【連載】新体制特集『EXCITE』第3回LB安藤龍生×OL丸山皓士朗

特集中面

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 第3回には、ODのユニットでそれぞれリーダーを務めるLB安藤龍生(法4=東京・早大学院)とOL丸山皓士朗(法4=東京・早実)が登場。昨年の振り返りや現在のチームの雰囲気、ラストイヤーへかける思いなどを伺った。

※この取材は、4月22日に行われたものです。

ーーお互いの紹介をお願いします

丸山 龍生(安藤)は、高校の頃から学院にすごくうまい選手がいると思っていて、良いプレーをしていたので、違う高校ながら存在を知っていました。リーダーシップとか人を引っ張る力はチーム1のものを持っていると思いますし、1人で引っ張るタイプではなくて、みんなを巻き込んで引っ張っていく素晴らしい選手だと思っています。

安藤龍 丸山は常に自分を高め続けている選手の1人だと思っています。最初彼はDLにいて、その時からとても上手だったのに、自分の適性がOLにあるなと思ったら迷わずオフェンスにいってすぐに頭角を表して、OLの体型にするのもすごく努力が必要なことだと思いますが、いつの間にか身体がすごく大きくなっていました。今年からまたOLの中でもポジションチェンジをしましたが、そこでも確実にOL5人の中で1番強い選手で、とにかく背中で見せるリーダーだと思います。

ーーそれぞれの第一印象、現在の関係を教えてください

丸山 Instagramで僕が(安藤に)DMをしていて、大学の入学式の時に握手をしたのだけ覚えています(笑)。第一印象から別に今も変わらないです。

――当時から安藤選手を認識していましたか

丸山 そうです。高3の終わりぐらいにYouTubeで早大学院の試合の配信を見ていて、すごいうまい選手いるなと思って、その当時龍生と同じポジションだったので、意識する部分もありつつ、大学で一緒にできるのが楽しみだなと思ってDMしました。

安藤龍 自分は高校時代主将を務めていて、高校から大学に進む際ビッグの中でも早大学院出身の選手が占める割合が多いこともあって、感覚的に新しい仲間みたいなイメージでした。その中で丸山はとても印象的で、握手した時も手がとてもでかくて、こいつらと4年間アメフトするのか、新しい仲間1人目こいつか、みたいな感じの印象で頼もしかったです。

ーーご自身のポジションの魅力を教えてください

安藤龍 LBはやはり一番かっこいいポジションだというのは自信を持って言えます。一番アメフトでかっこいいポジションだと思っているし、それこそハードタックルしたりとか、インターセットしたりだとか、やはり求められることも多ければ、すごく頭を使うポジションで、本当にアメフトが全部詰まったようなポジションだと思っています。

丸山 OLはよく縁の下の力持ちだとか、チームを陰で支える存在みたいに言われますが、自分としてはOLの魅力は、何よりも相手を圧倒して相手の上に乗っかったり、相手を仰向けに押して倒したりとか、そういうのがすごい魅力だなと思っています。意地悪にもプレーできるし、ハードにもプレーできるしっていうところで、優しい人よりは攻撃的な、相手のことやってやるぞみたいな、そういう人の方が向いていて、OLもすごく魅力的なポジションだと思います。

ーー昨シーズンについて伺います。昨年の関東大学秋季リーグ戦2位、全日本大学アメリカンフットボール選手権(全日本大学選手権)ベスト4という結果を振り返っていかがですか

丸山 昨年1年間はすごく4年生にも良くしてもらっていたし、本気で日本一になれると心の底から思っていたので、ベスト4という結果も全然満足していなかったです。4年生とは一番関わる時間が長かったので、寂しいのもありますし、もっと一緒にやりたかったなという気持ちもありました。

安藤龍 自分も同じで、4年生がとにかく大好きだったのでやはり引退する時はすごく寂しかったし、特に昨年はディフェンスのレベルがめちゃくちゃ高くて、自分たちの代になる時、やはりそこには不安や大丈夫かなという思いはありました。でも、自分がディフェンスリーダーをすることになってからは、「絶対昨年のディフェンスを超えてやる」という良い目標になったのかなと思います。

――ご自身についてはいかがですか

丸山 昨シーズンは先輩のけがの影響もあって、早慶戦で初めてスタメン出場をして、そこから春シーズンの間は継続的に出させてもらって意外とやっていけるなという風に感じていました。夏合宿の時にけがで秋の最初に出遅れてしまいましたが、同期とも切磋琢磨し合って、「この1試合自分が下手なプレーをしたらまた試合出られなくなっちゃう」という危機感を持ちながら過ごしていたので、自分的には成長できた1年だったと思います。

