第5回は、登茜菜(スポ4=静岡・浜松西)と宮内今日子(教4=東京・都立駒場)によるマネジャー対談。これまでチームを陰から支えてきた2人だからこそ分かる早大ハンドボール部の魅力やインカレでの注目ポイントについて語ってもらった。そして共に引退を控える同期への思いとは。
ーー簡単に自己紹介をお願いします
登 スポーツ科学部4年の登茜菜です。
宮内 教育学部4年の宮内今日子です。
ーー他己紹介をお願いします
登 普段マネジャーを2人で一緒にしてるんですけど、今日子は三姉妹の長女で、それが後輩の面倒見が良いところに出ています。
宮内 茜菜は一緒にマネジャーをしていて、細かいところにもよく気づきます。本当に優しいので部員からは優しいお姉さんみたいな感じで頼られてる印象があります。
ーーお互いの第一印象や一緒に活動してきて変わった部分があれば教えてください
登 今日子が入ってくれたのは2年生の時だったので、私は既にマネジャーをしていました。その時はハンド部にスポ科しかいない中で、教育学部から入ってくれて、本当にうれしかったです。最初の頃はうまく仲良くなれるか少し心配だったんですけど、今では最初の1年間いなかったとは思わないぐらい同期とも仲良くしてるし、意外とスポ科っぽくて息の合う子で良かったなと思います。
宮内 私は2年の途中で入って、同学年でマネジャーという同じポジションの子がいたので、困ったらすぐ茜菜に聞けるのですごく頼もしかったのを覚えています。頼もしかったけど、ところどころ抜けているところもあって(笑)。LINEの誤字がすごく多くて「何を言ってるんだろう」と思うこともたくさんあったんですけど、仲良くなれてよかったです。逆に仲良くなりすぎて同じミスをしたり、お互い気づけずにいろいろなことをしでかしてしまったこともあったので、コンビネーションや絆も深まったかなと思います。
ーーマネジャーになったきっかけを教えてください
登 私は大学1年生の一番初めの授業で最初に友達になったのがキャプテンの木村百花(主将、スポ4=東京・白梅学園)で、自分が元々高校までやっていた剣道をそのまま続けようか、新しいことをしようかと悩んでいた時に誘ってくれて。私は自分がいなくても成り立つような大所帯のマネジャーよりも、小規模なところで自分がいないと成り立たないところでやりたいと思っていたので、見学に行って女子ハンドを見た時に「ここで貢献したいな」と思って、未経験だったんですけどマネジャーを選びました。
宮内 私は高校の時に男子のバスケのマネジャーをしてたんですけど、大学の時もマネジャーで早稲田の男子バスケ部に入ろうかと悩んでいたんですけど入るのはやめました。でも、部活に入りたいと思った時にハンドボール部が2年生から申し込めることを知って。見学に行った時は女子部の雰囲気がすごく楽しそうで、後は茜菜がいたこともあって入部を決めました。
ーーマネジャーの活動内容を教えてください
宮内 普段の練習では、ボール拾いやタイマー、ドリンク作りなどの練習のサポートをしています。他にはパソコン仕事も主にやっていて、大学や企業に向けて関係書類を制作したりしてます。
登 本当に人数が少なくて、選手だけでは平日の練習が回らない時もあるので、ボールを拾ったり、キーパーがいない時に(宮内と)2人でゴールに入ったりしてます。最初はすごく怖かったんですけどだんだん慣れてきました。座っている仕事だけではなくて、コート内で立ってやることも多くなったのかなと思います。
ーースタッフさんの人数が少ない中で業務も多いと思いますが、2人でどのように割り振りながら仕事をしていますか
宮内 上の代が抜けて、最後の1年は2人だけなので全部の仕事を2人でやってます。広報も一切やったことがなくて、インスタの画像を作るのも初心者で全然分からないんですけど、2人なりに頑張ってます。
ーー宮内さんは高校でもマネジャーをしていたということで、大学でもマネジャーを続けたいと思った理由は
宮内 高校の時も今みたいに週6日で活動して、結構強豪校だったんですけど、その時にやったマネジャー経験が楽しかったのと、やりがいもありました。みんなで勝つ喜びを共感できるのがすごく楽しかったのでマネジャーをもう1回やりたいと思いました。
「みんなの頑張りを一番側で支えられることがとてもやりがいに」(登)
ーー登さんは高校まで自分がプレーヤーとしてやってきた中で、今度は支える立場になっていかがですか
登 高校までは自分がプレーヤーとしてやりたいし「マネジャーは動かないで支えるだけ」と正直思っていたんですけど、やってみるとみんなの頑張りを一番側で支えられることがとてもやりがいになりました。最初の頃は自分がマネジャーに向いてるから入部したというわけではなかったんですけど、今思うと自分は世話焼きというか、支えることが好きですし向いていると感じたので新しくチャレンジして良かったなと思います。
