【連載】早慶レガッタ直前特集「To Win」第3回 加藤真奈女子主将×矢野文愛

特集中面

 第3回に登場するのは、4年生としてチームを牽引する加藤真奈女子主将(スポ4=静岡・浜松西)と矢野文愛(国教4=東京・早実)。35連覇を目指す女子エイトを担う2人の、最後の早慶レガッタへの熱い思いに迫る。

※この取材は3月6日に行われたものです。

連覇をつなぐプレッシャー

質問に答える加藤

――まず、お互いの紹介をお願いします

矢野 加藤はとても元気があって、人が自然とついてくるようなリーダーシップを発揮できる選手です。

加藤 矢野はとても頑張り屋で、時には無理をしすぎるところもあるくらい頑張ってくれています。本来は漕(そう)者ですが、今はコックスとして早慶戦に向けて頑張ってくれています。矢野のコールに励まされながら今は漕いでいます。

――お2人それぞれの競技歴について教えてください

矢野 私は大学から始めたので、もうすぐ3年になります。

加藤 私は高校から始めました。今年で7年目です。

――練習以外でプライベートの交流はありましたか

矢野 同期でよくご飯に行ったり、この間はカラオケにも行きました。

加藤 私もあります。二人での交流はあまりないですが、皆で集まる感じです。

――これまでの競技人生で一番成長を感じた瞬間はどんなときでしたか

矢野 ボート競技ではエルゴマシーンを使ってタイムを出す練習があります。私の場合、2年生の全日本選手権に出るために8分を切らなくてはならず、何度かチャレンジしました。3回目まではうまくいかなかったのですが、4回目でギリギリのタイムを出した時は、達成感を強く感じました。

加藤 私の場合は、2年のインカレで1人乗りに初挑戦し、初めてレースに出場しました。多くの人からアドバイスをもらい、自分の課題を克服するために練習量を増やし、結果的に優勝できた経験が一番の成長だと感じています。

――昨シーズン全体の振り返りをお願いします

矢野 私は留学から6月に帰国し、1大会だけ出場しました。新しく入った選手とペアで練習しましたが、目標タイムに届かず出場はできませんでした。しかし、東日本選手権など小さな大会で初めてペアとして出場できたことは楽しく、良い経験となりました。また、冬季練習では怪我もありましたが、現在は体力が向上している状態です。

加藤 昨シーズンはチーム全体でエイト種目やその他の種目に取り組みました。早慶戦での勝利から全日本につなげられなかった部分があり、夏は各クルーがインカレ総合優勝を目指して練習していました。テクニックは向上しましたが、フィジカル面での差が出て総合3位に終わったため、特に冬のトレーニングでは体力強化と食事、練習量に注力しました。

「元気がいいことが強みのチーム」(矢野)

質問に答える矢野

――昨年の早慶レガッタを振り返っていかがですか

矢野 昨年は留学していたためメンバーではなかったのですが、海外からYouTubeでライブ配信を見ていました。女子エイトの様子が印象的で、同期や後輩の活躍を見て、自分が戻ってから頑張らなければという気持ちになりました。

加藤 昨年はコックスが4年生以外全員隅田川で漕ぐのが初めてで、33連覇を34連覇につなげられるかというプレッシャーがありました。冬にエイト練習に多く取り組んだので、その成果を信じてレースに臨みました。

――今年もエイトでの出場が決まったのはいつ頃でしたか

加藤 11〜12月頃に確定しました。ここ数年は慶応側で女子が8人に満たず、4人乗りになることもあったという形です。

――他のレースと比較して、早慶レガッタならではの違いはありますか

矢野 私が現地に行ったのは1年生の時が最後で、2年生になった頃は、当時の4年生が出場していたという印象です。早慶戦は観客が非常に多く、応援団や一般の人々も応援に来てくれるため、非常に大きなスケールのレースです。隅田川でのレースは関係者だけの小規模な試合とは異なり、勝ちたいという強い意志がぶつかり合う熱い戦いになっています。

加藤 こんなに歴史のある大会はなかなかありません。マネージャーさんやOB・OGの皆さんが1年前から資金集めやスケジュール管理をしてくれています。レースは私たち選手だけの勝負ですが、チーム全体として早稲田などと戦う感じが強いです。また、女子では今年35連覇を目指すというプレッシャーも感じています。

――エイトでのお二人のポジションを教えてください

加藤 私は進行方向から7番目、矢野はコックスで9番目です。

――7番目はどんな役割のポジションですか

加藤 7番の役割は、前方のストロークのリズムをしっかりコピーし、後ろの選手に伝えることです。ストロークのサポートが求められます。

――代表選考会後の練習やトレーニングではどのようなことを意識していましたか

加藤 エイトはまだ毎日フルを出せる状態ではありませんが、隅田川で実戦形式の練習を重ね、波の荒れた状況でもミスなく漕(こ)げるように取り組んでいます。また、全員の漕(こ)ぎをそろえ、質の高さを意識して練習しています。週末には長距離のジョグを取り入れて、持久力の向上にも努めています。

――練習の中で、課題や工夫している点はありますか

加藤 代表選考に出る人や怪我人もいたため、8人全員がそろって船に乗れる機会は少ないですが、一回一回の練習で全員の動きを一致させ、隅田川で勝てるよう細部のテクニックも意識して練習しています。

――今年のクルーの特徴を教えてください

矢野 今年のクルーは1年生が1人おり、他は全員経験者です。去年の良いところを活かしつつ、若いメンバーと共に新しいスタイルを作ろうとしています。上級生が多いので、自然と引っ張る形になり、全員が一丸となって声を出しながら練習に取り組んでいます。

加藤 今年はパワーと元気がキーワードです。エルゴマシーンのタイムも向上しているので、そのパワーをどう生かすかが鍵になってくると思います。

――現段階での仕上がりはいかがですか

加藤 クルーは1月末に決まり、3月の代表選考が一段落してから集中的に練習を重ねています。

――現在34連覇中で、今年は35連覇がかかっていますが、プレッシャーはありますか

矢野 プレッシャーは大きいですが、その中で尊敬される大会に関われること自体が励みになっています。コックスのポジションはこれまで経験していなかったので、切り替えが重要です。また、隅田川早慶戦という特殊なレースだからこそ、より一層緊張感を感じます。

加藤 今年は4年生として最上級生になった分、より一層緊張感があります。自分がしっかりしなければならないという責任も感じています。

――レースで見てほしいポイントがあれば教えてください

加藤 スタートから500メートルで終わるくらいの勢いで攻めていくつもりなので、言問橋に着く頃には一艇以上の差をつけて余裕で勝てるように、みんなで攻め切ったレースをしたいと思っています。なので、攻めのレースを是非見て欲しいと思います。

――最後に早慶レガッタに向けた意気込みをお願いします

矢野 すごく元気がいいことが強みのチームなので、みんなの強みを最大限に引き出せるように頑張りたいです!

加藤 隅田川で漕げる貴重な機会を用意してくれてくれたマネージャーさんやOB、OGの方々全員に感謝することを忘れず、レースをみんなで楽しみ、勝利をチームの全員で喜べたらいいなと思っています。

――ありがとうございました!

(取材・編集 長屋咲希、植村皓大)

◆加藤真奈(かとう・まな)(※写真右)

スポーツ科学部4年。静岡・浜松西高出身。

◆矢野文愛(やの・あやめ)

国際教養学部4年。東京・早稲田実業高出身。