大名電)、徳田幹太(スポ3=山口・野田学園)、舟山真弘(文3=東京・早大学院)の3人が登場。Tリーグやパラリンピック、その他国際大会など、ここまでそれぞれの舞台で輝きを放っている。学生卓球の最前線を走る3人に、秋リーグを控えた今の心境を伺った。
※この取材は8月29日に行われたものです
ーー他己紹介をお願いします
舟山 自分から見て濵田さんは、性格的にも卓球的にも真面目で誠実なイメージです。練習もみんなよりやっていますし、チームに対する責任感も大きいと思います。私生活でもそういった部分が表れいて、銭湯に行くときも濵田さんが言い出しっぺになって、「みんな行くか」とか「ご飯行くか」みたいな。誠実さと責任感にあふれた人だと思います。
濵田一 徳田くんは、天然です(笑)。天然な発言をしてみんなを笑わせてくれるのが徳田くんの持ち味の一つです。卓球はバックハンドがすごく得意で、トッくんバズーカ・・・?
徳田 トッカンですね。
一同 (笑)。
濵田一 トッカンか(笑)。トッカンバズーカ。バックのフルスイングがすごく得意で、あのバックハンドを打てる選手、あのフルスイングが決まった時のボールを持っている選手は世界で見てもあまりいないです。それが一番の武器だと思います。
徳田 舟山真弘・・・。うーん、難しい。
舟山 そんな難しい?(笑)
徳田 なんだろう、自分の世界があるっていうか。ちゃんと自分の意思を持っていて、あまり人に流されない性格だと思います。目標に向かって頑張っていて、どんな状況でも練習に打ち込んでいます。負けた日でも、海外から帰ってきた次の日でも練習していたりとか。当たり前のように練習しているので、そういうところがすごいと思います。
ーー遠征先での思い出を教えてください
濵田一 この前アルゼンチンとブラジルに行きました。初めて行ったんですけど、時差が12時間あって。ほんっとうにきつかったです(笑)。本当に。慣れるのにちょうど2週間くらいかかって、日本に帰るくらいの時にようやく慣れ始めてちゃんと寝れるようになって。それで日本に帰ってきたら、一週間くらいは9時くらいに寝て3時とかに起きる生活でした。一度10時くらいに本田くん(本田光汰朗、人3=神奈川・桐蔭学園)から電話がかかってきたんですけど、いやもう寝てるよって(笑)。そのくらい時差が大変だった思い出があります。
舟山 高校生の時にフィンランドに行きました。サウナ発祥の地で、初めてちゃんとサウナに入って。フィンランドではサウナと湖がセットみたいになっていて、サウナからそのまま湖に入るのが本当に気持ち良かったです。自然の中に飛び込む感じがたまらなくて好きでしたね。
徳田 えー、何も思いつかないな。
濵田一 (徳田と)スロベニアに一緒に行ったんですよ。同じ部屋で。
徳田 そう。一週間濵田さんと同じ部屋で。
濵田一 いろいろあるじゃん。
一同 (笑)。
徳田 ずっと濵田さんに助けてもらっていたというか。さっき言われたように、自分がボケているので。
濵田一 ボケてるって言ってないよ(笑)。
徳田 帰りの移動とかも、濵田さんがいなかったら違う国に行っちゃったりするくらい・・・。
濵田一 そんなことないだろ(笑)。
徳田 ご飯の時も試合の時もだいたい一緒にいて、ダブルスも組んでいました。
濵田一 スロベニアは星が綺麗だったね。
徳田 あ、星は綺麗でした。
濵田一 そう。寝っ転がって。
ーー二人で寝っ転がって・・・?
濵田一 はい、空を見て。ちょっと恥ずかしいな(笑)。
もっともっと覚悟を持ちたい(徳田)

