【連載】インカレ直前特集『Keep it Real』【第1回】荒川健祐男子部主将×高美優女子部主将

特集中面

 今回の連載の先陣を切るのは、荒川健祐男子部主将(スポ4=神奈川・柏陽)と高美優女子部主将(スポ4=福岡中央)の男女主将。「どうにか『勝たせないと』」(荒川)、「自分のプレーに集中できない時もあった」(高)と主将としての重圧を感じながらも、チームをけん引してきたこの1年間。この1年間を振り返るとともに、男女ともに目標とする全日本大学選手権(インカレ)優勝への意気込みを伺った。

※この取材は8月17日に行われたものです。

――お互いの他己紹介をお願いします

荒川 印象としては1年生からずっと出ているスーパースターですね。試合があった時、「誰が打ったの」と聞いたら、だいたい名前が出てくるので本当にすごいなと思っています。特にバッティングもですし人柄もすごくいいので、そういったところで、みんながついてくるキャプテンなのかなと思っています。

 男子部のキャプテンの荒川健祐です。自分が見ている限りだと、本当に男子部を一つにまとめていて、チームを引っ張っていく姿勢がすごいなと思っています。自分にはないものを持っている方だなといつも思っています。

――お二人ともスポーツ科学部所属ですが、部活外の交流はあるのでしょうか

荒川 授業被ったことはないよね。

 確かに。

荒川 授業ではないかなと思います。新チームになってから関わり始めたくらいの感じですね。ただ、今年になってからはだいぶ関わることも多くなって、仲はいいのではないかなと思います。

――男子部から見た女子部、女子部から見た男子部の印象はどのようのものがありますか

 私たちから見て、やっぱり男子部のソフトボールというのは迫力があるなと思います。スピード感もすごいので、1年生の頃からずっとレベルの高いところでソフトボールしているなという感じがあります。

荒川 日本代表やインターハイ準優勝などのすごい実績を残している人がたくさんいて、単純にそこはすごいなと思います。男子よりはスピードは劣るかもしれないのですが、練習を見ていて「ここのプレーうまいな」とか「これは参考になるな」というプレーがものすごく多いので、女子部から刺激を受けることが多いです。

――主将として過ごしたこの1年間はどのようなものでしたか

荒川 秋のシーズンから振り返ると、秋はものすごくきつかったです。インカレから1週間経たずに秋リーグ(東京都大学連盟秋季リーグ戦)が始まったのですが、正直インカレからあまり気持ちが切り替えられていませんでした。自分がインカレで活躍できたのもあって、燃え尽き症候群みたいな感じでもなっていました。新体制になって、自分自身切り替えるのにすごく苦労しましたし、チームとしても(秋季リーグ戦は)5位で、関東インカレ(関東大学選手権)も2回戦負けで全くうまくいかなかったので、そこに関して言うと、本当にきつかったです。この先大丈夫かなという不安がすごくありました。それもあったので、冬はかなり追い込みましたし、多分後輩たちも不満はあったと思うのですが、それでも無理やりにでもやらせて、どうにか「勝たせないと」というところで何とか冬を乗り越えられました。春リーグ(東京都大学連盟春季リーグ戦)は2位で、全日本総合(全日本総合選手権東京都予選会)はフルメンバーでは望めなかったのですが、何とかベスト4に入れてという形で、徐々に結果が出始めてるのかなと思います。ただ、東日本(東日本大学選手権)で国士舘に勝ち切れなかったところを踏まえると、まだまだ成長しなければいけないところもありますし、残りインカレまで3週間ぐらいでどこまで積み切れるかだと思うので、強豪ぞろいの組み合わせでしっかり勝ち切れるように残り3週間やっていければなという風に思います。

 最初チームの結果としては、(秋季)リーグ戦は勝てたのですが、その後はあまりいい結果が残りませんでした。最初はプレーしている時は何も考えずにできていたのですが、その他の面でチームをまとめたりすることや運営のことで大変だったりすることが多くて、自分のプレーに集中できない時もありました。そこは結構苦しい場面ではありました。今、試合を積み重ねてきて、 一人一人が万全な状態ではないのかもしれないのですが、インカレに向けて、ここまで1年間やってきたことを最後全員で発揮できたらいいかなと思います。

