昨年、東京六大学秋季リーグ戦で勝ち点4を挙げ、明大との優勝決定戦を経て早大を春秋連覇に導いた小宮山悟監督(平2教卒=千葉・芝浦工大柏)。盤石な投手陣、新戦力豊富な野手陣を導く指揮官が、リーグ戦直前に思うこととはーー。
※この取材は4月6日にオンラインで行われたものです。
打撃についての振り返り
――浦添キャンプ、遠征を振り返っていかがですか
可もなく不可もなく、ですかね。
――キャンプ中のオープン戦に関してはいかがですか
やらなきゃいけないことで言うと、浦添である程度課題としていた部分はそれぞれ克服したであろうという風に見受けられるので。その後のオープン戦に関しても、もちろん出来が良い悪いがあるけど、総じて目指すところになんとなく届いてるみたいな状態にはなっているかなと思います。
――オープン戦の戦績を振り返っていかがですか
全部で8勝5敗3引き分けかな。リーグ戦で頑張ってもらわなければならない選手、特に投手に関しては大丈夫だろうという風に思ってます。未経験な選手たちをレギュラーのメンバーの中に入れて、自分の現在地を確かめるように試合に使ってみていますが、やはり気遅れしてるのか結果が出ないという状況なので、これに関してはそれなりに夏までの間に克服してもらって、南魚沼でもう一度挑戦という感じですかね。
――新チームでは渋谷泰生選手(スポ4=静岡)が打撃でアピールしていますが、どのようにご覧になっていますか
守備に関してはお世辞にも上手いとは言えないので、打撃でアピールしないといけない選手です。ただ、チームにマイナスを、迷惑をかけないようにという姿勢で普段から練習しています。ここ(遊撃)は前任者が前任者なので、誰が守っても多分下手に見えてしまいます。だから、渋谷なりに努力をしているというところで言うと、いい形でなんとかしてくれるだろうという期待はしてますね。おそらく、秋の早慶戦でのチームの完成形ということで言えば、そのタイミングになった時には、ひょっとしたら山縣(秀、令7スポ卒=現日本ハム)と肩を並べるぐらいの選手になってるかなという風に思っています。
――正捕手に吉田瑞樹副将(スポ4=埼玉・浦和学院)が入っていますが、打順については
本当は4番を打たせたいんです。でも、守る方はおそらく初めてですから、リーグ戦の中で4番としての打つ方と、キャッチャーとして守る方と、両方負担をかけるわけにはいかないので。どちらかといえば、やっぱり守る方が大事なので、後ろに置いて、もうとにかく守備のことを考えろということでやらせています。ある程度こなせると判断したら、状況を見て4番に据えるかもしれないですし、春に経験を積んだことによって、秋は4番として攻守にわたって活躍できそうなら、そうするつもりもあります。ただ、始めはまずは守備(が大事)ということです。
――4番には寺尾拳聖選手(人3=長野・佐久長聖)が入ることが多いですが、3年生として期待することは
思い切りやれということですかね。経験を積むという位置づけなので、下で気楽に打たせてということも考えましたけど、瑞樹とどっちの方がいいかなと考えた時に、寺尾を4番で使っています。
――寺尾選手の後ろには経験のある前田健伸副将(商4=大阪桐蔭)が座りますが、いかがですか
経験を積んでる選手、尾瀬(雄大、スポ4=東京・帝京)、前田、石郷岡(大成、社4=東京・早実)と、キャプテン小澤(周平主将、スポ4=群馬・健大高崎)を3番に上げて、という打順を組んでるので、この左が機能するかしないかが勝負だと思ってます。
――尾瀬選手は通算打率を更新したいと話していますが
可能性があるので、後押ししたいと思っています。
層の厚い投手陣について
――続いて投手陣について伺います。第二先発として有力な宮城誇南(スポ3=埼玉・浦和学院)の投球をどのようにご覧になっていますか
こんなもんだろうなという感じですね。去年の経験を踏まえて劇的に伸びた、ということであれば万々歳ですが、もたもたしながら投げたりする日もあるので。その辺が樹(伊藤樹、スポ4=宮城・仙台育英)と違うところかなという気がします。
――宮城選手なりに成長しているか
そうですね。まだ3年生になったところなので、樹がいるうちに樹のような感じになるきっかけをつかんでほしいなと思っています。
――田和廉選手(教4=東京・早実)についてはどのようにご覧になっていますか
適材適所でピッチャーを起用しようという風に思ってます。先発したいっていうのは、全員そう言っていて、そうは言っても試合は限られているので、頭で投げるピッチャーとブルペンで投げてもらうピッチャーと分けて使うようには考えています。ただ、充実したピッチングスタッフだという風に胸を張れるかなとは思っています。
――リリーフでは安田虎汰郎選手(スポ2=東京・日大三)、香西一希選手(福岡・九州国際大付)、越井颯一郎選手(スポ3=千葉・木更津総合)などが控えていますが、ブルペン陣についてはいかがですか
1イニングをしっかりと抑えてくれるピッチャーたちだと思っています。なので、リーグ戦、おそらくピッチャーが崩れてやられることももちろんあるとは思いますが、可能性は限りなく低いかなと思ってます。
リーグ戦に向けて
――リーグ戦の目標はなんでしょうか
もちろん優勝というのが大前提ですけど、まずは最終週の早慶戦に優勝の可能性を残すというのが最低限の仕事だという風に思っています。
――チームの現在の状況はいかがですか
相手のあることなので、相手がどんな塩梅なのか分からずなんとも言えないですが、評判ではやっぱり明治が抜けてるというのは聞こえてきます。4カード目の明治戦でなんとか食らいついてものにして早慶戦に臨めるような星勘定でいたいなと思っています。
――目標を達成するために必要になるのはどんなことでしょうか
目の前の1試合、極端な話、目の前のプレー、これを確実にものにできるように。 それだけです。
――リーグ戦直前の時期に大事なこと、選手に伝えていることはありますか
やり残しのないように、準備を怠るなということはもう常々口にしていますが、その準備を怠ることのないようにするには、じゃあ何をどうしたらいいのか、そういう話になります。チームとして万全の状態で臨むってなかなかできないので、そんな中で選手それぞれが自分の仕事を全うすべく、しっかりとした準備を怠らずにしておけばなんとかなると思っています。
――リーグ戦に向けて意気込みをお願いします。
昨年はありがたいことに春秋連覇ということで、野球部関係はもちろん、稲門(俱楽部)の皆さん、早稲田の学生の皆さんにも喜んでもらえたとは思うんですが、その前年度を受けての今年度、同じようにまた皆さんで喜びを分かち合えるような、そんな春のリーグ戦にしたいと思っております。そのためにも、常にしっかりとした準備のもと、対戦校のデータを洗いざらい見て、準備を怠らずに臨みたいと思っています。
――ありがとうございました!
(取材・編集 西本和宏)
◆小宮山悟(こみやま・さとる)
1965(昭40)年9月15日生まれ。千葉・芝浦工大柏高出身。1990(平成2)年教育学部卒業。現早大野球部監督。