安藤龍 自分はすごく悔しい1年間で、春の最初にけがをしてからどんどんうまくいかないことが続いてしまって、大学3年は試合に出る機会も少なくアピールチャンスが回ってこない中で、悔しさをバネに自分自身としても、精神的にも選手としても成長できた1年間でした。

――お互いのプレーについての印象はいかがですか

安藤龍 丸山はDLからOLに変わってすぐで、同期としてすごく期待していて、うまい選手がたくさんいる中でDLから来たばかりの丸山が試合に出てる姿を見て、すごいなという尊敬の気持ちはあります。

丸山 (安藤龍は)LBですが、色々なタイプがいる中でも腕が長かったりスピードがあったりして実際に当たってみるとやりにくいですし、何よりもその当たった時に一番熱い気持ちを持ってプレーするタイプだったので、すごい自分的にはやりづらかったですし、実際に対戦で当たる時はすごく頼もしかったです。

 ーーそれぞれオフェンス・ディフェンス陣のリーグ戦の出来はどのように振り返りますか

安藤龍 昨年は正直言ってディフェンスは過去見てもないぐらい良い出来だったと思います。特にディフェンスバック陣がすごく良い選手ばかりで、本当に人間としてもすごくできていて、昨年のディフェンスバックのリーダーの塚田さん(塚田隼也、令7商卒=東京・早大学院)や副将の鈴木晴貴さん(令7基理卒=神奈川・鎌倉学園)とか、あとLBの石黒さん(石黒哲、令7政経卒=早大学院)とか、本当に一つ上なのかなと思うぐらい、熱い気持ちを持っていて選手としての能力ももちろん高いですし、人として尊敬すると言いますか、これから一生、自分の記憶に強く残り続けるような選手がたくさんいた印象です。

――特に良かった点は

安藤龍 みんなハドルがめちゃくちゃうまくて、アメフトではハドルで盛り上げてから試合とか練習に臨むんですけど、一回一回彼らの話す言葉というのがすごく強烈で印象的で、憧れみたいなところはいまだにあります。

丸山 昨年オフェンスの出来に関しては、自分はディフェンス同じぐらい良い出来だったと思います。最初の頃はスロースターターというか、相手にやられてしまう部分が多くて、後半につれてどんどん良くなっていくと感じでしたが、シーズンの後半になるにつれて最初から爆発的にプレーできるようになって、立命大戦とかはオフェンスとしては完璧に近い出来だったと思います。それを誰よりもやっていたと思うのは、やはり昨年のオフェンスリーダーの飯田さん(飯田星河、令7法卒=東京・早大学院)で、誰よりも熱くてチームの先頭で引っ張るみたいな、とにかく熱い男で、他の人も人間的に素晴らしい人がすごくいたので、昨年は自分としても追いつきたいし追い越したいなというオフェンスユニットでした。

「誰も想像しないような結果を出せる」(安藤龍)

質問に答える安藤龍

ーーオフェンス、ディフェンスリーダーに就任した経緯を教えてください

安藤龍 自分は元々主将に立候補していましたが、結局功能(誠也主将、教4=東京・西)に決まって、副将とかも考えたんですけど、自分に合っているのはリーダーだなと思ってディフェンスリーダーになりました。もちろん消去法になった訳ではなくて、昨年の塚田さんは自分が一番尊敬してる選手で、その姿を見て、自分もこうなりたいという強い思いがあって立候補したという感じです。

丸山 自分はリーダーをやるようなタイプではなかったですが、ラストイヤーで何かチームに貢献したいなと思っていて、昨年1年間オフェンスでスタメンとして3年生ながら出させてもらえた中で、関西の大学とも実際に対戦して超えないといけない壁も分かっていたので、そういう意味で自分がどういうオフェンスを作りたいのかをみんなに対してプレゼンして、その後話し合って決まったという感じです。

――実際にやってみていかがですか

丸山 リーダーってすごく難しいなと感じていて、昨年1年間の役職がない時は結構自分にフォーカスできるというか、自分のプレーがうまくいかなかったら多少落ち込んだりしてもいいですし、別に自分のプレーが良かったらその分盛り上がってもいいと思うんですけど、リーダーになると、自分がうまくいってなくても、チームがうまくいっていたらチームを鼓舞しないといけないですし、逆に自分が上手くいっていて、チームが上手くいってなかったら周りを高めないといけないという、チームファーストで考えないといけないことが難しくて、今一番苦労してますね。

