第1回は、競泳チームをけん引する松田藍青男子主将(スポ4=愛知)と亀井涼子女子主将(スポ4=東京・淑徳巣鴨)が登場。これまでの競泳人生、酸いも甘いも経験した2人に集大成となる全日本学生選手権(インカレ)への思いを語ってもらった。
※この対談は8月13日に行われたものです。
お互いについて
ーー他己紹介をお願いします
亀井 松田藍青さんです。7月16日生まれです。専門種目は平泳ぎで、最近200メートルの平泳ぎで自己ベストを出していてすごいなと思っています。私は入学した時から専門が背泳ぎなんですが、男子の平泳ぎと大体タイムが一緒ということで、私は勝手にバチバチしているつもりです。松田くんもそう思ってくれていたらいいなと思っています。
松田 亀井涼子です。誕生日は5月30日です。専門種目は背泳ぎで、どちらかと言えば短距離の方で50、100メートルの背泳ぎが得意です。亀井も言っていた通りタイムが一緒ぐらいなので、練習でも結構横になることとかが多くて。私も正直、結構意識はしています。女子の長ということで、しっかり者なのかなと思っています。
ーー趣味やオフの過ごし方
亀井 以前は結構インドア派でしたが、最近はオフの日は外に出て友達に会う方がリフレッシュになるということに気づいて、ご飯に行ったりとか遊びに行ったりすることが多いです。最近はガチャガチャにはまっていて、食品サンプルが前から好きだったのですが、そのミニチュアを見つけると、買うか自分の中で自問自答が始まります。
松田 僕は部内の人と過ごすことが多いのかなと思っています。近場だったらカラオケであったりダーツであったりていうところも行きますし、遠出するときは、美味しいご飯食べに行ったり、飲みに行ったりりします。オフは、どちらかといえば僕も外に出たい派なので、意地でも外に出ます。

対談中の松田
競技について
ーー今シーズンはどのような目標を立てて臨んでいますか
亀井 この1年くらいは、ずっとインカレでの優勝ということを考えながら過ごしていました。その前段階に日本選手権があって、ユニバーシアード(FISUワールドユニバーシティゲームズ)の代表も視野に入れてたんですけど、けがとかもありうまくいかず、今もけがと付き合いながら練習やレースに臨んでいます。私の得意とする100メートルの背泳は、トップとの差がみんな狭い状態で、誰が抜けても、誰が優勝してもおかしくないっていう状況で、かなり難しいとは思いますが、少しでも高いところに向かって頑張っています。
松田 今シーズンは、まず自己ベストを更新というところを目標にしていました。当時はタイムの目標を立ていましたが、早慶戦で200メートル平泳ぎのタイムが思ったよりも良くて。当初のタイム的にはインカレで決勝に残るぐらいかなぐらいの目標でしたが、3位以内、もしくは優勝もちょっと見据えられるタイムになってきました。強気でちょっと夢物語ではありますが、メドレーリレー含めて三冠したいという気持ちを持って、目標に取り組んでます。
ーー目標に対して、現在の手応えはいかがですか
松田 技術的なことだと、多分泳ぎのフォームが変わったのかなと思います。ただ、自分の気持ち的には水泳だけを考えすぎないことは大切なのかなって思っています。早慶戦前から、リフレッシュがてらちょっと遠くに行くとか、そういうことを今まで以上にやることで、水泳により集中できるというか。そうした方が僕は水泳の成績が上がったタイプでした。

早慶戦で自己ベストを更新した松田
ーー今シーズン、印象に残っているレースはありますか
松田 やはり、早慶戦の200メートル平泳ぎかなと思っています。200メートルに関しては、1年半ぶりぐらいのベストで、しかも1秒近いベスト更新でした。私もタッチして驚きましたし、本当にインカレがタッチした瞬間によぎったので、印象に残っているかなと思います。
亀井 私は今シーズンベストが出ていなかったんですけど、自分の中で手応えのあった試合が6月の頭に行われた東京都選手権です。結構春から夏前にかけては、私は結構タイムが安定しないというか、自己ベストからかけ離れたタイムで終えてしまうことが多かったですが、東京都選手権では自分が思っていたよりも良いタイム、良い感覚で泳ぐことができました。そこからそれを維持していて、本当はあと1、2段階ぐらい上げないといけないのですが、それは自分の自信になったレースではありました。
ーー主将としてこれまでを振り返っていかがですか
