3年ぶりの王座出場を決めた早大アーチェリー部男子。4年生としてチームを改革してきた丸尾風瑛男子主将(スポ4=福岡・柏陵)、大学から始めて実力を着実に伸ばしてきた梅澤徹太(政経3=東京・攻玉社)、高校時代にはインターハイ優勝経験のある実力者野田慶一郎(スポ2=エリートアカデミー)、豊富なアーチェリー知識が武器の小渕伊央利(スポ2=群馬・太田)の4人が出場する。初の王座の舞台に立つ4人がどういう思いで臨むのか伺った。
お互いについて
――はじめにお互いの他己紹介をお願いします
小渕 野田君は2年生です。彼は高校時代から成績を収めてきて、インターハイ優勝も経験があって、大学に入ってからはちょっと苦しい部分もあったんですけど、まあそんな時でもコツコツ練習を積み重ねて、今は結構調子を上げてきていると思います。チャームポイントは帽子です。それとノースフェイスを身につけがちっていうのもあって、あとは靴をいっぱい持ってます。
野田 丸尾風瑛先輩は64代主将なんですけど、一年間一緒にやって思ったのは人格者だなってことです。僕も2年生になって、幹部になる3年生に近づくにつれてその大変さがだんだんわかるようになって。丸尾さんはチームのことをずっと考えてるなあと思って、それが結び付いたリーグ戦や王座出場だったので、丸尾さんと一緒で良かったと思います。あとめっちゃ末っ子キャラです。
丸尾 実際、4人兄弟の末っ子です。
野田 上の人に対する甘え方がというか、可愛がられ慣れている感じです。最初に入学した時の紹介の文に「人たらし」って書いてあったんですけど、人たらしっていうよりは甘え上手だなって思います。主将としてみんなを引っ張ってくれています。
丸尾 梅澤は次の65代の主将になる人で、すごい多忙です。政治経済学部で学業がまず忙しいし、自分たちが王座で代交代するのでもう次の代の準備が始まってて、バイトも2つやってて忙しい。楽しかったらいいですけど。就職活動もやり始めてそれは楽しくなさそうです。アーチェリーに関しては徹太は大学から始めて、1年生からすごい時間を作って練習しています。どんどん強くなって2年生では全国大会に行って、3年になって2回目の全国大会にまた自分の力で出て、伸びしろのある選手ですし、次の主将になる人として安心できると思います。
梅澤 うれしいですね。こんなにしっかり言われたことないので、感動してます。
丸尾 王座はまだ自分が主将ですが、特攻隊長として盛り上げて、最初バシッと決めてくれることを期待しています。
梅澤 彼は小渕伊央利君と言って、群馬県出身で、アーチェリーを一緒に頑張ってます。小渕君の良いところはもうアーチェリーの知識がすごい豊富なんですね。だから例えば団体戦とかでも、すごい良いアドバイスしてくれるっていう感じで、そこらへんは非常に頼りになります。(団体戦で射つ)順番的に次が小渕君なんですけど、毎回僕が射った後にすごい色んなアドバイスしてくれて、それすごい助かってるなと思います。また彼はすごい良い子ですね。個人的な意見としては、なんか面倒を見てあげたいなあっていうふうに思ってます。そんな感じの良い後輩ですね。あと面白くて盛り上げ上手なので、そういった面に着目して、王座も見てもらえると、僕としてもありがたいです。あとは小渕君は弓をコロコロ変えがちです。
一同 (笑)
梅澤 なんか弓変わったなと思ったら、1ヶ月後にはまた違う弓にしてたりとか。あと、メルカリでいろんな弓具を探すのが彼の日課となっております。メルカリマスターです。メルカリの安い弓具の情報をすごい知っているので、「この弓具安いよ」みたいなことをアドバイスしてくれます。
丸尾 普通は同じ弓をしっかり使って慣れさせるから、緊張がある時でも射てるんですけど、小渕は2ヶ月に2回くらいで変わります。しかもメーカーが一緒ならまだ分かるんですけど、違うメーカーに変えたりすることもあります。それで当てているからいいんですけど。
――弓を変えて感覚が変わることはないのですか