――この1年間、どのようなチームを目指してきたかを教えてください

荒川 昨年のインカレは体力切れで準決勝をあのような形(環太平洋大にコールド負け)で負けてしまって。今年は最終日まで全部勝ち切って、必ず昨年の3位という結果を超えて、決勝で勝って優勝するというところだけを掲げて、この1年やってきました。だからこそ、冬は体力の面は絶対つけさせないといけないなというところで追い込みましたし、徐々にではありますが、選手のフィジカルを見ていると、すごく成長したなと思います。そういう面ではインカレに向けて、少し自信はついているのかなと思う反面、まだまだ、試合結果に満足できる結果が残せてない部分もあります。あと3週間、追い込めればなと思いますし、僕と副将の稲井(稲井宏平、法4=埼玉・早大本庄)を中心に頑張りはしますが、この2人だけだと限度があるので、周りの力も借りながらではありますが、しっかり最後いいチームで終われればなと思っています。

 自分たちはスローガンで「日本一強く、日本一愛されるチーム」ということを掲げています。周りからどう評価されているかはわからないですが、強いチームを作ると同時に、みんなから応援されるチームが一番強いチームかなと思っています。これからも残り少ないのですが、最後まで周りからも応援されて、なおかつ勝てるチームを作っていきたいなと思っています。

――この1年間、お二人はどのようなことを意識して活動されていますか

荒川 とにかく考えることを意識しています。僕自身、論理的に考えて人に伝えるということがすごく苦手なタイプなんです。高校までもずっとキャプテンをやらしてもらっていたのですが、チームを勢いで持っていくと言いますか、試合や大会の時は勢いで(チームを)引っ張っていける力はすごいあるという風に言われてきました。やはり論理的な考え方がものすごく自分は苦手だったので、そこは監督の高杉さん(高杉聡監督、平10人卒=群馬・前橋育英)からも前から言われていて、今も成長段階ではあると思うのですが、そこはかなり意識してこの1年取り組んではいました。

 最初はとにかく周りの意見を聞いて、それをどんどん取り入れていこうと思っていました。ですが、周りの意見だけだと、チームもまとまらないというか、いろいろな方向を向いてしまうなと思ってきました。なので、途中からはしっかり自分の意見を持って、それも伝えながら周りの意見も聞き入れることで、少しでも周りとコミュニケーション取りながらやってきたつもりです。それが正解かどうかはわからないのですが、自分としては自分の意見もしっかり持ちながら周りに伝えて、周りの意見もしっかり取り入れるようにやってきました。

――主将として過ごした1年間で大変だったことはありますか

荒川 結構ありすぎて、ぱっと浮かんでこないのですが、やっぱり秋と春ですかね。秋は結果が出なくて、自分自身もうまく切り替えられなくて、考えることもすごく多かったです。キャプテンとして(あるべき姿)もそうですし、何で(チームを)勝たせられないのだろうというところをものすごく悩んだ時期ではあったかなと思います。春はチームとしては春リーグにインカレの出場権をつかめて、インカレに向けてどういう風にするかということだけを考えられるような状態にはなりました。ですが、自分としては春リーグがケガでほとんど出られませんでした。日体大戦で代打でヒット打って、最終戦の中央大戦でなんとか復帰できて、それなりには結果を出したのですが、やっぱり春は冬明けて、最初の大会で一番目指してきた大会でもあったので、そこにケガで出られないというのはものすごい自分の中で悔しかったです。「何やってんだろう」となって自分自身への失望もありました。そこの2つ、秋と春は結構自分の中できつかったです。

 自分もいろいろ大変なことはあるのですが、チームが勝てない時が一番悔しいです。(試合などで)課題点は出るのですが、それをどうつぶしてやっていこうかと考えて、考えてもまたうまくいかない。そういうことが続いた時が、結構苦しいなと思っています。ただ、みんなは一生懸命やってくれているので、そこを自分がどうまとめていくかというのも大事になるのですが、勝てないと意味がないとも思います。結果を出さないと、今までみんながやってきたことも報われず、みんなのモチベーションが下がっていきますし、チームでやっていることの意味が消えていくので、そこを毎日探りながらやっていくのが難しかったです。

