対談6回目は、ア式蹴球部女子(ア女)のエースとして活躍するFW生田七彩(スポ4=岡山・作陽学園)。エースとして抱える責任感やプレッシャーと過ごす日々について伺った。

ーー今季のア女を振り返っていかがですか
関カレの優勝を狙っている中で、結構厳しい順位かなという印象があります。それでも、ア女が今年やりたいことである攻撃だったり、切り替えや球際というところは体現できつつあるのかなと思います。それにまだ1位とも僅差ですし、ここから勝ちを積み重ねれば、優勝は無理ではないと思うので、優勝のために勝ち点を積み重ねたいなと思います。
ーー関カレでは上位が詰まっていますが、どう感じていますか
試合前は毎回「今日勝ったら何位だよ」という話をしますし、逆に負けたらやばいという話もよくします。
ーー試合終盤の失点で勝ち点を落とす試合が続きましたが、どう捉えていますか
上位に対してもやれてるなと思う部分もありますが、アディショナルタイムに決められたりと最後の詰めの甘さでやられている部分があると思います。そこはインカレ優勝に向けて絶対に突き詰めなければいけない部分だと思うので、しっかりとチームとして90分を通してやり抜くということは徹底していきたいなと思います。
ーー印象に残っている試合はありますか
東洋大はここ何年か勝ててない状況の中で、前半チャンスをつくることができていつもとは違う手応えがあったにもかかわらず、最後に失点する形で負けたので、すごく悔しかったです。やはりワンチャンスを決め切ってたらという試合が多いので、そこは自分自身の課題だと思っています。
ーー得点数が多い一方、失点数も多いです。課題はどこにあると思いますか
個々の自分の強さというものを持っている選手が多くて、スピードだったり、足元の技術だったりがしっかりと長所として見える形の選手が多いです。それらをうまく融合させながら得点するというシーンも今年は多くて、そういうところはア女の強みにしつつも、自分の長所で点を決めきる部分では個々の弱さがあると思います。なので、自分1人でも決めきれるくらいのプレーと、それをうまく周りと合わせながらやれば、もっと得点を決められたと思っています。
ーー失点数が増えている点に関しては、どう感じていますか
キーパーとディフェンス間のコミュニケーションという部分で、いくつか失点をして、もったいないシーンがたくさんありました。ア女のベースである守備から攻撃というところに繋げるためには、そういう小さなミスを減らしていかないといけないと思います。良い守備ができた時は得点にまで繋がるシーンも多々あるので、守備から攻撃に良い流れを持っていけたらいいなと思っています。
ーープレスをけん引する上で意識していることはありますか
勢いを持って入りたい最初の時間帯は自分が主導となってスイッチをかけています。東洋大のように上手くボールを繋いでくる相手に対しては、ブロックを敷いてプレスに行くタイミングを後ろの声かけからを基に決めることを意識しています。

ーー個人のプレーにはどう感じていますか
ワンチャンスを決めきるところで決められず、試合に負けてしまったりということがたくさんありました。もっと得点を決められたなと。関カレを通して得点王を狙っているので、得点数を競い合っている他の選手たちを突き放していきたいなと思います。
ーー開幕3試合は得点を取ることができませんでした。プレッシャーはありましたか
今年は自分が点を取らないと勝てないというプレッシャーを感じていました。3試合点が取れないというところで、味方が決めたから勝てた試合もあって、それは自分が取らなくても周りの選手が取ってくれるというプラスな影響になりました。ただ、自分の中で焦りはありました。
ーー得点シーンを振り返るサイドからのクロスに合わせる形が多いです。意識しているプレーですか
特に右サイドの三宅(万尋、スポ2=東京・十文字)がスピードのある選手なので、勢いよくグランダーの速いボールを入れて、ゴール前で触ったら何か起きるというところで、その練習をよくやっています。
ーーエースという立場としてどのような責任を感じていますか
1、2年生の時に比べたら、試合の勝敗に自分のパフォーマンスが直接的に影響してると感じます。ただ自分自身がプレッシャーを恐れずに楽しまないと、試合が上手くいかないことが多いので、自分が楽しむということは忘れたくないなと思います。
ーー最上級生として同期の選手とはどう連携していますか
試合に出ている選手と出ていない選手が4年生にもいる中で、それぞれ違うアプローチの方法があると思いますが、一人一人の意見を大切にするところであったり、色々な人の意見を聞いて、まとめられるというところがこの学年の良さだと思っています。そこはぶらさずに、逆にもっと足りない要求し合うところであったりというのは4年生が示していかなければいけないと思っています。
ーー同期はご自身にとってどういう存在ですか
人数が少ないからこそ、1人でも欠けたら少し不安になります。一人一人のことをみんな口にはしないけど、秘めている思いであったりというのは、すごく感じることがあるので、信頼し合えてると思うし、良い関係を築けていると思います。

ーー早慶戦にはどのような思いがありますか
早稲田の選手としてクラシコが自分の中で目標とする場所でもあったので、そこに立てるというのはやはり光栄なことだなと。早稲田として無敗という歴史がある中で、プレッシャーもありますが、そこは楽しみながら絶対にその歴史を紡ぎたいなと思ってます。男女共催ということで、男子に負けないぐらい女子サッカーもこれぐらい盛り上がるんだぞというところを見せたいなと思います。
ーー昨年の早慶戦では決勝点を決めました
後半から出場して、結構プレッシャーもありました。点取った瞬間はあまり覚えていないですけど、点を取った後にやっぱり歓声が聞こえて、当時の4年生が泣きながら寄ってきてくれたのを見て、「サッカー良いな」と思いました。
ーー注目してほしい選手はいますか
右サイドの三宅万尋には注目してほしいなと思っています。万尋がスピードに乗ったプレーで勢いがつく試合も多いと思うので、そこでもう迷わずプレーしてほしいなと思います。
ーー意気込みをお願いします
今シーズンのスローガンとして「躍道」を掲げている中で、まだまだ自分たちが体現したいサッカーであったり、一人一人が生き生きとサッカーをする姿を表現できると思っています。みんなが楽しんだら、絶対にこのチームは強いと思うので、今年のア女らしさを「躍道」という形でうまく体現できたらいいなと思います。
(取材 荒川聡吾)
♦生田七彩(いくた・ななさ)
2003年(平15)9月24日生まれ。161センチ。作陽学園高出身。スポーツ科学部4年。スピードを武器に相手のDFを置き去りするプレーが印象的です。