小渕 自信なくなっちゃって負けたらしょうもないなと思って。道具のせいにしたくないからこそ、だったら変えて言い訳出来ないようにしようみたいな。本当はこっちの(弓の)方が点数出る気がするっていうのを使わないで、今の弓で無理やり頑張ってやって、それでメンバーになれなかったとしたら、自分の中で「あっちの弓だったら当たったのに」みたいな言い訳ができちゃうので。そういうことをしたくないからこそ、自分が使いたいのを使って、「これ使って点数出なかったってことは、自分が悪いしかないでしょ」って言えるようにしてるんですけど、まあ本当によくないことです。僕がこうやって変えてしまうせいで、その近くにいる人も道具を変えたがっちゃうので反省しています。
梅澤 彼はすごい高い自転車を2台も持っていて、うらやましいです。多趣味です。釣り、自転車、アーチェリー…。そのいろんな趣味、経験から発見した価値観とかが今の小渕を構成しているのかなと。関われば関わるほどおもしろい、味が出るというか、面白い子です。

昨年の関東学生個人選手権で行射する小渕
――皆さんのアーチェリーを始めたきっかけは
野田 自分は小学二年生から始めました。それまでは体づくりのために水泳をやってたんですけど、祖父母が竹でできた弓のおもちゃを買ってきてくれて、そのおもちゃで母曰く一日5時間とか、狂ったように遊んでたらしくて。頭おかしいくらい。 僕自身も弓をやりたいと思ったし、母もこんなに熱中するならやらせてあげたいと思ったみたいです。弓道かアーチェリーで迷って、どっちも練習場が近くにあったんですけど、直感的にアーチェリーを選んで近くのクラブで始めました。
丸尾 自分は高校からアーチェリーを始めました。始めた理由としては、中学校までは陸上をやってたんですけど、あんまり恋愛とかしてなくて、高校に入るにあたって誰かの心を射止めたいと思って。そこで高校にあったのがアーチェリー部だったので、射止める技術をあげようと思ってアーチェリー部に入りました。
一同 (笑)
丸尾 本当の方は、福岡県出身なんですけど、福岡県のスポーツ業界がやってるスポーツタレント発掘事業に参加していて、そこでいろんな競技をしてアーチェリーうまいって言われて、高校の顧問の先生になる方からやれよって言われて。自分はハンドボールとか陸上とかで全国大会に出場して、まあまあ結果は残してたけど日本のトップには全然なれなかったです。でももっと上に行きたいなと思って、自分の身長も考えてアーチェリーにしようって決めました。
――身長は関係あるのでしょうか
丸尾 自分は170.3センチなんですけど、ハンドボールとか陸上は身長がいるので、自分の身長が低いのを考えると、体格が求められるものよりはアーチェリーかなと思いました。
小渕 僕は高校からアーチェリーを始めたんですけど、中学の時は部活に入ってなくて、自転車競技やったり、ピアノやったり、空手やったり、バドミントンとかもやってました。高校でバドミントン部に入ろうと思ったんですけど、顧問が怖いって噂を聞いて体育館に行ったらマジで怖くて。絶対体育館にいたくないと思って、友達と一緒に1回外に出たら、体育館の一番近くでアーチェリー部がやってるのに気づいて、「うわーかっけえ」みたいな。その時の部長さんに「弓引いてみなよ」っていわれて引いたら意外と引けちゃって、「これめっちゃ強いのに引けたね、センスあるよ」って言われたので入部したら、その次の日にほかの体験者にも同じこと言ってて、ああ騙されたって思いました。でも入ってたからにはやろうかなと思ったという感じです。
梅澤 僕がアーチェリーを始めたきっかけは、大学の新歓で部活探してる時にアーチェリー部って書いてある看板があって、それを見つけて体験会に申し込んで、体験会が面白かったからです。何でその体育会の部活を探していたかというと、高校まで12年間ずっと野球やってたんです。軟式も硬式もやってました。その時は弱小校に所属していて、全国大会に行ってその競技自体のトップレベルに行くってことはなかったので、そこでちょっと悔しい経験をして。それで夏の大会とかも、1回戦負けしてすごく悔しい思いしたので、だったら大学の部活は全国大会にまあ行けそうって言ったらあれですけど、競技人口がそこまで多くなく、かつ未経験から始めても全国を目指せる、全国の舞台で自分が活躍して楽しく競技できるところないかなと思ったら、ちょうどいいアーチェリー部があったので、じゃあ体験してみようと思ったら、すごい面白くて。で、入部したっていう感じです。
