第3回は、MF五十嵐杏子主将(文4=神奈川・相模原)、MF増田明香(法4=東京・国学院久我山)、MF神谷彩乃(文構3=神奈川・桐蔭学園)の3選手。フィールドを駆け回り、チームの中核を担う3人に、これまでの歩みや仲間との関り、そしてリーグ戦にかける思いを伺った。
※この取材は6月17日に行われたものです。

笑顔で質問に答える3人
――まずは、左隣の方の他己紹介をお願いします
神谷 主将の五十嵐杏子さん、コートネームはあずさんです。あずさんは今年度の主将を務めていて、ポジションはミッドフィルダーです。主将という名の通り、プレーでもみんなを引っ張ってくれている存在です。今年からはよりチームの雰囲気を高めたり、課題に対してしっかりと声出しをしてくれたり、指摘してくれています。本当にプレーでもプレー外でもチームを引っ張ってくれている存在です。
五十嵐 4年生の増田明香です。コートネームはハルで、今シーズンの明香のプレーからは、自分がチームを勝たせるという思いをすごく感じていて、同じコートでプレーする上ですごく心強い存在です。一緒にやっている2年生とかも明香を見て、目標にしている存在でもあると思うので、すごく頼りにしています。
増田 3年生の神谷彩乃、コートネームもあやのです。彩乃は1年生の早慶戦からずっとミッドフィルダーとしてチームで戦ってくれています。彩乃を一言で表すと圧倒的安定感かなと思っていて、どんな時も調子の波がないです。ずっと一緒にプレーしている私から見ても、精神的な波もないし、めっちゃ目立つというタイプではなくてもチームの大事なところを担ってくれている選手の1人かなと思います。今年の早慶戦とかは怪我で納得いくようなプレーができてないと思いますが、リーグで頑張って欲しいなと思っているので、期待しています。
――ラクロス部に入ったきっかけを教えてください
神谷 自分は中学からラクロスを始めていて、中学の部活としてラクロス部があって、体験で楽しいって思ったのと、友達に誘われてそのまま入りました。気づけば中高一貫校で6年間がっつりやっていて、すごく本気になれたスポーツでした。卒業して早稲田に入った時に、同じ中高で憧れだった先輩も早稲田のラクロス部にいたというのもあって、自分も続けようと思ってラクロス部に入りました。
五十嵐 私はずっとバスケットボールをやってきて、バスケ部のスタッフさんとか、バスケのサークルでプレーすることも考えたんですけど、やっぱりどっちもあまりしっくりこなくて。それで最後の学生生活で夢中になれるものが欲しいなって探した時に、ラクロス部の体験行ったら、本当に先輩たちがキラキラしていて、直感でここって決めました。
増田 私は何個か選択肢があったというよりは、受験の時からとラクロス部に入りたいなと思っていていました。(五十嵐と)同じで直感が1番の決め手なんですけど、アメフト場に来た時の雰囲気はここにしかないものがあるなと思って、日本一を目指せるというところで、最後は直感で決めました。
――ラクロス部の好きなところはありますか
神谷 ラクロス部の好きなところは、まず個性がすごいところです。それこそ、学年によって色も違うし、みんな色々な部活を経験してきて、バックグラウンドが豊かです。あとは、みんなが本気で部活に取り組んでいるところが、自分も本気になれるきっかけというか、周りが頑張っているから自分も頑張ろうって、そう思える環境がすごく素敵だなと思います。
五十嵐 やっぱりマイナースポーツだからこそ、サッカーとか野球みたいに何年もずっと同じスポーツを続けている人の集まりではなくて。本当にそれぞれにバックグランドを持っていて、海外から来た日本語が不自由みたいな子がいたり、球技も初めてだみたいな子がいたり。私がバスケをしていた時よりも、自分の中で見える世界が広がったというのはすごい感じていて、それが1個ラクロス部のいいところというか、好きなところかなと思います。
増田 早稲田の女子ラクロス部は、日本一を目指せる環境があるのがいいと思います。日本一を目指す機会は人生の中で本当に少ないと思うんですけど、1つの目標に向かって、多種多様なメンバーが朝早くから起きて、集まって、たくさんコミュニケーションを取って。みんなで進んでいくという、人生の中において1番と言ってもいいくらいの濃い4年間になる、ここでしかできない経験が詰まった場所かなと思います。

グランドボールに臨む神谷
――今のポジションになった理由を教えてください
