第3回に登場するのは、昨季鮮烈な復帰を果たした田和廉(教4=東京・早実)。オフの取り組みや手応え、自らの将来像、そして、東京六大学春季リーグ戦への意気込みなどについて伺った。
※この取材は4月1日にオンラインで行われたものです。
感覚がよくない中でも球速は出た
――浦添キャンプで重点を置いて取り組んだことは
キャンプでは、暖かい環境ということもあったので、出力をどんどん高めていきたいと考えていて、動きをつないでいく中で、どうキレを出していくか、というのをテーマに持って練習していました。特に、ランニングなどのメニューでも、強度を高めてやっていく中で早く動く、リーグ戦終盤に疲れてきた時にもしっかり動きを出せるように、疲れた中で素早く動くことをテーマとして持っていました。
――温暖な気候の中で球場表示では150㌔も計測した。その点については
自分の中でストレートの感覚が良くない中でも球速は出てたかなとは思っています。先発する機会も増えて、変化球中心に攻めていくことが多くなったこともあり、ストレートが自分の中ではあまり良くなかったんですけど、何球かは強いボールを投げられたので、リーグ戦では強い球を継続して投げれるようにしたいです。その部分の課題を新しく見つけることができたことが大きな収穫ですね。
――去年から成長したと思える点は
球数をたくさん投げられるようになったことですね。トミー・ジョン手術をして、少しずつリハビリで球数、出力の制限をかけながら取り組んできた中で、1年半以上かけて球数を投げられる状態になったので、そういう意味では成長というか、しっかりリハビリの過程を終えることができたなっていう風には思っています。
――昨年はリリーフ起用だった中で、春季オープン戦では先発登板も増加している。先発へのこだわりはあるか
長いイニングを投げられるっていうことは、この先プロに行ったり、社会人に行ったりするために、しっかりとしたアピールポイントにできるかなと思っています。短いイニングだったら抑えて当然だよね、と言われても仕方がないので、しっかり長いイニングを投げた中で、バッターが何順か打席に立ってきた中での攻め方であったり、そういった部分もしっかりこなせるというところをアピールできたらと思っています。
――オープン戦を通じて感じたことは
自分の手応え的にはあまり良くなかったっていうのが正直な感想です。初回に点を取られてしまうケースがありましたし、先発にしてもリリーフにしても、その1イニング目をしっかり抑えることは重要なので、そこが徹底できなかったことは問題だと思っています。加えて、リリーフでも先発でも、ピンチになった時に三振が取れなかったことが1つ自分の中では課題ですね。簡単に外野フライであったりを打たせない配球をできたと思うので、オープン戦ではうまくいかなかった経験を生かして今後の試合は抑えられたらなと思っています。
――今年は4年生で最上級生ということになり、投手陣を引っ張っていく立場に。投手陣の雰囲気やチーム全体としての手応えは
去年の投手陣とほとんど変わらないっていうのは、1つ強みであって。全員が全員、1つずつレベルアップしている印象もありますし、自分も負けてられないな、と思います。切磋琢磨して高め合っている雰囲気は去年もありましたけど、今年もそれを継続してできていると思いますね。髙橋煌稀(スポ2=宮城・仙台育英)であったり、安田虎汰郎(スポ2=東京・日大三)がキャンプに来れてはいなかったんですけど、こっちに帰ってきて合流した中でも競争みたいな雰囲気は崩さず練習出来ているので、そういう意味ではとても良い雰囲気で練習を積めています。
――新入生については
小松(龍一、スポ1=岩手・花巻東)と佐宗(翼、スポ1=石川・星稜)は元々高校で実力のある凄いピッチャーです。その能力を大学生相手であったり、社会人相手で、高校とは違う能力の相手に出すっていう対応力では、自分が1年になった時よりは全然あるな、と思っています。真っすぐの速さであったり、これからどんどん高められていく部分も多いです。フィジカルもですし、投球技術も、十分持っている投手ではありますが、これから大きく成長できるなと思うので、今年リーグ戦で投げるかどうか分からないですけど、今後2年、3年、4年となっていった時にはもう主力になれるなっていうポテンシャルは感じています。