王座について
――王座の選考の形式や選考中のエピソードは
丸尾 リーグ戦が終わって、そこで王座の枠が決定してから3週間の土曜日、土曜日、日曜日で3回、72射で1回の点取りを行ないました。単純に3回の216射の合計でメンバーを決めるという形式でした。
梅澤 王座メンバーに入れそうな選手っていうのが実力的に6人ぐらいいて、王座に出られるのはその中の4人なので、結構熾烈な争いを繰り広げた感じでした。それこそ誰が落ちても誰がメンバーに入ってもいいみたいな。すごいレベルが高い状況で選考を行えたというのは良かったのかなって思います。ただその分、王座選考に挑む上では僕個人的にプレッシャーがあって、それこそ王座選考期間中の3週間は、もう寝ても覚めても王座選考のことしか考えられないくらい緊張してて。大学の授業を受けても、「王座選考今週あるのか」ってずっと考えているみたいな。バイト中も、家族とご飯食べる時もそれしか考えられないみたいな感じだったので(笑)、メンバーになれてすごい嬉しかったというのが率直な感想です。
小渕 僕は(王座選考の)3週目の前日に弓を変えました。
丸尾 最後の選考の前日に弓を変えてました。2回目でちょっと点数落としちゃって、最終的に5位になった子と6点差まで点数が近づいたんです。そんなギリギリの状態で3回目に弓を変えるという…。
――チャレンジャーですね
小渕 みんなに「何やってんの」って言われて(笑)。ただ僕が4番手で一番ギリギリだったので、行けたらラッキーぐらいの気持ちで挑んだというか。僕は結構緊張したらうまくいかなくなっちゃう人なので、「落ちてもしょうがない」みたいな気持ちでやるしかなかったですね。
野田 全国大会には出たことがあるんですけど、やっぱり選考会は緊張するものだなと思いますし、こんなに長期にわたるものは初めてでした。早稲田は部活の都合上、3週間もストレスを感じることになって。僕も途中点数を落としてしまって、最後の週はもう小渕と一緒で「やるしかない」と思ってました(笑)。この3週間は本当に寿命が縮んだなと思います。選考の1本目が一番寿命縮みませんか?
梅澤 1射最初に射つ瞬間は、本当に足も手もめっちゃ震えてました。
野田 面白いエピソードといえば、2回目は(点差が少なく)団子だったんですけど3日目で前半ちょっと抜けたんです。丸尾さんは点数でいえばずっと抜けてて、僕が本当に数十点なんですけどちょっと抜けて。それは射ってる本人もわかるので、気持ち的には余裕になるんですけど、4.5.6位はずっと団子で、面白いことに4、5位が一緒の的だったんです。一緒の的になると、点数を交換して不正がないようにお互いに見合ってつけあうんです。だから本当にバチバチでした。しかも6番手の期待の1年生もガーって上がって、そのとなりでバチバチみたいな(笑)。余裕が出てきた後半からは面白いなーって僕らは思ってみてました(笑)。
梅澤 4、5、6位の子たちは点数が近かったので、全然顔の表情が僕たちとは違ったんですよ。僕たちは余裕が生まれてたから、リラックスしてたんですけど、彼らはこわばってるというか、喋らない。自分に集中しすぎて、みたいな。こいつらすごい緊張してるんだなっていうのが伝わってきました。

最初の1射目は手足が震えたと語った梅澤
――王座の選考の形式や選考中のエピソードは
丸尾 リーグ戦が終わって、そこで王座の枠が決定してから3週間の土曜日、土曜日、日曜日で3回、72射で1回の点取りを行ないました。単純に3回の216射の合計でメンバーを決めるという形式でした。
梅澤 王座メンバーに入れそうな選手っていうのが実力的に6人ぐらいいて、王座に出られるのはその中の4人なので、結構熾烈な争いを繰り広げた感じでした。それこそ誰が落ちても誰がメンバーに入ってもいいみたいな。すごいレベルが高い状況で選考を行えたというのは良かったのかなって思います。ただその分、王座選考に挑む上では僕個人的にプレッシャーがあって、それこそ王座選考期間中の3週間は、もう寝ても覚めても王座選考のことしか考えられないくらい緊張してて。大学の授業を受けても、「王座選考今週あるのか」ってずっと考えているみたいな。バイト中も、家族とご飯食べる時もそれしか考えられないみたいな感じだったので(笑)、メンバーになれてすごい嬉しかったというのが率直な感想です。