――両部とも副将が二人いらっしゃると思いますが、荒川選手、高選手にとってお二人はどのような存在ですか

荒川 それぞれ言わせてもらうと、稲井は厳しいことをチームにものすごく言ってくれて、自分が言えないことも言ってくれるので、自分としてはすごく助かる存在です。一番近くで支えてくれたのは稲井なのかなと思っています。 なので、今も感謝していますし、一緒に日本一の景色を見られたらなという風に思っています。慶弥(佐藤慶弥副将、スポ4=静岡・飛龍)はプライベートでかなり仲良くさせてもらっていて、1年生の頃からずっと一緒にいます。他の人には言えないようなことも、慶弥にはちょっと言ってみたりするので、一番近くにいる存在なのかなという風に思います。メンタル面でもすごく頼りにしていますし、打線では自分が4番で慶弥が5番という形になっているので、後ろに慶弥がいるというだけで、僕の負担もだいぶ減っています。現に打席内でも「慶弥が後ろにいるから、まあなんとかなるだろう」と考えていて、かなり楽になっています。 プレイヤーとしてもそうですし、副将としてもすごく頼りにしています。この2人がいなければ、自分もどうなっていたかわからないので、 本当に2人には感謝しています。あと残り3週間ですが、3人でチームを引っ張っていけたらなという風に思っています。

 新宮(新宮怜美副将、スポ4=京都西山)はプレーでもいつも前に立ってチームを引っ張ってくれて、アドバイスももらっています。ピッチャー目線からもそうですし、今までやってきたことについてもアドバイスをくれます。自分が気づかないことを気づいて言ってくれたりしますし、チームに対しても時には厳しい声かけもしてくれたりするので、本当に助かることが多いです。 原田(原田理子副将、スポ4=千葉経大付)はプライベートでもよく一緒にいることが多いのですが、他の人には言えないことも、原田にはキャプテンとして難しいことや大変なことも相談しています。いろいろ聞いてもらったり、助けてもらったりしてもらっていますし、プレーでも要として引っ張ってくれているので、いろいろな面で助けてもらっているなと感じています。

対談中の荒川(写真左)と高

――お二人にとって同期の方々の存在はどのようなものですか

荒川 同期はあまり試合出てない選手も多くて、 正直プレー面での貢献というのはなかなかできていないのが現状だと思います。ですが、それ以外で貢献してくれている部分がものすごく多いです。後輩からの意見を吸い上げてくれたりだとか、時には、自分や稲井も慶弥も気づかないことにもアドバイスをくれたりだとか、そういう面では非常に助かっています。何かの縁があって集まった同期だと思うので、非常に大切な存在ですし、これからも助け合いながらやっていきたいなと思います。自分がキャプテンとして先頭に立って作ってきたチームではありますが、最高学年が作り上げたチームという風に自分は思っているので、最後は同期のみんなでいい形で終わることができればなと思います。そのいい形というのがおそらく日本一以外ないと思うので、しっかり日本一を最後取り切って終われたらなと思います。

 同期はチーム運営に関して、幹部を務める代になってからそれぞれ役割があるので、そこで仕事を全うしてくれています。なので、自分も自分だけの仕事に集中できますし、プレー面でも出場している選手が多いので、そこでチームを引っ張ってくれています。一人一人個性豊かな学年というか、それぞれ特徴があるので、それを活かしながらチームを一緒に引っ張ってくれています。

――両部とも昨年のチームは卒業された4年生の存在感が強いチームという印象があるのですが、昨年のチームと今年のチームの違いはどのようなところにありますか

荒川 昨年のチームは4年生が6人(全員)出ていて、下級生が4人出てという形でした。ですが、今年はガラッと変わって、基本的には下級生が出ているようなチームなので、かなり変わったかなとは思います。キャプテンのカラーも自分と尾松さん(尾松大輝前主将、令5政経卒)でかなり違うと思います。 尾松さんは論理的な思考もすごく得意な方なのですが、自分はその逆で、論理的な思考が苦手で、勢いでチームを引っ張るタイプです。そういった面でもチームカラーとしてはガラッと変わったかなと思います。その分、勢いに乗った時はいい形で試合を進められますし、 トーナメントというところを考えると、大会を勝ち上がる上で、すごく重要な武器なのかなと思うので、昨年にはなかった強みだと思います。ただ、勢いに乗れなかった時というのがまだ課題な部分ではあるので、そこをインカレまでにつぶせればなと思います。徐々にですがつぶせてはきているので、あと残り3週間でそこをつぶし切れればなと思います。

