【連載】競走部 日本学生対校選手権(日本インカレ)特別企画 特集『Alll ONE(オールワン)』 第3回 中島橙子×藤田真美加×広瀬夏希

特集中面

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 関東学生対校選手権(関東インカレ)ではトリプル入賞を果たすなど、早大女子競歩を盛り上げる藤田真美加(スポ4=千葉・成田)、広瀬夏希(社3=東京・富士)、中島橙子(スポ2=群馬・前橋女)の3人。日本学生対校選手権(日本インカレ)でも、トリプル入賞、そして、トリプル表彰台が期待される実力者たちだ。そんな切磋琢磨してきた3人が、日本インカレを前に思うこととはーー。

※この取材は5月22日に行われたものです。

ーー右隣の人の紹介をお願いします

中島 真美加先輩は、最初は私がダメダメ過ぎていろいろ指導してもらっていました。完璧な先輩というイメージがありましたが、途中から人間らしいというか、おもしろい一面が見られて優しい先輩だなと思います。大好きな先輩です。これからもよろしくお願いします。

藤田 広瀬夏希さんは、競技者としては何事もそつなくこなしてしまう感じです。私生活ではおもしろいです。いつもたくさん笑わせてもらっています。

広瀬 中島橙子さんは、私生活ではエピソードを掘れば掘るほどおもしろい人です。いつも笑わせてもらっています。競技者としてはストイックで見習っていきたいところばかりです。

ーーオフの日はどのように過ごしていますか

中島 授業がなければずっと寝ていたいのですが、最近はあるのでしっかり起きています。授業が終わって家に帰ってからは、一人でピアノを弾いたり、ジグソーパズルをやったり、絵を描いたりしています。一人でできることを夜までやって過ごすことが多いです。集中力がつきます。

藤田 私も毎日の練習で疲れてしまうので、ゆっくり過ごすことが多いです。たくさん寝た後は、終わっていない作業などを片づけます。すると一日が終わってしまいます。基本買い出しなどもオフの日に済ませます。

広瀬 私も一人でいるとだらだら寝てしまいます。でも、それだともったいないなと感じるのでなるべく外に出るようにしています。友達とおいしいものを食べに行くことが多いです。

ーー今まで行った遠征先で最もお気に入りの場所を教えてください

中島 高2の時インターハイ(全国高等学校対校選手権)で行った、徳島の直売所が凄く好きです。玉ねぎステーキがおいしくて、大会中だと言ったらサービスしてもらえました。直売所のおばあちゃんもかわいくて大好きです(笑)。

藤田 2カ所挙げてしまうのですが、まず神戸です。毎年日本選手権の会場になっています。私の祖母の家が兵庫県にあるので試合の帰りに寄っていきます。もう1カ所が、競歩の聖地である石川県の輪島です。輪島の古風な街並みが好きです。

広瀬 私も石川県の輪島が一番のお気に入りです。歴史ある街並みの中を歩けるレースコースが好きですね。地元の方もたくさん応援してくださって嬉しいです。

ーー競歩勢で外出することはありますか

一同 それがなかなか無くて(笑)。

藤田 ここ2人(藤田と広瀬)が一緒に出かけたのも、1年以上前に1度だけです。住んでいる場所もそれぞれ違うし、授業もあるのでなかなか予定が合いません。早稲田のグラウンドで交流が完結してしまいますね。

中島 どこか遊びに行きたいです(笑)。

藤田、広瀬 はーい(笑)。

ーー競技面で、お互いに刺激になる点はどのようなところですか

中島 先輩方の歩き方を見て、自分の歩きとどこが違うのかを考えています。いいところ同士を集めて自分の競技に生かせるところが刺激になっています。

藤田 日頃の練習結果や試合結果を見ると、やはり皆強いなと感じます。私も負けていられないなと思い、刺激をもらっています。

広瀬 日頃の練習タイムや練習メニューが共有されるので、それを見て参考にします。一緒に練習できるときは、フォームなどのいいところを自分の中に取り入れられる点が刺激になって良いです。

ーーシーズンイン前に立てた今季の目標を教えてください

中島 私は一つ一つの試合に対して目標を立てるタイプなので、大きなシーズン目標は立てていません。試合ごとに振り返って、次回の試合を目指しています。ただ、今年はもう少し大きな目標を立てて過ごしたいなと思ってはいます。