小渕 僕は(王座選考の)3週目の前日に弓を変えました。
丸尾 最後の選考の前日に弓を変えてました。2回目でちょっと点数落としちゃって、最終的に5位になった子と6点差まで点数が近づいたんです。そんなギリギリの状態で3回目に弓を変えるという…。
――チャレンジャーですね
小渕 みんなに「何やってんの」って言われて(笑)。ただ僕が4番手で一番ギリギリだったので、行けたらラッキーぐらいの気持ちで挑んだというか。僕は結構緊張したらうまくいかなくなっちゃう人なので、「落ちてもしょうがない」みたいな気持ちでやるしかなかったですね。
野田 全国大会には出たことがあるんですけど、やっぱり選考会は緊張するものだなと思いますし、こんなに長期にわたるものは初めてでした。早稲田は部活の都合上、3週間もストレスを感じることになって。僕も途中点数を落としてしまって、最後の週はもう小渕と一緒で「やるしかない」と思ってました(笑)。この3週間は本当に寿命が縮んだなと思います。選考の1本目が一番寿命縮みませんか?
梅澤 1射最初に射つ瞬間は、本当に足も手もめっちゃ震えてました。
野田 面白いエピソードといえば、2回目は(点差が少なく)団子だったんですけど3日目で前半ちょっと抜けたんです。丸尾さんは点数でいえばずっと抜けてて、僕が本当に数十点なんですけどちょっと抜けて。それは射ってる本人もわかるので、気持ち的には余裕になるんですけど、4.5.6位はずっと団子で、面白いことに4、5位が一緒の的だったんです。一緒の的になると、点数を交換して不正がないようにお互いに見合ってつけあうんです。だから本当にバチバチでした。しかも6番手の期待の1年生もガーって上がって、そのとなりでバチバチみたいな(笑)。余裕が出てきた後半からは面白いなーって僕らは思ってみてました(笑)。
梅澤 4、5、6位の子たちは点数が近かったので、全然顔の表情が僕たちとは違ったんですよ。僕たちは余裕が生まれてたから、リラックスしてたんですけど、彼らはこわばってるというか、喋らない。自分に集中しすぎて、みたいな。こいつらすごい緊張してるんだなっていうのが伝わってきました。
――選考後の練習で工夫している点等があれば教えていただきたいです
丸尾 全体としては、リーグ戦と王座で形式が変わるためそれに合わせた練習を行っています。王座の予選はリーグ戦と同で72射射つんですけど、王座の団体戦では、4人の中から3人出て、それぞれ2射ずつ、計6射で行うのがメインの試合になるんですけど、そこの順番であったり、時間も平射ち72射とは1分近く早く射たないといけないので、そこらへんの練習がまず一つあります。また、王座はリーグ戦よりも応援がすごくて、どこの大学も迫力がすごいので、みんなが見ているとか、声が聞こえるといった中で緊張を抑えて点数を上げていくかという練習を、ほかのメンバーに手伝ってもらってやっている状況です。
丸尾 先ほど3人で射つと言ったと思うんですけど、そこでも一つ選考があって、早稲田は前日の予選の点数によって3人に絞ります。やはり、次の日は3人しか出られないから、自分が出られなかったから応援しないということはないのですが、やはり選手としてみんな出たいという気持ちがあるから、緊張感の中でどう中てるか、高い点数を取らなくてはいけないので、そこらへんの個人の練習はあると思います。
野田 団体戦で丸尾さんが言った通り順番があって、3人出られるんですけど、一番目に射つ人、二番目に射つ人、最後の三番目締める人というのがあって、それもみんなでちゃんと考えて、ポジションをちゃんと考えて、それも確定して精度を高めている状況なんですけど、その人の戦型に合ったポジションになっているので、そこも個人個人では精度を上げるための練習をしていると思います。
梅澤 個人としてはせっかく王座のメンバーに選ばれたため、やはり本戦に出たいなという気持ちがあります。それに向けてしっかり自分の弓具の調整とか、自分に合った弓具を探したり交換したりしながら、自分の弓具を追求しています。あとは体調管理にも気を付けていて、最近寝る時間も統一して、王座当日のスケジュールに合わせた生活をするように意識しています。起きる時間はバラバラなんですけど。
