【連載】水球男子 インカレ直前対談『FIGHT FOR VICTORY』第2回 永野冬惺×加納恒心

特集中面

 第101回日本学生選手権水泳競技大会水球競技(インカレ)直前対談第2回は、永野冬惺(スポ3=東京・明大中野)と加納恒心(スポ3=東京・明大中野)の二人。高校時代から苦楽を共にし、攻守でチームの要となるお二人に、今季の振り返りやインカレへの思いを伺った。

※この対談は、8月14日に行われたものです。

お互いのこと

ーーまずは、他己紹介をお願いします

加納 明治大学付属中野高校で同級生だった永野冬惺くんです。ポジションは、センターバックです。彼は、表向きは、ふざけていますが、根は真面目です。感情とかあまり表に出すタイプではないですが、負けん気がこのチームで一番強い選手です。

永野 加納恒心くんで、誕生日が10月11日の20歳です。性別は男の子で、血液型は、O型です。豊中という大阪出身で、そこから明大中野高校で一緒でした。特徴としては、左利きで、チームで一番泳ぎが早く、一人で、カウンターで完結できる得点力も持っているオフェンスがすごい選手です。過去には、世界ジュニアの代表にも入っている負けず嫌いな選手です。

対談中の永野(左)、加納

ーー高校の同級生ということですが、お互いの第一印象は

加納 初めて会ったのは、僕が中学生の時に大阪の豊中水球クラブとして、明大中野に遠征に行った時のお昼休みです。冬惺が僕の休憩していた教室に来て、「加納恒心くんいますか」って呼んでくれて、学校案内をしてくれました。その時に冬惺と初めて話したのですが、最初からすごくフレンドリーに話しかけてくれて、学校案内も丁寧にしてくれて、いいやつだなと思いました。

永野 恒心が明中(明大中野)に興味を持っていて、話を聞きたいとのことだったので、学校案内をしました。大阪出身なので、フレンドリーで面白いやつが来るのかなと思ったのですが、全然ムスッとしていて、無愛想で、なんだこいつみたいな第一印象でした(笑)。

加納 そんな無愛想だった?(笑)シャイだったのかな。

永野 シャイな可愛い人でした。

ーー趣味はありますか

永野 僕は、サッカー観戦が好きで、イングランドのプレミアリーグを夜更かししてみています。

加納 寝ることと見た目や味は、あまり良くないかもしれませんが、料理を最近しています。自分で、IHやレンジやフライパンを買って、自分で調理しています。

ーー付き合いが長い関係だと思いますが、尊敬しているところや直して欲しいところはありますか

永野 カップルやなぁ(笑)。何に対しても真面目というか、負けず嫌いなのかなと思っていて、水球も自分で自分を追い込んでいますし、ウエイトもしっかりとこなしているので、すごいなと思います。直して欲しいところは、よくわからないボケが多いので、拾うのが難しいので、そこを改善して欲しいです。

加納 僕も冬惺の負けず嫌いなところと主務も今やっているので、すごく仕事ができるところです。計画性を持って行動できている部分や人に何かを頼まれたら、それをすぐに行動に移せるところは、すごく尊敬しています。直して欲しいところは、お腹が空いた時と、眠い時の機嫌がすごく悪いので、それは、直して欲しいかなと思います。

永野 すみません(笑)。

ーー永野選手は、主務ということですが、仕事内容を教えてください

永野 多岐にわたる作業をしてます(笑)。大会の申請だったり、ホテルの手配や大会関係を基本やっています。大学は、何に対しても申請が必要で、その書類を作ったり、怪我をした時もそのことを書いて、大学に報告しなければいけないので、競技スポーツセンターや事務センターと協力しながら、仕事をしています。

質問に答える永野

今季の試合を振り返って

ーー今シーズンで最も印象に残ってる試合を教えてください

永野 僕は、二つあるのですが、まず一つ目は、日体会場でやった日大戦です。

加納 リーグ戦の第6節かな。

永野 今までで初めて、1試合で6得点して、単純に嬉しかったです。普段はあまり、得点は取らないので、個人的に嬉しかった試合です。もう一つは、早慶戦です。3年目にして初めて勝てたので、みんなで紺碧の空を歌えたのは、忘れられない瞬間だったなと思います。

加納 僕も早慶戦で、無事に3回目にして初めて勝てたのは、とても印象に残っています。僕は、試合中に何度か足を攣ってしまい、ベンチにいる時間があったのですが、それでもチームは、崩れることなくずっと自分たちのペースで試合を進めることができたので良かったなと思っています。4年生の意地が慶應の4年生よりも上回っていたから、最後勝てることができたのだと思ったので、4年生の意地が本当にすごくて、自分の中での一番印象に残っている試合かなと思います。