ーー複数のポジションの選手たちをまとめる上で意識していることはありますか

安藤龍 1つは、ディフェンス幹部というのが存在しているので、彼らに自分の考えている信念をしっかりと伝えて、同じ信念を持った人たちを少しずつ増やしていくことがチームをまとめる上で一番重要なことだと思っています。もう1つは、自分は結構なめられやすいというか、フレンドリーな性格なんですけど、リーダーになったからにはそれだけでは雰囲気はしまらないので、優しさの中に厳しさをしっかり持って、リーダーになってからは後輩とか同期に接するようにしています。

丸山 オフェンスもディフェンス同様、オフェンス幹部がありますが、その中にいる選手は、実力もあって、フットボールIQも高い選手が多いです。なのでオフェンス幹部みんなで分からないことは分からないと言い合って、もっと良い方法がないかをみんなで考えて作り上げています。そういう意味では自分がまとめあげているいう感じではなくて、オフェンス幹部全員で自分の目指したオフェンス像に向けてみんながそのポジション引っ張ってくれている感じなので、自分が複数のポジションを引っ張っているという感じはあまりないです。

ーー功能主将は、ここまで主将としてのどのような印象ですか

安藤龍 功能は同じポジションで根っから信頼できる人間です。隙がないし、アメフトだけではなくてアメフト以外のところでもチームの運営なども頑張っていて、アメフトももちろん頑張っているし、一人の選手として本当に尊敬に値する選手だと日々感じています。

丸山 功能はまず誰よりも熱くてパッションもすごくあるし、昨年は副将をやっていたのでリーダー経験もあって、どうやってチームを引っ張っていくのかということも分かっているのですごく信頼できます。さっき自分が難しいと言った、自分のプレーがうまくいかなくても周りを盛り上げるということが彼はできているので、本当に人間としてすごく尊敬できると思います。

 ーー今年の4年生はどのような代ですか

丸山 みんな仲良いし、みんな色々な個性があります。まとまるというより色々な方向に色々なやつがいるので、動物園みたいですけど(笑)。一緒に同期としてやってこれてうれしいなと思うような4年生です。

安藤龍 丸山が言う通り、本当に色々な人間がいる代だと思います。それは良い面でもあれば悪い面でもあると思っていて、それこそまとめる力が求められるし。色々な考え方、能力や個性を持つ選手がいる中で、もっと一つになって目標に向けて動き出したら、誰も想像しないような結果を出せると本当に心の底から思っています。なのでどうやって日本一という目標へチーム全体のベクトルを向けていくかというところが鍵になってくるのかなと思います。

ーーそれぞれ掲げているスローガンはありますか

安藤龍 ディフェンスのスローガンは「Bear Bait(ベアーベイト)」です。BIG BEARSなので、熊が獲物をハントするような意味です。サブスローガンとしては「できっこないをやらなくちゃ」を掲げています。一番大切なのが成長だと思っていて、特に自分たちの代は一気に主力の選手たちが抜けてしまったので、自分たちがどこまで成長できるか。できっこないと決めつけるのではなくて、昨年を超えるようなディフェンスを作っていきたいです。

丸山 オフェンスは「Resilience(レジリエンス)」です。昨年の飯田さんとかからは不評で、センスがないと言われたんですけど(笑)。復元力という意味で、逆境とか困難に直面した時に自分たちの状況を冷静に分析して、自分たち本来の力を取り戻すというイメージです。ヘッドコーチの荒木さん(荒木延祥ヘッドコーチ、平10スポ卒=大阪・高槻)が言う「Be Neutral(ビーニュートラル)」みたいな感じで、何があってもずっと自分たちのやるべきことをやり続けるというような意味も含んでいます。

ーーオフェンス、ティフェンスの強みを教えてください

丸山 オフェンスの強みは、RB安藤慶太郎(社4=東京・早大学院)を筆頭にRBの豊富さというか、みんな実力もあって切磋琢磨して高め合っていますし、WRでいったら、松野(雄太朗、社4=東京・早大学院)とか吉規(颯真、政経4=早大学院)とか、すごく能力のある選手がWRにはたくさんいるので、ランもパスも両方うまくいくのが強みです。

安藤龍 やはり昨年が本当に黄金世代と呼ばれるぐらい4年生が中心のディフェンスユニットだったので、原(康介、法4=東京・早大学院)以外はごっそり抜けてしまって、本当にみんなが良い意味でも悪い意味でも同じぐらいのレベルのイメージで誰がスタメンか未だに決まってない状況です。それでお互いを高め合えていて、桜美林大戦では春から鍛えてきたタックルがしっかりできている選手も多くて、強みはやはりそこの競争力みたいなところだと思います。

ーー互いから見たオフェンス、ディフェンスはいかがですか

丸山 オフェンスから見たディフェンスは、とにかく嫌なディフェンスというか、誰がどこに入ってくるのか予測できないし、色々な選手がうろちょろしていて、初見で対戦するとなったら厳しいというか、圧倒されたまま試合が終わってしまうと思うぐらいのディフェンスです。1年生から4年生までみんな実力のある選手が何人もいる厄介なディフェンスで今年も安心して任せられると思います。