丸尾 たぶんつま恋では起きる時間が決まっていて、寝る時間がバラバラになるんじゃない(笑)。
小渕 やっぱり僕は弓を替えない、と誓ったことです(笑)。僕は4番手としてメンバーに入ったので、応援側になる可能性が1番高いポジションにはなると思うんですけど、出るからには出たいという気持ちはあります。いますが、気合を入れすぎることをしないようにということを意識しています。たまたまメンバーに入れたから、当日もなんか行けるかなー(笑)みたいな、気合を入れて練習しまくろうという気持ちはなくて、それをしすぎると自分に対して悲しくなっちゃいそう、「今までこんな頑張ってきたのに、なんでこんなんなんだ」と、怒りに変わってきちゃうなと思って、より中らなくなると思います。必要最低限のことはやったし、代表として恥ずかしくない練習をしよう、くらいにしか心がけていないので、王座に向けて気合を入れすぎるということはしないようにということだけ意識しています。団体でいうと、僕は出られたら二番手、2人目に射つ真ん中のポジションなんですけど、二番手として、一番手がもし中ったらそのままの空気を壊さないで続けること、もし一番手の人がミスをしちゃったら、三番手の人に響かないように自分で立て直すように、団体練習でもそこは意識してやっています。自分の役割を意識しながら練習しています。
――今のチームの強みと課題はなんですか
小渕 強みは、王座が近づくにつれてどんどん雰囲気が良くなっているなというのがあって、今日も点数の記録を予選と同じ72本のスケジュールでやってみようって野田が提案してくれてやってみたんですけど、たぶんこの4人で同時にやった中では一番高い点数が出たんですよね。本当に目標に向かって計画的に練習して、ちゃんと点数を上げていっているというのはすごいなと思います。雰囲気の強みに関しては、誰が四番手になってもいいなという感じで、自分が四番手になっても応援したいと思うし、他の人が四番手になっちゃったとしても、嫌がるわけじゃなくてニコニコで応援してくれる良いチームだろうなと思います。弱みは、みんな緊張に弱い(笑)。今日もそうなんですけど、まだ点数上げられるなっていうミスがけっこうあったり、みんなうなずくくらい本当に緊張に弱いんで、チームの力を使って緊張をどうほぐすかを今探っています。
野田 僕が思うこの4人の強さ、いや早稲田の強さというのは、やはり頭がいいなって思います。強豪校、たとえば近大とか日体大とかに比べると練習量が正直負けているんですけど、そのなかで(練習時間に)制限があるなかでも工夫して練習したり、技術的に及ばないとしてもそこをどう埋め立てるかをちゃんと頭を使って考えています。スポーツは体だけじゃなくて、作戦だったりも考えられるのが早稲田大学の強みなんじゃないかなと思いまして、リーグ戦でもそうやって勝ち抜いてきたと思っているので、体と頭を使って他の大学をぶちのめしていきたいと思います。
梅澤 このチームの強みは全員面白いってところですかね(笑)。全員盛り上げ上手というか、各々の盛り上げ方があるんですけど、たとえば丸さんだったらオンオフが激しくて、オフの時にふざけたことを言ったりとか、急に大声を出したりとかして場を盛り上げくれるところがあるのですごく助かっています。野田は…、野田と小渕は…。
小渕 まとめられた(笑)。
梅澤 野田と小渕は単純に面白いです。場にいるだけで空気が盛り上がるというか、そこはすごく助かっています。僕の盛り上げ方としては、とにかく大声を出す。大声を出して盛り上げるには、何言ってもいいんですよ。とりあえず良い点数取ったりしたら、大きな声で「9点!」、「10点!」と言って場を盛り上げて、たまに変なダンスをしたりして場の雰囲気を盛り上げたりとか、応援と一緒に乗ったりとかして盛り上げる、そういった各々の盛り上げ方があるので、雰囲気的に暗くならないというのは強みだと思います。課題というのは、さっきも言われたんですけど緊張にみんな弱いです。僕も足が震えますし、野田くんも弓が震えますし、小渕くんもプルプルプルってなりますし、丸尾さんは弓に矢をつがえて射つまでが緊張すると異様に長いので、みんな各々の緊張の仕方があります。それをみんな克服しようと日々頑張っているみたいな感じです。