 昨年の4年生は下級生の頃から試合に出ている方が多かったので、プレーで引っ張ってくれるというのもあったと思います。ただ、今年の4年生は(代が替わった)昨年の秋から出始めた選手も多く、 最初は多分自分のことでいっぱいいっぱいというような感じではありました。ですが、今は本当にチームを引っ張ってくれるような選手になっていると思います。昨年のチームも今年のチームも共通して言えるのは、勢いで勝てるチームかなと思っているので、その勢いにどれだけ自分たちが乗っていけるかが勝負かなと思います。

――昨年の秋季リーグ戦や関東大学選手権といった秋の公式戦を振り返っていかがですか

荒川 男子部はインカレから1週間経たずとして秋リーグが来たので、正直チームを形作るとかが全くありませんでした。自分としても(チームの形が)見えていないまま入った秋リーグだったかなと思います。秋リーグ開幕前日に(チームが)始動して、その1日ちょっと練習して、もうすぐ秋リーグという形だったので、 僕自身もどうなるかわからない不安の中、秋リーグに入りました。やはりそんなに甘くなく、初戦は正直格下の相手だったのですが、サヨナラ負けでしたし、かなり苦しんだ秋リーグだったかなとは思います。ただ、日体大に新チームでいきなり勝ったというのを踏まえると、実力がないチームではないのかなという風には思いました。これから秋、冬と練習したら、インカレ優勝を目指せるチームではあるのかなという風には思っていました。いざ秋リーグが終わって、関カレに臨んだのですが、2回戦で稲垣(稲垣拓朗、スポ3=群馬・新島学園)が投げて、国際武道大にコールド負けの点数がついてしまったので、そこに関してはかなりダメージはでかい秋だったかなとは思います。ただ、冬にやるべきこと、やらなきゃいけないことというのがものすごく明確になった秋でもありました。その当時は、かなりきつかったですが、今思えば、非常に重要な時期だったかなと思いますし、きつい思いをして良かったなと思います。

 秋リーグは結果としては優勝だったのですが、やはり新宮の力が大きかったです。1人で全部投げ切って、全部完封勝利だったので、本当にその力が大きかったかなと思っています。バッター陣は4年生が抜けて結構変わった中で、かなり打ったというわけではないので、新宮の力に頼ってしまったかなというのはあります。関カレは初戦で負けてしまったのですが準備不足というか、いろいろ原因はあった中での敗戦にはなってしまいました。その中で自分たちの技術を再確認したというか、自分たちはまだこれぐらいのレベルだということが一人一人分かって、そこから冬の練習に入ることができました。優勝した後に1回戦負けというのは、すごく悔しい結果ではあったのですが、そこでまた再確認して、冬の練習に臨めたのはすごく良かったかなと思います。

――秋の公式戦踏まえて、冬の時期はどのような練習をされてきましたか

荒川 とにかく身体を鍛えるということをしていました。もちろん秋に出た課題でもあったのですが、昨年のインカレでも出た課題でもあります。やはり3日目でフィジカル的にも体力的にも追いつかなかったというところで、(インカレで)優勝するために徹底的に身体を鍛えないと、また同じことを繰り返してしまうというのはもう明確に分かっていました。冬はトレーニングルームでの筋力トレーニングもかなり増やしましたし、グラウンドでもボールを使う時間より、正直トレーニングの方が多かったかなというぐらいトレーニングを行いました。OBに橘内さん(橘内基純氏、 平18人卒)と佐藤さん(佐藤裕務氏、平24スポ卒)というトレーナーの方がいらっしゃるのですが、そのお二方にアドバイスをいただきながら、時にはグラウンドにも佐藤さんには来ていただきながらトレーニングを進めていきました。