神谷 自分は今ミッドフィルダーをやっているんですけど、中学1年生の時からずっと変わらずやっています。理由は、単にコーチから足が速いからミッドフィルダーやってと言われてやるようになったのがきっかけです。そこから、ミディーかアタックかゴーリーかってなると思うんですけど、自分の中で一番決め手となったのは、ドローっていうバスケで言うとジャンプボールみたいなものです。そのドローに関わった時に、奥深さに惹かれてこだわってやりたいって思うようになりました。
五十嵐 下級生の頃は自分の中でアタック、ディフェンスに転向する選択肢がなかったので続けているということが大きいです。どっちも好きだし、どちらかに絞る選択肢が無かったというのが正直なところです。ただ今は、彩乃が言った通りミディーだけがドローに関われるし、アタックとディフェンスの両方に関われるっていうところで、試合の中でのミディーの重要性だったり、やってての楽しさっていうのはすごく感じていて、そこが今続けている理由かなと思います。
増田 私は2年生の時に1回ディフェンスへの転向を考えた時期があったんですけど、ディフェンスになったらもう点を決めれる日が来ないんだなって思った時に引っかかりがありました。点も取りたいし、ドローもそうですけど、ミディーはずっとフィールドを駆け回るポジションで、一番見ている人の目に入ると思うので、そこでやっぱりミッドフィールダーがやりたいと思って、続けています。
――右隣の方プレーの魅力は何だと思いますか
神谷 ハルさんの魅力は、まずアタックでもディフェンスでもクリア、ライドでも、全ての局面において本当にレベルが高いです。ミディーの中でもどこかに実力が偏っちゃう人が結構いるんですけど、そうじゃなくて、全てにおいて本当に上手だなって本当に思える方です。アタックの中でも、本当にショットレンジが広くてショットが速いっていうのはハルさんの魅力だと思います。ディフェンスでも、本当にディフェンスの選手なんじゃないかというくらいポジショニングだったり、細かい守り方がミディーの中で、本当に全チームでも一番うまいんじゃないかというくらいすごくレベルが高いです。どの局面に置いてもトップレベルというのがハルさんの魅力だと思います。
五十嵐 さっき明香も言ってたんですけど、彩乃の安定感は、本当に武器だし、そこにチームが救われている所がたくさんあるなと今シーズンは特に思っています。あとは彩乃のプレーは、普段の彩乃の人間性が結構出てるシーンが多いなと思っています。試合中に上手くいかない時の声かけとか、ここって時にクリアをもらう、ドローを取るとか、そういう勝負強さだったり、大事なところでやってくれるところが魅力の1つかなと思います。
増田 あずも性格がプレーにそのまま表れているなって思うんですけど、全体を俯瞰して、アプローチをすることがあずのスタイルかなって思っています。もちろん自分で行くときはしっかり行くけど、それぞれの選手の特徴とか強みを多分誰よりも分かっていて、それを出してあげられる人だと感じていて、そこは私にはないなって思うことがすごく多いです。そういう1歩引いたところで見て、周りを盛り立てるみたいな。それは声もそうだし、1つ1つのプレーにも表れているなって思います。
――五十嵐選手は主将を経験していかがですか
五十嵐 シーズンの始めは、なんか悪い意味で自分にすごい課している部分がありました。でもシーズンが進むにつれて同期が口を揃えて、あずが主将だからとかじゃなくて、1プレイヤーとして考えていいよとか、もっと周りを頼っていいとか言ってくれました。そういう風に助けてくれるメンバーがいることが私の中で大きかったです。それはもちろん同期だけではなくて、このチームの良さでもあるんですけど、後輩が本当に成長しているし、そこに私自身助けられてる部分がすごいあります。日々みんなに助けられて、主将をやっているっていう感覚です。
――お二人から見て五十嵐主将の印象はいかがですか
増田 私は同期なので、多分彩乃よりも色々な面を知っているかなと思うんですけど、すごいいい意味でオンとオフがあると思います。主将ながら、この人とか(神谷を指さす)後輩にたくさんいじられたり、堅苦しいって感じではなく、私から見てこんな人が先輩にいたら、羨ましいなって思うくらい主将の鏡だと思います。それを言葉でも行動でもしっかり体現してくれているので、同期としては本当にあずが主将で良かったなって毎日思います。
