初回は早稲田のバスケットを作り上げるG下山瑛司(スポ3=愛知・中部第一)、G城戸賢心(スポ3=福岡第一)、G嘉手川太智(商3=沖縄・開邦)の3年生ガード3人が登場。リーグ戦開幕を間近に控える今の心境を伺った。
※この取材は8月16日に行われたものです。
――まず最初にそれぞれ他己紹介をお願いします
城戸 名前は下山瑛司です。彼はバスケット面で言うと全体的に真面目かなと思っていて、でも面白いですね。勉強面でも、バスケット面でも両方通じて頑張っている姿が見えています。
下山 嘉手川太智です。沖縄出身のちゃらんぽらんで、勉強はできる方だと思うんですけど、私生活はちょっと怪しいかなって思います。まあでも一緒にいて楽しいし、笑顔になれる。常に他人を思う行動が見られることはすごくチームとしてもプラスなのかなと思います。
嘉手川 城戸賢心君です。外から見たらちゃらんぽらんです。何も彼を知らない人からしたらすごくしっかりしているように見えるんですけど、実際やって喋ってみると変なやつだなって感じです。その変な感じの中にも、根はどこか真面目なところがある感じで、落ちてるゴミを拾うだとか、やっぱ(福岡)第一のキャプテンだっただけあって、本当にしっかりしてるなと感じます。今彼はリハビリ中なんですけど、そこも気持ちを折れずに練習に早く来て、リハビリに取り組む姿勢もすごく尊敬してます。</p>
ーー3人での思い出はありますか
嘉手川 ディズニー行きましたね。
城戸 朝から並んで楽しいオフを過ごせました。
嘉手川 待ち時間とかもめっちゃ楽しかったです(笑)。
――3人で1on1の対決をよくされていますが、戦績はいかがですか
下山 最下位を決める方式でやってて、最下位の確率が高いのは彼(嘉手川)です。
嘉手川 たまたまです。運が悪いですね。
――2月には藤山拓翔選手(スポ2=新潟・開志国際)を加えての4人で3on3の大会に出ていました。そちらはいかがでしたか
城戸 時間も1週間しかない中で、僕ら3年生の2人と藤山出てました。5対5と違っても準優勝できたので、得られるものは大きかったかなと感じました。
――それぞれ一番自信を持っているプレーを教えてください
城戸 僕はシュートとディフェンスには自信あります。
下山 僕はボールプッシュとディフェンスのハッスルとかは自信があります。
――今季はボールプッシュから相手を崩すプレーが目立っています
下山 チーム全体としても身長が低いので、速い展開でバスケをしたいという根本があります。そこに沿えるスピード感を出していこうというのがありますね。
嘉手川 僕はドライブのスピードとディフェンスですね。今まであんまりチームに貢献できてなかったんですけど、今シーズンからディフェンスの面で、少しだけですけど貢献できるようになりました。そこのところは自信を持って、これからの試合もチームのために頑張りたいと思います。

対談中の3選手
――それぞれの理想とする選手を教えてください。
嘉手川 僕は同じ沖縄出身のハーパージュニア選手(ジャン・ローレンス・ハーパージュニア、現・SR渋谷)を参考にしています。あの人もドライブやディフェンスのアグレッシブさのところで重なる部分がありますし、メンタリティのところとかも参考にさせてもらってる部分はあります。
下山 僕はポイントガードとして、河村勇輝選手(現・シカゴ・ブルズ)とか、富樫勇樹選手(現・千葉J)ですね。やっぱり得点力のあるガードほど怖いガードはいないので、自分のスピードに加えてもっと得点力をあげられるように、そこを尊敬というか憧れはしてますね。
城戸 僕も河村選手で、高校の代は被っていないですけど先輩です。身長が小さい分を他で補っていて、ディフェンスもアグレッシブで、ゲーム支配することを彼1人でやってることがすごいと思っています。
――チームでは今年から倉石平ヘッドコーチ(昭54教卒=東京・早実)がヘッドコーチに復帰しました。昨年と比べて変わったと思う点はありますか
下山 一番変わったのはオフェンスの面で速い攻めを去年以上に増やし、テンポ良くリズムシュートを打つことです。分解練習から入って、ゲームにつながるような練習をして、練習試合も得点の基準を1クォーター何点という高い目標を作って速い展開でバスケをしてるのはすごい変わったところかなと思います。
嘉手川 同じく、得点力はすごく上がっていると思います。そこに自分たちの持ち味のシュート力を生かして、ディフェンスでは小さい分、リバウンドとか泥臭い部分にフォーカスしているチームです。
城戸 オフコートの部分で倉石さんとのコミュニケーションが増えた分、キツいメニューにもみんなしっかりついていくようになって、そういうところでチームの雰囲気として良くなっている部分はがあるなとすごい感じてます。
――ディフェンス面では前から仕掛ける場面が増えましたが意識などはいかがですか
下山 24秒と決められているオフェンスの時間の中でガードがボールを持っている時間を長くして、ハーフコートまでボールを運ぶ時間も極力長くさせるようにしています。できるなら8秒バイオレーションを取れるくらい、相手のクリエイトする時間を少しでも削りたいと思っています。
城戸 攻撃の起点となる選手を詰めることで相手チームのバランスを崩せると思います。まず自分たちガードの選手がそこを潰そうと思っています。
嘉手川 常に相手がどのような動きをするかを先読みしています。相手がしたいことをさせないように頑張っています。
――今年はスモールラインナップでの戦いですが、だからこそ意識していることはありますか
城戸 ディフェンスでは相手を簡単に中に入れないようにしたり、ハードなディフェンスを心がけています。オフェンスではスクリーンで相手留学生を外に引き出してミスマッチを狙うようにしています。
下山 ディフェンスは先程のように相手にオフェンスをさせる時間を少なくすることです。オフェンスは留学生の選手は走ることが苦手な選手が多いと思うので、僕たちに身長がない分、留学生が着く前に点を取れるように展開を速くすることを意識しています。
嘉手川 下山くんと同じです(笑)。