丸尾 早稲田としての強さは、雰囲気かなとは思います。今他の大学と比べてすごく応援に力を入れているのが早稲田だと思っています。野田が言ったんですけど、頭使うといったところで、アーチェリーはメンタルスポーツで雰囲気がすごく大事なんですけど、その雰囲気をどうやって作っていくか、雰囲気を高めることで選手が射てるようになる、そういうのをみんなが理解しているからこそ、やはり応援がすごい力になることを実感していて、選手のモチベーションもそうですけど応援もモチベーションによって声が大きくなったり小さくなったりすると思うんですけど、そこのモチベーションをしっかり保って選手のために頑張る、みんなが共通認識を持っているのが良いと思います。だからこそ、リーグ戦もギリギリでしたけど、応援の選手に頼っていけたところがあるので、当日も応援に盛り上げてもらえると良い結果になるんじゃないかなと思います。弱みは、緊張っていったところだと僕も思います。緊張に加えて、ちょっとまだ自信が足りないかなというところがあって、その自信をハリボテでもいいから作っていけると、すごい実力はある4人なので、良い結果あるんじゃないかなとすごく思います。あと1週間あるので、自信を無理なく作って緊張に勝てるようにしていきたいと思います。

チームの雰囲気について語った丸尾男子主将
――応援がいつもすごいですが、応援練習はされていますか
丸尾 全体練習が土曜と日曜にあると言ったと思うんですけど、土曜日と日曜日の朝毎日15分から20分とるというのをずっとしてきました。リーグ戦が終わって、王座メンバーが決まって、他のメンバーとしては自分の練習をしたいという気持ちがあると思うんですけど、応援が力になるということを説明してもらって、練習時間、今日は午後ずっと応援練習してもらっていて、最近はずっと午後1時間、2時間は応援練習に使ってもらっていて、本当にチーム全体で王座に向かって頑張っている状況です。
――3年ぶりの王座出場のために、リーグ戦をどういう思いで戦っていましたか
小渕 僕は去年初めて、早稲田大学の部活に入ってからいきなり去年のリーグ戦に参加させていただいたんですけど、その時はやっぱりチームとしてでき上っていなかった感があって、リーグ戦を突破できなかったし、リーグ戦を突破できなかった時のためにワイルドカードというのがあるんですけど、ワイルドカードにも丸尾さんと野田と自分で出たんですけど、その時にみんな泣いたのかな、負けてメンバー全員が泣いて…。
野田 僕は泣いてないよ(笑)。
小渕 丸尾さんがめっちゃ泣いて、僕もつられて泣いて、二度とこんな思いはしたくないなっていう気持ちがありました。今年からはコーチにもしっかり指導していただいて、去年のリーグ戦はみんな分からず射っている、とりあえず出てきてみたいな感じで射っていた感があったんですけど、今年に関してはちゃんと準備ができていたし、リーグ戦をどういったプランでいくか、リーグ戦に向けてどういった練習をしていくかとかもちゃんと決まっていたので、焦りとかは特になくて、やれることはやったし、これで(王座に)行けなかったらしょうがない、行けると信じて練習するしかない、という気持ちでした。リーグ戦当日も、2週間あるうちの1週目に、僕たちは3600点っていうのを目標にしていて、1人600点、アーチェリーでいうと600点取ったらけっこうすごいね、だいぶ上位だねっていう、未経験から始めた人からしたらすごい数字なんですけど、それを6人全員が平均で600点を出す、合計3600点出すっていうのを目標にしていました。公式試合では1回も3600点を超えたことが無くて、ただリーグ戦第1戦目で、雨っていう難しい状況だったんですけど、3600点を超えたので、そこで自信もついたし、第2戦はすごい風が強かったりして心が折れそうだったんですけど、やっぱり第1戦の時に射った3600点というのが心の支えになったというか、そういうのがあって自信を持って第1戦、第2戦どちらも駆け抜けられたのかなと思います。
