【連載】野球部 春季リーグ戦開幕直前特集『覚悟』 第8回 石郷岡大成

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 第8回に登場するのは、俊足巧打でチームを支える石郷岡大成(社4=東京・早実)。昨年東京六大学リーグ戦(リーグ戦)では早大の春秋連覇に大きく貢献し、自身初のベストナインも獲得した。そんな石郷岡はオフシーズンをどう過ごし、最高学年として迎える今季、何を目指すのか。

※この取材は4月5日にオンラインで行われたものです。

ピンと来ないまま終わってしまった

――オフシーズンの間に取り組んでいたことは
 去年のリーグ戦を通して、速い球に対応するためにバッティングが小さくなっていった部分があったので、もう一度体を作り直すという意味で、体を大きく使うことを意識してバッティング練習をしていました。

――キャンプ全体を振り返って
 キャンプ自体は去年に比べて雨も少なく、結構試合もできてずっと実戦をしていたような毎日でした。個人的には、バッティングでいまいちピンと来ない感触のままキャンプ自体は終わってしまったかなという感想です。

――キャンプを通してもなかなか打撃の調子が上がらなかったという感じでしょうか
 そうですね。ヒット自体は出るには出るんですけど、その内容があまり良くはないということが多かったです。

――キャンプ中、重点的に取り組むとしていた盗塁についてはどんな練習をしましたか
 チーム全体でまず走塁について小澤主将(小澤周平主将、スポ4=群馬・健大高崎)を中心に取り組んでいたので、そこで基礎的な練習をして、さらに実戦で積極的に盗塁するようにしていました。実戦でしか分からない感覚だったり、経験を積むというところを意識して取り組んでいました。

――その成果は感じられましたか
 以前に比べて盗塁に対する自信はついた方かなという気はします。

――特に自分の力になったと感じた練習は
 キャンプ前から常に取り組んでいる走塁練習で、ベースランニングを毎朝やっているんですけど、自分は結構それが苦手で大回りしてしまっていたんですけど。毎日練習していく中でどんどん小さく速く回れるようになっていて、実戦で2塁からホームまでかえるという場面があった時に、(その練習が)生きたかなというのを実感しました。

――キャンプ前後で変わったことは
 グローブが変わりました(笑)。去年のベストナイン祝いということで、グローブを1個フルオーダーで提供してもらって。春に間に合わせたかったので、それをキャンプ中に結構使っていました。

――オフシーズン全体の振り返りをお願いします
 今年のオフシーズンは実戦が多かったような感じがしています。自主練習とかで振り込む量をカバーしなきゃいけないとは思うんですけど、実戦が多くあった分、色んなピッチャーを見たり色んな展開で実戦の練習をできたので、そういった意味ではチームとして非常に成長できたオフシーズンだったんじゃないかなと思います。

毎日試行錯誤しながらやっている

――続いてオープン戦についても伺っていきます。オープン戦を振り返っていかがですか
 いまいちバッティングの感覚が良くないというのはあるので、それをどうやって上げていくか、毎日試行錯誤しながらやっているという状況です。今日少し上向いてきたかなという感じはあるんですけど、まだまだこれからかなとも思うので、あと1週間で始まる東大戦に、ベストな状態で向かっていけるよう準備したいと思います。

――ライトでの守備には慣れましたか
 割と慣れてはきたんですけど、沖縄でなんでもないフライを落としてしまって。ミスは負けにつながるので、絶対ないようにしたいです。あと、ライトはバックサードやバックホームといった送球のシチュエーションが多いと思うので、そこでチームに貢献できるように、そういう練習もしていきたいなと思います。

――オープン戦でのご自身の結果にはどのくらい納得していますか
 いやもう全然ですね。点数的には50点付けられたらいい方かなと思います。

――大学、社会人とさまざまな相手と対戦する中で、難しい点やこんな相手との試合が課題というのはありましたか
 先に点を取られる展開の時に、なかなか反撃できずにそのまま負けてしまうというような試合が大学生相手でも社会人相手でもあったので。こっちが先制点取ってどんどん追加点取ってという試合は結構いいかたちで試合を進められているんですけど、逆境の場面でどうやって点を取り、雰囲気を良くして一気に逆転していくかは課題かなと感じました。

