第3回はMF白井美羽(スポ4=ノジマステラ神奈川相模原ドゥーエ)、MF宗形みなみ(スポ3=マイナビ仙台レディースユース)、MF新井みゆき(スポ2=埼玉・浦和レッズレディースユース)の3人。中盤からサイドまでピッチを駆け回る3人に、全日本大学女子選手権(インカレ)へのそれぞれの思いを伺いました。
※この取材は11月28日に行われたものです。
ーー他己紹介をお願いします。まずは白井選手の紹介をお願いします
新井 美羽さんはいつも穏やかでふわふわって感じで、みんなに優しいです。みんな話しやすいって言ってるし、本当になんでも話しやすい先輩です。
白井 ありがとう(笑)
宗形 顔赤くなってる(笑)
一同 (笑)
宗形 ふわふわだけど、サッカーに対してはピリピリしてる時は結構あります。最近とか特に試合が近づくにつれてピリピリした感じになる時はありますが、基本ふわふわしていて天然。
白井 天然?
宗形 あざとい(笑)。褒め言葉であざとい。
白井 ありがとう(笑)。でも、あざとくはないです。
ーー次に新井選手の紹介をお願いします
白井 みゆきはサッカー中とサッカー以外ですごく違っていて、サッカー以外の時はふわふわしていてずっと笑っているけど、試合中はドリブルでキレキレでギャップ萌えです(笑)。
宗形 みゆきは女の子って感じです。サッカーやってると雑だったりプライベートでも口悪い人もいますが、みゆきはずっとそんなことないです。喋り方も自分の方が1個上なんですが、みゆきは落ち着きすぎて、多分コミュ障なんですよ。自分から喋りかけにいかないので、喋りかけに来た時は「レアだな」て(笑)。
ーー最後に宗形選手の紹介をお願いします
新井 みなみさんはコミュ力が高くてどの学年の人とも話せて、ア女の女王って感じです(笑)。どこに行っても存在感ある感じですね。
白井 一応多分後輩なんですが、良い意味で後輩感がなくて、普通にサッカーの話も含めてなんでも話し合えます。分析という役職が一緒なんですが、しごできだから結構支えてもらってて良い意味で後輩感がない(笑)。けど普段はサッカーがなくなるとめっちゃ後輩というか。「美羽さん!」という感じでくるので、可愛いかな。
宗形 女王は言いすぎだと思います。
一同 (笑)
ーー初対面の時はおぼえていますか
白井 宗ちゃん(宗形)は自分が2年生の時に入学してきたんですが、当時の4年生との距離感が自分よりも近くて、1年間のギャップを一瞬で埋められました。すごくコミュ力が強いので1年生の時から存在感が強かった。みゆきは、最初はすごく静かで由真(﨑岡由真、スポ2=埼玉・浦和レッズレディースユース)と一緒にレッズから来たんですが、その時はレッズ出身の選手がいなかったので「レッズの子だ」という印象が強かったです(笑)。
新井 みなみさんは、元々ユース時代の対戦チームにいて、その時から有名だったのでスカウティングでも「マイナビの10番に気をつけろ」と話してたので知ってました。早稲田に行ったことも知っていたので、「あ、いた」という感じでした(笑)。美羽さんは、そんなに覚えていないかも(笑)。
白井 自然になんか話してたね。サッカーのことじゃない?