野田 僕も1年生で入学して、その試合に1年生、2年生で出たんですけど、スポーツ推薦で入った身として、失礼になる言葉かもしれないんですけど、僕が入った時のチームは6人チームでもなかったし、チームとして成り立っていなくて、みんな自分のことでいっぱいいっぱい。だけど、それこそ丸尾さんの代の人たちがたくさん練習メニューを考えてくださったり、コーチにもコーチの考えや指導を受けたりして、練習メニューを作り上げてたくさん対策したっていう感じです。試合形式の練習を本当にたくさんして、経験値が足りないと僕自身も思っていたし、早稲田大学は経験者プラス未経験者っていう感じのチームで、他の大学とかは全員実績あるんですけど、混合している、未経験の人が中てないといけないし、僕たちもそれ以上引っ張らないといけないっていうチームなんですけど、圧倒的に経験値が足りないと僕もみんなも分かっていたことだったので、先輩方がちゃんとメニューを考えてくださって、本当にしっかり対策した結果がリーグ戦で点数や順位として表れて嬉しかったなと思います。去年からメンバーも変わってはいますけど、みちがえたチームとして戦うことができたリーグ戦だと思っています。
梅澤 僕が大学に入学した年のリーグ戦から、リーグ戦を勝ち抜いて王座に出場することができていなかったので、なかなか男子が王座に行くっていうビジョンが見えない状態で部活をしていたなかで、今年は僕たち未経験がだんだん育ってきたというのもあるし、かつ有望な経験者も入ってきて、加えて丸尾さんたち幹部代が練習環境を整えてくれたおかげで、チーム一体となってレベルアップすることができたのかなと思っています。チームの雰囲気も実力も去年、おととしのリーグ戦とみちがえるほどに強くなっていて、「本当にこれはいけるぞ」と思って練習していたら、リーグ戦第1戦でチームベストを出すことができて、僕たちの自信にもなったし、チームの自信にもなって、3年ぶりの王座出場権獲得というのは大きな意味があったのかなと思っています。
丸尾 僕はリーグ戦の話になると、1年目の時は2人が言っていたみたいにリーグ戦のメンバーに入れて、自分の時は4年生の先輩が強くて、4年生の方に助けてもらいながら、緊張感あまりない状態で射てて、チームの中でもけっこう上位の点数を出せてリーグ戦通過しました。王座選考会では自分がエムっちゃって王座には出られなかったんですけど、リーグ戦通った、王座出られたと思っていたら、2か月後には4年生の先輩がいなくなって、3年生、2年生の男子の先輩がすごく少なくて、「あれっ」と思いました(笑)。62代、63代の主将がこのメンバーでどうやって王座に出場するかすごい考えてくれて、たしかにうまく形にならない部分はあったんですけど、そのなかで下の代、今の4年生たちがすごく考えるようになりましたし、正直2年の時も3年の時もチームがリーグ戦で全然通用しなくて悔しい思いはしました。でも、そのなかで自分は点数出しているから気が楽なところはあったが、他の同期だったり先輩方が当日もあまり点数が出せていなくて悔しい思いをしていたと思います。自分たちのリーグ戦の時になぜ勝てたかというと、悔しい思いをした人たちというのが、それを乗り越えて頑張ってくれたからなんじゃないかなと思います。今コーチに入ってくれている方というのが、4人が62代と63代主将、副将、主務といった方なんですよ。そういった方たちが、自分たちが出られなかった王座に行くためにどうしたらいいかすごい考えてくれて、今の自分たちの代に本当に毎週毎週来てくれて相談にも乗ってくれますし、リーグ戦当日も全部来てくれました。自分の同期でいえば、今回のリーグ戦のメンバーを(リーグ戦開幕)3週間前くらいに決めたんですよ。それっていうのは、4年生で最後のリーグ戦に出られないというのが決まってしまうことになるんですけど、決まった中ですごい悔しかったと思うのですが、「このチームがどう勝つのか」という強い思いを持って考えてくれて、そういう強い思い、悔しい思いを乗り越えた人たちが、強い気持ちでチームに言葉をかけてくれたから、緊張感に弱いメンバーばかりだったんですけど、その人たちのおかげで当日ベストを出せたと自分は思っています。

「みちがえたチームとして戦えた」とリーグ戦を振り返った野田
――最後に、王座を控えた今の心境や意気込みを教えてください