ーー4年間の中で大変だったことはありますか
登 2人ともハンドボールのルールから知らなかったので、ビデオを撮っている時にこれが今何をやっているのか、3対3なのか4対4なのかも分からなかったので、一つ一つのルールを覚えるまでに時間がかかって大変でした。同期もそうですけど、最近は後輩も教えてくれて。さっきも、「ながし」(ハンドボールで自分の利き手側に打つシュートコースのこと)を引退1ヶ月前に初めて教えてくれて(笑)。日々吸収しながらやっています。
宮内 初めて2人でやった春リーグの申し込みが一番大変でした。それこそ私たちはルールや常識も知らなくて、ハンドボールの16番がキーパーユニホームということを知らなくて、16番をフィールドプレーヤーに登録して、そしたら後輩からユニフォームがないと連絡が来て。そこで初めて16番はキーパーユニホームということを知るやばいエピソードもあります(笑)。その時は本当に大変でしたが、そこで学べました。
ーーやりがいを感じた瞬間は
登 4年間の中で自分がすごくうれしかったのは、推薦ではなくて一般入試で入ってきた子や初心者で入ってきた3年生の子たちが1年生の時に初めて早慶戦で点を決めた時です。未経験でハンドボールを始めるのは今の私たちが新しく競技を始めるような状態で1年間頑張っているのを見ていたので、活躍した姿を見てマネジャーとして少しでも支えることができて良かったなとその時すごく思いました。
宮内 私も同じような感じなんですけど特に最後の1年間、後輩たちを近くで見てきて、人間的な部分やハンドボールの部分で日を追うごとに成長しているのを見て、やりがいを感じています。
ーーマネジャーとして選手と接する時に心掛けていることはありますか
登 今のキャプテンのもも(木村)もそうですし歴代のキャプテンの方もそうだったんですけど、キャプテンはチーム全体を見るので厳しい言葉をかけたり上にどんどん引っ張らないといけない存在なので、私はマネジャーとして気持ちに寄り添える人でありたいなと思っています。練習で少し失敗をしてしまって辛そうな子がいたら声を掛けたり、精神的に寄り添えるサイドに回れたらいいなと思って接していました。
宮内 同期は友達ですし、後輩も妹みたいに接しているので、普段からコミュニケーションを取るようにはしてます。マネジャーは試合に出ていない分疲れも違うので、裏の雑用仕事を率先してやるようにしています。
ーーお2人は4年生ですが、今年の4年生はどんな学年ですか
登 おちゃらけてる(笑)。すごく仲が良いです。
宮内 良い意味で試合が終わった後にもみんなで暗くなることがあまりなくて。
登 キャプテンのももと副キャプテンの文乃(鶴田文乃副将、スポ4=山梨・日川) で締めるところはきちんと締めて、練習や試合が終わったら同期や後輩とも仲良くしてるのでちゃんと切り替えができる学年だなと思います。
ーー同期との思い出は
登 夏休みにオフが全然なかったんですけど、その中で1泊2日でコテージに行ったんですけど、コテージと聞いてたのに実際に入ってみたら合宿所みたいなところで(笑)。それも私たちらしかったし、週6日一緒にいるけどオフの日に会ってもやっぱり楽しいなと思うオフでした。
宮内 2年前のクリスマスにももの家でやったクリスマスパーティーです。2年生の時なので成人式も控えてたのにびっくりするぐらい食べ物を買い込んで、みんな顔もパンパンで成人式も後悔するぐらい太りました(笑)。あとは2年前の夏合宿で、合宿所で円になるように布団を敷いて雑魚寝して4泊5日過ごしたのは思い出です。
ーー下級生はどんな後輩ですか
登 すごくフレンドリーです。私は4年の秋なんですけどまだ授業が残っているので、3年の亜優(杉浦亜優、スポ3=愛知・名経大市邨)と一緒に授業取ったり、2年生とも一緒に授業を取ったりして仲が良いです。私からしたら友達みたいな感じで接してます。
宮内 フレンドリーなのか、なめられてるのかちょっと分からないところはあるんですけど(笑)。みんなマネジャーとして頼ってくれる時もあるし、良い意味で学年の壁もなく友達みたいな感じで話しかけてくれる時もあったりして可愛い後輩たちです。
ーー4年間の中で印象に残った出来事は
登 今年の春に同期の文乃がケガをしてしまって、ケガのシーンはその時だけではなくて昨年の春にも練習中に足をケガしてしまったり、同期含め後輩のケガのシーンも見てきてました。本人もつらいだろうし、その後何ヵ月も離脱してしまうところを目の当たりにしたのは自分の中で印象的でした。でもそこからみんながへこたれずにリハビリやケアをして頑張っているところもとても印象に残っています。
宮内 私は2年前の夏合宿に熊本に行った時に、今留学に行っている桃虹(山本桃虹、スポ4=東京・佼成学園女) と文乃とももの同期3人が30分間だけ同じコートに立って試合をできた時が印象に残っています。その後ももはまた膝が痛くなってしまったんですけど、その時のことは今も覚えています。