新井 右サイドのポジションで近かったので、サッカー関係で話すことが多かったです。
宗形 美羽さんの第一印象は、めっちゃふわふわだなと思いました。自分が高3の2月くらいに練習参加していたので、その時にトップに絡んでいてポジション争いしてた相手が美羽さんでした。似たようなサッカー観を持ってるから、どっちでも合うんだろうなと思いながら練習してた記憶です。でもバチバチというよりかは、仲良く「(ポジション)どっちだろうねー」みたいな感じでした。みゆきはすごく覚えてるのが、第一声が「マイナビの10番ですよね」と言われて。
一同 (笑)
宗形 さっきみゆきが言ってたことをそのまま伝えられて、最初からビビられてる感がありました。なので、「全然そんな感じじゃないからね」みたいなやり取りがありました。
「大学は1試合1試合の重みがすごくある」(新井)
ーー3人それぞれ仲の良い部員は誰ですか
白井 旅行行ったり、遊びに行ったりは花菜(木南花菜副将、スポ4=ちふれASエルフェン埼玉マリ)とさわみ(澤田美海、スポ4=栃木・宇都宮中央女)とよくしています。でも練習の帰りはいつも寧々(生谷寧々、スポ4=東京・吉祥女)や愛叶(大庭愛叶マネージャー、人4=神奈川・桐蔭)と方面が一緒だから一緒に帰ってます。寧々とはずっとサッカーの話や今日の分析を確認をしながら帰っています。花菜とさわみとは夏に沖縄に行く予定だったんですが、自分が国体に行ったので、行けなくて。2人だけで沖縄に行っていて、ちょっと羨ましかったです(笑)。
新井 同期のみんなと仲良いですが、特にあげるのならレッズで一緒だった由真(﨑岡由真、スポ2=埼玉・浦和レッズレディースユース)と愛笑(大山愛笑、スポ2=日テレ・東京ヴェルディメニーナ)です。後輩だと美海(佐藤美海、スポ1=埼玉・浦和レッズレディースユース)と愛唯(佐溝愛唯、スポ1=大阪・大商学園)とは特に仲が良いです。この前は愛唯と新宿に行ったのですが、そこで風邪をもらいました(笑)。
宗形 七彩(生田七彩、スポ3=岡山・作陽)です。七彩は中学生の最後の方からお互いに知ってました。代表とかも選ばれて知ってたから、仲良いです。七彩も寮で自分も1人暮らしだから、よく家来たり、最初の頃は本当に人数が少なかったのでずっと一緒にいました。他の学年とも普通に話します。1年生になめられているので(笑)。
ーーそれぞれ学年が違いますが、自分の学年はどんな学年だと思いますか
宗形 自由だなと思います。良い意味でも悪い意味でも自由です。それが悪い目に出たら怒られるし、良い目に出たら個性として、チームの中でちょっと違う方向に意見を出したりとか、違う面から見てる人が多いのかなという感じです。
白井 4年生はみんなすごい優しくて。4年生になってより感じたことなんですけど、ひとりひとりが個性を持ってチームのことを考えてるなというのを感じてます。ひとりひとりができることを全力でやる学年かなと思います。
新井 2年生はそれぞれ考えとか強い意志とかは持っているけど、どちらかというと積極的に発信するというよりは、うちに秘めているタイプの方が多いのかなという感じです。
ーーお三方から見て後輩の1年生はどんな学年ですか
宗形 自分らの代に似てるかも。
白井 確かに似てる。
宗形 1番似てる学年と言ったら自分たちの代かなと思います。ふざけたり面白いことするのが大好きで、常にうるさいし、だからこそ怒られる回数も多いし、言われる回数も多いよね。でも、もう試合に絡んでる人が多いからこそ頼ってる部分もあるかなと。
ーーお三方とも高校時代はユース出身でしたが、大学の部活動にはどう感じましたか