 冬は体力作りと同時にバッティングの力を上げようということで、とにかく振り込むようにしていました。その時はバッティング力が本当に低かったので、吉村先生(吉村正総監督、昭44教卒=京都・平安)から指導をいただいていて、全員で、ロングティーでどこまで飛ばせるかなど、とにかく野手陣は振り込んで、バッティングを向上させるようにしていました。

――インカレの前哨戦でもある東日本インカレを振り返っていかがでしょうか

荒川 東日本インカレでは春リーグや全総と比べて、打つスタイルを変えて、バントやバスターを駆使して点を取るという形で臨みました。特に2回戦では昨秋の関東インカレで当たった国際武道大にバントとバスターを駆使して勝ち切れたということで、自分たちの中ではすごく自信になりました。工夫をすればコールド勝ちできたのではないかという手ごたえはあったので、それに関してはすごく自信になりました。一方で、春リーグでは打つスタイルで勝った国士舘大相手に0-1で敗れてしまいました。スタイルを変えた結果として敗れたので、自信がついた反面、このままではまだまだ国士舘大や日体大相手には通用しないのではないかと、チーム全体に意識付けできたのではないかなと思います。バントとバスターだけでは足りないということがチーム全体で分かったと思います。春にやってきた打つスタイルと、東日本で駆使したバントやバスターのスタイルをどういう風に組み合わせてインカレに臨むのかということが、東日本を経て今取り組んでいる内容です。チームとしてもクリアになってきているなと思うので、精度を高めていくだけだと思います。精度が上がってくればどんな相手でも点を取って勝ちにいけるという手ごたえはありますし、東日本も春リーグ同様、収穫と課題が両方出た、いい大会になったと思います。

 東日本もインカレの予行の大会として臨んだのですが、1年の中で一番思うようにいかなかった試合かなと思っています。バッティングの面でも何もできずに、昨年のインカレの試合で何もできなかったような感覚でした。今までやってきたことが何も出せなかったので、ふがいない気持ちが強く、東日本が終わって1か月余りでインカレを迎える中、焦りや不安が大きかったです。その中で、チームとして1つにならないと、勝ち切ることは難しいと思います。技術力だけでなく、チーム力として1年生から4年生全員が役割を意識してチームのために動けるかということを練習で重視しています。意識を変えていくことがチームの状態が上がってくることにつながるので、チーム力の向上を意識してインカレに向けて臨んでいます。

「必ず5つ勝って昨年を超えて日本一になりたい」(荒川)

バリエーションのある打撃が自身の魅力と話す荒川

――インカレが近づいている中、チームの雰囲気はいかがでしょうか

荒川 男子は残り3週間というところで、練習での緊張感は高まってきているのではないかなと思います。一方で、もっと緊張感を持って練習できると感じる部分もあります。インカレは独特な緊張感がある大会なので、いつも通り体が動かない、そういった緊張感もある大会だと思います。その緊張感にどれだけ近い練習ができるかということが一番重要だと思っているので、それにまだまだ近づけていない実感が正直あります。もっと緊張感を持って練習に臨んでいかなければならないなと思っていますし、それができれば勝てると思うので一人一人の意識は高まっていると思いますが、ここからもう一段階緊張感を上げる必要があると思います。そのためには、自分の力や4年生の力が重要だと思いますし、緊張感を上げていくのが自分たちの仕事だと思うので、残り3週間、いろいろ工夫をしながらそういった練習ができればいいなと思います。

 チームとしては徐々に上がってきている感じがあります。東日本のあとにいくつか練習試合を組んでいたのですが、それが無くなってしまってモチベーションの維持が難しい時期ではありました。練習での実践を通して、それぞれ課題を見つけたり、チーム力を上げたりしていていました。先日、練習試合があったのですが、今はいい雰囲気で試合ができているので、チームとしては上がってきていると思います。ただ、自分としてはもっと詰めていけるところがあると思うので、そういった点を詰めていきながら、最後の最後まで楽しくやっていけたらいいなと思います。

