【連載】ソフトボール部 インカレ直前特集『Rise as One』第5回 田中雄輔主将×佐藤玲弥副将

特集中面

男子部最終回は、チームを引っ張る主将・田中雄輔(スポ4=東京・筑波大付)と副将・佐藤玲弥(社4=静岡・飛龍)の対談をお届けする。唯一の同期として互いを高め合ってきた4年間の振り返りや、集大成となるインカレへの意気込みを伺った。

※この対談は、8月5日に行われたものです。

優勝という1つの目標にチームを向かわせるのが、自分の役目(田中)

笑顔で対談する田中主将(左)と佐藤副将

ーーまずは、他己紹介をお願いします

佐藤 田中雄輔君です。出身高校は、日本一頭がいいとされている筑波大学附属高等学校で、一浪してスポ科にやってきました。一人っ子で、お父さんがお医者様という、自分とはかなり家庭環境とか価値観が違う中で育ってきていると思います。性格は、ノリがすごく良い一方で、真面目な時は真面目かなって思います。あ、いい意味で(笑)。そこは自分にはない良さかなと思います。サウナと二郎系ラーメンが好きです。彼女はいないです、確か。あと、自分たちの体型がちょっと似てるんですけど、自分の方が痩せているってことはここで一言言っておきます(笑)。

田中 佐藤玲弥です。早稲田が誇るエースで、打撃の大黒柱でもあり、試合でピンチの時によく活躍してくれます。自分と全く違った環境で育っていて、高校でもソフトボール漬けの毎日を過ごしていました。ソフトボールだけでなくて、人間性も良くて、僕と違った面ですごくいいのかなと思います。けれど、自分では気づいてないかもしれないですけど、悪く言えば他人に厳しく自分に甘いところもあって。練習によく取り組んでるのかと思えば、たまに手を抜いちゃう場面があったり。あと、前はほぼ毎日一緒に遊んでいたんですけど、自分が主将になってからはあんまり遊ばなくなりました(笑)。引退したらいっぱい遊ぼうと思います。

ーーソフトボールを始めたきっかけは

田中 元々ソフトボールという競技は知っていましたが、男子のソフトボールの存在は知らなくて。自分は一浪だったんですけど、高校の時に同級生で、今学生コーチをやってる中内さん(中内俊太朗学生コーチ、スポM1=東京・筑波大付)が現役で入学されてソフトボール部に入っていたので、男子ソフトボールがあると知りました。中内さん本人も、大学で野球をやるとは言ってたんですけど、気づいたらソフトのインスタに出てきて。それで自分も入部しました。最終的には自分からこの部に体験に行って入部を決めたんですけれども、中内さんの存在が大きかったです。

佐藤 自分がソフトボール始めたきっかけは、兄が小学校3年生で自分が1年生の時に、兄が行ったソフトの体験について行って、そのまま始めたのがきっかけです。

田中 でも野球もやってたよね?何でソフトボールにしたの?

佐藤 野球は中学の部活動でやっていただけで、結局はソフトボールをやりたかったので。部活動で野球をやりつつ、外部のチームでソフトボールをやっていました。

ーー主将、副将の役職に就いた経緯を教えてください

田中 今年の4年生は自分たち2人しかいないので、どちらかが主将をやることは確定していました。自分が主将をやるとなったら、玲弥に最も適している役職って何だろう、と考えた時に、プレーや声で引っ張るのが彼の持ち味なので、副将に一番適しているな、と当時のチームで話し合って、そのような結果になりました。

佐藤 自分は結構自己中心的なので、声とかプレーで引っ張る方がいいと思いました。あと、自分はピッチャーなので、早稲田のキャプテンとしての重圧があって潰されてしまうといけない雰囲気もあったので、率先して副将を狙いに行きました。

ーーそれぞれの役割とは

田中 主将としては、チームをまとめるのはもちろんですが、部員の人数が少ないからこそ、全員としっかり向き合って、今何に悩んでいるのか、とか、どういう力を伸ばしたいのか、というのを一人一人丁寧に聞いて、それをチームの中で生かしたいと思っています。ただ、人数が少ないとは言えど、みんなの声を一つにする、というのは、やってみるとすごく難しくて。今でも全然うまくいっていないし、チームが始まった時から、自分の納得いくキャプテン像をあまり達成できていません。でも、最終的にインカレで優勝することが、自分の目標を達成することにも繋がると思っています。時間は短いですが、みんなの意見をうまく汲み取りながら、優勝という1つの目標に向かうようにやっていくのが、自分の役目だと思ってます。