宗形 クラブと部活は違うなというのを大学に入って感じました。クラブは勉強とサッカーを分けてやってるので、学校の友達じゃなくてサッカーの友達として接してる面が多いです。日常生活よりはサッカー上、ピッチ上で解決できることが多いです。部活だとオフの部分も一緒に過ごしてる時間が長いので、問題が起きた時にすごいこだわって解決まで導くところは、厳しさを今でも感じてます。
新井 高校の時は、チームよりも個人にフォーカスした指導というか、個人のレベルアップが1番大事な感じでした。チームの勝利が当たり前の上で、その個々の内容が1番大事みたいな感じでしたが、大学は1試合1試合の重みがすごくあります。例えば、1週間で週末の試合に向けて、スカウティングして分析してといった1試合に向ける熱量が違うなというのはすごい去年から感じてました。
白井 1番違うなと思うのは、早稲田だと全部自分たちで、学生主体でやるところが違うなと思っています。クラブだとマーカーとかを置いてくれたりと、サッカーをするにあたっての環境が整ってましたが、部活は分析やスカウティングも、「相手がこうだからこう」というのを自分たちでやったりします。そういうところがまず大きく違うなと思いますし、4年間過ごしてきても部活に入ったからこそ経験できたことかなと思いました。
「チームとして積み重ねてきたことがシーズン終盤に出せた」(白井)
ーーここからはサッカーについての話に移ります。今季ここまでで印象に残っている試合を教えてください
宗形 後期の東洋大戦(10月26日、関カレ後期10節、●3-4)ですかね。自分は大宮のチーム活動に参加していて、ア女に戻ってきての1試合目の相手がいきなり東洋大だったので「どんな感じになるんだろう」と思っていたんです。1点目は七彩(生田七彩、スポ3=岡山・作陽)が頑張って取ってくれたんですけど、その後の2、3点目はみんなで崩し切った得点で、練習していたことが出たシーンでした。色々なアクシデントがあった中で、最後に逆転されたことで自然と涙が出てくるほど悔しかったので、特に印象に残っています。
新井 後期はケガで1試合も出られなかったのですが、試合時間自体も短かった上に自分自身もケガで途中で交代してしまった、皇后杯の予選(9月1日、第46回全日本女子サッカー選手権大会関東予選1回戦東京国際大戦、●0-1)ですかね。本戦に出るという気持ちが全員強かった中で、イレギュラーな形ではあったけど東京国際大に敗れてしまったというのは悔しかったですし、苦い記憶として残っています。
白井 えーと…。どれも印象に残ってるんですけど(笑)。
ーー個人的にはハットトリックした試合(9月11日、関カレ後期第4節日体大戦、◯3-2)を挙げてくれるかなと思ったんですが
白井 あれは本当にたまたまで…(笑)。
宗形 東洋大戦にしたら?(白井が)泣いてたんですよ、ハーフタイムに。
一同 (笑)
白井 じゃあ、2試合挙げます(笑)。1試合目は東洋大戦(10月26日、関カレ後期10節、●3-4)で。みんなで前から走って守備をするということをチームとしてやり切る、と元から決めていた中で、その守備がハマらなすぎて。どうやって守備をしていったらいいか分からなくなって、心が折れて、泣きました(笑)。
一同 (笑)
宗形 後輩みんなで慰めてね。
白井 (笑)。毎試合分析から自分たちがこういう感じで戦いたい、ということを落とし込んでいく中で、日大戦(10月19日、関カレ後期第9節、◯1-0)から、徐々に自分たちのスタイルが見え始めたんです。そこから東洋大戦でも、自分たちの崩しや敵陣内でつながっていく攻撃が見えてきたので、その2試合を挙げたいと思います。
ーーお話に出た東洋大戦は、前半と後半でガラリと変わったという印象でした。ア女がペースを握った後半に入る前、ハーフタイムにはチーム内でどのようなやり取りがありましたか
宗形 守備じゃない?