ーー海外での経験が生きていると感じる部分や、手応え、感想などを教えてください
舟山 だいたいの遠征は実費負担で行くことが多くて。ここ最近は円安とかチャージ料の高騰で、ヨーロッパまで行くと一大会で40〜50万かかってしまいます。大学からも支援していただいていますし、後援会の方々など、色々な方から支援してもらっていて。海外遠征に行くとそういうところをひしひしと感じます。世界ランキングとかポイントとか、結果が数字で表れてくるので、そういった面では一試合一試合のプレッシャーは大きいです。誰かに支えられて卓球ができていることを実感できていますし、だからこそ練習にも身が入ります。一球も無駄にできないという気持ちで卓球が今できているのは、海外に挑戦させてもらっているおかげだと思います。

関東学生選手権でプレーする舟山。世界の舞台でも存在感を放っている
徳田 自分は海外の経験が少なくて、大学ではまだ2回くらいしか行けていないです。簡単に言うと、視野が広がったと思います。日本にいないようなプレースタイルの選手をたくさん目で見て、「こんな選手もいるんだ」と感じることができて。トップ選手のプレーも近くで見れて、自分の考えとか視野が広がったと思います。プレーにつながっているかと言われればまだ手応えは感じられていないですが、考え方的には海外での経験を通してだいぶ変わってきていると思います。
濵田一 行くまでにすごく時間がかかるので。絶対簡単には負けられないという気持ちでプレーするので、与えられた環境の中で自分ができることを精一杯やるための調整方法だとか、試合への持って行き方、試合中の戦い方がよりタフになってきたと思います。
ーー濵田一主将にお聞きします。今季はWTTにも多く出場し、世界ランキングも二桁をキープしています。ここまでを振り返っていかがですか
濵田一 ようやく二桁に入ってきて、9月に中国で行われるスマッシュという大会に今回たまたま出場できることになって。ようやくスタートラインに立てたというか、まだまだこれからだなと思います。二桁の実力があるかと言われたら、世界ランク以上に上との差を感じているので。まだまだこれから実力をつけていかないと、より上には行けないのかなと思っています。

学生トップクラスの実力を誇る濵田一主将。着実にステップアップを重ねている
ーー徳田選手にお聞きします。今季はWTTに挑戦し、ユニバーシティーゲームズでも日本代表としてプレーしました。振り返っていかがですか
徳田 大学に入る前から、海外で戦っている人が一番かっこいいと思っていました。その舞台にまず立てて、戦えたのはすごく良い経験になりました。ただ二大会とも自分の目標としていた結果は正直全然出せていなくて、苦しい思いをしています。この二大会を通して、海外で戦うのはこんなにもしんどいんだなと体感しましたし、海外でプレーしている選手に対して尊敬の気持ちが強くなりました。自分もそんな選手になれるように、もっともっと覚悟を持ちたいです。海外にはすごくお金をかけて行きますし、負けた経験を生かして戦っていきたいと思います。
ーー舟山選手にお聞きします。直近でも国際大会で複数のタイトルを獲得していますが、手応えは感じていますか
舟山 パリパラリンピックの前に1年間で15大会出させてもらったんですけど、優勝できたのは2大会しかなくて。今年は3月から出始めて、8月の頭までの5か月間で2大会優勝することができています。今まで勝ったことのなかった選手たちにも勝つことができて、すごく手応えを感じられています。世界ランキングも2位に上がって、来年の世界選手権に向けて一つずつ一つずつステージを上がっていると思います。まだ勝ったことのない選手が4人程度いて、ランキングは2位ですけどまだまだライバルはたくさんいますし、ずっと勝ち続けることの難しさも感じています。濵田さんが言っていたとおり、自分もまだスタートラインだと思うし、これからどんどん勝ち続けて、世界チャンピオンを達成できるように頑張っていきたいです。
団結力、まとまりがこのチームにはある(濵田一主将)