得点力の向上を目標に掲げる下山
――ここから個人の質問に移りたいと思います。まず城戸選手、今まではミドルの印象が強い選手でしたが、筑波大戦のスリーポイント4/5などスリーポイントが磨かれている印象です。感覚はいかがですか
城戸 中に入りすぎるとブロックされてしまいますし、スリーポイントの方が期待値が大きいです。今まではミドルを打つことが多かったですが、スリーポイントも武器にしたら選択肢が増えて、自分のプレーの幅も広がるので積極的に練習しました。
――昨年はケガで本調子とはいかなかったところから本来のパフォーマンスを取り戻しました
城戸 けれどまたケガしてしまって。1年生の時から出してもらっていたので、自分が出て取り戻したいと思っています。リーグ戦前に抜けてしまって申し訳ないという気持ちがあるので、早くチームに合流して試合に出られるよう頑張りたいです。
――復帰時期などは
城戸 本当にリハビリ次第ですね。頑張るしかないです。
――続いて下山選手に質問です。今年からスタメンではなくベンチからの起用が続いていますがスタメンの時と比べて変化はありますか
下山 シックスマンの役目というものを理解できたと思います。スタートで流れに乗って早稲田のペースで試合を進めているのならその流れを切らず、さらに勢いづけるプレーをするために自分は出ていますし、相手のペースになっている時はそこで流れを切るプレーが求められていると思います。自分たちのペースでコントロールしたり、ディフェンスだったらボールプレッシャーをかけたり。チームの流れを変化させる大事な役割であることを感じながらプレーしています。
――持ち前のスピードは大学生全体を見てもトップレベルだと思いますが自信はいかがですか
下山 スピードには自信がありますし、第4Qの最後でもそのスピードを維持できる体力にも自信があります。試合に出た瞬間からどんどん自分の持ち味のスピードを出していきたいと思っています。
――そのスピードは50メートル走などとはまた違うものですか
下山 50メートルとか短距離はめっちゃ苦手です。スピードに乗りながらなら違うと思いますが、用意ドンで走ったらそれこそ太智(嘉手川大智)や賢心(城戸賢心)より遅いです。実際タイムを測っても事実なので。
――続いて嘉手川選手に質問です。今年から背番号を20から3に変更されましたがその理由を教えてください
嘉手川 今シーズンから気持ちを切り替えて、新しい自分としてやりたいという気持ちです。あと番号が若い方がチームに貢献してる感がある気がして(笑)。そういった決意も込めて3番を選びました。
――嘉手川選手はBチーム出身ですが、昨年からAチームに上がって感じることはありますか
嘉手川 周りの人は強豪校出身で、それに対して自分は弱小高出身で。そういった面で試合に出る時に弱気になったり、やっていけるのかという不安がありました。それでも普段から下山とか頼さん(岩屋頼主将、スポ4=京都・洛南)とかと一緒に練習できていることから自信をつけました。
――出身の開邦高は沖縄県内ではどれほどのレベルのチームでしたか
嘉手川 本当にバスケは強くなくて、2回戦突破できるかできないかくらいです。
――その中でなぜ早大バスケ部で活動することを選んだのでしょうか
嘉手川 体育会の部活自体、意識の高い人が集まっている環境だと思います。僕自身が人に流されやすいタイプであることは前から分かっていたので、そういう場に身を置くことで自分を環境と共に高められると思いました。

