【連載】インカレ直前特集『BREAK THROUGH』(女子部)第6回 木村百花主将×鶴田文乃副将×山田梨央副将

特集中面

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最終回は、木村百花主将(スポ4=東京・白梅学園)、鶴田文乃副将(スポ4=山梨・日川)、山田梨央副将(スポ3=千葉・昭和学院)の3選手による主将・副将対談。全員がけがによる離脱を経験し、苦しい期間を乗り越えたからこその信頼関係がうかがえた。主将・副将という立場でありながらコートに立てない葛藤や復帰の喜びについて語ってもらった。

※この取材は10月19日に行われたものです。

――自己紹介をお願いします

鶴田 スポーツ科学部4年の鶴田文乃です。ポジションは、右サイドをやっています。右足首を開放脱臼したので痛めています。

木村 4年の木村百花です。ポジションは左バックと左サイドをやったりしています。全十靱帯断裂と半月板断裂を2回やって、今は若干この前のリーグ戦で痛めましたが、もう大丈夫で回復しています。

山田 スポーツ科学部3年の山田梨央です。ポジションは、右バックです。春リーグでアキレス腱断裂をして、今リハビリ中です。

ーー右隣の人の紹介をお願いします

鶴田 梨央は、すごく気が遣える子だと思います。周りがよく見えるし、めちゃめちゃ正義感が強くてとても良い子だと思います。

木村 文乃は、見ての通りポンコツでめちゃくちゃむかつく時もあるんですけど、みんなのことをすごく見てるし、場を和ますことができる人だし、本当に人思いだなとつくづく思います。頼れるかどうかはさておき、本当にけがとかいっぱいしてきたけど、残ってくれてすごく良かったなと思います。

鶴田 良いこと言うじゃん。

山田 一言で言うと、かっこいいし、可愛いし。常に冷静だけど熱いし、みたいな。

木村 矛盾してる(笑)。

山田 私の同期や後輩の中でも、普段の話とかでも「ももさんマジでかっこいいよね」とか「なれるもんだったらももさんになりたいよね」と話すぐらい後輩からもすごく憧れの存在ですし、すごく面倒見が良いのでいつもお世話になっています。けがとかあって大変だったんですけど、けがをしている間も外からすごい気にかけてくれてましたし、けがから復帰してからは、プレーで今までやってなかった部分を見せようみたいのが伝わって、ついていきたいと思える頼れる先輩です。

ーー互いの第一印象をお願いします

鶴田 ハンド界は、結構狭いから大体知ってるみたいな感じだったですけど、ももちゃんは会ったことなくて。でも自分とめっちゃ似てるなと思って、会ってその日に仲良くなりました。似ています。

木村 梨央は最初来るのが早かったんですよね。週末の練習に紗由(山野紗由、スポ3=北海道・釧路江南)と一緒に2人で来て、めちゃくちゃやる気があって、本当に「はい!」みたいな感じで(笑)。

鶴田 怖かったよね。

木村 The昭和学院みたいな感じの子が来て「気合い入ってるないいな」という感じでした。

山田 文乃さんの第一印象は、可愛いなみたいな。

鶴田 やった。

山田 目がすごく輝いていて。元々左利きの高身長な方というのは、戦ったこかはなかったけど、知っていたので「こんな可愛くて左利きで、ハンドも上手なんだ。すごい。」という感じでした。でもなんか意外と人見知りなのかな。あまり自分から話しかけてとかそういうのはなかったので、ちょっと近寄りがたい存在ではありました。

「試合をするにつれてどんどん調子も上がっていっている手応えがあった」(山田)

――これまでの主将、副将としての活動をどのように振り返りますか

鶴田 私はプレーできていたんですけど、ももちゃんがいなかったから、スタッフからはチームに対して声かけてたからすごい言われでたんですけど、私にとってはチームを鼓舞する声掛けとかを出すのがすごい苦手分野で、出さなきゃいけないことはわかってるし、引っ張らなきゃって思うんだけど、自分のことで休憩浅いから、 自分のことでいっぱいいっぱいなっちゃってて。っていうのが自分の課題でした。あとは、久しぶりに春リーグ(1次リーグ)は全部出れて、自分なりに楽しく試合ができたのかなと思います。ももちゃんがすごく担ってくれてるから、何かチームのために自分が大きな仕事をやるといことはなかったのでそこまで身が重いとかはなく、本当に自分のプレーに一生懸命になれたと思います。