――オフシーズンやキャンプでの成果をオープン戦で出すことができましたか
 なかなか出せていないという方が近いかなと思います。そもそもキャンプを経て、走塁練習に関しては良くなった部分があると思うんですけど、個人的なバッティングはまだキャンプでもつかめていない状態で戻ってきたという感じなので。バッティングに関してはまだですけど、走塁に関してはチーム全体としてもいい状態でつかめているんじゃないかなと思います。

去年よりバージョンアップしたかたちで

――最後にリーグ戦についてお聞きしていきます。現在のチームの雰囲気は
 リーグ戦1週間前ですけど、緊張しすぎるみたいな雰囲気は全然なくて、いつも通りやることをやっています。元気もあるチームなので、すごくいい状態でリーグ戦に向かえているんじゃないかなと思います。

――現在のご自身の調子は
 良くはないですけど、悪くもないくらいの状態だと思っていて。あともう一つかみくらい何かつかめればどんどん乗っていけるかなと思うので、あとは練習と、相手投手の分析など前もった準備をしっかりやるだけかなと思います。

――最高学年となり、心がけていることはありますか
 去年1年間やって、4年生の、プレーだけじゃなく気を配るという部分への力は非常に大きかったと感じたので、最上級生として自分がそういう風にできるように気を配って声をかけたり、1年生とも積極的にコミュニケーションを取ったりしています。チームに一体感が出るように意識して行動しています。

――学生野球ラストイヤーとなりますが、その点についてはいかがですか
 気付いたらラストイヤーで、本当にあっという間だなと思います。去年個人的にも結構いい結果を残し続けられたので、その分今シーズンに対する不安がすごく大きいんですけど、なかなか結果が出なくても辛抱強くやり続ければなんとかなるというメンタルで、1年間悔いなくやり切って。チームとしては絶対日本一取るというのを達成できればもうそれでいいかなと思います。

――チーム内に注目している選手はいますか
 吉田瑞樹(副将、スポ4=埼玉・浦和学院)にします。瑞樹は今8番で出てるんですけど、本来4番とか5番とかもっと上の打順で打ってもいいような選手です。多分キャッチャーという責任のあるポジションなので、8番に置いているんだと思うんですけど。8番に瑞樹がいるというのは相手チームからしたらかなり嫌な打線なんじゃないかと思うので、瑞樹がチャンスで打てるように自分がチャンスメイクできたらと思います。8番はやっぱり責任ある打順だと思いますし、去年の8番バッター(石郷岡選手)が結構いい活躍をしたので、それに負けずに頑張ってほしいです。

――改めて、春季リーグ戦の目標は
 まず春の完全優勝、そして全日本(大学選手権)で日本一になるというのは変わらずやるしかないなと思います。個人としては出塁率4割を達成したくて、そのためには打ってフォアボールも取らないとなかなか厳しいので、バッティングに関する部分もしっかり上げていかないといけないというのと、出たら出た分盗塁できるように、二盗、三盗、ホームスチール全部できるように頑張ります。

――目標達成のためにチームとしてどんな野球、個人としてどんなプレーをしたいですか
 チームとしては、小澤もずっと3ー1で勝てるチームと言っているので、1点にこだわりたいです。1点でも多く取って、最小失点で切り抜けるというのをチームとして掲げているので、走塁で隙をつくプレーで1点を取って、隙のない守備で1点を防ぐ、そういう野球で勝てたらいいかなと思います。個人としては、去年よりバージョンアップしたかたちで足を使ったプレーでかき回して、相手チームを崩せたらいいなと思います。

――最後に、リーグ戦に向けた意気込みをお願いします
 去年の春秋優勝できたんですけど、今年は全然チームも違いますし、他の5大学もかなり強いというのをネットで見たりして感じるので、こっちがチャレンジャーだという気持ちでやるしかないと思っています。とにかく勝って優勝するという強い思いだけを持って、1年間戦いたいなと思います。

ーーありがとうございました!

(取材・編集 田島凜星)

◆石郷岡大成(いしごうおか・たいせい)
2003(平15)年10月2日生まれ。171㌢、70㌔。東京・早実高出身。社会科学部4年。センバツに出場した母校・早実の試合を初めて甲子園の応援席で見届けたという石郷岡選手。最近はVaundyの曲をよく聴くそうです!