白井 そうだね。
宗形 自分たちは守備から入ろう、とシーズン当初から監督に言われていましたし、そこが崩れたら自分たちの良い攻撃ができないということは分かっていました。フォワードがきついのは確実だったので、できれば中盤もスライドして守備しようということだったんですけど、自分は勝手に(前に)出ていきました(笑)。ハーフタイムではフォワードで頑張ろうという話だったのですが、後半が始まってから愛笑(大山、スポ2=日テレ・東京ヴェルディメニーナ)に、「キツいけど自分が1個前に出るから、愛笑も寄ってきて」という話をして。うまく相手のミスも誘いながら、(守備が)ハマっていったという感じでした。
白井 助かってた(笑)。
ーー今季の関カレは3位、関東リーグは8位という結果になりました。チーム、個人両面でどのように捉えていますか
新井 関カレは全試合を見ている中で、相手もスカウティングしてくることもあって前期より勝つのが難しくなったのかなと思いました。ア女としては目指すところは1位ですし、3位という結果は決して良いとは言えないですが、試合内容は確実に成長していっていると感じるシーズンでした。
白井 関カレでは優勝を目指していましたし、関東リーグも含めて結果として目標に届かなかったというのは、悔しいと感じています。ただ関カレでは勝てない時期もあった中で、チームとして積み重ねてきたことがシーズン終盤に出せたかなと思います。東洋大と山梨学院大には勝てなかったですが、「ここは通用するな」と感じた部分もありましたし、チームとして成長してこられたのかなと思います。
宗形 関カレ前期を振り返ると、負けなしで続けられていた時期があった中で、教育実習や代表活動などで離脱する選手がいたことを分かっていたにも関わらず、十分な準備ができていなかったことに対して責任を感じています。その時期はアンカーをやらせてもらっていたのですが、勝ちきれなかった試合があったことから雰囲気が悪くなっていったのかなとは思っていて。その雰囲気の中でさらに自分が抜けるというかたちにもなってしまったんですけど。離脱している間も、前期よりも内容面が良くなっているというのはビデオを見る中で感じていたのですが、他大学がフィジカル面でものすごく強くなっているなと。縦1本の長いパスで失点したり、逆に最後のところで足を出されてこちらのシュートをブロックされたりと、他大学が上げてきているというのを見て感じていましたし、そこが終盤戦やインカレに向けての差になるなと思っていました。同時並行の関東リーグも結果的には入れ替え戦になってしまいましたが、出場メンバーの中で話し合っているのを見ていましたし、ピッチ内でもすごく声をかけ合っているのは関カレメンバーとは違った、良い雰囲気を感じていました。試合結果や順位は良くなかったですが、メンバーの雰囲気を見ていて自分が心配になることはなかったですね。そういう意味ではシーズンを通して、チーム全体として良い方向にもって行けているのかなと思います。
ーーお話にも出ましたが、関カレ前期は連勝が続いていた中で、終盤戦に敗戦が続きペースを落としました。リーグ中断期間の夏合宿では、「ここからやり直そう」というような雰囲気はありましたか
宗形 夏合宿…。あれはデカかったね。
白井 ほぼ寝てない夏合宿ね(笑)。みんなでちゃんと話すことができたというか。
宗形 1〜3年生が今の4年生に対して、目標の抽象的で少し分かりづらかった部分を聞く、ぶつけるという場を設けさせてもらって。1、2年生からヒアリングもした上で3、4年生で話したんですが、そこから4年生がひとつになったように感じて、色々と明確になったというか。そういう部分がしっかりしてくるとサッカーについてのコミュニケーションも取りやすくなるし。でも色々な人が泣いてたよね(笑)。
白井 夏合宿はもう、みんな目パンパンで(笑)。でもそれがあったからこそ、これだけは絶対、みたいな芯ができたし、それを乗り越えたからこそ前期はなかったチームとしての良い雰囲気が後期には見られるようになったかなと思います。
ーー新井選手もア女日記(部員ブログ)で夏合宿の3、4年生の話を出されていたかと思うのですが
新井 ちゃんと読んでくださってる…(笑)。
一同 (笑)
ーー読んでます(笑)。そこ(3、4年生)はチームとしてやはり大きかったですか
新井 大きかったです。普段4年生がずっと話していてチームのことを考えてくれているというのは分かっていた中で、学生ミーティングという場で改めて4年生の思いを感じられましたし、自分ももっとチームのために行動しなければいけないなと思いました。