佐藤 副将としての役割は、基本的に決まっていないです。キャプテンを支えることが一番の仕事ではあるんですけど、自分の特徴を生かしたところで言うと、自分は声も大きいし、それなりに存在感もあると思うので、プレーでも、人としてでも、雄輔ができないところを補っていくことが仕事だと思っています。雄輔には雄輔の良さがあって、自分がふざけていたら、急に冷静にぼそっと厳しいことを言ってくれたり、逆に雄輔が黙っている時に自分がチームを盛り上げるような。どちらかと言うと、プレーでは自分が引っ張って、雄輔はチームを支えてくれている感じです。ある意味2人で一つでやっているのかなって思ってます。

ーー4年生が2人という中で、意識していること、大変なことなどはありますか

佐藤 やっぱり2人だけなので、自分は結構、雄輔をライバルだと思っていて。お互いに思っているでしょうけど、雄輔が試合で打っていたら、自分も打たないとなって思います。自分の中で、雄輔だけには負けてはいけないっていうのはあります。体重と体系も(笑)。

田中 玲弥が試合で打たれたり、打てなかったりすると、結構自分のことのように悔しいって思う場面が多いです。玲弥は下級生の頃からずっと試合に出ていたので、どんな努力をしているのかも知っていたからこそ、悔しさが自分にも伝わってくるのかなと思っています。あと、毎年ある話ですが、2人だからこそ、他の学年の人数をもっと増やさないといけないなと、思っています。今年、幹部として新歓をやって、全然人数が足りないと感じました。総監督にあたる吉村(正)先生(昭44教卒=京都・平安)がいつもおっしゃっている、人は宝、という言葉は間違いないと思いました。人数がいればいるだけチームとして質は上がりますし、やれることの幅も広まる中で、ソフトボールはマイナーな競技なので、人集めにはかなり苦戦した印象があります。

ーー部員を増やすために取り組んだことはありますか

田中 はい。一昨年から入学式に行って、野球をしている人を端から端までアタックする、というのをやっています。でも、所沢キャンパスでの勧誘が難しくて。野球をやっている子は、大体、硬式野球部に行ってしまうし、そもそも野球をやってきた子がだんだん少なくなっているな、という印象がありました。その中で、ソフトボール、そして男子ソフトボール部の存在を知ってもらうために、SNSなどの活動を重点的にやってました。

佐藤 自分も去年、選抜(全国高等学校男子選抜大会)を見に行って、高校生に、大学、そして早稲田大学にソフトボール部がある、というのを知ってもらう活動をしました。見に行くだけでも、早稲田のユニホームやリュックを持っているだけで、知ってもらえるので。自分も元々、高校の時は、日体大とか環太平洋大のソフト部は知っていたんですけど、早稲田のソフト部は知らなかったということもあったので、そういう活動も始めました。去年は山口、今年は成田まで行って、進路決めを控える高校2年生向けに、入試方法や部を知ってもらう説明をしました。山口は、お金もかかって大変でした。

田中 選抜は、全部の強豪校が集まる、野球で言う甲子園みたいなものです。意外と早稲田のソフトボール部を知らない人がかなりいるので、早稲田という名門の大学に入って、なおかつソフトボールも全力でできるよ、ということをアピールしています。

ーーお互いの印象や尊敬している点は

佐藤 真面目なところです。たまに練習を早く上がって、資格の試験勉強したりするところを尊敬しています。印象としては、結構気分屋なので、自分が機嫌悪いとしょぼくれて、試合中とかも静かになっちゃいます。自分は基本的に、どんな時でも楽しんで、たまに集中してゾーンに入る感じなんですけど、彼は監督とかコーチとうまくいかないと、1人で悩んで落ち込んでしまうので、そういうところはちょっとまだ子供なのかなって思います(笑)。