松田 今まで以上に大人になったのかなというのは、1年で思います。人のことも見るようになりましたし、チームの緩衝材になるというところは私自身やってきた自信があるので、そういうところで大人になったなと思いますし、楽しかったなと思います。プレッシャーもありますが、私の調子が上がれば後輩を波に乗せることもできますし、良くも悪くも私次第なところがあるのかなと思っているので、練習でもインカレ本番でも、そういう波を私自身が作っていけたらいいなと思っています。
亀井 この約1年間、主将を務めてきて、自分が想像していたよりも4倍ぐらい難しいなというところを感じています。私が今まで見てきた主将の方々は、それぞれ悩むところもあったと思いますが、いつも堂々としていて、そつなくこなしているように見えたので、私もそういうふうにできるかなと思っていました。ですが、当たり前ですが、思ったよりもみんなの性格が違って、個性をいかに殺さずにチームを良い方向に持っていけるかというところにすごく苦戦するような日々が続いていたと思います。すごくみんな良い子たちなので、今はすごく良い感じで来れていますが、苦しかったこともありつつも、頼りにしてもらえるとうれしいところもありましたし、そういうやりがいを感じながら務めることができていると思います。
ーー最後のインカレとなりますが、後輩との印象的なエピソードはありますか
松田 1学年ずつ話したいと思います。3年生は、3年間一緒だったので、それこそ思いが深いというのもありますし、1年生からの成長も見ているので、私自身も感慨深いなと思うところではあります。思い出としては、3年生と4年生の男子全員で飲みに行ったのは、すごく楽しかったです。後輩のいつも見えない部分というのも見れて、私自身より仲が深まったのかなと思っています。2年生は私自身、指導係だったので、最初はちょっと厳しくしていた部分もあって、仲良くはなれなかったところはあるんですけど、昨年のインカレが終わった後くらいからは今もすごく仲良させてもらっていますし、すごい可愛いなと思いますね。ちょっと生意気なところもありますが、そういうところも含めて、指導係をやっていたこそ、可愛いなと思うところではあります。1年生は、半年も経っていませんが、人懐っこい子が多いのかなと思っています。すごく4年生を慕ってくれますし、これからのチームの中核になっていくだろうなという存在がたくさんいるなというのは感じていて。成績もそうですし、普段のコミュニケーション能力とか、そういうところもすごく高い人材というものが集まっているのかなと思っています。私は引退してしまいますかま、これからも関わっていけたらいいなと思っています。
亀井 私も1学年ずついきますね。3年生は入学前から親交のある子がいたり、大学入ってから出会う子たちがいたりしますが、一緒に3年間過ごして来たので。普段ご飯に行く時とか、同期やもっと下の後輩には言いづらい私の考えを話す選手もいます。そして、学外選手が2人いるので、そことは合同練習や合宿、その他の部分でもコミュニケーションを取ることを意識して、過ごしていました。2年生に関しては、もうすごく後輩力が高くて、人懐っこくて明るい子たちが多いです。私は松田のように直接指導に関わっていたわけではなかったので、最初から距離感なく、ご飯に連れていくとすごく喜んでくれましたし、みんなご飯を美味しそうに食べてくれるなという印象があります。練習中とかもいつも明るいというか、暗い顔をせずに積極的に取り組んでいる様子もすごく印象的です。1年生に関しては、選手2人とマネージャーさん1人で関わってまだ4ヶ月ぐらいですが、それだけでもフレッシュさに癒されています。人懐っこくて、競技レベルも2人とも高くて、1人は個人種目を勝ち取ることはできませんでしたが、それでもなおひたむきに練習に取り組む姿や監督の指導を受ける姿を見ていると、私も学ばなければいけないところが多くあるなという印象です。

早慶戦での亀井
ーー女子の選手は学外選手も多いですが、何か意識していることはありますか
亀井 やはりなかなか会う機会がないということで、私自身が元々学外選手だったので、ちょっと寂しい気持ちというか、学内組と心の距離が離れるとすごい辛い思いをしていました。もちろん学内に来た時は学内の輪に入ってこられるようにしているつもりでしたし、女子ミーティングや個人的にご飯に連れて行ってそこで色々な話をして、できるだけ心の距離が開かないようにということをずっと意識しながらやっていました。
インカレについて
ーーインカレの出場種目とそれぞれの目標を教えてください