ーー関東学生リーグ戦、日本選手権、早慶戦を振り返り、お互い点数をつけるなら何点でしょうか

加納 冬惺は、100点満点中だと85点です。

永野 おぉ。

加納 理由としては、やはり、センターバックなので、相手のエースやフローターなど相手の一番点を取る選手のマークにずっとついて、ディフェンスでチームを牽引してきて、尚且つ試合で6得点することであったり、常に2、3点試合で取ったり、ディフェンスもできて、オフェンスもできる本当にすごい選手だなと思います。残りの15点は、たまに永久退水する部分です。永久退水されると、チームとしても困るので、してほしくないという部分と、オフェンスの1対1の能力をもっと上げていけば、本当に完璧な選手になると思うので、残りの15点は、その部分かなと思います。

永野 恒心は、期待込みの70点で。

加納 高いわ(笑)。

永野 早慶戦などの大一番でしっかりと自分の強みを発揮して、点を決め切るところは、すごかったけど、ディフェンス面でちょっとやらかしちゃったり・・・。

加納 オブラートに言わなくていいよ(笑)。

永野 退水してはいけない部分で、退水してしまったりだとか。あと僕は、(加納の)決め切る所でしっかりと決め切って、チームを牽引するという高校時代の活躍を知っているので、それを含めて、まだまだいけるよという期待を込めて70点かなと思います。

ーー今のも含めて、自分に点数をつけたら何点ですか。理由もお願いします

加納 僕は、40点をつけます。自分の強みを活かしてミドルシュートやカウンターで得点することは、1、2年生の時よりは、出来たので良かったですが、逆にディフェンス面で、3年目でもやられることが多く、退水してしまうことが何一つ変わっていないので、そこが全然ダメだったところです。自分が得点できているのは、結局他の選手が退水を誘発してくれたり、パスを回してくれたり、マークを引き付けてくれたりして、自分がシュートを打てて、得点を稼ぐことが出来ているだけなので、自分がさらに1対1で攻めて得点できるプレイヤーになれば、こちらにもマークが付きますし、もっと得点力の高い選手がフリーになって、やりやすいプレーができると思うので、そこは自分の課題なので、40点をつけました。

永野 僕は、70点です。

ーー理由はいかがですか

永野 なんといっても今シーズンは、怪我をしなかったことです。1年生の時も、2年生の時も毎年どこか怪我をして欠場していたので、まだインカレがありますが、一応怪我していないので、そこは、一つ良かった点かなと思います。さっき恒心が言ってくれた、「ディフェンスの守備の要として、チームを牽引した」という部分は、自分でも自負している部分はありますが、どうしても永久退水してしまったり、守りきれない時があったりしたので、そこの改善の部分がまだ必要かなと思います。オフェンス力が低いので、残りの30点部分は、オフェンスの力や足りない部分に関しての30点だと思います。

関東学生リーグ戦日大戦の加納

ーー個人として特に力を入れて取り組んでいることを教えてください

加納 僕が今一番力を入れているのは、やはり課題であるディフェンス面です。このチームの中では、ディフェンスが全然できない方なので、普段の1対1の練習やフットワークの練習から常にディフェンスに繋がるように意識して、練習をしています。

永野 僕は、攻防練習や試合形式の練習の時に、なるべく声を出そうと思って、どこかの記事で、「試合中に声を出せない奴は、ただ疲れているだけだ」みたいなものが書いてあったのを見て、声を出してチームを引っ張りたいなというところと、自分が一番後ろにいるので、自分が守りたいように指示して、守備ができれば、楽で楽しいので、そこは意識するようにしています。

ーー4年生との最後の インカレですが、4年生はどんな存在でしょうか

加納 4年生は、後輩や他の先輩よりも一番長く一緒にいた先輩たちで、感謝ばかりでした。自分は、今シーズンの目標として、4年生のために全てをかけて戦うということをモットーにしてやってきたので、4年生の目標でもある「最後の大会でメダルを獲得して、笑って引退する」という部分を実現させるために、全て出して、そして試合で勝って、4年生に引退してもらいたいです。4年生は、常に僕たちに気を使って話しかけてくれたり、ご飯に連れて行ってくれたり、遊んでくれたりとずっとしてくれて、辛い時も苦しい時も常に寄り添ってくれた存在なので、今までで一番尊敬できる先輩たちだなと思います。

永野 まず浩基さん(渡辺浩基、スポ4=東京・明大中野)は、中学1年生の時から接点があります。中1で入部した時に中3のゴールキーパーをしていて、僕も最初は、キーパーだったので、その時からお世話になっていて、「この人すごいな」と一番最初に憧れた人でした。