田中 尊敬してるところは、ストレートに人に物事を全部言えることです。練習や試合でも、ここダメだったよねっていうところがあれば、一発でその人に向けて分かりやすく注意したりできます。彼のキャラ的にも強く言えますね。自分が泣きそうなぐらいきつい試合のあとのミーティングでも、ずばっと言ってくれて、ちょっと自分の気持ちも楽になったこともありました。人に伝える能力は、誰よりもあるのかなと思います。印象に関しては、他学年とラフに接していて、次の日がオフの時は、練習終わりに徹夜で麻雀したりとか、二郎を食べにわざわざドライブしたりしていて、すごくアクティブだと思います。引退したらいっぱい一緒に二郎に行きたいと思います。

佐藤 太るので行きません(笑)。夏に痩せてかっこいい男になるので、遠慮しておきます(笑)。

ーーオフの過ごし方は

佐藤 去年は雄輔とずっとドライブしてたんですけど、今年は、雄輔が誘ってくれず。自分は、毎週月曜日のオフの日を空けているんですけど、なぜか1回もサウナも二郎も誘ってくれなくて。授業期間はバイトをして、夏休みに入ってからは、何もなければ家にいます。昨日(対談前日のオフ日)は、家で大掃除しました。あと、映画を観に行って、後輩と二郎に行くか、麻雀を打つかって感じです。

ーー最近見た映画は

佐藤 鬼滅の刃です。

田中 おお、俺も見たわ。

佐藤 よかったですね。趣深い(笑)。

田中 (笑)。

佐藤 人間は儚いけど、その中にも強さがあるなって思いました(笑)。一人一人のエピソードを身に染みて見るようにしています。あと、映画館のポップコーン好きです。

ーー田中主将はいかがですか

田中 去年のこの時期は、毎週ドライブに行って、熱海とか滝に行っていたんですけど、今はもう週6全力で(部活を)やっているので。

佐藤 いやいやいや、よく言いますよ(笑)。

田中 (笑)。疲れているので、半日くらい寝て、半日ちょっと外に出るくらいです。最近はあんまりしないですけど、買い物か、サウナか、二郎に行くくらいです。全部家の近くで済ませちゃうことが多いですね。日中ずっとソフトのことを考えているので、あんまりリラックスできないというか。

佐藤 かっこいいねえ(笑)。

田中 あんまり負担のかからないストレス発散をしています(笑)。

佐藤 サウナが負担かからないって言うぐらいなので、彼にとっては二郎食べるのも胃に負担がかからないってことなんですかね。よく分からない(笑)。

ーーまた2人でドライブに行きたいですか

田中 僕は行きたいです。

佐藤 雄輔に余裕があれば。

田中 ちょっと、僕も行きたいんですけど(笑)。

佐藤 自分は週6ソフトやっても、全然いけるんですよ。なので、彼は弱いです(笑)。

田中 (笑)。

佐藤 余裕ない人って強くないので。余裕を持っておかないと、インカレでもあたふたしちゃうと思うんですよね。余裕を持ってソフトボールした方がいいです(笑)。人生の全てがソフトボールだと思わないので。スポーツは娯楽なので。楽しまなきゃ。勝って楽しむ。勝たなきゃいけない、とか思うとスポーツじゃなくなってしまうので。負けたくはないけど、一生懸命やって負けたらしょうがないって自分は思えるので。

田中 話逸れてるぞ(笑)。

佐藤 ごめんなさい、ごめんなさい(笑)。やばい、自分の価値観語っちゃった(笑)。

自分の中で葛藤があって、多分玲弥にもその葛藤が同じぐらいあった(田中)

笑顔で話す佐藤副将

ーーこれまで4年間で印象に残っている試合は

佐藤 去年の日体大戦と、一昨年のインカレの日体大戦ですね。一昨年は、三塁に宇宙開発ボール、っていうのを投げてしまって。自分は2年生で、4年生の代にいたキャッチャーの人を差し置いてキャッチャーをやっていたんですけど、三塁方向に宇宙開発…つまり大暴投をしてしまって、悔しいなって思っていて。そのせいだけではないんですけど、それも失点に繋がって、負けてしまって、自分の中では、キャッチャーをやっていた史上、最悪のプレーでした。それもあって、去年の日体大戦では、絶対に負けたくないと思っていて。その前の秋リーグでも投げて、負けていたこともあって、ライバル心もありました。それで、(去年の日体大戦で)自分が打って、初回に1点取れて嬉しかったんですけど、やっぱり、最終的に負けてしまったのはすごい悔しかったです。日体大戦は、どんな試合、内容であっても、全部自分の中では、鍵というか、印象に残った試合になります。