意識が行くのは明治
――ここからはリーグ戦の質問に入ります。優勝するための条件は何でしょうか
今年始まった時から言っていることなんですけど、3連覇、3連覇という意識をするよりも、まず自分たちの代で勝つ、自分たちの代で優勝するっていうこと、この春を目指すことですね。3連覇っていう意識は、やはり去年の思いであったりも含めて、もちろん引き継ぐべき気持ちもありますが、余計なことを考えてしまうのかなとも思うので、自分たちの代で勝つっていうことを、全員が一緒の目標を持って取り組むことがまずは1番大事なのかなと思っています。その中でピッチャー陣がロースコアで抑えるっていうのは優勝に欠かせない絶対条件だと思うので、まずはピッチャーから打撃のリズムを作れるように、ピッチャーが試合を支配できるような活躍であったり、環境を作っていくことが優勝へつながると、自分は思っています。
――優勝を目指す上で特に注意したい大学であったり、個人は
やっぱり自分が意識してしまうのは明治大学です。バッターのレベルもそうですけど、ピッチャーのレベルが非常に高いので、野手陣が大量得点することはまず難しいだろうと言う風に考えています。ロースコアゲームをする展開になるという予想をしているんですけど、そういう展開ではピッチャーにプレッシャーがかかる場面があると思うので、ロースコアゲームを制するためにも、ピッチャーは抑えるので、バッターには1点、2点をしっかりもぎ取っていただきたいです。守備時は自分たちも助けが必要なので、攻撃時は打つことも忘れずに、全員で1点をもぎ取る姿勢で頑張っていきたいなっていう風に思います。
――リーグ戦直前の練習や試合で意識することは
もう1回出力を上げることですね。もう1個、2個上げられる部分があると自分の中で思うので。球速も1つの指標ですけど、バッターの真っすぐの見え方であったり、攻め方、オープン戦が雨で中止になってしまってる現状もあるんですけど、その少ない実戦の機会の中で、圧力とその精度を高めていけたらなっていう風に自分の中では思っています。
0点台を目指す
――ドラフトに向けての意識は
まずは昨シーズン150㌔が自分の中では出なかったんで、150㌔をまず投げること。150㌔以上を投げることでプロへのアピールにつながると思っています。自分はケガもあってリーグ戦での実績が他の選手には劣るので、この4年春、秋でどれだけ目に見える結果を残せるかが重要だと思っています。もちろん点を取られないっていうのもありますし、自分の球速を求めていけたらなと思っています。
――リーグ戦で目標とする数字は
球速に関しては、自分の現状のマックスである152㌔を越えたいですね。具体的には153、154あたりです。ただ、そこは自分の調子にもよりますし、スピードを求めすぎてコントロールが荒れることがないように、というのが第一優先です。まずは点を取られない、勝利をするっていうことを大前提にして考えていきたいので、防御率については0点台で収めたいです。長いイニングを投げればもちろんそれが難しくなる部分もあると思うんで、1点前半から0点台で良い結果を残せるように頑張っていきたいなと思っています。
――最後にリーグ戦への意気込みを
自分自身のことを考えるよりも、まずはチーム第一優先で、チームが優勝するためには何が必要か、自分がどういうピッチングをすれば良いかっていうことをしっかり考えてやっていきます。その中で、自分の結果であったり、スピードがついてきて、今後のアピールにつながれば、と考えています。
ーーありがとうございました!
(取材 植村皓大、西村侑也 編集 林田怜空)
◆田和廉(たわ・れん)
2003(平15)年5月2日生まれ。183㌢、88㌔。東京・早実高出身。教育学部4年。ついにリミッターを解除した今季、より一層の活躍が期待される田和選手。今秋のドラフト戦線急浮上を狙います!