安藤龍 オフェンスには良い選手が多い中で、ランもパスも両方怖いですけど、やはり期待したいのはOLです。本当にOLが結局アメフトの勝敗を分けてくると、高校から始めて一番それを痛感しているので、OLの出来が今年の早稲田の命運を分けると思って日々対戦してます。

ーー期待しているチームメイトはいますか

丸山 後輩の中で特に期待しているのは、OLの風間(耕一、基理3=東京・早大学院)と佐藤亜希人(人2=愛知・海陽中等教育)です。その2人はパワーもありますし、乗ってプレーできているなというのがあるので、その2人はすごく期待しています。もう1人同期の中では三浦(幸太、教4=早稲田佐賀)で、今まで3年間けがであまり出場機会はなかったですが、爆発的な走りとか、パワー溢れるランはすごい期待しているので、けがを治して多分ラストイヤーで爆発してくれると思います。

安藤龍 本当にみんなに期待しているんですけど、強いて言うなら宮澤(源、文構2=東京・麻布)です。すごく頭が良くて、身体能力も高くて、確実に今年からチームのエース格になる選手と思ってます。

「オフェンスリーダーとして日本一のオフェンスを」(丸山)

質問に答える丸山

ーー早慶戦の意気込みをお願いします

安藤龍 ディフェンスは絶対に0点で抑えて、1プレーもやられてはいけないと思っています。早稲田生として慶應だけには絶対に負けたくないですし、慶應が喜んでいるところは見たくないので、ディフェンスを圧倒して、慶応の笑顔をなくそうと思います。

丸山 そんな尖ってていいの(笑)。早稲田の男たるもの慶應に負けていいはずはないので、早稲田に誇りを持って戦って、絶対に勝ちます。

 ーーその後関西2校との対戦が続きますが、その中で意識している大学はありますか

安藤龍 一番意識しているのは立命大です。昨年やられて悔しい思いをして、今年の春に彼らを倒すことはチームとして意味のあることだと思うので、日々精進していきたいと思っています。

丸山 立命大と関大はすごく意識しています。秋シーズン日本一を目指すとなった時に、この2校には絶対当たると思うので、春シーズンにどれだけ自分たちの現状、何が足りないか、何なら勝てるかというところをつかんで、弱みを夏秋で補いつつ強みを伸ばしていきたいと思います。彼らの強いディフェンスに対して、自分たちがどこまでできるのかすごく楽しみです。

 ーーご自身の個人的な目標を教えてください

安藤龍 ディフェンスリーダーとして誰よりもフィールド上でハッスルして、背中で見せられる選手を目指したいです。

丸山 昨年の法大や立命大のように、強いチームには圧倒的なOLがいるので、そういう圧倒的なOLになって、相手のDLやLB陣を粉砕できるようきなりたいです。あとオフェンスリーダーとして日本一のオフェンスを作り上げて龍生と共に日本一になりたいです。

ーーラストイヤーの意気込みをお願いします

安藤龍 今年から荒木ヘッドコーチになって、「チームのスタンダードは一番低い人間が決める」という言葉にすごく共感しています。ほとんどの人が100の熱量を持って取り組んでいたとしても1人でも80の人がいたら、そのチームのスタンダードは80なんだということです。そこで自分たちのディフェンスユニットでは誰も置いていかずに、全員が主体的に熱量を持って1年間やり続けることをすごく大切にしています。自分はそんなディフェンスユニットを作りたいし、そういうディフェンスユニットが日本一のユニットだと自信を持って言えると思うので、そこを目指して1年間頑張りたいと思います。

丸山 オフェンスは個性豊かなメンツなので、まとめながら助けてもらいながら、爆発力があって安定してオフェンスで(点が)取れて、最後に甲子園ボウルで勝てるような素晴らしいオフェンスユニットを作りたいと思っています。自分たちが歴史を変えるんだという気持ちで入部してきているので、今まで91年間なれなかった日本一を絶対達成したい、したいというより達成すると思っています。

ーーありがとうございました!


(取材 大村谷芳、植村皓大 編集 片山和香、田中瑠花)

◆安藤龍生(あんどう・りゅうせい)

東京・早大学院高出身。178センチ。84キロ。法学部4年。LB。LBとしての誇りを胸に、史上最強のディフェンスユニットを作り上げます!

◆丸山皓士朗(まるやま・こうしろう)

東京・早実高出身。180センチ。103キロ。法学部4年。OL。丸山選手が生み出す、爆発力のあるオフェンスに注目です!