――チームとしてどのような練習に取り組んでいますか

荒川 今まで取り組んできたバッティングスタイルと7月以降取り組んできたスタイルをうまく融合させるために、実践を多めにした練習に取り組んでいます。自分と高杉さんで一番話しているのは、一球に集中することです。その一球で負ける、その一球で勝つということがあり得るのがインカレだと思います。このバントを決められなかったから負けるだとか、そういった緊張感のある攻防の中で、そういったシチュエーションを練習の中でどのように作っていって、集中力を高めていけるかということを考えています。まだまだ完成度は低いので、残り少ない時間ですが、残り少ない時間の中でも成長できるのが早稲田だと思うので、自分たちで考えながらやっていきたいと思います。

 自分たちも実践練習を多くやってきていて、吉村先生から「一球を大事にしろ、その一球で勝負が決まる」とアドバイスをいただいていて、一球に集中できるような練習を行っています。

――現在の個人としての調子はいかがでしょうか

荒川 チームが始まってからあまり調子が上がったといった実感が正直ないので、状態としてはよくはないのかなと思います。ただ、ここまで来たら状態うんぬん言っている場合ではないので、インカレで状態が良くても悪くても結果を出せるように、練習していきたいなと思っています。

 調子は悪くないかなと思うのですが、インカレとなるとどうなるかわからないので、そこまでやるべきことはやって最後は気持ちで負けないようにやっていければと思います。

――ご自身の選手としての強みや課題は何ですか

荒川 強みとしては、パンチ力のある打撃かなと思っています。自分自身、身体は小さいですけど、本塁打も打てますし、内野や外野の間を抜く打撃もできますし、バントやバスターで出塁することもできます。バリエーションある打撃ができるようになったというのが自分の強みかなと思います。課題としてはバリエーションあるといったものの、まだまだ、バントやバスターの質が高められると思います。そこがもう少し高まってくると、より怖いバッターになれるかなと思いますし、何でもできるバッターになれると思うので、そういった課題をつぶしていきたいと思います。強い打撃という面でも状態を上げていけると思うので、しっかり状態を上げてインカレに臨んでいければと思います。昨年のインカレの成績を超えるのは最低条件だと思うので、昨年の打率や出塁率をすべて超えられるよう頑張っていきたいです。

 強みとしては、打撃ではミートすることが得意なので、どんな投手に対しても打ち返せるようにやっていきたいと思います。課題に関してはクリーンアップを任されているのですが、長打を打とうとすると、力んでしまうことが多いので、自分の中でリラックスして持ち味を発揮できればいいかなと思います。

――インカレを直前に控えられた現在の心境はいかがですか

荒川 楽しみ半分不安半分というところです。ただ、昨年よりも正直厳しいトーナメントで、最初(組み合わせを)見たときは「またか」と思いました。僕個人としては、ビッグゲームの試合のほうが結果が出るので、楽しみが8割かなという感じです。ただ、主将としてチームをまとめるときに、やはりまだまだあの組み合わせで優勝できる力があるかといわれると、あっても7割くらいなので、それが不安につながっています。なので、自信を100%にするためには、日々の練習とこれからある練習試合にどう臨むかというので変わってきます。あの組み合わせで優勝してこそ真の日本一だと思うので、必ず5つ勝って昨年を超えて日本一になりたいと思います。

 最後のインカレにはなりますが、正直実感はあまりなくて、個人としては本当に最後ただ楽しめたらいいなと思っています。チームを引っ張っていく中では、チームを最後勝たせたいという思いです。監督やコーチ、吉村先生や保護者の方々に恩返しという意味で、結果で返したいと思います。勝ち上がれば組み合わせ的にも、昨年と自分が1年生のときに負けた中京大学に当たる可能性も高いので、そこを勝ち切ってリベンジというかたちで先輩たちにも恩返ししたいなと思います。

「チーム一丸となって一つ一つ戦い抜く」(高)

持ち前のミート力を武器に結果で恩返しをしたいと話す高

――インカレのトーナメント表が発表されていますが、改めてご覧になってどのように感じていますか

荒川 男子に関しては、1回戦と2回戦が昨年と全く同じなので「本当にまたか」というのが正直なところです。高杉さんとも、「東日本王者の日体大と西日本王者のIPU(環太平洋大)を倒して日本一になったらどれだけ気持ちいいことか」という話はしましたし、自分としても想像するだけでワクワクします。ただ、やはり厳しいトーナメントには変わりないので、そこに関してはとんでもないところを引いてしまったなというのもあります。ですが、どちらにせよ日本一になるためには倒さなければならない大学なので、それが(大会)最終日に来るか2日目に来るかという、それだけの違いだと思います。体力の残っている2日目の方が万全な状態で迎えられるので、その点に関しては、良かったのかなと思います。