丸尾 自分は王座に出場するのが、これで最初で最後になります。けっこう寂しいですし、自分にプレッシャーをかけすぎて3分間ある中で最初の1分射てなくなることもあるんですけど、最後なんで「もうやるしかない」と思って、アーチェリーも今年で辞めるので最後は楽しめるように、心に余裕を持ちながらやりたいと思います。他の人が楽しめるように、そこは主将として他のメンバーや部員にかっこいいところを見せられるように最後まで頑張りたいと思います。
梅澤 僕は次の65代で主将になって、王座終わった次の日には主将に就任するんですけど、王座っていう場を経験しておけば、早稲田が王座に出場するというのにどういう意義があるのか考える機会になると思います。丸尾さんの思いを65代に受け継いで、さらに高めていきたいと思っています。また、自分個人としては、せっかく王座に出られたなら楽しんでいきたいというふうに思っていて、全国大会に出られるというのは貴重な経験ですし、僕が大学入学当初目標にしていた舞台なので、そこは全力で楽しんでいきたいと思います。あと、今回泊まるホテルのビュッフェが豪華なんですよね(笑)。それもたんまり味わって、3日間濃密なものにしたいと思っています。
野田 一言で言うと楽しみです。僕が高校の時の先輩が、早稲田に入って活躍しているのを見て、僕も早稲田大学行きたいなと思って、勉強は分かんないけど(笑)、競技を頑張って早稲田に入学して、実際にちゃんとこのユニフォームを着て先輩たちのように出られるんだって思うと楽しみです。早稲田大学のためにも頑張りたいですし、この1年間丸尾さんのチームでいろいろ個人的にも迷惑をかけたことがあるんですけど、僕の話になってしまいますが、高校の時にインターハイがあるじゃないですか。僕が調子良い悪いがあって、インターハイ1回しか出られていなくて、3年生の最後に出られたんですけど、初出場初優勝することができました。こういうことって全然ありえるし、丸尾さんの気持ち、最後に出られる嬉しさも分かるし、(今まで)出られなかった悔しさも分かります。さっき課題でも緊張に弱いと言ったんですけど、優勝できる可能性は無限大にあると思うので、僕がチームの力になれるように、よく考えて、良いパフォーマンスが出せるように頑張ります。
小渕 遠藤監督(遠藤宏之監督、平4政経卒=東京・早大学院)が今年最後で退任ということで、遠藤監督にとっても最後だし、丸尾さんにとっても最後だしっていう気持ちがあって、2人の貴重な最後を自分もチームの一員として参加させてもらうっていうのは、すごい嬉しいことでもあるし、2人のために自分のやれる最大限を出していきたいなと思っています。僕はアーチェリーがとにかく大好きで、アーチェリーで苦しい思いもたくさんしてきたんですけど、こういう貴重な全国大会に出られるんだったら、「やっぱりアーチェリー楽しいな」と思って王座を全力で楽しみたいと思います。あと、僕はばあちゃん大好きなんですよ。アーチェリーの道具で僕が一人暮らしでお金ないっていうのをばあちゃんが気を遣ってくれて、金銭的にも支援してくれたりとかすごい応援してくれていて、結果を残したらめっちゃ喜んでくれるので、僕はその姿を見たいなと思って全力で頑張りたいと思います。
(取材・写真 飛田悠那、神田夏希、 編集 飛田悠那、神田夏希、飯塚咲)

対談を終えた男子選手たち
◇丸尾風瑛(まるお・かぜあき)
福岡・柏陵高出身。スポーツ科学部4年。最近は就活が終わって家でダラダラすることが好きだそうです。あと、部活に来て後輩にちょっかいを出すことが趣味だとか。
◇梅澤徹太(うめざわ・てった)
東京・攻玉社高出身。政治経済学部3年。Mrs. GREEN APPLEの曲を聴くことが趣味なのと、最近は就職活動へ向けて自分を成長させている途中だそうです。
◇野田慶一郎(のだ・けいいちろう)
エリートアカデミー/東京・成立学園高出身。スポーツ科学部2年。最近はブロックブラストというパズルゲームにハマっていて、ゲームをしているのに頭が良さそうに見えるのがポイントだそうです。
◇小渕伊央利(おぶち・いおり)
群馬・県太田高出身。スポーツ科学部2年。最近はなわとびにハマっていて、痩せるために毎晩アパートの駐車場で楽しく跳んでいるそうです。