木村 このチームのスタートの時に自分は全然コートに立つこともできなかったので、外から見て引っ張るということにはすごく苦労しました。今まで2年間ぐらい足踏みしたのでその中に入って引っ張るみたいなことはあまりしてこなかったので、急にそれをやらないといけない立場になって、けがもしているし、自分のリハビリもあるしみたいなめちゃくちゃ悩んだところではありました。自分が中でできない分、2人(鶴田と木村)は中でやってくれていたし、そこは本当にありがたいなと思いながら、とりあえず復帰まではやっていました。春もペナルティスローしか打てなくて、試合とかになるとタイムアウトなども含めて今まではキャプテンが鼓舞するような声かけとかをしてきたんですけど、自分は出ていないからそこに対してのギャップがあるなとは思いながら、でもやらないといけないのでなんとなくで言えることだけ言ってやってきて、苦しかったですが、筑波大とかに勝ってくれて、そこは一番くらいうれしかったです。秋はやっと復帰して、そこからは今まで迷惑かけた分取り戻さないとなと思いましたし、久々にハンドボールができる楽しさとかを味わいながらやってきて。2年ぶりぐらいのリーグ戦で、率直にすごいうれしかったし楽しかったんですが、なんかなかなか思い通りにいかない部分もあって、でも自分が中でプレーしながらチームを引っ張れるみたいな立場になれたのは、すごくやりがいもあったし、楽しかったです。私が復帰して逆に2人(鶴田と山田)がお休みしちゃったんですけど、それでもいつも横を見たら2人がいて、頑張れって応援とかをしてくれて、すごく心の支えになってくれていました。なので本当に頑張れました。ここは大々的にお願いします(笑)。

山田 こういう立場になったので、最初に自分はどういうことをやれば良いかなと考えた時に、チームにいって引っ張るのもそうだけど、それは4年生の仕事の部分が大きいかなっていう風に思っていました。なのでできるだけ下級性の立場から見えることとかをできるだけももさんに伝えるかたちでフォローできたらいいかなという風に考えて、それは意識的にやるようにしていました。春リーグは、私も途中までしか出てないのですが、ももさんが外にいて中で引っ張るという時に文乃さんもおっしゃってたんですけど、私が今までずっとレギュラーだったとかそういうわけではないので、自分のことで結構いっぱいいっぱいになってしまったり、チームの流れが悪い時にそれを盛り上げてみたいなことはあまりできていなかったりしたので、そこは課題だったなという風に思います。あとはやはり上級生が少なくて下級生中心になるので、昨年は、結構目上が引っ張って、ついていくという感じだったんですけど、今年は結構チームのカラー的になんかみんなでわいわいやっていくという感じだったので、自分が引っ張ろうという意識は持たないとなと思いつつも、薄かったかなと思います。プレー的には、昨年はバックで自分が出場することがあまりなかったので、春の間は自分がずっとバックでレギュラーで出れて。試合をするにつれてどんどん調子も上がっていっている手応えがあったのでそれで筑波大にも勝てて、そうして結果が出たのはすごくうれしかったです。

「コートに立ちながらプレーできているという実感が湧いた」(木村)

――秋リーグはご自身にとってどのようなリーグになりましたか

木村 初戦の国士舘大戦は結構みんな調子良くて、自分もリーグの復帰戦みたいなかたちで入ったんですけど、取るところで点を取れたし、チームとしての勢いもあったし、本当に国士舘大に勝つのめちゃめちゃ久々で、そこに勝てたのはすごくうれしかったです。自分が久々のリーグ戦で、キャプテンで、コートに立ちながらプレーできているという実感が湧いたので、 そこがすごく印象を持ってます。どの試合通しても、自分の中では割と点数は取れたかなと思ったので。でも本当は得点ランキングに名前を書いてもらいたかったんですけど、そこは悔しいです。でも平均的に点を取れたと思います。中でも国士舘大戦はすごく楽しかったです。

――秋季リーグで活躍した選手、成長したと思う選手を教えてください

鶴田 私はキーパー2人だと思います。今季勝てた一番の要因は、キーパーがものすごく良いタイミングで止めてくれたりとか、流れを切ってくれたりみたいなキーピングをたくさんしてくれたからだと思っています。夕莉(作本夕莉、スポ2=福岡・明光学園)だけでやっている時よりは、やはり雪羽(堀内雪羽、スポ1=千葉・昭和学院)が入ってきて2人で切磋琢磨してやっているというのが、2人にとってはすごい良い感じですし、2人のキーングは大分違うから、選手たちにとっても色々なシュートを打つことができてチームにとって一番財産というか、すごく良い選手が入ってきてくれたなと思います。2人がMVPだと思います。