ーー白井選手は最高学年となるシーズンですが、チーム作りについてどのようなことを意識しましたか
白井 自分は厳しく言ったり要求したりするのは、正直得意では無いんです。ただ厳しく言うことだけが4年生としてやるべきことではないと思っていて。他の部分、みんなとコミュニケーションをとるだとか、そういったことも4年生の役割なのかなと思って行動していました。またシーズン当初から関東リーグの方に出場していて、教育実習にも行ったことで前期はほぼ関カレに出場していなかったので、勝てない時期の続く関東リーグのチームをどのように改善したら良いかと常に考えていて、自分にできるのはミーティングなど、みんなで話す場を作ることだと思ったんです。そこは4年生として特に意識をして、できたことかなと思います。
ーー下級生のお二人から見て、4年生はどのように見えていましたか
宗形 試合が延期された時に、「各学年で思っていることを話そう」ということになって。4年生が史さん(後藤史監督、平21教卒=宮城・常盤木学園)まで交えて廊下で、みんな泣きながら話しているのを見て。話の内容までは分からなかったですが、自分たち的には「もうちょっと頼ってほしいな」とは正直思っていました。監督からも4年生が引っ張っていく中でも3年生が大事だよ、という言葉をもらっていたので、それを伝えさせてもらったこともあったんですけど。ただやっぱりそういう場面を見ていて、4年生はバランスが良いなと思います。強く言う人もいれば、それを和ませてくれる人もいるし。全員が試合に出ているわけじゃなくて、関カレメンバーや関東リーグメンバー、離脱しているメンバーとそれぞれの立場の人がいるのはすごく心強いなと思っています。
新井 みなみさんと少し被るのですが、4年生がチームのことを考えてくれているのは分かるけど、何に対して重きを置いているとか悩んでいるとかが分からなかった時期があったので、やっぱり後輩である自分たちも理解したいしできるところは共有してほしいなというのは話に出ていて。夏合宿を経てそこは改善されたので、そこは良かったなと思います。
ーー新井選手は昨年から、1年生ながら出場機会を得てインカレ決勝にも出場したりと、外から見ていると順調なスタートだったと思います。今季はケガもあり難しかったと思いますが、振り返っていかがですか
新井 前期から関カレに出場していた中で、体調を崩した時もありましたし、復帰しても1ヵ月少しでケガで離脱してしまいました。プレーできていないとチームの熱量について行けなかったり、モチベーションを保つのがすごく難しかったりと色々ありましたが、逆にそこでチームを外から客観的に、冷静に見て考えてそれをみんなに伝えることもできたので、良い部分もあったのかなと。ただやっぱり離脱しないのが大事だとは思うので、来季は離脱ゼロという目標でいきたいと思います。
ーー宗形選手はWEリーグチームでの活動もありましたが、それを経て戻ってきたチームに対して「変わったな」と感じた部分はありますか
宗形 離脱期間の前後でメンバーも変わっていましたし、違う選手とプレーする変化はありました。ものすごく大きくは変わってないかなと思いましたね。
ーー離脱期間ではア女の選手たちとどんなやりとりがありましたか
宗形 同期や監督とはよく連絡をとっていましたし、チーム状況も聞いていました。勝てていないとかチームの雰囲気が悪いというのは知っていたので、「いつ(ア女に)戻れるんだろうなー」と思っていたんですけど(笑)。ただ頑張っていることは聞いていましたし、試合や練習の映像を見ればピッチの声も聞こえるので。みんなが頑張っているからこそ、自分もいる場所で頑張らなければいけないと思いましたし、ア女に戻った時に貢献できることを考えて活動していました。
ーー逆に白井選手、新井選手から見て、宗形選手を見て変化を感じることはありましたか
新井 みなみさんがいるとチャンスが確実に増えるし、ボールが円滑に動くというか。存在感があって他の選手も攻守に渡って躍動できるから、自分はみなみさんがいるといないとでは違うチームに見えますね。
宗形 えー、そんなの初めて聞いた(笑)。
白井 やっぱり強度は全然違くなる気がする。プレースピードとか判断スピード、一つひとつのプレーの質は流石ですね。あとは宗ちゃんがいない時にチームが「どうやって点を取れば良いんだろう」ってなってて。ボールは持てても点が入る気がしない、という雰囲気もあった中で後期の東洋大戦に帰ってきてくれて、攻撃のアイデアが増えるなとすごい感じました。中盤で崩したところから得点が生まれて、宗ちゃんも点を取って、攻撃の部分ではやっぱりすごく頼もしいですね。