田中 自分は去年の関東インカレ(関東大学選手権)1回戦の明大戦で負けた試合です。その1カ月前のインカレでは、かなりいい勝負をしていたにもかかわらず、1部(リーグ)である早稲田が2部(リーグ)のチームに負けてしまったんです。後から聞いたら、それは史上初の出来事で、それを主将として迎えてしまったのは屈辱的でした。(前の大会から)戦力が落ちたものの、それなりに選手も残っていたので、何が足りないんだろう、というのが、率直な、終わった直後の感想でした。関東インカレが始まる前に考えていたことが、終わってから全部なくなって、そこから、自分のバッティングの調子も全部落ちて、自分の言うこと全部に自信がなくなってしまいました。何が正解なんだろうと思いつつ、キャプテンをやっていて一番苦しい、つらいな、と思う第1段階の出来事だったので、すごく印象に残ってます。

ーーそういった経験から、どのようなチームづくりを目指してきましたか

田中 とにかく基礎の力が足りないと思ったので、そこから冬が明けるまで、体力トレーニングや筋力トレーニングを去年のチームとは比にならないほどやりました。実際に筋肉トレーニングは、数値的にかなり伸びている選手もいて、自分も2、3年前にかなりトレーニングをして追い込んだんですけれども、それ以上に追い込んで、部員にも同じぐらい追い込ませました。明大に負けた段階で、日体大のこととか言っている場合ではないな、と思って、基本の力からつけ直さないといけないな、と思って取り組みました。

佐藤 自分は、明大戦の後から、ずっと雄輔に付いてきた感じなので、あまり自分的にはないんじゃないかなと思います…。個人的には、筋トレをしたくらいですかね。重量が過去一で上がったな、という(笑)。

田中 仲悪くなったのも、明大戦のあとくらいからだな。プレーとか声で引っ張っていけばいい主将があれだけ打たれると、どうすればいいんだろう、という葛藤があって。多分玲弥自身にもその葛藤が同じぐらいあったから、会話も少なくなったのかな。多分僕と同じくらい彼も悩んでた時期だったので。

佐藤 勝手に喋らなくなったんだよ。全然喋ってくれればいいのに、気を遣って喋ってこなくなった。勝手に嫌っていった(笑)。

田中 勝手に嫌っていった…(笑)。

佐藤 どうしようもできないですね(笑)。

ーー個人で今年を振り返っていかがですか

佐藤 自分は、去年の秋リーグからピッチングスタイルについてずっと悩んでいて。ピールドロップにしようか、ロールドロップにしようか、ライズ系にしようか、というのを自分の中でよく考えていました。最終的に、だんだん監督(との話し合い)とか練習試合を通して決めていったんですけど。今年、多分1人でインカレを投げきらないといけなくなる中で、3日で5試合、正直、去年の稲垣さん(令7スポ卒=群馬・新島学園)のように、ライズをずっと放っていたらきついな、と。ライズはすごく股を開いて、飛びながら、すごく低くから投げるので、体力的に(きつい)。1試合100球投げて、次の日2試合連投で200球投げて、と3日で300球投げたら、もう握力が持たないな、と。野球と違って、ボールも大きくて、足とか腕、あとライズは捻り上げないといけないので手首に疲れも来る。そう考えて、結局たどり着いたのは、ある程度出力を出さないまま、8割(の力)でコントロールして、押すところは押す、抜くところは抜く、という速い球と遅い球を投げ分けるようにすることです。プロ野球選手で言うと、早稲田出身の和田毅さんみたいに、どれだけ速い球を速く見せられるか、みたいな。そういうピッチングスタイルをだんだん確立していった1年だったな、と思います。その過程は、まだ続いているんですけど、今はある程度コントロール力がついてきて、自分の中での感覚も分かってきたので、ちょっと出力を上げながら、コントロールを落とさずに、というのを意識してやっている感じですね。だから今、自分的には、すごいいい感じで来ています。このコントロールでちゃんと投げきれたら、うまくいけば、インカレ5試合、決勝までいけるかな、と思います。体力的にも、自分は雄輔と違って毎日30分走っているので(笑)。日体大に吉本(和央)っていうピッチャーがいるんですけど、吉本は絶対毎日炎天下では30分走らないらしいんですが、自分は走っているから何とかなると思っています。根性論で何とかします。