 個人的にはワクワクしています。勝ち上がれば勝ち上がっていくほど強いチームと当たっていくので、どの試合も気が抜けないというか、本当に楽しみだなというのが正直なところです。1回戦から気が抜けないので、自分たちは1回戦を大事にして、そこを勝ち切ればその後は勢いでいけるのではないかという話もあったので、本当に1試合目を大事に戦っていければと思います。

――意識している大学や選手はいますか

荒川 やはり2日目の日体大とIPUです。特に日体大のショートの古敷谷(古敷谷宗)や3番打者の渋谷(渋谷卓)がキーかなと。あそこを抑えられれば稲垣の力であれば無失点で抑えられると思います。IPUに関しては、ピッチャーの影山(影山蓮)は打ち崩さなければいけない相手です。昨年は影山にやられているので、リベンジも含めて打ち崩したいと思います。

 今はとにかく1回戦の相手の同志社大のデータを分析して、ライズ系とドロップ系どちらもいる投手陣を打ち崩すために策を考えています。1回戦が本当に大事になると思うので、自分たちの打撃がどこまで通用するか分かりませんが、打って崩せればいいなと思います。

――お二人の考える早稲田のキーマンを教えてください

荒川 一つはバッテリーの稲垣と佐藤玲弥(社2=静岡・飛龍)です。自分たちの売りは稲垣を中心とした守備だと思っています。バッテリーがしっかり抑えてくれれば0点で抑えられる自身はありますし、稲垣と佐藤玲弥の力をもってすれば、全試合完封できる力はあると思うので、まずはそこがキーです。個人的には小出(小出拓実、人3=東京・杉並)もキーだと思っています。現状1番を打っていますが、小出が先頭で出てくれるか出てくれないかで特に初回の攻撃が変わってきますし、発展途上ではありますがかなり良い選手で、秋も春も日体大から打っていて、結果が出せる選手です。インカレ2日目の日体大戦の1打席目でしっかり出てくれるかどうかが一つカギになると思います。

 まず1人は新宮だと思っています。自分たちもピッチャーを中心に今まで戦ってきたので、いつも苦しいときは新宮が抑えてくれて、最後は新宮に頼らず勝てたらいいですけど、頼らないといけないときもあると思うので、そこで新宮の力でチームを引っ張ってくれるかというのもすごく大事だと思います。あとは3年生だと思っていて、3年生が上がってくるとチームも上がってくると思いますし、その活躍が4年生の刺激にもなるので、3年生の活躍に期待したいです。

――最後にインカレへの意気込みをお願いします

荒川 目指すは日本一だけなので、昨年の成績を超え、昨年負けたIPUにリベンジして日本一を獲れるように頑張っていきたいです。個人としても昨年の自分の成績を超えないと優勝は厳しいと思うので超えられるよう頑張って、ただ日本一だけを狙って突き進むだけかなと思います。

 日本一を目標として掲げてやってきたので、それぞれの思いもある中でチーム一丸となって一つ一つ戦い抜ければいいかなと思います。

――ありがとうございました!

(取材・編集 星野有哉、橋本聖、沼澤泰平 写真 近藤翔太)

男子部は2014年以来の、女子部は2006年以来のインカレ優勝を目指します!

◆荒川健祐(あらかわ・けんすけ)(※写真左)

2000(平12)年4月26日生まれ。神奈川・柏陽高出身。スポーツ科学部4年。試合前には必ずKing Gnuの「飛行艇」を聞くという荒川選手。インカレでは台風の目となって活躍する荒川選手に期待です!

◆高美優(こう・みゆう)

2001(平13)年8月16日生まれ。福岡中央高出身。スポーツ科学部4年。最近のマイブームはNetflixで韓国ドラマを見ることだという高選手。お気に入りは「キング・ザ・ランド」だそうです!