神谷 自分は1年の時からトップチームで、あずさんが2年生の時も一緒にトップチームで、この3年間はずっと一緒にプレーもしてきたし、共にする時間が多かったかなと思うんですけど、あずさんにはやっぱり絶大な信頼があります。それはプレーにおいても、プレー外においてもですが、主将だからというよりは、あずさんだから頼りがいがある、あずさんの人間的な部分をすごく尊敬しているし、そこの信頼は私だけではなくて、絶対みんなも思っていることだと思います。あとはさっきハルさんも言った通りギャップが魅力で、本当にすごい方なんですけど、なんだろう、本当に可愛くて(笑)。結構抜けてる部分もあって、なんかそういう部分もありつつ、みんなから好かれてる、みんなから愛されているお姉さんみたいな存在なので、主将だけども親しみやすい先輩みたいなところがすごく出ていると思います。

早慶戦でプレーする五十嵐主将
――学年ごとの印象を教えてください
神谷 4年生は一言で言うと本当にストイックな学年だと思います。練習中もだし、練習外の行動も全てこの部活にかけているんだなっていうのが伝わってきます。何事にも全員が本気で取り組んでいて、それぞれ役割だったり、プレー中の雰囲気作りだったり、プレーを引っ張るという意味でも本当に頼りにしています。自分が来年のことを考えてしまうこともあるんですけど、本当に今の4年生がいなかったらって考えると、恐ろしいぐらい頼りにしているし、この方々についていけば絶対大丈夫という心強い先輩だなと感じてます。
五十嵐 3年生は本当に多種多様だなと思っています。私たちの学年よりも人それぞれの個性があって、そこが1つ魅力だと思います。特に今トップの人たちは一緒にプレーをしていて、すごい素直だなという風に思います。感情がしっかり出るとか、思っていることをしっかり言えるとか、そういうところは本当に一緒にやる先輩として、すごくありがたいです。そこを汲み取ってやっていくからいいものになると思うので、その素直さは3年生の良さだと思います。
増田 2年生は私と2個離れているのもあると思うんですけど、一言で言うとすごい無邪気で明るい学年かなと思います。それこそ今トップチームの練習の雰囲気とか、すごい2年生が関わってくれています。これほどまでに2年生が存在感を発揮している年を私は経験していないし、そういう面で見て、2年生すごいなって思わされる場面がすごく多いです。プレーの面でも、本当にいい意味で負けず嫌いで、その愚直さが、雰囲気からもすごい伝わってくる熱い学年だなって思っています。今年は本当に2年生がすごい不可欠な存在だなって思っていますし、本当にいてくれて良かったなって思えるそんな学年です。
――昨年のチームと今年のチームで雰囲気やプレー面での違いなどはありますか
増田 去年は4年生がトップチームを占めていたので、最終的な試合の結果を見ても、ほぼ4年生が得点を決めていたり、練習の雰囲気も4年生が作り上げてくれていたところはありました。それに対して今年は、2・3年生がしっかり盛り立ててくれるというか、試合で活躍するのも4年生だけではなくて、色々な人が色々な活躍の仕方を見せてくれるのが印象的かなと思います。
神谷 戦術でも、去年は4年生の個の強さに頼ってしまっていた部分が大きかったと思います。今年はその個っていうよりかは、アタックだとみんながしっかりと攻めれるような攻め方だったり、ディフェンスにおいても誰かがではなく、全員で連動して守るディフェンスだったり、個にフォーカスしつつ、全員の良さを発揮できるようなプレースタイルになっていると思います。そこはかなり去年とは変わったと思いますし、雰囲気も変わってくるのかなと思います。
五十嵐 プレー面に関しては、2人が言った通り、学年関係なくみんなで作り上げるっていうところが1つ去年とは違うところかなと思います。組織に関しても結構同じことが言えるかなと思っていて、組織を運営していく上で、下級生が組織を自分事で捉えることはすごい難しいと思うんですけど、そこを本当に全員でやっていこうっていう風に意識づけて、それを上手く行動に移してくれているところは、今年の良さかなと思います。

ドローに臨む増田
――ここまでのシーズンを振り返って、感じている課題はありますか
増田 チームだと今年はすごい入りが弱い、試合の1クオーター(Q)が課題っていうのは、六大戦の頃から上がっていって、4Qにかけてだんだん持ち直して、最終的な結果はそんなに悪くないんですけど、やっぱりその試合の最初で自分たち相手のリードで戦ってしまうというのが今年のチームの課題で、そこは早慶戦でも改善はちゃんとはできなかったですし、次の開幕戦でそれが試される場なのかなっていう風には思っています。個人としては、今シーズン定めた自分の理想の姿には全然及ばないというか、得点力もそうですけど、試合を通した中でのその存在感みたいなところだったり、全ての局面でチームを勝たせるっていう点でまだまだ全然足りてないなっていう風に思うので、これも開幕戦以降の試合で、しっかりできればなと思います。