ーー今季はここまで春リーグ4位、インカレ準優勝という結果でした。振り返っていかがですか
濵田一 悔しいですね。どちらも優勝を目指していたので。春リーグは、前半戦で接戦を落として負けてしまったところからある程度勝ち星を重ねられたところは良かったんですけど、結果としては4位だったので。インカレも優勝を目指してやってきて、決勝も勝つチャンスがあった中で、僕が3番ダブルスを落として結果的に2-3で負けてしまって。そこの責任はすごく感じていますし、最後の秋リーグに優勝というかたちでつなげたいです。
徳田 両方とも優勝を目指していました。春リーグを振り返ってみると、自分は準備の部分で詰めが甘かった、足りていない部分が多かったと感じています。インカレも優勝だけを考えて準備してきた中で、自分が3番ダブルスを落としてしまいました。リードした時に気持ちが緩んでしまっていて、最後の一本まで何が起こるか分からないというのをインカレを通して感じました。春リーグは特に、自分が去年全日学で優勝していたこともあって変な気持ちで戦ってしまっていたというか。チャレンジャーの気持ちが薄れてしまって、なんだろう、ちょっとスカしてたというか・・・。
一同 (笑)。
徳田 言葉が出てこない(笑)。そういう部分があって、本当に良くなかったので。秋リーグでは誰が相手でも向かっていく姿勢を大事にして、全勝を目指して戦っていきたいです。

下級生時代からチームを引っ張ってきた徳田。今季はTリーグでもプレーし、技術に磨きをかけている
舟山 自分も春リーグではあまり良いプレーができなくて。幹太が言っていたように、自分自身もそこにピークを合わせられていなかったと感じています。ただ最近の関東学生では成長を感じられるプレーもありましたし、この前の全日学予選でも自分自身の技術が伸びている手応えを感じることができました。秋リーグの相手は自分にとってみんな格上の選手なので、そこで自分が良いプレーをして、勝利でチームに貢献したいです。秋リーグまで1日1日大切に調整して、まずは良いプレーができるように、良い雰囲気で試合に臨めるようにしたいです。
ーー濵田一主将にお聞きします。主将の立場から見て、今季の早稲田はどのようなところが強みだと感じていますか
濵田一 目標に向かった時の一体感というのは、他の大学と比べてもかなり秀でていると思います。特に応援の力というか、出場選手以外のサポートの力というのはすごく大きくて。「自分は試合に出ないから関係ないや」という人がいなくて、みんなが試合に入り込める。そういった団結力、まとまりがこのチームにはあります。僕たち出る選手はそういったサポートの思いを感じながらプレーできているので、すごく良いチームだと思います。

コート、ベンチ、スタンドが一体となって勝利を目指す
ーー徳田選手、舟山選手にお聞きします。お二人から見て、濵田一主将はどのようなキャプテンですか
舟山 みんな濵田さんに思うことは一緒なんじゃないかな。真面目、誠実、責任感という三つの言葉を具現化したような人で。自分自身の成績やチームに対する責任感とか。本当に実直で真面目で、熱い男だと思います。
徳田 誠実で真面目で熱心でというのは人柄に出まくっているので(笑)。海外で2週間一緒に過ごしてみて、自分から見ても意外と抜けているところがあると思います。自分も抜けているって言われますけど、たまに濵田さんも抜けているところがあるので(笑)。みんなにあまり知られていないそんな一面もあって。みんなのことを思って、一人一人を大切にしているキャプテンだと思います。サポートの人にも感謝して、自分だけにならずにみんなのことを見てチームを引っ張れるキャプテンだと思います。
春の自分を越える(舟山)