田中 自分は、試合に出ていないところから始まって、最高学年、キャプテンになって試合に出るようになって、こんなに考えることが多いのか、というのが正直な感想でした。チームの細かいことに関してもすごく詰めて考えなきゃいけない。(主将が)そんなことをしている、というのを知らないままキャプテンになってしまったので、もっと下級生の時に、もっと自己の心を持ってガツガツ部に接していれば、こんなに苦労しなかったのかなと思いました。秋リーグで大していい結果を出せず、関東インカレでも屈辱的な結果を叩き出して、早慶戦もあまり完勝とは言えない勝ち方で勝ってきて。このままだとインカレに行けないな、と一瞬本気で思って、トレーニングだったり、練習試合をたくさん入れたりして、春リーグを迎えました。自分の調子はそこでは上がらなかったんですけれども、チームのみんなが、今まで練習してきたことをかなり出せていたのかなと思っていて。それを見るとうれしいとは思いつつも、まだインカレで戦えるレベルではないし、結果的にインカレには出られることになりましたけど、2次予選まで回ってしまった。その屈辱さを跳ね返す努力、気持ちを全員が持っているのかと問われると、まだちょっとどうかな、と思うところがあります。それをまとめるのが主将の役割でもあるんですけれども、これほど個人によって価値観が違うと、やっぱりまとめるのも難しくて。自分が下級生だったら、優勝する以外に目標ってないと思うし、それが当たり前だと思っていたのですが、その当たり前が当たり前ではなくて。そこをどうまとめていくかが、すごく難しいと今も感じています。そういう面でも、自分の能力をあとこの1カ月で伸ばさなきゃいけないな、と思っています。

インカレで勝っていくのには、実力よりモチベーションが重要(佐藤)

対談中の田中主将

ーー今のチームの雰囲気は

佐藤 そんなに悪くないんじゃないかなって思っています。自主練する人も多いです。今まで4年間、結構自分たちはバンバス、つまりバントとバスターで送る、つなぐことを意識してきて、それに対して毎年、部員から、できないんじゃないか、と批判が出ていたんです。けれど、今年は、そういう批判もなく、意外とみんなすんなり自分の役割を理解していて。自分が、ここはゴロを打ってほしい、とか、自己中心的なバッティングはするな、とか言うんですけど、みんなそれを理解してくれている気がします。バントの練習とか、自分が練習中に言ったことを素直に聞き入れてやってくれています。筋トレも、夏になると強制ではなくなるんですけど、春からみんな継続してくれているので、雰囲気は悪くないのかな、と思います。ただ、さっき雄輔が言った屈辱、これで大丈夫なのかという危機感といった面で考えると、ちょっとまだ薄いのかなっていうところはあります。自分は、自分なりにプライド持ってやるので別にいいんですけど、下級生にそこまでの思いがあるかと言われたら、絶対負けたくない、とか、こうしてやるぞ、といった早稲田としてどう戦いたい、という思いがあるか分からないので。ミーティングでも何回も(話題に)出ているんですけど、本当に優勝したいのか、どういう思いでいくのか、っていうところを、もう1回、チームとして、共有する時があってもいいのかな、とは思います。そこのベクトルがちゃんと重なれば、それなりにいい方向にはなってくるかなって思います。

田中 玲弥が盛り上げてくれるので、雰囲気は悪くないなとは思いつつ、自分の雰囲気がどんどん暗くなってくるので、そこだけ直したいなと思っています。主将という立場にあるので、自分の行動は細かいところまで見られていて、それがチームの動きにもなります。自分が暗ければ暗いほど、チームもより暗くなってしまうので。自分がもっと明るくなれば、もっとみんなも気楽に試合に臨めて、あまり緊張せずにいつもの力を発揮できるのかなと思っています。