五十嵐 チームとしてというところだと、自分たちで流れを作るとか、流れを切るとか、そういうところがまだまだ足りないなと思います。早慶戦も六大戦もすごい感じたところで、自分たち主導で試合を作っていかないといけないというのは、全員が自覚しているところです。リーグでは、どう流れを作って、どう流れを切って、どう勝ち切るかっていうところに力を入れてやっていきたいなっていう風に思っています。個人としては、自分がチームを勝たせるプレーをするっていうのが目指すところなんですけど、どう勝たせるかというか、どこで貢献するかっていうのは、もうちょっとこだわらないといけないと思っています。もちろん得点とかそういう分かりやすいプレーもそうですし、クオーター間の発言とか、本当に最後までボールを追う、グランドボールを取り切る、誰よりも走るとか、そういう当たり前のところを誰よりも当たり前にやるっていうのがすごく重要だなというのを、特に早慶戦を通して思いました。自分はそこをちゃんとリーグ戦でこだわっていきたいなと思います。
神谷 チームの課題は修正力にあるかなって思います。確かに1Qから4Qにかけて盛り上がるってところがあると思うんですけど、その中で自分たちのやりたいことをできたかっていうと、できてないことが結構今までの試合だと多かったです。もちろんいいプレーもあったんですけど、自分たちが今までやってきたことを全て1つの試合で出し切れたかと言われると、そういった試合っていうのはまだないと思います。試合中に相手も戦術を変えてきたり、プレーを変えてくる部分があると思うんですけど、それに対して自分たちも細かく修正力するっていうところはかなりと必要かなと思っています。個人の課題に関しては、結構さっきハルさんとかあずさんが、自分は安定力がなんの武器だっておっしゃってくれたんですけど、そこは置いといて、もっと会場を沸かせるプレーというか、チームを導くというか、そこまでのプレーができると絶対にチームとしてプラスになると思います。まだ3年生だからみたいな部分で、自分がやるみたいなところが出しきれていないし、それが自分の振り返りで出ているので、プレーの中でも目立つっていうところには頑張っていきたいと思います。
――最後にリーグ戦に向けた意気込みをお願いします
増田 2連覇がかかった全てが大事な試合になってくるので、そこに向けて、チームが1番いい状態で臨むにはどうしたらいいのかというのを4年生としてしっかり考えて試合に臨んでいきたいです。1つ1つのプレーで、目の前の相手に勝つっていうことを全員が体現できれば絶対勝てると思います。自分のプレーでチームのみんなを鼓舞する、そういう伝播する力というのをしっかり発揮して、勝ちに貢献したいなと思います。
五十嵐 学生王者・連覇を目標として今年はやっているので、まずリーグ戦でブロック1位通過というのは、通過点として必ず達成したいと思います。ただ、そこを目指してやるのはもちろんなんですけど、そこにはハルが言った通り、1戦1戦目の前の勝負に勝つっていうのを繰り返す必要があるので、そこをチームとして目指していきたいです。あともう1つは、今1年生が入ってきて、今までにないぐらい大所帯になったので、部員全員がリーグ戦を自分事化するというか、貢献していると思えるように、組織としてもそこに力を入れていきたいです。
神谷 六大戦も早慶戦も全て、常に学生王者を見据えた試合をしてきたので、リーグ戦もそこの目線は落とさないで、しっかり1戦1戦と頑張っていきたいです。4年生にとっては今年がラストシーズンになるので、そこにしっかりと自分が貢献して、2連覇を達成させてあげるというか、4年生をそこの舞台まで連れていくという強い気持ちで挑みたいと思います。
――ありがとうございました!
(取材・編集 辻岡真波、石澤直幸)

◆五十嵐杏子(いがらし・きょうこ)(※写真中央)
神奈川・相模原高等学校出身。文学部4年。最近1人時間の良さに気づいたという五十嵐選手。オフの日は少し遠くのご飯屋さんや映画館までドライブするそうです!
◆増田明香(ますだ・はるか)(※写真右)
東京・国学院久我山高等学校出身。法学部4年。いきものがかりが再ブームだという増田選手。試合前や大事な時には「風が吹いている」を聞くと気分が上がるそうです!
◆神谷彩乃(かみや・あやの)
神奈川・桐蔭学園高等学校出身。文化構想学部部3年。試合当日に聞くプレイリストがあるという神谷選手。中でもベリーグッドマンの「ドリームキャッチャー」、LittleGreenMonsterの「ECHO」がお気に入りだそうです!