【連載】米式蹴球部 関東大学秋季リーグ戦直前対談『GAME ON!』第3回RB安藤慶太郎副将×QB船橋怜×RB長内一航

特集中面

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 第3回は、RB安藤慶太郎副将(社4=東京・早大学院)、QB船橋怜(政経4=東京・早大学院)、RB長内一航(文構3=東京・早実)が登場。オフェンスの要としてチームを勢いづけてきた3人。春季シーズンで得た手応えや課題を振り返りながら、日本一に向けて秋季リーグへ挑む現在の心境を伺った。

※この対談は、8月24日に行われたものです。

「春の悔しさを見返せるように」(長内)

対談中の長内

ーーそれぞれの紹介をお願いします

安藤慶 船橋は高校から早大学院で同じチームでやってきた仲で、船橋の持ち味といえば長身を生かしたすごく高いところからのパスで、スクランブルもできる、レベルの高いQBです。あとIQも高くて関東の中でもかなりトップレベルな選手だと思います。

船橋 長内は大学からアメフトを始めた選手ですが、それにも関わらず下級生の頃からすごく活躍していてタフなプレー、スピードが持ち味だと思います。試合の時も1回のランでタッチダウン(TD)まで行くというシーンを何回も見ているので、そこがすごいところだなと思っています。後輩ですが、試合中に話しかけてきてプレーについて指摘などをしてくれるところも良いなと思っています。

長内 (安藤慶は)自分が一番尊敬する先輩で、日本で一番うまいRBだと思っています。私生活や普段の取り組みでも参考になることが多くて、僕は大学から競技を始めたので、全ていちから学ばせてもらっています。一緒に日本一のRBになれるようにしたいです。

ーーRBの先輩・後輩としてどのようなご関係ですか

安藤慶 個人的には一番思い入れの強い後輩で、今年に入って自分が4年生になってから、大谷くん(優輝、政経3=東京・早大学院)という後輩と、大学から一緒の長内の2人を育てたいという気持ちがありました。もちろん他のRBも大事にしているのですが、特にこの2人は来年以降の早稲田にはとても大きな存在になると思いますし、ポテンシャルはもちろん、アメフトに対して貪欲な部分が誰よりもあるというところで僕自身もすごく教え甲斐があります。本当にうまくなってほしいなと思う後輩です。

ーー春の公式戦3試合をチームとして振り返っていかがですか

安藤慶 一般戦は12分クオーターなのですが、春は15分クオーターという甲子園ボウルと同じ試合形式だったので、すごく甲子園を見据えられた3試合だったと思います。関西の強い2校と対戦してうまくいった部分もあるのですが、やはりものすごく反省の多い2試合だったと思います。負けは負けなのですが、自分たちの日本一への遠さというものを実感できる良いきっかけにはなったかなと思っていて、今はみんなでその差をなんとか埋めようと頑張っています。

ーー安藤慶選手個人としては限られた時間でのプレーでしたが、個人のプレーを振り返っていかがですか

安藤慶 (2試合は)全く出られていないのでサポーターに徹することしかできなかったのですが、自分の心境的なことをいうと、自分の力を試したいという気持ちがあったのですごく悔しい時間でした。ですが裏を返せば他の選手にもうまくチャンスを与えられたと思いますし、僕以外の選手も関西相手に戦えてユニット全体としても意味のある時間になったかなと思います。

ーー続いて船橋さんにお伺いします。今年からQBのスタメンとして出場されていますが、春の公式戦を振り返っていかがですか

船橋 3年生まで、少しは試合に出ることはあったのですが、関西との試合にはほとんど出たことがなかったので、今年の関大戦と立命大戦にほとんど全部出られたということは良い経験になったと思っています。特に関大に対してはある程度パスも通せましたし、ドライブできた部分もあったのは良かったのですが、立命大に対してはほとんど何もできずに終わってしまったような感じで、自分のQBとしての課題が残った試合になりました。なので試合自体はもったいなかったなと思いますが、そこから秋に向けて課題を克服するためのきっかけとなったことに関しては良かったと思います。

ーー関西2校と戦って、QBとしてやりづらさや関東との差を感じた部分は

船橋 パスを投げた時のディフェンスの寄りが早くて、少しでもボールが乱れるとすぐにカットやタックルをされてしまったので、より精度の高いパスが大事になると感じました。あと関東と試合している時よりもⅮLのプレッシャーが強くて、パスが乱されるところがあったのでそこで違いを感じました。

ーー試合を見る中で、課題は見えましたか

船橋 今年の春の自分の課題として、試合中にディフェンスのメンバー1人1人とあまりコミュニケーションを取っていなかったというところがあります。自分は試合が一度始まってしまったら、試合の中で厳しく指摘するというよりは次のプレー次のプレーという意識でやっていました。ですがオフェンスとしてもっと良くなるためには、認識が合っていないことや気づいたことが少しでもあればプレー間で話すことが必要になってくると思いましたし、そこが課題だと(周りからも)指摘されたので、意識したいと思っています。