ーー秋リーグに向けて、力を入れて取り組んでいることを教えてください
舟山 自分のミスを減らす練習に取り組んでいます。プレッシャーがかかったときに、焦って打ってミスする場面が多くて。そこで取りこぼしている試合もあるので、自分のミスをなくすところが大事だと感じています。特に尚人(濵田尚人、社2=高知小津)や濵田さんを見てると、一本返すことの大切さを感じます。強い選手は苦しい場面でも一本返せる強さがあると思うので、そういったところをリーグ戦でも出せるように意識を向けて練習しています。
濵田一 ダブルスの強化ですね。春リーグは4勝3敗だったんですけど、ダブルスの結果がチームの勝敗に大きく影響すると思っていて。良い時は6勝できています。リーグ戦優勝には僕らのダブルスが全勝することが必要不可欠だと思っているので、コンビネーションの強化や、サーブ3球目、レシーブ4球目のつながりを詰めています。各校のダブルスもある程度予想できるので、そこの対策も残りの期間でしっかりと詰めていきます。
徳田 自分はダブルスもそうですし、大きいラリーよりも細かい技術をテーマにして練習しています。リーグ戦はみんな大きいラリーが強くて、執念で返してくる人がうじゃうじゃいるので。細かいところで勝負して、そこで点数を取れるようにしていきたいです。

高い勝率を誇る“ハマカンペア”
ーー皆さんにとってリーグ戦はどのような大会ですか
濵田一 あれだけ熱い大会はないでしょ。今まで色々と大会に出てきましたが、まず後ろにあれだけの人数がいる大会はないですよね。その15人が全力で声を出して、応援してくれる。そんな中でコートに立ってプレーできるのは選手としてうれしいし、誇りに思うことです。大学の名前を背負って戦うので大きなプレッシャーもありますが、勝ったときの喜びや達成感は他では味わえないと思います。
舟山 団体戦の中でもあれだけベンチに人がいる大会はないですし、OB・OGの方々の応援はすごいと感じます。特に早稲田は応援Tシャツも着てくれていて、後ろを見ればエンジ、上を見ればエンジみたいな。学生、OB・OG、保護者が一体となって、早稲田大学卓球部に関わる全員が一緒に挑む大会なのかなと思います。みんなが一体となって取り組める、数少ない大会だと思います。
徳田 リーグ戦は関東の大学生が一番輝ける舞台、出る選手一人一人がヒーローになれる舞台だと思っています。他の地方の人からも「関東のリーグ戦はすごい」と言われることが多くて、大学生全員が憧れる舞台だと思います。
ーー最後に、秋リーグへの意気込みをお願いします
徳田 自分の目標はもちろん7勝と7勝で、シングルスとダブルスで14勝します。チームとしても優勝で締めくくりたいと思っています。
舟山 チームとしては優勝以外ないと思っていますし、自分としては春の自分を越えることが目標だと思っています。プレーでも成績でも春の自分を越えることで唯一チームに貢献できると思っているので、春の自分を越えられるように頑張ります。
濵田一 最後に優勝して終われるように、全力で腕を振ります。4年間一緒にやってきた3人の同期たち(中島爽太主務、玉田隼太副将、田村真吾副将)がいるんですけど、彼らにも最後は優勝で終わってほしいです。チームを支えてきたくれた3人に優勝を届けて、3人を胴上げします!
徳田 濵田さんも(胴上げ)・・・。
濵田一 俺は大丈夫。じゃあ、優勝したら!
ーーありがとうございました!
(取材・編集 牧咲良、三浦佑亮)

◆濵田一輝(はまだ・かずき)(写真中央)
愛知・愛工大名電高出身。スポーツ科学部4年。戦型は右シェーク裏・裏。チームメートと一緒に銭湯へよく行くという濵田一主将。水風呂と暖かいお風呂に順番で入る流れを5セット繰り返すこともあるそうで、舟山選手も「そんなに?!」と驚いていました
◆徳田幹太(とくだ・かんた)(写真左)
山口・野田学園高出身。スポーツ科学部3年。戦型は右シェーク裏・裏。音楽を立体音響で聴くことにハマっているという徳田選手。洋楽をよく聞くそうですが、歌詞の内容は分からず曲調だけを楽しんでいるとのこと。耳が癒やされて気持ちが良いそうです!
◆舟山真弘(ふなやま・まひろ)
東京・早大学院高出身。文学部3年。戦型は左シェーク裏・裏。日頃からよく本を読むという舟山選手。SNSの本紹介で見つけた本を手に取ることもあるそうです。小説が好きで、最近は辻村深月さんの作品を読んだとのことです!