典也さん(古谷典也、スポ4=東京・明大中野)は、中3の時に初めて一緒に試合に出て、そこから負けたり勝ったり、苦楽を共にしてきたのでこの二人に関しては、本当に尊敬するところしかないです。二人ともキャプテンをやっている姿を見てきたので、そのチームを引っ張っていく姿やチームの上に立つ姿は、かっこいいなと思いますし、僕が早稲田に入ったのも、典也さんが誘ってくれたことがきっかけでした。典也さんも浩基さんもいる早稲田もいいかなと思って入学したので、この二人に関しては、僕の人生の先輩みたいな本当にお世話になっている先輩だなと思います。

空さん(渡邊空、スポ4=新潟産業大附)に関しては、大学から関わったのですが、言ったら変な人なので、ずっとおちゃらけていて、でも水球面で、あまり良くないことがあってもそれを私生活に出さずにみんなの前ですごく楽しそうに振舞ってくれたり、二人でご飯に行くことも結構あって、「飯行こうぜ」って誘ってくれるので、すごく良い先輩だなと思います。

一旦キャプテンは、置いておいて、マネージャー二人は、僕は、主務の仕事をする中で、由茉さん(永田由茉、スポ4=東京・都立戸山)には、すごく手伝ってもらっている部分があって、大会の申請などすごくお世話になっています。彩日さん(信藤彩日、商4=東京・早稲田佐賀)も、日頃マネージャーとして、アイシングしてくれたり、タイマーをやってくれたり、僕らができない仕事を率先してやってくれるので、感謝しています。

凪人さんは、このチームを1年間よく作ってくれたなと思っていて、去年大智さん(中村大智、令和6卒=埼玉・秀明英光)がキャプテンだった時は、大智さんが一人で引っ張ることが多かったのですが、今年は、ガラッと印象が変わって、凪人さんもキーパーが同じ代に3人もいて、難しい部分や面倒くさい後輩もたくさんいる中で、一人一人に気を配って、4年生で協力して、みんなでやるところはみんなでやって、でも最後は、自分がキャプテンとして引っ張ってくれたので、すごく尊敬しています。

早慶戦でシュートを放つ永野

インカレに向けて

ーーインカレ自分の注目ポイント、見て欲しい部分は?

加納 自分は、チーム唯一の左利きなので、左手からは放たれるミドルシュートは、自信があるので見てほしいです。また、自分の武器である泳ぎのスピードも他の大学にも自分は嫌な存在だと思われていると思うので、そのカウンターアタックをチームで一番出すので、見て欲しいポイントかなと思います。

永野 難しいな・・・。

加納 身体でもいいよ(笑)。

永野 注目ポイントでしょ。

加納 顔?

永野 まあ顔ですかねぇすみません(笑)。やはりディフェンス面です。今回のインカレでは、対戦する相手に毎試合フローターいて、しかもどのチームも左利きという珍しいトーナメントになっています。普段と違う左利きを守るのは、難しいのですが、そこでいかに失点を減らすのかは、注目して見てほしいポイントだと思います。

対談中の加納

ーー早稲田大学の部員の中で、注目選手はいらっしゃいますか

加納 僕は、永野冬惺選手だと思います!やはりディフェンスからのカウンターは、毎回抜けてきてくれるので、そこは、冬惺の武器だと思うので、強いエースを守ってからのカウンターは期待しています。

永野 二人いて、まず一人目は、加納恒心選手です。武器である左利きのシュートは、他の大学を見ても群を抜いて上手いですし、ミドルシュート、カウンターは見てほしい部分です。インカレでは、改善された守備が見られると思うので、そこも期待しています。

加納 任せてください。気づいたらベンチにいるかもですが(笑)。

永野 二人目は、醍醐裕也選手(醍醐裕也監督、平22年度卒=埼玉栄)です。

加納 選手じゃないだろ(笑)。

永野 監督です(笑)。普段は、あんなにおちゃらけていますが、実は、あの人結構緊張しやすいと思っていて、僕の中で。

加納 確かに。

永野 試合前のミーティングは、手にハンカチを握って、手汗を拭いていたり、めっちゃ手震えているんですよ。そこは注目ポイントだなと思います。試合終わった後、できればメダル取って泣かせたいので、そこは注目してほしいポイントです。

ーーそれでは、最後にインカレの目標をお願いします

加納 メダルを獲得して、大好きな4年生に笑って引退してもらいたいです!

永野 このチームでプレーできる最後の試合なので、同じくメダルを取って、チーム全員で笑って、終わりたいと思います!

ーーありがとうございました!

(取材・写真・編集 指出華歩)

インカレへの意気込みを書いていただきました!

♦︎加納恒心(かのう・こうしん)写真左

2004年(平16年)10月11日生まれ、明治大学付属中野高等学校出身。料理にハマっているという加納選手。武器である左利きのミドルシュートとカウンターで大好きな4年生のために全てを注ぎます!

♦︎永野冬惺(ながの・とうせい)写真右

2004年(平16年)12月7日生まれ、明治大学付属中野高等学校出身。センターバックとして、チームディフェンスの要となる永野選手。攻守で魅せるプレーに注目です!