藤田 最低限の目標と最高の目標をそれぞれ決めるようになりました。競歩勢として結果を残すべきはインカレとロードの主要大会だと思っています。そこで最低入賞、最高で優勝もしくは3位以内などと目標を立てています。私個人では高校の時のベストをなかなか超えられなかったので、最低限そこを超えることです。早稲田記録も狙っていきたいです。

広瀬 私は昨年の日本インカレと関東インカレで入賞ギリギリだったので、今年はそれぞれの大会でそれ以上の結果を残したいです。ロードの大きい大会でもしっかりと結果を残すことを目標としています。タイムの面では44分台をめざして取り組んでいます。

ーー広瀬選手と中島選手は2月に日本選手権20キロ競歩に出場されました。振り返っていかがですか

中島 私は初めての20キロでした。知らないからこそ、自分がどこまで行けるのかを試してみようという挑戦心をもって臨みました。リラックスして歩けましたし、想像よりもいいタイムだったという感想です。ただ、15キロ過ぎから疲労感や体への負荷が一気にきたことに対応しきれてはいなかったと思います。2年目はそれを踏まえて練習し、いい結果が残せるようにしたいと思います。

広瀬 私は2回目の20キロでした。昨年は結構つらかったので、今年は後半までしっかり力を残して後半ペースを上げようと思っていました。ただ、試合前に足を痛めてしまったので10キロあたりから足にガタがきていました。タイムもあげられないまま終わってしまったという印象です。手ごたえもあまりなく、昨年のタイムも更新できなかったので悔しいです。

ーー広瀬選手は足を痛めていたとのことですが、症状といつ練習を再開したのか教えてください

広瀬 症状は両足とも膝に出ていました。左膝は鵞足炎で、右膝は半腱様筋を痛めてしまいました。3月中はポイント練習は一切しないで筋トレや補強に励みました。4月の前半頃から少しずつポイント練習や追い込み練習を増やしていきました。

ーー3月の全日本能美競歩は藤田選手と中島選手が出場されました。振り返っていかがですか

中島 2回目の20キロ競歩でした。前回の試合から1カ月というスパンの試合だったので、試合前になるべく疲労はない状態で出場しようと思いました。結果として、ケガもなく疲労感もない状態でスタートラインには立てました。ただ、当日はかなり気温が下がっていました。そこに対応しきれずに、レース中足の感覚が鈍くなっていました。また、日本選手権で思っていた以上の結果だったので変な欲が出てきてしまって。そこまで甘くないなと痛感しました。この試合結果を受けて、関東インカレでは絶対に勝ってやるという気持ちになりました。

藤田 私は大学入学時から、世界大会に出場したいという目標を掲げていました。なので、この試合でユニバの代表が決まるということは意識していました。ただ、故障が重なってしまい練習が十分に積めませんでした。自分の状態を鑑みて、試合の感覚を忘れないようにすることに重点を置いて参加しました。足の状態が良くないことや、気温のこともあったので関カレへの影響を考えての途中棄権というかたちになりました。強い選手を間近に見られたので、収穫もあったと思います。

ーー関東インカレについて伺います。全員が昨年以上の結果で入賞しましたが、調子はどうでしたか

中島 私は万全に近い状態でスタートラインに立てました。不安などもなく、今日はいけると思ってスタートできたのは大きかったです。その結果、自己ベストを1分以上更新できたというところはかなり良かったです。ただ、結果としては2位だったのでそれで満足してしまわないように、と思っています。周りにも2位では足りないと思ってもらえる選手になりたいと思いました。

藤田 私は試合の9日前に捻挫をしてしまい、その時は本当に絶望というか。最後の最後で何をしているんだという気持ちでいました。トレーナーさんなどのたくさんの方々に支えていただいて、何とか痛みは収まった状態で試合に出場できました。試合前には、とにかくやるしかないということしか頭になかったと思います。レースでは前につくことを意識していました。結果としては自己ベストを更新することができました。高校の時の記録をずっと更新できていなかったので、更新できてほっとしましたし良かったなと思います。

広瀬 私は足の痛み自体はもうなくなっていました。ただ、故障明けから急ピッチで関東インカレに向けて練習を積んでいたので足に疲労が残った状態で試合に臨みました。やるしかないと思っていましたが、その状態への焦りもありました。その気持ちが前に出すぎてしまって、気持ちに体が追いついていないような感じでスタートラインに立ちました。スタートしてからも足が重いなと感じていました。レースの最初のほうで先頭集団から抜けてしまったので、最低でも5位を死守するように歩きました。