ーー長内選手にお伺いします。関大戦ではTDを決めMⅤPを獲得されましたが、個人として春季シーズンを振り返っていかがですか

長内 関大戦はをTDを決めることができて、ある程度結果を残せたのは良かったです。その次の立命大戦では慶太郎さんが出られなくて下級生のRBで回すとなった中で、オフェンスで1点も取られなくてランもほとんど出せなくて、すごく壁を感じた試合になりました。それを受けてもう一度一から体づくりをやってきたので、秋のトーナメントでは春の悔しさを見返せるようにしたいと思います。

ーー3年生ながら出場が続いていますがプレッシャーを感じることはありますか

長内 昨年も試合に出させてもらっていたのですが、ポイントで出るような起用でした。ですが今年はしっかり最初から出られるようになって、RBはQBと同じように周りが見れるポジションだと思うので、思ったことは練習中からも伝える意識を持ってやっています。

「このメンバーと一緒にアメフトをする時間が思い出」(船橋)

対談中の船橋

ーー新人戦では2試合とも完封勝利を収められましたが、下級生の成長はどのように感じていますか

安藤慶 今年の下級生は人数が多いことに加えて雰囲気がすごく良いので、アメフトの技術的なものよりも、まず一体感がある学年だと思います。その団結力が試合に良い影響をもたらしたのかなと試合を見ていて思いました。

ーーチーム全体として夏に強化してきた部分は

安藤慶 フィジカルの部分です。春の立命大戦を終えてチームの一番の課題とされたのがフィジカルだったので、選手全員がまず増量するという取り組みを始めました。合宿前に計測をして数字としてその成果が表れた取り組みで、春とはフィジカルの部分で一皮二皮むけたのが大きな成長かなと思います。

ーー夏の合宿で大変だったことや思い出はありますか

長内 今年監督が荒木さん(荒木延祥ヘッドコーチ、平10人卒=大阪・高槻)に代わってから、量やきつい練習をこなすというより効率的な練習になりました。みんなで話し合う時間もすごく多かったので、その部分がとても良かったと感じています。10日間東京を離れることは辛かったです。例年より考える時間が多くて有意義な合宿でした。

安藤慶 大変だったことはやはり食事だと思います。長内が言ってくれたように練習の運営は例年と比べたらきついわけではないのですが、食事の部分がやはりみんな苦戦していたことが印象的でした。増量をチームで掲げていたので、みんな頑張って食べていました。食事の回数としては3食ですが、練習の合間に補食を食べるなど、空腹の時間がないようにしていたので、たくさん食べました。

船橋 午前中練習して昼食を食べた後、1時間くらい時間があってみんなは休憩しているのですが、僕と何人かで2日に1回、コーチと午前中の練習のレビューをしていました。レビューが終わるのが午後のバス出発の10分前くらいで、それは少し大変だったところかなと思います。アメフト部のみんなと一緒にいる時間が自分にとって大事なものだったなと終わってから感じていて。合宿中はきついなと思って過ごしているのですが、終わってから意外と寂しかったり。最後の合宿が終わってしまったという気持ちがしたので、このメンバーと一緒にアメフトをする時間が思い出なのかなと思いました。

長内 思い出としては、中日の午後がオフなのですが、みんなでスイカ割したことが楽しかったです。

安藤慶 スイカ割ですが、棒がなくて長内くんが助走をつけて走って、拳で割ってくれました。

「オフェンスもディフェンスも引っ張る人間でいたい」(安藤慶)

対談中の安藤慶

ーーまもなく秋季リーグ戦がスタートします。目標を教えてください

安藤慶 早稲田は初戦に苦戦することが多いので、まずは力を入れすぎずにいつも通りのプレーをすることを意識したいです。個人としてはチームを勝たせられるようなプレーができたら良いなと思います。

船橋 全部勝って関東優勝するというところです。個人的には他の大学のQBには負けないように、オール関東を獲れるように頑張りたいと思います。

長内 昨年はケガをして悔しい思いをしたので、ケガをしないで甲子園ボウルまで出て、慶太郎さんよりも走れるように頑張りたいと思います。

ーー安藤慶選手のコンディションはいかがですか

安藤慶 コンディションはばっちりですが、RBは過酷なのでケガなく甲子園ボウルまでしっかり出て、長内より走れるように頑張ります。

ーーご自身の注目ポイントを教えてください

安藤慶 決定力です。スピードや身のこなしなど持ち味は色々あるのですが、やはり一番点を取る人間、オフェンスもディフェンスも引っ張る人間でいたいので、しっかり点を取れるという決定力に注目してもらいたいです。