山田 私は大野(大野蒔絵、スポ2=埼玉・市立浦和)です。ディフェンスもオフェンスも自分と同じポジションだから目がいくというのももちろんあるんですけど、蒔絵の役割的に、構ポジションもディフェンスも両2枚目をやらないといけないし、チームの状況によっては3枚目もやらないといけないし、いきなりオフェンス出たりとか、結構試合の中でも役割が変わるし、いつ出るか分からないという状況で、気持ちも体もコンディションを良い状態に持っていくのは、すごい難しいなという風に思っていて。その中でも蒔絵は、すごく頑張ってくれたと思いますし、今までずっともっと自信を持てばいいのにとか思うことが多かったんですけど、この秋リーグで経験を積んで、自信を持ち始めて成長できたのが蒔絵なのかなと思っています。

――インカレは、4年生最後の公式戦になりますが、インカレにかける思いを聞かせてください

鶴田 私たちってずっとどちらかがけがしてどちらかが出てみたいなことをずっと繰り返していて、ちゃんと2人で一緒に試合出たことってなくて。唯一昨年のオムロンで練習試合した時だけ、一瞬一緒に出たのが最後なんですけど。だから今私がけがしちゃって、もしかしたらまた最後まで出られないのかなって思ったんですけど、ちょっとだけ希望が見えたので、1分でも1秒でもいいから一緒にやりたいなと思います。

山田 私は出るのはちょっと厳しそうで。文乃さんとは春に結構一緒に出たんですけど、ももさんとは入れ違いで一緒に出れていないので、自分が一緒に出たかった気持ちももちろんあります。でもやはり今回はちょっと厳しそうなので、まずはインカレのももさんの勇姿を目に焼き付けたいなっていう風に思います。あとはベンチからの声かけとか、普段の練習からサポート面でできることをしっかりやって、4年生が少しでも良いかたちでインカレに臨んで、良いかたちで終われるようにしっかりサポートに回りたいと思います。

木村 最後に1回ぐらいメダルを取りたいです。自分も10年ハンドやってきて最後の公式戦になるし、やっぱりそこにかける思いはめちゃめちゃ強いと思うので、それを全部出し切りたいなって思っています。あとやっぱり文乃が言っていたけど、一緒にコートに立つことが4年間できてこなかったので、少しでもそれを叶えることができたらそんな最高な終わり方はないなって思うので、そこは狙っていきたいです。もちろん梨央の「出れないかもしれない」っていう思いも背負いながら、自分がコートで表現できることを全部出し切って勝ちたいです。

――インカレのキープレイヤーは

鶴田 私は同じ左利きだし、同じポジションで私が抜けた穴を埋めてくれてるというか、それ以上のプレーをしてくれる理沙(江頭理沙、スポ2=東京・ICU)を挙げます。理沙は高校の時からハンドやっていたけど、強豪チームでやってる訳ではなかった中で、大学入って一生懸命努力してウエイトして、今ああやってみんなと戦えるぐらいの選手になってくれて。純粋にすごい可愛がってるっていうのもあるんですけど、選手としてもまだまだ成長できるし、インカレで1番輝ける選手になれると思ってます。

山田 ももさんです!さっき(得点ランキングの)表に載りたかったっておっしゃっていたと思うんですけど、チーム内ではダントツで点取られてましたし。春はペナルティーだけ出ていて、それって体もあったまってないし難しかったとも思うんですけど、秋は試合にずっと出ていたのでペナルティー含めてシュート率がすごくて。なのでインカレでもきっと爆発してくれるんじゃないかっていう風に思っています。あとキャプテンとしてチームを引っ張っていく姿にも期待大です。

木村 自分って言いたいところなんですけど、山野さんですね。紗由がめちゃめちゃ綺麗に、決めてほしい時に決めてくれるとめちゃめちゃ盛り上がるんですよ。勢いもつくし紗由が決めた後のガッツボーダーも含めて、それで流れ変わることも本当にあるので、すごくありがたいし。あとちょっと悩んでる時期もあったので、インカレで爆発してもらいたいと思います。爆発ばっかりになっちゃうね(笑)。

「お腹いっぱいでハンドボール終われるように」(鶴田)