松田 私は、個人としては100メートル平泳ぎと200メートル平泳ぎに出場します。メドレーリレーもおそらく出ると思います。目標は、そうですね。3冠で。お願いします。
亀井 私は100メートルと200メートルの背泳ぎとおそらくメドレーリレーに出場させていただくと思います。100メートルは先程も言ったように得意種目なので、貪欲に優勝を狙っています。200メートルは苦手ですが、得点が全く稼げないわけではないので、自己ベストをきちんと更新して、少しでも大学に貢献できたらと思います。
ーー現在、重点的に取り組んでいることはありますか
松田 早慶戦で100メートル平泳ぎはベストが出ていなくて、200メートルだけすごくタイムが伸びました。そこからスプリント練習は、心のどこかで多くやろうというふうには思っていました。筋力トレーニングやウエイト、タバタ式トレーニングで心肺機能の向上やマックス重量の底上げで筋力強化をしています。スプリントで200メートル平泳ぎの前半からもっと速く入れるように、かつ心肺機能の強化で後半持つようにトレーニングしています。
亀井 特に、100メートル背泳ぎではレースの中の意識を変えました。今までは前半からとばして、後半いかに耐えるかというところでしたが、今は、もちろん前半をとばしつつも、少し余裕を持って後半も良い泳ぎを続けるというふうに変えていて。そうすると後半のタイムが安定してきているので、ここ最近はそれを継続しつつ、スタートの局面でうまくいっていない部分を重点的に改善しています。スピードに慣れていなくて前半が遅いというところが最近続いているので、そこの瞬発力というかパワー系のところをウェイトトレーニングやバイクを通して練習しています。

対談中の亀井
ーー早稲田で注目している選手を教えてください
松田 同期みんな期待してはいますが、原空輝(スポ4=東福岡)ですね。理由としては、先日のユニバーシアードでもすごい活躍をしていましたし、大きな大会でのここぞみたいなところで原自身強いなと思っています。ユニバーシアードでもそうですし、過去3年間のインカレでも見ているので、本当に強いライバルはいますが、勝って、早稲田に良い流れを持ってきてほしいなと思っています。1日目に100メートル自由形があるので、そこで優勝して、波を作ってほしいなと思います。
亀井 女子もすごく自己ベストを更新している選手が多くて、レベルが高いですが、ここであえて私も同期の船越彩椰(スポ4=東京・淑徳巣鴨)を挙げたいと思います。彼女とは高校生の時から同じ高校でずっと一緒ですが、小さな体でいつも自由形短距離のトップを走っていました。最近の関カレで100メートル自由形では自己ベストを更新していましたし、すごく負けず嫌いなところがあるので、本番は100メートルも50メートルも、良いところを取ってきてくれると期待しています。
ーーご自身の注目ポイントはありますか
松田 100メートルと200メートル平泳ぎでどちらも変えたところで言うと、前半だと思っています。私自身、前半逃げ切りの方がタイムも良いですし、気持ち的にもすごく楽だなと思っているので、前半いってそのまま逃げ切るというかっこいいレースを見てほしいです。
亀井 私は、前半かなり速く入って、いちばんの強みはターン後のバサロキックだと思っています。毎年そこでみんなを沸かせてきている自信がありますし、そこで全員抜いて逃げ切るような気持ちでレースに臨みたいです。レース外のところで言うと、このチームのためになると結構力が出るタイプなので、そこを見てもらえるとうれしいなと思います。
ーーインカレの意気込みをお願いします
松田 この4年間辛いことの方が多かったですが、本当にこれが引退試合になるので、笑顔で引退したいなと思っています。
亀井 今回は最上級生なので、個人のレースはもちろん大事にしていますが、今までにないぐらい早稲田の女子が良い位置にいるというか、総合優勝を狙えるところにいるので、この機会を大切にしてみんなが笑って終われるようないんかれにしたいと思います。
ーーありがとうございました!
(取材、編集 大村谷芳)
◇松田藍青(まつだ・あいせい)
2003(平15)年7月16日生まれ。173センチ。愛知高出身。スポーツ科学部4年。インカレの目標は三冠。そう言い切る姿には、主将としての覚悟が感じられました!
◇亀井涼子(かめい・りょうこ)
2003(平15)年5月30日生まれ。166センチ。東京・淑徳巣鴨高出身。スポーツ科学部4年。ガチャガチャに夢中だという亀井選手。対談中には、お気に入りの韓国キムチのミニチュアを見せてくれました!