ーーインカレで勝ち進むために必要なことは

佐藤 個人としては、出力を高めるようにすることと、コントロールを良くすることです。打撃も、自分の中では、PGとバンバスの2つをできるようにしておきたいと思っていて思っていて。例えば、日体大戦最終回のノーアウト三塁で、PGでヒットを1本打つ確率と、バンバスでゴロを転がして1点を取れる確率を考えた時に、絶対にゴロの方がヒットよりも確立が高いと思うんです。最終局面、1点欲しい時に、自分が点を取れる手段を増やしておきたいかな、と思います。チームとしては、やっぱり、結局モチベーションだと思うので。インカレだから緊張しちゃう、とか、舞い上がっちゃう、っていうのは、絶対あると思うんですけど、結局それもベクトルの向け方次第だと思います。楽しくやっている時って緊張しないじゃないですか。どうやって楽しい、とか、やってやるぞ、という風に持っていけるかです。特に自分たちのチームは、全国大会とかに出たことがない子も多くて、みんな、ここでエラーしちゃったらどうしよう、って考えながらプレーしてると思うんですよ。今まを見ても、ガッツがない、やっているんだけど弱気、言い訳したがりそうなプレーや発言があると思って。そうじゃなくて、俺がアウト取ってやろう、とか、ここで打ったらかっこいいよな、とかって思えるような方向に持っていけたらと思います。正直、インカレで勝っていくのには、実力よりモチベーションが重要なのかな、と思っています。

田中 個人とチーム両方ひっくるめての話なんですけど、あとはどれだけ部員全員の個々の能力を最大限に引き出せるか、っていうところが鍵になってくるので、そうするために日々の練習の設定をどうすればいいか、どういう練習を組み込むのか、を考えていきたいです。例えば、今みたいな暑さであったり、インカレ初戦も朝かなり時間が早いので、それに対して時間をどう合わせていくか、とか。1日1日が大事になってくるので、とにかく全員の力を信じて、みんなでピーキングして、最高のパフォーマンスに持っていけるように合わせていくだけかなと思っています。

ーーインカレでのご自身の注目ポイントは

佐藤 マウンドでの立ち姿ですね。自分は、今年のとインカレでは、プライドを持って戦おうと思っています。今まで小学校1年生から大学4年生までやってきたソフトボーラーとしてとか、早稲田としてとか、副将としてとか、そういうプライドを背負ってマウンドに立ちます。どんな結果であっても、最後まで笑って楽しく元気にやりたいと思うので、そういうところを見てほしいと思います。やり切ります!

田中 むずいな、これ。プレーは、これといって出せる自信がないので…。

佐藤 それじゃあ無理か。やる前からこれだもんな(笑)。

田中 ソフトボールを目一杯楽しんでいる姿を見てもらいたいな、と思います。

佐藤 いや、雄輔には雄輔の良さがあるんですよ。振りが大きいとか、ホームランを打つ力がある、とか。

田中 あ、じゃあ、ヒット打つ。いや、ちょっと、二塁打にしよう(笑)。

佐藤 そうしましょう。俺のここを見ろ、が、二塁打を打ちます(笑)。弱いなあ(笑)。

ーー意気込みをお願いします

佐藤 最後、やるしかないのでやり切ります。プライドを持ってやり切ります。

田中 玲弥がいいピッチングをして、いいバッティングをして、初戦に勝って2日目、3日目と残れるようにしたいです。日程的にもかなり厳しいスケジュールにはなるんですけれども、自分が引っ張っていくべきところは引っ張っていきたいです。あと、あんまりいい言葉とは捉えられないかもしれないんですけれども、自分の座右の銘で、「おめえがいちばんがんばれ」っていうのを持っていて。

佐藤 座右の銘…(笑)。

田中 他人からとやかく言われても、それを言っている張本人がやっていない、頑張っていない姿を見せると、それが一番の悪影響にもなるので。この言葉は、同期2人でいつも発破をかけ合っています。あと、玲弥ができないことは自分がカバーして、自分がカバーできないことは玲弥がカバーする。他の選手全員ができないところを自分がカバーして、自分ができないところをみんながカバーしてくれる。そういう雰囲気のある、試合になればいいかなと思っています。

ーーありがとうございました!

(取材・編集 早崎静、写真 稲積優一)

iインカレへの意気込みを書いていただきました!

◆田中雄輔(たなか・ゆうすけ)(※写真右)

2002(平14)年9月3日生まれ。東京・筑波大付出身。スポーツ科学部4年。主将として、ここまで、プレー内外で選手をまとめてきました。自身にとって集大成となるインカレで、チームを優勝に導きます!

◆佐藤玲弥(さとう・れいや)

2004(平16)年3月22日生まれ。静岡・飛龍出身。社会科学部4年。エースとしてもチームを引っ張る副将。磨きをかけたフォームから繰り出す全力投球に注目です!