ーー最後のインカレに向けて、ご自身の役割は
登 支えるのはもちろん絶対に自分がやらなければいけない仕事だと思うんですけど、4年生の鶴田文乃は今までずっとケガをしていて最後インカレで復帰できるかどうかの状態で、みんながみんな万全な状態ではなくケガをしながら頑張ってる人もいるので、全員がインカレの試合に向けて100パーセントまで持っていけるように私ができることはして、試合に出る人も出ない人も一緒になって支えられたらいいなと思います。
宮内 まずはマネジャーとして大会が滞りなく進むように万全なサポートをしていきたいと思ってるのと、公式戦で2人でベンチに入れるのは最初で最後なので、最後として試合で楽しむことと、ベンチからみんなの姿を見て一番応援したいなと思ってます。
登 いつもはどちらかは絶対にビデオ撮影をしなければいけなかったんですけど、インカレではライブ配信があるので、仕事なく応援に集中できるのはこれが最後になるのかなと思ってます。
「全員が一人一人の力を出し切って上のチームに勝てるチーム」(宮内)
ーーインカレでの注目選手は
登 私はキャプテンの木村百花です。2年の夏に膝をけがして、3年生になっても夏で復帰できるかと思ったらもう1回けがをしてしまって結局出られないで、4年生の春も復帰への準備期間でした。4年生の秋から本調子で復帰して、今も100パーセント完治したわけではないですし、膝も少し痛めてるから痛みと闘いながら頑張ってると思うんですけど、(選手の)4年生が2人しかいなくてけがも多い中、キャプテンとして1年間引っ張ってきました。自分がコートに立ってなくても、ベンチから声を出したりいろいろなことを考えてやってくれていたので、インカレでキャプテンとしても4年生としても引っ張る姿や、あの子のシュートが、私は楽しみです。
宮内 私は文乃です。文乃は2回の足首のけががあって、2回目の時は試合のベンチに入っていたので救護活動に私も呼ばれて手を握って救急車が来るまでずっと近くで見てました。正直私も目を伏せたくなるような悲惨なけがで、実際文乃が「部活を辞める」「ハンドボールをしたくない」と言っても仕方ないぐらいだなと私は思ったし、みんなは「復帰待ってるよ」と言っていたんですけど、トレーナーさんからインカレも無理だよと聞いていました。それでも本当に今も頑張っていて、つらいことがあっても笑って周りを明るくしてくれる子なのでチームにいて良かった存在だなと思ってます。4年生が選手2人になって、この1年間は自分のけがもあってつらかったと思うんですけど、インカレで最後どんなかたちになるか分からないけど、シュートというかたちで終われることをマネジャーとしてもチームのみんなも願っています。
ーー最後にお2人と、チームの注目してほしいところを教えてください
登 全員ベンチ入りできるぐらい全国的にも私たちは本当に人数が少ないんですけど、それでもみんなの力を集めて戦うのが早稲田のチームの良いところです。みんなが頑張ってベンチも温かく応援してるところが特徴だと思うのでそこを見てほしいです。私たちも含めたスタッフ陣や監督、コーチも一丸となって応援してますし、温かい声を掛けてくれる大人も含め全員で早稲田をつくっているので、私も早稲田の一員としてベンチで頑張ってるところを見てほしいなと思います。
宮内 早稲田は全国的に超有名な選手や、すごく背が高い選手はいない中で全員が一人一人の力を出し切って上のチームに勝てるチームです。実際にリーグ戦でも筑波大に勝った時や東女体大に勝った時もあるので、今回のインカレでもそういった下剋上に注目してほしいと思っています。全員がベンチに入っていて、本当に仲が良くて温かいチームで、誰かがシュートを決めたら全員が全力で喜んでいる姿も見られるので、配信ではぜひベンチも見てくれたら本当にいいチームだと分かると思うので応援よろしくお願いします!
ーーありがとうございました!
(取材、編集 渡辺詩乃、大村谷芳)
◆登茜菜(のぼり・あかな)
2002(平14)年4月6日生まれ。静岡・浜松西高出身。スポーツ科学部4年。チーム内に「オフェンス班」や「ディフェンス班」などのLINEグループがあるという女子ハンドボール部。登さんは「モノポリー」というスマホゲームが好きで、「MP班」を作ってイベントの度にグループにLINEしているそう。インカレでは、登さんの明るい笑顔でチームを照らしてくれるはずです!
◆宮内今日子(みやうち・きょうこ)
2002(平14)年10月17日生まれ。東京・都立駒場高出身。教育学部4年。三姉妹の長女で、とても面倒見が良いという宮内さん。妹が大好きで、よく遊びに誘いますが毎回断られてしまっているそうです。インカレでもチームのお姉さん的存在として、メンバーを優しく支えてくれることでしょう!