成り上がりのバスケ人生を描く嘉手川はエネルギッシュなプレーが最大の魅力だ
――1年で1部復帰を果たした昨シーズンを振り返っていかがですか
城戸 僕は怪我をしていてチームを客観的に見ることが多かったです。新しいヘッドコーチのもとで最初は上手く噛み合っておらず、リーグ戦も1、2回ぐらいコケましたが、ちょっとずつチーム力が上がって、みんなが理解し合いながらプレーをしている感じがありました。優勝して入れ替え戦もしっかり勝てて、すごい去年は良かったと思います。
下山 リーグ戦で何回か負けたりしましたが、常に試合の中で成長出来ていたことが良かったと思います。1巡目で負けが多かったところを2巡目でしっかり修正、成長して勝ち切れました。
嘉手川 三原さん(三原学アシスタントコーチ、平15スポ卒=東京・安田学園)の方針としてボトムアップというものを大切にしていて、選手からチームを変えていく動きがチーム全体の成長につながって良かったと思います。今年は倉石さんの体制になって倉石さんの言うことを遂行しがちですが、自分たちからもチームを変えていこうという雰囲気は今シーズンも続けていきたいです。
――今シーズンのここまでの戦いぶりを振り返っていかがですか
城戸 僕が1年生の時から今の3、4年生は試合に出ていて、経験があって勝てる試合もだんだんと多くなっていました。その中でもっと上のレベルを目指していましたが、スプリングトーナメントは準々決勝で負けてしまって、順位決定戦で7位だったので。1部の上のチームに勝つにはもっとレベルアップが必要と感じました。でもここまでを通してはすごく良いチームで、上を狙えるのではと思います。
下山 チームとしてまだここまでの戦いは通過点だと思っていて、スプリング7位という結果は残りましたがここで成長を終えてしまうと2年前のように最下位や残留争いで上位にくい込むことが出来ないと思います。スプリングで1部のチームに勝ち切れなかったことはまだ弱い部分だも思うので、チームとしてまとまりきらなかったことを改善していきたいと思います。
嘉手川 トーナメントとかはあまり試合に出ていませんが、他の人より試合経験が少ない分、リーグ戦の1戦1戦の間に成長していくことが求められていることだと思います。自分と周りが合わなかった点を試合に出ている選手と意見を交わしてすり合わせていきたいです。
――リーグ戦で対戦したい相手を教えてください
城戸 対戦したいのは東海大ですね。1年生のインカレで負けていて、リーグ戦で1勝しかしていません。今年2戦ある中で2勝して勝ち越したいと思っています。選手ではムスタファ(ンバアイ、東海大2年)と轟(琉維、東海大3年)ですね。留学生の中でも走れるし、対戦していて得るものが多そうなので楽しみです。
下山 自分は中部第一の先輩がいる大東大、筑波大には今年こそ勝ち切りたいなと思います。自分が入ってから大東大には勝っていないし、去年は早く(2部から)上がってこいと先輩から言われていたので。やっと1部に上がれてチャンスがあることはすごく楽しみです。先輩はもう4年生で、勝つチャンスはこれで最後なので。
嘉手川 僕は白鴎大です。去年のインカレで最後に当たって負けたんですけど、チャンピオンのチームのディフェンス強度に刺激を受けました。今年は倉石さんにHCが変わって、ディフェンスもしっかりやってきたのでそれがどのくらい通用するかが楽しみです。

3P能力にさらなる磨きがかかった城戸
――個人としてリーグ戦で掲げている目標を教えてください
城戸 リハビリで試合に出れないことが多いですが、その中でチームをサポートできるかたちを探していきたいです。
下山 自分自分にならない程度に大事な場面で決め切るとか、自主練などで努力して得点面でチームに貢献できるようにしたいです。また、ガードということで味方がシュートを打ちやすいパスを出せるように視野の広さだったりをリーグ戦通して高めたいです。
嘉手川 僕が一番求められていることはアグレッシブなディフェンスだと思います。チーム全体でディフェンスでもオフェンスでも守りに入ってしまう時間は絶対にあると思うので、そういうところで自分が声を出してディフェンスを頑張ることでチームの流れを取り戻せたらと思います。それが自分がチームに貢献する一番のカギだと思っているので。そこをしっかり地に足つけて頑張りたいということと、あとはシュート力を上げて、周りのレベルと合わせたいですね。
――最後にリーグ戦への意気込みをお願いします
城戸 リハビリを頑張って試合に絡んで、たくさん勝てるように頑張ります。
下山 賢心のために頑張ります(笑)。
嘉手川 元気に楽しく頑張ります!
――ありがとうございました!
(取材・編集 石澤直幸、大竹瞭)

◆城戸賢心(きど・けんしん)
2004(平16)年8月29日生まれ。181センチ。福岡第一高出身。リーグ屈指のシューティングガードとして攻守でチームに貢献してきた城戸選手。現在はケガからの復帰を目指し、懸命なリハビリに励んでいます。色紙には一番乗りで「膝」の一文字を書いていただきました!
◆嘉手川太智(かでかわ・たいち)※写真中央
2004年(平16年)10月28日生まれ。177センチ。沖縄・開邦高出身。持ち前の明るさでムードメーカーとなっている嘉手川選手。早関定期戦ではスターティング5に名を連ねるなど好調です。出身の開邦高は沖縄県ナンバーワン進学校。持ち前の頭脳を生かした「先を読むディフェンス」に注目です!
◆下山瑛司(しもやま・えいじ)
2004(平16)年8月16日生まれ。169センチ。愛知・中部第一高出身。対戦したい相手に田中流嘉洲(4年)選手のいる大東大や、坂本康成(3年)選手のいる筑波大を挙げた中部第一愛にあふれる下山選手。高校3年時、ウィンターカップ準々決勝、洛南高戦の最終盤でフリースローを外した坂本選手を下山選手がイジった場面は名場面の一つです!