「(インカレの)印象としては「悔しい」しかない」(宗形)
ーーそれではインカレの話に移ります。御三方は率直にインカレに対してどのような印象をお持ちですか
白井 昨年、1回戦はスタメンで出たんですがものすごく緊張して自分のプレーが出せなくて。それ以降の試合はスタートで出られなかったので、試合には絡ませてもらっていたけど、大会を通して悔しい経験として残っています。中学時代から大舞台が得意ではないので、今インカレに対しては「楽しみ」よりも、ちょっと「怖い」が大きいです。それでも自分のサッカー人生の最後の大会ですし、1試合1試合が最後になる可能性があるので、怖くても自分にできることを全力で頑張ろうと思います。
新井 昨年のインカレは、正直自分の出場した時間内ではチームに貢献できたことが無くて。今年は自分の出場する時間の中で自分のできる最大限を発揮したいなと思います。
宗形 自分は、印象としては「悔しい」しかないです。1年生の時はウイングバックで出場していて、皇后杯での良い流れからの大会だったにも関わらず、準々決勝で自分がPKを外して敗退して。試合に出ていながら西が丘に戻ってくることができなかった悔しさは、今でも覚えています。また昨年は肩の手術をして、試合にすら出ることができなかったんです。インカレ後まで手術をしないという選択肢もあった中で、3回の脱臼の経験から、いつまた脱臼をしてしまうか分からない恐怖もありながら十分なプレーができるか分からないという思いもあり、周りの人にも沢山のアドバイスを頂いて、悩んだ末に10月の頭くらいにはその判断をしていました。覚悟はしていたものの、大会が始まると、自分はサポートをするしかないという悔しさをすごく感じていました。これまでのインカレに対して悔しい印象しか無いからこそ、今年はすごく楽しみで早くやりたい気持ちでいっぱいです。
ーーこの1ヵ月間、インカレに向けての練習でどのようなことを意識していますか
宗形 チームとしては、守備だったら攻守の切り替えやボールを奪い切るというところ、攻撃は「つながる」というのをキーワードにしているので、前線に色々な選手がいる中でどの選手とでもアイコンタクトをしてゴールに近づいて行くというところを意識して、積み上げてきました。あとは個人のところにもつながるのですが、ゴールを決め切るというところにこだわりたいなと思っています。さっきも言ってもらったのですが、自分がボールをもつとゴールに近づくとかチャンスメイクをするというところは意識しています。ただやっぱり最後に決め切らないと意味はないと思うので、七彩など得点力に長けている選手はいますが、個人としてもっと得点に関わる選手がいないといけないと思いますし、前を向いて仕掛けて点を取るというところは今大会に向けて意識して、チームに貢献していきたいと思います。
新井 個人的にはまず試合勘をしっかりと戻したいですし、チームとしてすでに出来上がってきている中に入っていく中で、特別なことをやるというよりは外から見ながら吸収していたことをメインに意識してプレーしています。あとは味方とのコミュニケーションを沢山取ることを意識していて、試合中に少しでも合わない部分があったらその時や試合後にすぐに話し合うようにしています。
白井 さっき宗ちゃんも言ってくれたように、チームとしては攻守の切り替えや球際の部分、攻撃のつながる部分などの約束事は引き続き、より質を高められるようにやり続けていきたいです。あとは先ほど話にも出たのですが、他大学がフィジカルやスピードで自分たちよりも優れているかもしれない中で、自分たちは一本一本のパスの質などにまでこだわって、違いを出していきたいと思います。
ーー皆さんの思う、今大会の注目選手・スタッフを教えてください
新井 自分は、同期の愛笑を挙げます。愛笑がボールを持ったら絶対に何かが起きるという期待感があるし、パスやシュートのセンスやビルドアップなど、全てがハイレベルで何でもできる選手なので、インカレでも活躍してくれると思います。
白井 試合に出ている選手はそれぞれのプレーで表現できる場所があるので、出場選手にも注目してほしいですし、それを支えてくれている人やベンチで声を出してくれる人、自分たちがプレーしやすい環境を整えてくれるマネジャーたち、ビデオなど様々なサポートをしてくれるベンチに入れないメンバーなど、全員に注目してほしいです!