船橋 パスが自分の持ち味だと思っているので、ロングパスを決めるところに注目してほしいです。最終戦が法大戦なのですが、昨年は法大に負けて優勝を逃しているので、今年は最終戦でパスを決めて勝つところを見てほしいです。

長内 スピードです。一発で流れや早稲田の勝ちを持ってくることが自分の強みだと思うので、試合の流れを持ってくることができたら良いなと思っています。

ーーお互いの注目ポイントを教えてください

長内 QBはリーダーで、船橋さんはどんな場面でも引っ張っていってくれます。もっと元気にやってくれても良いのですが(笑)。どんな状況でも冷静に引っ張っていってくれるところに注目です。

船橋 慶太郎が走って、慶太郎にボールを回せば、ヤードを稼いでくれるという安心感があります。春はあまり一緒にプレーできなかったのですが、秋は一緒にプレーしてランは全部任せられる存在なので、TDを量産してほしいです。パスは自分が決めるので、ランは慶太郎のテクニックとスピードでTDまで持っていってくれることに期待しています。

安藤慶 長内くんは全部ですね。日頃の準備や練習全てから抜いているところが一切ないですし、むしろ自分が何も言わなくてもプラスアルファのことができる人間で、彼が言っていたスピードはもちろん僕が言っていた決定力もどちらも持っている選手です。自分勝手にできるラストイヤーは3年生だと僕は思っているので、チームのことを気にせずとにかく自分の結果にこだわってやってほしいです。なので注目ポイントは長内くんという存在ですかね(笑)。長内に注目してたくさん応援してほしいです。

ーー他に早稲田の注目選手を教えてください

安藤慶 選手というより僕はOLを挙げたいと思います。OLは注目を浴びることは少ないのですが、僕たちのために増量もものすごく頑張ってくれていますし、僕たちRBとはニコイチの存在なので。僕たちが走れているのはOLのおかげだということを分かった上で試合を見てもらえると、アメフトは本当に見応えのあるスポーツだ思います。

船橋 WR吉規颯真(政経4=東京・早大学院)に注目してほしいです。高校の時からずっと一緒にやってきたレシーバーで、僕が手の届くところにボールを投げれば全部取ってくれるような存在です。大学に入ってからは一緒に試合に出る機会がそこまで多くはなかったので、最後の年、今年はたくさんパスをキャッチしてくれると思うので注目してほしいです。

長内 自分もOLを挙げようと思っていたのですが、3年のT E 小郷くん(智暉、政経3=東京・早大本庄)を挙げたいと思います。自分と同じ大学からアメフトを始めた選手で、初めは細かったのですがだんだん大きくなって。気持ちがこもったブロックをする選手なので、一緒に頑張りたいと思って注目したいと思います。

ーー最後に意気込みをお願いします

安藤慶 泣いても笑っても4年生は最後なので、副将という立場でしっかりチーム全体のことを見続けられるように頑張りたいですし、どんな時も自分だけは絶対折れずにみんなを鼓舞できるように秋シーズンを終えたいと思います。結果はもちろん甲子園で優勝して日本一が目標なので、それまでの過程でしっかり導けるように頑張ります。

船橋 もうすぐ秋シーズンが始まると思うと自分は楽しみな気持ちが強いので、楽しんでプレーしたいです。最後なので本当に楽しんで、自分の強みであるパスをしっかり通して、一つずつ勝って最後の甲子園ボウルまで勝ち続けたいと思います。

長内 4年生が大好きなので日本一の4年生にできるように、今年がラストイヤーだと思って出し切ろうと思います。個人的には甲子園ボウルでTDするということが(米式蹴球部に)入ってからの目標なので、僕が甲子園でタッチダウンして日本一の4年生にできるように頑張りたいです。

ーーありがとうございました!

(取材 大村谷芳、編集 片山和香)

◆ 安藤慶太郎(あんどう・けいたろう)※写真右

東京・早大学院高出身。169センチ。74キロ。社会科学部4年。RB。動画編集が得意だという安藤慶副将。自身のベストプレー集を作り、試合前に見返すことがルーティーンだということです!

◆船橋怜(ふなばし・れい)※写真左

東京・早大学院高出身。188センチ。73キロ。政治経済学部4年。QB。試合の日には、集合の30分前には到着し心を落ち着かせるという船橋選手。お母さまが作ったお弁当を食べて、試合に臨むそうです!

◆長内一航(おさない・いっこう)

東京・早実高出身。168センチ。73キロ。文化構想学部3年。RB。高校時代は、硬式野球部に所属。その当時から、試合前には「あんぱん・おにぎり・ゼリー」が欠かせないそうです!