ーー実際の歩きを振り返っていかがですか

中島 ラスト1周まで先頭集団の3人で一緒に歩いていました。残り1000メートルまでは余裕もあって手ごたえを感じていたのですが、ラスト1周での相手のキレが凄くて。4年生の意地を感じました。自分の普段の練習を振り返ってみた時に、あのラスト1周を勝ち切る練習をしてはいなかったなと思いました。もっとロングスパートをかけるべきだったし、自分の得意・不得意をきちんと理解できていなかったことが反省点です。最後の競り合いで負けてしまって悔しいです。

藤田 できたら表彰台に立ちたいと考えていたので、先頭集団には可能な限りついていこうと思っていました。練習をそこまで積めていなかったこともあり、序盤から苦しいなと思いながらレースをしていました。その中で、応援の臙脂(えんじ)の姿がいろいろなところに見えました。応援の声に助けてもらいました。もう少し結果が欲しかったところではありますが、直前の状態を考えると個人的には上出来かなと思います。

広瀬 目標としては最高3位、最低5位だと思っていたので先頭集団にはついていくようにしていました。やはり途中で苦しくなったので、いったんペースを落として冷静になろうと思い2000メートルの地点で先頭集団からは離れました。そこからはとにかく落ち着いてレースを進めることを意識していました。しかし焦りもあって、本来自分が想定していたレースプランとは違う歩きをしてしまったという悔しさが大きいです。

ーー日本インカレに向けて意識していることはありますか

中島 今年は関カレと日本インカレの間が短いのでまずは疲労を抜くことです。1カ月の練習で身に着けられるものは限られています。私としては関カレの状態を維持して、あとは気持ちでどれだけ上乗せした状態でスタートラインに立てるかだと思っています。

藤田 足の捻挫など不安要素もあったので、練習はリフレッシュも入れながら慎重に行っています。関カレを踏まえて、スピードの強化とフォームの見直しを意識しながら練習に励んでいます。

広瀬 関カレと日本インカレの短い間の中で、しっかりと疲労を抜きつつ追い込むことは難しいところです。最初の1週間は疲労を抜くことを意識しました。関カレでは体力が落ちていることを痛感したので、まずは体力を戻したいです。さらに、今はフォームを見直すことができる期間なのでスピード練習と共に重点を置いています。

ーー日程が過密ですが、調整するうえで意識していることはありますか

中島 私は日程が過密であることをあまり考えないようにしています。他の選手も同じ条件なので、自分に不安感や緊張感を感じさせないように無駄な力を抜くことを考えています。

藤田 とにかく私は故障が多いので、その点に気をつけていつも通りの練習をすることを心がけています。

広瀬 関カレの結果の反省点は意識しつつも、気持ちを引きずりすぎないようにプラス思考で過ごすことを心がけています。

ーー新入生も入って来ましたが、競歩チームの雰囲気はいかがですか

中島 おもしろい1年生が入ってきてくれたので、私としては嬉しいです(笑)。

藤田 男女1人ずつ入ってきてくれました。おもしろい子だなと思います(笑)。一緒に歩きたいと言ってくれる子なので、競歩チームでコミュニケーションをとる機会は増えたかなと思います。

広瀬 競歩に対して積極的な1年生だと思います。私たちに話を聞きに来てくれたりするので、後輩にしっかりと伝えられるような先輩にならないとなと思います。

ーー日本インカレではここを見てほしい!という自身の注目してほしいポイントを教えてください

中島 気持ちの強さには自信があるのでそこを見てほしいです。気持ちで押せます!

藤田 粘り強さが武器ではないかなと思います。まだ言い切れないので、残りの期間で強化していきたいです。頑張ります!

広瀬 最後まであきらめずに前に食らいつこうとする粘り強さを見ていただきたいです!

ーー最後に、日本インカレへの意気込みや目標をお願いします

中島 表彰台に上ります!

藤田 最後の日本インカレなので意地を見せられるように、全部出し切ります!

広瀬 ハイレベルな戦いになると思いますが、関カレの悔しさを晴らせるように、練習して入賞以上の結果を出したいです!

ーーありがとうございました!

(取材 長屋咲希、田邉桃子、井深真菜、編集 井深真菜、佐藤結)

◆中島橙子(なかじま・とうこ)(※写真右)

2005(平17)年6月25日生まれ。群馬・前橋女子高出身。スポーツ科学部2年。

◆藤田真美加(ふじた・まみか)(※写真中央)

2003(平15)年8月13日生まれ。千葉・成田高出身。スポーツ科学部4年。

◆広瀬夏希(ひろせ・なつき)

2004(平16)年7月30日生まれ。東京・富士高出身。社会科学部3年。