――木村選手と鶴田選手は印象に残ってる下級生とのエピソードを、山田選手には4年生との思い出があればお願いします

鶴田 江頭理沙はこの前熱海に一緒に行きました。梨央と彩理(小原彩理、スポ3=東京・成蹊も熱海に行ってたみたいで、色々話聞くと2人はいろんなとこ歩いてご飯食べてとか計画をすごい立ててたけど、 私とりさってすごい似ていて怠慢なんですよ(笑)。ずっとホテルにいて温泉入ってゴロゴロして、チェックアウトはギリギリで。1日目はただ移動の日で、2日目に2時間ぐらい食べ歩きしてそのまま帰るっていう、ただご飯食べて帰る旅をしました。

山田 ありえないですよね(笑)。

鶴田 でもめちゃめちゃ楽しかったので、インカレ頑張ってご褒美でまたどこか行きたいと思います。

山田 印象に残ってるのは、私たち3人のグループラインがあって、私がけがした時にそれを2人に報告したんですよね。そしたらももさんは、その時まだちょっとフルではできなかったので、「私ももうすぐ復帰して一緒に頑張るよ、待ってるよ」みたいな声かけてくれて。文乃さんは今までずっとけがが多かったので、「僕ももうけがしないよ」ってライン来てて。その2日後くらいに文乃さんがけがされて。「僕もうけがしないもん」って言っていた直後すぎて(笑)。

鶴田 めっちゃ恥ずかしいよね(笑)。

山田 全然笑いごとじゃないし本当に残念なんですけど、そんな話をした後に即大きいけがをするっていうのが、なんか文乃さんらしくて。

木村 大フラグ立ててたよね(笑)。

木村 うれしかったエピソードとしては、ケガで入院とか手術とかで八王子に1ヶ月ぐらいいないといけなかったんです。それが2回あって。2回目の手術の時は結構本当に落ち込んでて、もうなんかやめようかなとか思ってたし。八王子にはその時ずっと、手術と入院みたいな悪い思い出しかなかったから入院期間すごく嫌な気持ちだったんです。でも雨降ってた日に、梨央と彩理がびしょびしょになって「来ちゃいました!」みたいな感じで来てくれた時はほんとに嬉しくなったし、その時食べたもんじゃはめちゃくちゃ美味しかったし、なんか前向きになりましたね。

――最後にインカレへの意気込みをお願いします

鶴田 フルでプレーできることはないと思うし、やっぱり私が出れる時間帯ってみんなが頑張って作ってくれてやっと出れるかどうかっていうところだと思うんですけど、ハンドボールができることにまずしっかり感謝して、自分にできることを出し切って、満足、お腹いっぱいでハンドボール終われるように頑張ります。

山田 私はサポートがメインになると思うので、チームが良い状態でインカレを迎えられるように、自分ができる最大限のことをしたいと思います。その上でやっぱりチームが勝てるように祈ってます。

木村 1回戦勝てば東女体大に当たるので、勝って東女体大にそこでリベンジをして、もう悔いなくメダル取って終わります!

ーーありがとうございました!

(取材、編集 片山和香、大村谷芳)


最後にインカレへの意気込みを書いていただきました!

◆木村百花(きむら・ももか)

2002(平14)年4月24日生まれ。165センチ。東京・白梅学園高出身。スポーツ科学部4年。 対談中にも変顔を披露してくれるなど、常に場を和ませてくれる木村主将。笑顔で打つ力強いサイドシュートシュートも魅力の一つです。最後のインカレ、多くの後輩から木村主将が”爆発”してくれることを期待されています!

◆鶴田文乃(つるだ・ふみの)

2002(平14)年5月15日生まれ。166センチ。山梨・日川高出身。スポーツ科学部4年。最近フルーツのゲームにハマっているという鶴田副将は、後輩にもそのゲームを普及しているそう。春季リーグでは、写真映えする美しいサイドシュートを多く見せてくれました。鶴田副将出場のために下級生全員が力を合わせ、大量リードしてくれるはずです!

◆山田梨央(やまだ・りお)

2003(平15)年7月4日生まれ。160センチ。千葉・昭和学院高出身。スポーツ科学部3年。好き嫌いが少ないという山田副将ですが、唯一トマトが嫌いだということ。インカレではサポート役がメインとなりますが、4年生と下級生のことを誰よりも近くで見てきた山田副将にしかできないサポートをしてくれるに違いありません!