宗形 自分は2人いて、まずははる(杉山遥菜、スポ2=東京・十文字)です。前期から関カレ、なんなら関東リーグの試合までずっと出続けていて、過密スケジュールをこなす中でもケガがなくて、プレー面ではスピードなど身体能力が高いのを生かしたカバーをしてくれているなと思います。3バックにした時から自分は正直守備に少し不安があって、点を取られても取れば良いやというスタンスだったのですが、はるがいるからこそ今のディフェンスラインはすごく頼もしく感じますね。攻撃もディフェンスラインからやるチームなので、攻守において欠かせない、代わりのいない存在だと思っています。
もう一人は愛叶さん(大庭マネジャー、人4=神奈川・桐蔭)です。試合中に聞こえるだけでなく、最近ビデオを見ている中で、試合や練習中に愛叶さんが結構声を出してくれているのを知って、こんなにチームのためにできるマネジャーさんっているんだ、と他のクラブも見て思っています。またサッカーが大好きで詳しい上に気が利くので、練習をしていても何も困ることがないし、試合でも頼もしすぎる存在がベンチにいてくれるので、そんな愛叶さんにも注目してほしいなと思います。
ーー最後にインカレに向けての意気込みとご自身の注目プレーを教えてください
新井 今はコンディションを調整している段階ですが、自分はサイドの攻守両面において躍動するというところを強みにしているので、出場する時間の中で最大限にその強みを出していきたいと思います。
宗形 攻守におけるハードワークと、個で圧倒している部分を見てほしいと思っています。チャンスメイクや得点だけでなく、1人で2、3人を抑えたり、2、3人をドリブルで抜いたりする個の部分は見せていきたいと思います。それに加えて、チームに対して存在感を放つのは当たり前として、チームのために走るというところを見てほしいなと思います。
白井 自分は熱く戦えるタイプと思われていないと思うし、そういうプレースタイルではないんですけど、今年夏合宿で熱く、泥臭く戦うということを絶対にやろうということを4年生たちの中で言ってきたので、まずそこをやりきりたいなと思います。加えて自分は味方同士とつながって、仲間と目を合わせながらゴールに迫るプレーが好きなので、個人としてはそういったプレーに注目してほしいなと思います。そして意気込みとしては、とにかく全力で戦いたいと思います。
ーーありがとうございました!
(取材 荒川聡吾、熊谷桃花、大幡拓登)
♦新井みゆき(あらい・みゆき)写真右
2004(平16)年7月9日生まれ。157センチ。埼玉・浦和レッズレディースユース出身。スポーツ科学部2年。佐溝愛唯選手(社1=大阪・大商学園)と仲が良いという新井選手。最近はおふたりで新宿のお祭りに出かけたそうです!
♦白井美羽(しらい・みう)写真中央
2002(平14)年4月4日生まれ。168センチ。ノジマステラ神奈川相模原ドゥーエ出身。スポーツ科学部4年。練習の帰り道は、いつも生谷寧々選手(スポ4=東京・吉祥女)と一緒だという白井選手。サッカーの話や分析を確認をしながら帰るそうです!
♦宗形みなみ(むなかた・みなみ)写真左
2003年(平16)年6月26日生まれ。165センチ。マイナビ仙台レディースユース出身。スポーツ科学部3年。生田七彩選手。(スポ3=岡山・作陽)とは中学生時代から知り合いという宗形選手。よく生田選手が宗形選手の家に訪れるそうです!